デラーズ・フリート
でらーずふりーと
設立経緯
ア・バオア・クー戦の後、戦闘宙域を離れた部隊やグラナダに温存されていた戦力は秘匿宙域「カラマ・ポイント」に集結、ジオン残党軍としての方針を協議した。
集結した部隊の大半はアステロイドベルトの小惑星「アクシズ」へと向かったが、中には地球圏に残り連邦軍への抗戦継続を望む者もおり、そういった者達はギレン・ザビ親衛隊のエギーユ・デラーズ大佐の旗下へと参入。
組織の拡大・再編を終えた宇宙世紀0081年8月15日に活動を開始した。
組織の顛末
「星の屑」作戦は宇宙世紀0083年10月13日に発動。地球連邦軍によって極秘開発され、オーストラリアのトリントン基地に移送された核兵器搭載のモビルスーツ、ガンダム試作2号機をアナベル・ガトーが奪取した。追撃を振り切ったガトーと2号機は10月31日に茨の園へ帰還。11月10日にソロモン海域コンペイトウ湾内にて行われた地球連邦軍の観艦式を、その戦術核を用いて襲撃。集結していた艦隊に大打撃を与え、戦力を削ぐと共に、別の宙域で移送中だったコロニー公社管理のスペースコロニー2基を占拠。うち1基を月へ落下させると見せかけてコンペイトウから追撃に出た残存艦隊を月方面へ引き寄せたうえ、推進剤によりコロニーの進路を地球へ変更。燃料の切れた連邦艦隊の追撃をかわした。その後増援艦隊との戦闘等を経て11月13日0時34分、コロニーは地球へ落着した。
作戦自体は成功したものの、序盤から地球連邦軍の強襲揚陸艦アルビオンの追撃を受け続け、また終盤シーマ艦隊の裏切り等,作戦遂行中にトラブルが発生している。また、地球連邦軍に比べれば元々少ない戦力であり、核で大打撃を与えてもなお物量に勝る連邦軍に圧倒され、最終的にデラーズ・フリートは壊滅した。これら一連の騒乱は『デラーズ紛争』と称される事になったが、歴史上では無かった事にされ、コロニーの落下も「事故」で処理されている。
作戦の目的とその影響
一年戦争終結後の地球連邦政府がその権勢を安定させてきている事を懸念したデラーズ・フリートは、核兵器の運用を含めたガンダム開発計画の情報を得たことから、「星の屑」作戦を立案。
その目的はコロニー落としにより北米大陸の穀倉地帯に打撃を与え、宇宙への食糧依存度を高める事、それによって地球連邦に対するスペースノイドの発言権を強化し、ひいては宇宙へ連邦政府の目を向けさせる事であった。
しかしこの作戦は、成功させてもジャミトフ・ハイマンら連邦軍人タカ派の発言力を強化してしまう事になっており、更には後の歴史で連邦の中でも最大の汚点を残す事になる地球至上主義者を中心とした特殊部隊ティターンズの設立へと繋がってしまう事にもなっている。
30バンチ事件を始めとするティターンズのスペースノイドへの苛烈な弾圧を見ても、核による艦隊の殲滅やコロニー落しといった、都合の良い理想を求めるあまり行き過ぎた犠牲を伴った「星の屑作戦」は、むしろ地球連邦側に潜在し続けていたスペースノイドに対する敵対意識を爆発させてしまうだけになったと言わざるを得ないのかもしれない…。
余談
当初は主人公側である連邦の組織的腐敗が強調されて描かれていた事や、逆にデラーズ・フリート側は士気の高さや信念に殉じる「憂国の士」であるかの如き描写から、視聴者には判官贔屓とも言える形で絶賛され、好意的にとらえられていた(その結果、事実上の前日談とも言える機動戦士ガンダム_MS_IGLOOが企画されたとも言われている)。
しかし、現実の世界で狂信的な思想や私怨によるテロ事件が多発(海外で日本人も巻き込まれ犠牲者も出ている)し、国内でも地下鉄サリン事件の様なテロ事件の発生、更には相模原障害者施設殺傷事件や京都アニメーション第1スタジオ放火事件等といったテロ以上に悪質な無差別殺人までもが発生するようになった結果、テロリストの恐怖が身近になりつつある現在では、批判的な評価も多い。
そもそも、自分達だけに都合の良いの信念の為に、核兵器やコロニー落としで大量虐殺を行って周囲の迷惑を顧みず、しかもそれらの自分達の罪を棚上げして連邦の腐敗ばかりを非難するという卑劣極まりない考え方は、よくよく考えればテロ組織そのままである。
こういったこともあって、現在ではデラーズ・フリートの生きざまはガンダムファンからは賛否両論がある。
また、デラーズ・フリート同様に賛否両論の目立つガンダム系の組織として、ニューディサイズ(センチネル)や袖付き(ガンダムUC)、ホワイトファング(ガンダムW)、ザフト軍脱走兵(ガンダムSEEDDESTINY)等が挙げられ、いずれも無関係な人間を巻き込んだ挙句に大量虐殺に出ようとした者ばかりである。