CV:関俊彦(ドラマCD1〜3巻は堀川亮、4巻は三木眞一郎)
基本情報
ダーク・シュナイダー(D・S)の四天王の一人。
冷却系の呪文を得意とする魔法使いで「氷の至高王(ハイ=キング)」の異名を持つ。
自身最大の低温呪文は「絶対冷凍破(テスタメント)」。
「万民が幸福を享受できる理想郷(ソーサル=キングダム)」の建設を目指していた際に、カルに共感し厚い忠誠を誓った12人の魔戦将軍を従えている。
最も長く四天王の座についており、1988年の連載第1回から顔出し登場している最古参キャラクターの一人。
D・Sとは性格も「炎と氷」そのもので真逆なのだが、冷静で冗談が通じない生真面目さから、成人後は専らD・Sのストッパー役を務め、長年にわたり行動を共にしていた。
幼少時から師匠としても親友としても深い信頼関係にあったD・Sを「唯ひとりの友」として、依存性レベルで慕っており、自身の傍から姿を消したD・Sに「もう一度会いたい」という感情が、常に行動原理となっている。
現在は顔に大きな傷を負い盲目となっているが、逆に魔力は増大している。(ちなみに父親が父親である(後述)ため、魔力のキャパシティは元々凄まじい。)
「汎人類連合」を束ねる「エリヤ」(預言者)としての役割に目覚めたとラーズから称されており、かつて自身が犯した罪を償い世界を救うべく、またD・S帰還のために色々と暗躍を続けている。
最後の登場となる24巻時点ではアーシェス・ネイとともに行動中。
(以下続刊)
作中での動向
辺境の民の族長の孫として生まれたが、父親が強大な魔人(※)であったこと、その父親によく似た容姿をしていたことから、幼少時から一族を継ぐ資格のない「呪われた子」と迫害を受けていた。
ある時、上述の理由から母親を貶めた少年たちを、魔力が制御できぬまま殺害。「人間ではない」と恐れられた上、殺された少年たちの遺族と族長の逆鱗に触れたことで教会の地下の水牢に幽閉されることになる。
牢獄では、母親が会いに来てくれることだけを拠り所に生活していたが、カルの魔力を恐れるようになった母親は次第に精神を病み、カルを生んでしまった罪を贖おうと、これに乗じた祖父(カルにとっては曽祖父)である族長の言に乗り、息子を自らの手で殺害するに至る。
自分を受け入れてくれる唯一の存在であった母親に、頭部を宝剣「アイス・ファルシオン」で切り込まれたカルは、絶望から魔力を暴走させ、逆に母親を殺してしまう。この過去がトラウマとなり、弱点として破壊神アンスラサクスにつけこまれ、心を操られることとなった。また、このトラウマから女嫌いにもなってしまう。
(※)その正体は、本編ではほのめかし程度で終わっているが、同人誌等でお察しの通りだと明言されている。ちなみに彼が母親とどのように出会ったか、なぜ母親を1人にしてしまったのか、カルが実子だと気づいているかは未だ不明。
母親の殺害後、ネイ曰く「何も見てないまっくらな目」で彷徨っていた時にダーク・シュナイダーと出会い、自分は誰にも必要とされない者だと告げたところ、D・Sに「じゃあ今日からオレのモノになれ」と拾われることとなった。
その後長年にわたりアーシェス・ネイと3人で、擬似家族のように暮らしていた。
だがD・Sは家を空けることが多かったため、幼少時は2人きりで帰りを待つ時間のほうが長かったようだ。
ネイとはほぼ「兄妹」と言える関係ではあるが、D・Sが常にカルに対し全幅の信頼を置いていたため、ネイからはある種の嫉妬を受け、そういう意味では根本では好かれてはいなかった。
しかし現在のネイは、カルに対する家族意識(あるいは同族意識)のほうが強くなってきたのか、不安定に陥りがちなカルの精神状態のフォローを行ったり、文句を言いながらも助けたりしている。
序盤のラスボスとして、破壊神に心を操られながらもD・Sとは大決戦を繰り広げたが、母親が自分を殺そうとした宝剣「アイス・ファルシオン」でD・Sにとどめを刺そうとした瞬間、D・Sが刃を受け入れるべく目を閉じたのを見て、逆にD・Sを守るべく自分の胸を貫き、破壊神の精神支配から解き放たれた。
しかし自分が破壊神を蘇らせたことで、その後の天使の介入を許すことになってしまったため「全人類に対する自分の罪は、死んだくらいでは贖えない」と自責しており、上述の「エリヤ」としての覚醒や行動に繋がっていく。
その他
父親の不在による「自分は誰からも必要とされない存在である」という自己否定や「許されるはずがない」と認識していた過去の罪悪感を、彼にとっての父性の象徴であるダーク・シュナイダーが「お前が必要だ」「俺が許してやる」と受け入れることで救済された、ある意味作中最も報われた人物である。
母親のトラウマから解放される様子も、作中できちんと描かれている。
ちなみ破壊神に心を操られていた際は、部下の魔戦将軍たちにも結構酷いことをしているのだが、「カル様は別人のように変わってしまわれた…」とか言いつつも、みんな忠誠を捨てることなくカルに従い続け、カルが破壊神の元から帰還した際は、全員男泣き状態で喜んでいた。
実際問題、部下たち全員からも許されているし、すごく必要とされている。
ついでに汎人類連合を束ねようと頑張っている現在も、中央メタリオン4王家の支配権は引き続き掌握しているし、交渉で困るとラーズが仲裁に入って助けてくれるし、新キャラのエルフの皇女からも信頼を得ている様子だし、自暴自棄になると上述のようにネイが(間接的にD・Sも)励ましてもくれる。
魔戦将軍たちも変わらず従っているし、カル本人が苦しんでいる罪悪感は置いといて、色んな意味でやっぱり、作中最も報われ続けている人物である。