概要
アメリカのアニメ、『キャディラックス&ダイナソーズ』をゲーム化したもの。
ジャック、ハンナたちキャディラックスのメンバーが、恐竜ハンターや究極生命体を作ろうとするフェッセンデン博士相手に戦うというゲーム。
パンチやキックで暴走する恐竜をおとなしくさせたり、キャディラック号に乗り込み、たむろする恐竜ハンターたちを蹴散らしたり、コミカルな演出が売りであるが、その反面、難易度はかなり難しく、ステージ後半では回復アイテムが少なかったり、やたら強い上に中盤のステージでは従兄弟が中型キャラとして出てくるヴァイス(1面ボス)や、倒しても2段変身してくるモーガン(5面ボス)など凶悪なボスが多く、人を選ぶゲームとなっている。
ゲーム中のBGMは良質であり、特に3面後半と7面エレベーターでの戦闘で流れる「疾風のごとく」は評価が高い。
先にリリースされた『天地を喰らうⅡ赤壁の戦い』や、同じ時期にリリースされた『パニッシャー』の方が遊びやすく、結果的に埋もれた良作の扱いを受けている。
なお、手榴弾やバズーカでザコ敵を倒すと木っ端微塵に爆散する。天地を喰らうⅡと一緒。
原作紹介
原作はアメコミの『ゼノゾイック・テールズ』(作:マーク・シュルツ)をアニメ化した『キャディラックス&ダイナソーズ』(1993年・米国CBS放送)。
人類と恐竜が共存する26世紀の未来を舞台に、ジャックとハンナが万能スーパーカー【キャディラック号】に乗り込み、さまざまな事件を解決する冒険アニメである。
アメリカではメジャーな作品であるが、日本では放映されていないので認知度は低い。カプコンのゲームで『キャディラックス』を知った方は少なくなかった。
一方アメリカではヒットし、その後もこの作品のゲーム化がメジャーになったとのこと。
物語
26世紀前半、地球に恐竜と人類が共に住み始めて約100年が過ぎた時代。恐竜ハンターによる密猟が自然を食い物にし、街を荒らしまわっていた。
凶暴にされた恐竜による殺戮、破壊、そして・・・・。
恐竜ハンターからの密猟を阻止するために、4人の勇者が集まっていた。
彼らは、一歩一歩恐竜ハンターの足跡をたどりながら、真実に迫っていく。そして明かされる、恐竜ハンターたちの秘密とは?
全てのストーリーは、あなたのプレイで息吹き始める。
【出典:キャディラックス パンフレット(カプコン)】
登場人物
プレイヤーキャラ
●ジャック・テンレック
キャディラックスのリーダーでキャディラック号のメインドライバー。
一つのことに対して、アツくなる位に行動していく。
バランスが取れたキャラクター・・・というのがウリのハズだが、このゲームのメインウェポンともいえるダッシュ攻撃が彼の場合スライディングな為、二発クリーンヒットすることが稀で一番使いづらい。
●ハンナ・ダンディー
本作のヒロインで、沈着冷静な天才科学者。ジャックの相棒。
武器の扱いが得意(銃器の使用回数が若干増える、ナイフ攻撃が素早い)で、ジャンプ力が最も高い。攻撃力がいまいちなのとダッシュ攻撃が割と潰されやすいのが難点。
●ムスタファ・カイロ
ジャックの友人で、キャディラック号のメンテナンスを行うメカニックマン。
キャディラックスのメンバーではムードメーカー的な存在。
スピードが高い上にダッシュ攻撃のドロップキックが二発クリーンヒットしやすくリーチが長いので潰されにくいため、一番使いやすくワンコインクリアが最もしやすいキャラクター。
●メス・オブラドビッチ
キャディラックスのメンバーの1人。普段はおとなしいが、恐竜ハンターの行動が彼の感情を逆なでしたとき、怒りが爆発する。
パワーが高く投げがボディスラムなので雑魚相手だと投げハメしやすい。移動力そのものは遅いがこの手のキャラにしては攻撃スピードは十分にあり、ダッシュやジャンプである程度移動は補えるので上記のムスタファほどではないが使いやすい部類に入る。
