風呂敷
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ふろしき
物を包むための布。他国にも似たものはあるが、日本の風呂敷は独自性が強い。
風呂敷は荷物を包むのに用いられる正方形またはそれに近い形の布である。大きさは多種多様であり、一丈(3メートル)四方のものもある一方で、一尺四方しかないものもある。なお、小さい風呂敷のことをとくに「袱紗(ふくさ)」とも呼ぶ。
風呂敷のように物を包むのに布が使われるようになったのは、日本では遅くとも奈良時代と言われる。当時は経典など貴重品を包むのにのみ使われていた。
平安時代後期からは、入浴時(当時は身も心も清めるという宗教的意義を孕んでいた)に脱いだ服を包むのに大判の布が使われるようになり、やがて服を脱ぐときの敷物としても使われるようになっていった。
江戸時代に銭湯ができると、庶民の間でも脱いだ服を包むのに布を使用するようになる。ここへきて初めて「風呂敷」という言葉が定着したとされる。
その後品物や荷物を包むのに汎用された風呂敷であったが、紙袋やビニール袋の普及に伴い利用は減少している。
とはいえ、結び方によってさまざまなデザインを演出できる風呂敷は、やはり重宝するものである。
風呂敷いろいろ
- 日本の漫画ではよく泥棒が唐草模様の風呂敷を背負っているが、これは明治~大正期に唐草模様の風呂敷が大量生産され、ほとんどの家に一枚や二枚は必ずあったこととかかわりがあるという。泥棒が盗品を包むのにその家にある風呂敷を利用していたということである。もともと唐草模様は縁起が良くお洒落なデザインと見做されていたため、風呂敷のデザインとしても好まれたものであった。
- 風呂敷の端を結ぶときは「縦結び」ではなく「本結び」にすべきである。そうしないとほどけてしまう。
- 検察官は書類や証拠品を持ち出すのに風呂敷を使っている。どんな物でもきっちり収納でき、提出後は身軽になるためである。
- ありそうもないほら話や実現が難しい壮大な計画を繰り広げることを「大風呂敷を広げる」という。それが創作にも転用され、話を収拾不可能なほどに壮大に展開させることも指すようになった。さらにここから話を何とかまとめることを「大風呂敷を畳む」(その逆に話をまとめることができなかった場合を「広げた風呂敷が畳めない」)と言うようになった。
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