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WRCの編集履歴

2020-08-04 18:29:13 バージョン

WRC

わーるどらりーちゃんぴおんしっぷ

FIA 世界ラリー選手権(FIA World Rally Championship,略称:WRC)は、市販車をベースに改造した競技用車両を使って、一般公道を閉鎖してつくられたコースまたは特設コース、閉鎖されない一般公道を使って行われるレース。1973年初開催。

概要

ラリーは公道を封鎖してタイムアタックを行って総合タイムを競う競技で、WRCはその最高峰である。国際自動車連盟(FIA)が主催し、欧州を中心に世界各国で年間13戦程度のレースを開催する。

ラリーは公道で行うという性質上、車両はレース専用の車(いわゆるワンオフ)ではなく、市販車両を改造したものを用いる。

またドライバーだけでなく、道順を読み上げるコ・ドライバー(ナビゲーター)の2名が車に乗り込む点も他の競技とは異なる。


サーキットのように整備されていない公道を使用するため、舗装路、未舗装路、積雪路、凍結路、夜道など路面状況問わず競技が行われる。夜間ラリーで無灯火状態になったり、雪がフロントガラスに被さる等のアクシデントにより無視界状態となっても棄権せず、ナビゲーターの指示だけを頼りにそのまま走行を続けることもある事から、「F1ドライバーは頭のネジが飛んでいるが、WRCドライバーは元々頭のネジが無い」という言葉があるほどクレイジーな競技である。


ホンダしか勝ったことのないF1とは対照的に日本メーカーが数多くの成功を収めており、トヨタ、スバル、三菱が年間チャンピオンを獲得しているほか、日産とマツダもイベントでの総合優勝、スズキは下位クラス(ジュニアWRC)チャンピオンの記録を持っている。ただし日本での開催は2019年末現在までで僅か6回と少ないため、人気ではF1に譲る。

2020年現在はトヨタだけがワークス参戦している。


公道バトル系の漫画・アニメではWRCは強いドライバーやマシンの代名詞で、特にランエボインプがその代表選手として猛威を振るうのがお決まりのパターンである。


競技の流れ

競技自体は通常金曜日から日曜日までの3日間で行われるが、その前の水曜日にはレッキと呼ばれる下見走行、木曜日にはシェイクダウン(車両のテスト走行)と呼ばれる準備走行がそれぞれ存在する。


レース中の一日を細かく分けるとSS(スペシャルステージ)とTC(タイムコントロール)、そしてリエゾン(移動区間)に分けられる。

一斉にスタートするサーキットレースとは異なり、1台ずつタイムアタックを行う。


リエゾンでは勝負をする必要がなく、現地の交通法規に則り一般車両に混じって安全に走行する必要がある。この点は主催者から示されるコマ図に従って走行するという、ラリー競技当初の姿が現在も残っているといえる。

この区間での交通事故や道間違いなどのトラブルで、ガス欠や法律上走れなくなって棄権したり、ドライバーが交通違反をしてナビゲーターがハンドルを握るという事態もしばし発生する

(このためコ・ドライバーも、ドライバーと同等の競技ライセンスが必要である)。

また有料道路はその国の通貨でお金を払って通過しなければならない。


TCに入る時間は各々指定されているが、これは交通渋滞などで遅くなった、もしくは早く着いてしまったなどのリエゾンで生じた誤差を正すのが目的で、遅くても早くてもペナルティ(SSでのタイム加算)が発生する。


SSのスタート地点はTC内に設置されている。この区画は一般公道を閉鎖して作られたタイムトライアル区間であり、この区間で勝負が行われる。

SSは一つにつき3km~50kmと距離にバラつきがあるが、3日間のSSの総合計距離は400kmにもなる。これにリエゾンも含めれば相当な距離を走ることになる。

また一般公道を閉鎖して使用するSSとは異なり、人工的に作られたサーキットコースのような特設会場で、観客がスタートからゴールまでを見ることができるスーパーSS(SSS)も存在し、競技の開幕とラストに設定されることが多い。

 

金・土曜日の最後のSSが終了したら再びTCに入り、リエゾンを通過してサービスパークと呼ばれる本部に戻り、チームメカニックによる修復を受ける。ただし作業には制限時間があり、時間を超過した時や、SSを欠場してマシンの修復を行う場合などもペナルティとしてタイムが加算される(以前はレース中だとどこでも車両は修理可能であった)。

