「儂が死んだら誰がお前達に知恵を授けてやるんじゃ!」
CV:茶風林
概要
宇宙海賊バルバンの幹部の1人。
バルバンの知恵袋であり、妖帝イリエスとその弟のデスフィアスの叔父でもある。
知恵袋を自称するだけあって相応に博識で、お頭の弱い銃頭サンバッシュと彼が率いるサンバッシュ魔人団の作戦もほぼ彼の立案に基づいた物である。普段彼の事を「樽ジジィ」と罵倒してどつく等、ぞんざいに扱うサンバッシュも作戦立案と言う都合の良い時だけとは言え「樽学者の大先生」呼ばわりする等、作戦参謀としてそれなりに重宝されていた。
とは言え余り役に立ってはいない為、やはり他のメンバーからは無下に扱われ、闇商人ビズネラが登場以降してからはそれも更に顕著になった。
ただ、今から3000年前に魔獣ダイタニクスと共に地球を襲撃した際、初代ギンガマンや星獣達との戦いで重傷を負ったゼイハブ船長の身体に星の命を埋め込む手術を施し、延命どころか不死身の肉体を授けている所からも、決して無能ではない事だけは留意しておきたい。
また、劇中ではドレッドレッダーの力を強化した小型の樽や、タグレドーの放つ毒を消したスプレー、ゴウタウラスを閉じ込めた樽と言ったのアイテムを所有している点も見逃せない。
劇中での活躍
上記の通り、サンバッシュが行動隊長を務めた際は彼にど突かれながらも助言を行い、魔人団の作戦行動の補佐をしていた。後の活躍を想えば、この時が1番ブクラテスにとって幸せだったのかも知れない。
サンバッシュが倒れ、彼が隠し持っていた「ギンガの光」の存在が明るみに出た事で剣将ブドーが次の行動隊長に就任し、ブドー魔人衆によるギンガの光の捜索及び争奪が始まった際には、サンバッシュ時代と比べて参謀としての活躍はめっきり鳴りを潜めてしまう。
ブドーの手回しの良さからバルバンの知恵袋としての自身のアイデンティティも形無しにされ、「これならサンバッシュの方が、まだ可愛げがあったわい!」と発言する程に煙たがった。
裏を返せば、サンバッシュに対しては日頃の態度こそ頂けなかったものの、何だかんだで自分を頼りにしてくれる分、それなりに気に掛けていた様だ。
ギンガの光の捜索が佳境に差し掛かり、四将軍の氷度笠に白羽の矢が立ってからはブドーへの不満もかなり膨張していた。折しも彼の事を良く思わず「金貨と手柄を取られたくない」と泣き付く姪のイリエスと結託してその活動を妨害。そして怒涛武者がギンガの光を発見した際には遂に彼女との奸計によってブドーを失脚させた。
ブドー魔人衆全滅後、イリエスが次の行動隊長に就いた時が彼にとって運命の転換期であった。
イリエス魔人族を全滅させられ、自身もギンガマンに倒されて宝石となったイリエスを復活させるための儀式の最中、背後からゼイハブに急襲される。
ブドーを陥れたのを見抜きつつも、戦力の低下につながるからと敢えて見逃していた事をゼイハブに告げられる。それでも諦めずに宝石を取り返そうとするも、眼前でバットバスの斧によって宝石を砕かれたことで絶望に苛まれながら倒れ、身体を鎖で縛られた状態で海中に沈められてしまう。
そして宝石となったイリエスも、中途半端に封印が解けたせいで腐りかけたダイタニクスの防腐剤にされ、ブクラテスは全てを失う事となる。
そして――――――――――――
復讐の樽学者ブクラテス
「ゼイハブ。儂は知っとるぞ、お前を倒す方法を……黒騎士を使って、いつか必ずお前を倒す!」
死んだかと思われていたが、第三十七章「ブクラテスの野望」にて生存が明らかとなる。実は彼も自らの体内に星の命を仕込んでいたお陰で命拾いしていたのだ。
だが、顔色も以前と違って血色の悪いそれに変わり、頭髪の乱れた髪型となった。
「長い付き合いながら追放され、かつて自身の星もゼイハブに滅ぼされた」事への憎しみから復讐鬼と化したブクラテス。だが、非力な老体でしかない自分にはゼイハブを屠る力など無い為、先のイリエスとの戦いで重傷を負っていたゴウタウラスを人質に取る事で黒騎士ヒュウガを抱き込み、ゼイハブへの復讐の道具として利用せんとする。
ゼイハブ打倒の為、ギンガの森における禁断の薬草「沈み草」を飲ませたヒュウガにアースを捨てさせると、ヒュウガと共に作り上げた斧「ナイトアックス」を彼に授けた。
「寝首を掻かれては困る」という理由でゼイハブの弱点をヒュウガに教えず、自身の星の命を練習台にし、ゼイハブの体内にある星の命を破壊出来る様に修練させる。
当初はヒュウガを「自身の復讐の道具」としか見ていなかったが、暫く苦楽を共にしている内に互いに確かな信頼感情(絆)が生まれていた。
そして終盤、操舵士シェリンダに致命傷を負わされた事で自身の死期を悟ると、ヒュウガにゼイハブの弱点を教えた上でゴウタウラスを解放。潜伏先に現れ、自身を包囲する賊兵ヤートットを道連れに自爆した。
デギウスと同様に「星を滅ぼされた身」とは言え、バルバンに入って悪事の片棒を散々担いで来た挙句、追放の原因となった姪の立場の為に仲間を陥れた行動まで取った点では彼にも非があるのは事実であり、それを棚上げ所か逆恨みまでしてヒュウガを復讐の道具扱いする身勝手さは許せた物では無かったが、最後の最後に善人として逝けたのは彼にとって唯一の救いだったのかも知れない。
余談
モチーフは樽と本と科学者で、名前の由来も本の英訳である「ブック(book)」とギリシャの哲学者ソクラテスから。
本がモチーフに含まれる証拠として、髪には本のページをパラパラと捲った時の様な意匠が見受けられる。
声を演じる茶風林氏は今作がスーパー戦隊シリーズ初出演となったが、その前年にも同じ東映の特撮作品『ビーロボカブタック』のレギュラーキャラのスパイドンの声を当てていた。作品こそ違えど、この短期間で2度特撮作品で声を演じてしかもレギュラーキャラと言う例は、当時としては珍しい。
そして12年後の『天装戦隊ゴセイジャー』ではブロブの膜インと言う一大敵組織を演じる事となり、こちらも同じく他人の心に付け込む卑劣な策を好む組織である点がイリエス魔人族と共通である。
関連タグ
クバル(ジュウオウジャー):18年後の敵幹部で、同じく故郷の星を滅ぼされた幹部繋がり。後半に入って復讐の為に動き出す点も共通だが、こちらは失敗するばかりか、死にたくない一心で仇に帰依する無様極まりない醜態を晒した。