敵キャラクター
※ボスキャラのみ記載。ザコキャラは外部リンク参照。
●ヴァイス
1面ボス。恐竜ハンター達の親分的な存在で、人使いが荒い。頭は悪いが怪力で、意外と俊敏力がある。コルトという義兄弟がいる。
●アトミック
2面ボス。恐竜の森で恐竜達の密猟を繰り返し、惨殺していた。性格は残酷かつ凶暴。2振りの刺身包丁で斬りつける。この他にも、ジャンプしてヒップアタックをしてくるなど、パワーのある攻撃を得意としている。
●ガスパー
3面ボス。ジャック達のアジトを潰そうとバイクを走らせていた(実は囮)。海外版では名前が異なる。
●スライス
4面ボス。ジャック達のガレージを占領しており、恐るべき素早さと身軽さで残像を出しながら高速移動しつつ、手持ちのブーメランで斬り付けてきたり、投げたりしてくる。
●モーガン
5面ボス。村に火を放ったり、秘密を話そうとした村長をためらいなく撃ち殺すなど、極めて残忍。身長に関してのコンプレックスを持っている。倒しても、恐竜形態のモルギーに変身し、再びプレイヤーに襲ってくる。
●タイログ
6面ボス。フェッセンデン博士が作り出した寄生体生物。人に取り付き、怪物に変化することが出来る。終盤のステージではザコ敵に紛れて登場。
●スライサウルス
7面ボス。ジャック達に敗北したスライスがフェッセンデン博士にそそのかされ、強化改造された姿。複数で登場しており(プレイ人数によって異なる。基本的にプレイヤーの数+1)、このゲームで最大の難所である。
●フェッセンデン博士
最終ボス。密猟者を使って恐竜を集め、恐竜と人間を組み合わせた最強の生物を作ろうとしている狂気の科学者。2段変身持ちで、一度倒されると、さらに凶悪な怪獣の姿に変身する。
移植に関して
2018年にパワードギアとバトルサーキットが『カプコンベルトアクションコレクション』に収録され、続いて2019年にエイリアンVSプレデターが『Capcom Home Arcade』に収録された。
この3作の移植に伴い、カプコン製のベルトスクロールアクションでコンシューマハードに移植されていないのは、遂に本作を残すのみになった(パニッシャーは海外でのみメガドライブへ移植済み)。
しかし、本作はエイリアンVSプレデター以上に版権が複雑過ぎる事もあり、コンシューマハードへの移植は極めて困難であると言える。
本作の場合、アニメ版と原作コミックス版両方の権利が絡んでいるのに加え、アニメ版のタイトルにもなっている本作の海外版のタイトル「cadillacs & dinosaurs」自体、原作再販時に当時の版元が着けたタイトルである為、権利関係で使用不可能である。
また、劇中に登場するキャディラックも実在する同名の車体がモチーフである為、ゼネラル・モータースの権利も絡んでいる(AC版のタイトル画面にも著作権表記の中にゼネラルモータースの名が表示されている)。
つまり、本作を移植するには、マーク・シュルツ氏(原作者)、アニメ版の制作会社、原作再版時の版元、ゼネラル・モータース、四者全てから許諾を得る必要がある。
しかし、同じく版権の複雑さから今まで移植が実現しなかったエイリアンVSプレデターの移植が20年以上の歳月を経て初めて実現した為、本作の移植の可能性も僅かながらに出てきたと言える。
今後のカプコンの動きに注目したい所である。
(こちらに関しては版権関係をクリアすればプレイ可能になるであろう案件なので、まだよい方と言えるかもしれない。中には行き過ぎたパロディーなどで移植不可能な銀河任侠伝や様々な脱衣麻雀ゲームもある)
ちなみにカプコン以外にはセガがSEGA-CD(北米版メガCD)とMS-DOSで「Cadillacs and Dinosaurs:The Second Cataclysm」という3Dシューティングゲームを出している。