日中のリエゾンでの故障はドライバー/コ・ドライバーの手で修復できれば問題ないが、それでSSに遅刻するようなことがあればやはりペナルティとなる。


最終SSは"パワーステージ"と称され、総合とは別に、この1SSの順位にボーナスポイントが与えられる。


観客

サーキットで行われる競技とは異なり、観戦者はコースを間近で見る事ができ、熱心なファンは足繁く絶好の観戦ポイントに出向くことが可能であるが、車両がコースオフし客席に飛び込む恐れもあるために観戦には危険も伴う。

観客達が大きくコースオフした車両をコースに戻したりすることも多々あるが、本来ドライバー/コ・ドライバー以外の人間が競技車両に触れることはルール違反なためペナルティを受けるべきなのだが、「妖精さんが助けてくれた」(?)からOKという風潮があり、近年ペナルティを受けることは少ない。


逆に悪質な観客が競技の妨害を行うこともあり、たとえば雪道のラリーでは観客が嫌いなチームの競技車両に雪などを投げつける事もある。


また広大で公式のヘリやカメラマンたちでは追いきれないステージでは、観客がプロに代わって「カメラマン」として活躍することもある。


クラス

WRCのクラス分けは長い歴史の中で何度か再編を繰り返している。下記は2020年現在のものである。

WRC

 WRCの頂点に位置するクラス。使用車両である『WRカー』はベース車両からの大幅な改造が認められている。エンジンにはグループB時代のハイパワー競争とそれに伴う悲劇を教訓とし、吸入口径制限により最大出力は抑えられているものの、最大トルクでは技術の進歩によりグループB時代を遥かに超えたモンスターマシンである。またパドルシフトも現在のWRカーでは標準的な装備となっている。


1997年までは市販車に近いグループA・クラス8規定が適用されたが、戦闘力の高い4WDの市販車を量産することはメーカーにとって負担が大きかったため、1998年から大衆車を魔改造できる『WRカー』規定に移行した。


WRカー規定は一時多数のメーカーを集めたもののコストの増大を招いたため、2011年に下位クラスの『スーパー2000』規定を基にコストを抑え、1,600ccターボを採用する『S2000+』へと移行。これも一時はメーカー数を増やすことに成功するものの、地味だったためファンからの人気低下が懸念された。そこで2017年からは派手なウィングを装着し、馬力も30上げて「現代のグループB」と形容されるような迫力あるマシンとなっている。


2020年からはトヨタ、Mスポーツ・フォードヒュンダイがマニュファクチャラーとして参戦する。


WRC2

WRCの直下カテゴリ。プライベーターに販売することを前提に開発されたラリー2(旧称グループR5)で争われる。


シュコダ、フォード、シトロエン、ヒュンダイなどがワークス参戦して育成プログラムを展開。また近年はトヨタ育成の勝田貴元、新井大輝もスポット参戦している。


WRC3

ラリー2車両のプライベーター部門。しかし明らかにセミワークスと思われるチームも普通に参加している。WRC2との違いは、チーム部門が存在しないことくらいである。


JWRC

WRCの育成カテゴリ。28歳以上のドライバーは出場できない。FIAが指定する、グループRの二輪駆動車1車種のみが参戦できる。


使用車両の歴史と変遷

この項目では使用された車両の形式に関して簡単に解説する。詳細はWikipediaを参照のこと。

WRC草創期からグループB時代(1973年 - 1986年)

創設から1980年代初頭までは、グループ2とグループ4という規定で競技が行われていた。 各メーカーは、市販車を強化した特別仕様車を販売し、その車両をベースに競技用車両を開発していた。グループ4の市販車の生産義務台数が「連続する24ヶ月間に400台」と少ないことを利用し、ランチアラリーのためだけに開発したスペシャルモデル、ランチア・ストラトスは例外的存在である。


当時のラリーカーはほとんどが2WD・自然吸気エンジンであったが、1981年に4WDとターボエンジンを採用したアウディ・クワトロが登場してWRCを席巻し、その後のラリーカーの方向性を決定づけた。


1983年に有名なグループB規定が登場。これは連続した12ヶ月間に20台の競技用車両を含む200台を生産すればよいというもので、名目上は「より幅広いメーカーの参戦を促す」ものだったが、実際はより高性能なラリー専用車の製作が可能となった。これにより平均性能は劇的に向上したが、安全装備やドライバーの技術がその進化に追いつかず、多くの事故と犠牲者を生み出すこととなり、廃止へと追い込まれた。


グループA時代(1987年 - 2001年)

 1987年に世界選手権はグループA規定に移行。ベース車両は継続した12ヶ月間に5,000台(1993年から2,500台)以上の生産を義務づけられたほか、さまざまな改造規制が加えられ、ラリー車は市販車に近いものとなった。しかしマシンの能力は落ちるどころか、年を追うごとに上がっていき、3年後にはグループBのマシンを凌駕する速さを身につけることとなる。

