代表作は1988年より連載中(未完)のファンタジー『BASTARD!!-暗黒の破壊神-』。
漫画の連載は「BASTARD!!」のみに専念し続けているのだが、連載開始から30年近く経過した現在も延々風呂敷を広げ続けており、まったく完結のメドが立たないため、「BASTARD!!」1本が完全なライフワークとなってしまった。
画力の高い作家として有名で、かの冨樫義博に「絵では絶対に敵わない」と言わしめるほどであった(同人誌『よしリンでポン!』で述懐)。
完結への男坂
連載初期は「自分の初めての連載作品だから必ず完結させる」と宣言していたが、現在は休載が当たり前になり過ぎて、続きのコミックスが出るのは何年後?という感じになっており、完結を信じているファンは少数派になっている。
ちなみに当初の予定通りならば、1993年の時点で「BASTARD!!」はとっくに最終章に突入していたそうだが、諸々の大人の事情から、構想通りに進行させることはできなかった。
休載については「何も知らない連中がネットでグダグダ言ってるが、漫画が載らないのはワケがあるに決まってんじゃねえか」と、2000年に発行した同人誌の巻末で、当時の編集者や読者に対する不満をぶちまけており、「腹をくくって編集者とケンカができない自分は弱虫」であるとしている。
2000年代は、過去に描いたエロシーンを補強した18禁同人誌を出したり、大規模な修正や加筆を施した「完全版」や「文庫版」などを出版しているが「過去に描いたものを手直しするより、連載のほうを早く進めて、とにかく本編を完結させて欲しい」というのが、偽らざるファンの本音であった。
連載は2010年のウルトラジャンプ掲載を最後に途絶えている。
完結への構想
2014年10月の段階では「ベニー松山さんのノベライズみたいに、色々な人にスピンオフを書いてもらって、バスタの世界を広げて欲しいと思ってるんですよ」と古橋秀之に対して夢を語っており、自身は「ZERO」という「四天王が全員女で、13人のヒロインとキャッキャなラノベ展開ありで」な本編の前日譚3部作を描いているとのことである。
「BASTARD!!」本編については、「残りの寿命と塩梅取りながら描いていこうと思ってます」とのことである。
2017年の同人誌「桑」では、五十肩、円錐角膜、老眼、糖尿病により眠りが浅くなったことなど健康面での不満を打ち明けており、「今はラノベを書いて挿絵や設定画像などを入れた本を作ろうと奮闘中。『BASTARD!!』も、この形でなら描き続けられそうだなと思います。」としている。
2019年に出版した画集「裸3」では、数ヶ月かけて1000冊以上もの本にイラスト入りのサインを描いたが、その時には描き慣れているはずのダーク・シュナイダーとティア・ノート・ヨーコの顔のみのラフ画ですら「1日に30冊が限界」と漏らしている。
作風の変化
『BASTARD!!』初期には師匠であるまつもと泉、罪と罰編では同人誌「ワンダフリャメガデス」に寄稿してもらったこともあるCLAMPなどから影響を受けたと言われている。非常に影響を受けやすいのか、デザインなどそのまま持ってくることがよくある(『BASTARD!!』のサタンのデザインはhideのアルバム『HIDE YOUR FACE』のジャケットなどが有名)。
萩原一至自身の絵柄として定着したのは「背徳の掟編」あたりからだろう。
2000年頃から、いち早く作画にパソコンを取り入れている。デジタル作業によって、書き込み量は増えた物の、絵柄の変化などもあって絵のクオリティが上がったかどうかは、一概には断じがたい。
基本的に90年代の絵柄に単純に足し算をしただけとも言え、その時々の流行の絵柄と比較するのはもはや酷という時代遅れな部分も見られる。
特に女性キャラは際限ない巨乳化が進み、唇が厚くなったため、好みが分かれるところである。
またデータ原稿は無限に修正できてしまうので、作業が遅延する原因となっているのではと懸念する声もある。「背徳の掟編」当時には、予期せぬ再起動に苦しめられたとも語っていた。
遅筆
萩原自身は「書くことが決まっていれば、話も絵もすぐ書けるが、答えの見つからないところに入り込むと凄く時間がかかる。このページを半日かけて書き上げることは出来るが、ここを描くと戻れなくなる。ネームを改変するにも時間がかかり、正解を模索しながら描いている」と語っている。また「お題をいただけたらすぐに描ける」らしく、ノベライズ『黒い虹』を担当したベニー松山は、挿絵が上がってきたスピードの早さに驚き、「萩原さんって、実は筆が早いんです。」と語っている。
これを鵜呑みにすると、作画そのものに時間がかかっている訳ではなく、実はその前の構成作業に苦戦しているようである。