WRCで勝利するためにはフルタイム4WDと2,000ccのターボエンジンはもはや必須の装備であったが、そのような高性能なスポーツ車両を市販車として量産して採算を取れるメーカーは少なく、参戦メーカー数は一気に減少。ランチアはいち早く小型車デルタをベースにラリー車を製作してグループAに対応し、グループA時代を牽引していくことになる。

しかし、そのランチアに対し真っ向から勝負を挑んだのが日本車勢である。日本の自動車市場は4WDスポーツ車が順調に売れる世界的に見て珍しい市場であり、日本車メーカーはこぞって高性能な4WDスポーツ車を販売し、1990年代中盤には、それまでWRCの中心を担ってきた欧州車メーカーに代わり、トヨタをはじめ、スバル三菱日産マツダといったメーカーがWRCを席巻した。

WRカー時代(1997年 - 2010年)

欧州車メーカーがいなくなったことへの不満から、大衆車を大幅に改造する"WRカー"が誕生。これにより、グループAの規定に参戦を妨げられていた欧州車メーカーが相次いでWRCに参戦し、メーカー数が増加してラリーは一時的に活況を呈することとなる。

しかしながら、世界的不況の影響による自動車会社の経営不振、度重なる仕様変更、WRカーの開発費用および車両価格の高騰、またレース自体のイベント数の増加による負担増などの諸要因により徐々に撤退するメーカーが増え、2009年の時点でメーカー単位で正式に参戦しているのはシトロエンフォードの2社のみとなってしまった。

S2000 WRC時代(2011年 - )

グループA車両をベースにしたWRカーは高コストであるため、新規ワークスの参入はほぼ絶望的であった。そこで長い紆余曲折を経て、ボディ補強など最低限の改造のみで競技車両を製作するという低コスト路線のスーパー2000規定をベースに、1.6Lターボ+4WDで武装する新たなWRカー規定が誕生した(S2000WRC+)。


2017年には規制が緩和され、グループB時代を彷彿とさせるような派手な外観のWRカーが見られるようになった。


テレビ放送

ヨーロッパ圏内において絶大な人気を誇るこのカーレースはテレビ放送も盛んに行われている。また、FIAとしてもテレビ放送から得られる収入は無視できないものとなり、スーパーSSなどテレビ放送向けにイベントを組んでいる。

ラジオ放送(競馬じゃないんだから)も行われており、日本でもインターネット経由で聞くことが出来る。日本においては2009年にはJ SPORTS(CS放送局)が全クラス完全放送を行っており、いくつかのラウンドでスーパーSSのライブ中継を放送している。


また、BS放送局であるBS日テレでもダイジェストで放送していたが、スバルのWRC撤

退によるスポンサー撤退により2008年12月25日で放送を終了。しかし2019年4月から放送を再開している。

地上波ではテレビ東京系列でダイジェスト放送が行われたことがあるが、2006年のラリージャパンに関しては、テレビ東京系列局がない地域の日本テレビ系列局(ほか)でも放送された。

その他のテレビ局に関しては日本におけるこのスポーツの人気上報道は消極的であり、それは日本で開催されたラリージャパンも例外でなく、2004年の初開催以降、ラリージャパン開催時期でも地上波テレビ局ではニュース番組でも殆ど触れられることはなく、過去にWRCの放送経験があるテレビ東京系列の他は日本テレビ系列やNHKで多少触れられた程度である。

その後トヨタが再参戦を果たした2017年と、その翌年の2018年には、テレビ朝日名古屋テレビで、「地球の走り方 世界ラリー応援宣言」という紹介番組が放送されていた。なお、件の番組はTVerを通じて関東地方と東海3県以外の地域でも視聴することが出来た。さらにはラリーをテーマとした映画「OVERDRIVE」に絡んだ、この番組の番外編的番組が、2018年5月下旬から6月上旬にかけて逐次テレビ朝系列(24)局ばかりかTBS系列局約3局、日本テレビ系列局約2局、フジテレビ系列局約3局でも放送されている。


参加するには

もしあなたがWRCで勝ちたいなら、それなりの支援と育成をメーカーから受ける必要があるが、"参加するだけ"ならば個人レベルでも簡単にできるのが、この世界選手権の魅力の一つである。

競技ライセンス=国際C級レース除外を取得して規定に合致した車両(地域選手権のものでも可)を用意し、抽選に通れば出場することが可能となる。


pixiv

 このタグはこのモータースポーツに参戦した自動車ドライバーイラストなどに使用されている。


関連項目

自動車 ラリー レース


参考

Wikipedia世界ラリー選手権

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