「ビッグオー、ショータイム!」
概要
主人公ロジャー・スミスが所持する腕時計型の通信機への掛け声によって、地下から召喚される巨大ロボット。
素性を知らない周囲の人々からは「黒いメガデウス」と呼ばれている。
ちなみに移送は、「プレーリードッグ」という専用のキャリアーを使い、運んでいる模様。
起動時に「CAST IN THE NAME OF GOD, YE NOT GUILTY. (我、神の名においてこれを鋳造する。汝ら罪なし)」という言葉がモニターに表示され、全長30メートル程の体躯の中には多様な武器が搭載されている。サイズと外見に見合った重量・パワーは凄まじく、機動力を除けば非常に高い戦闘能力を誇る。装甲も頑強だが、前腕部分の盾状になっている部分は特に強固であり、実際に敵の攻撃を防ぐ盾として使われる。
しかし、いつ誰によって何のために作られたのかがまったく不明の謎の存在であり、主であるロジャーや整備をするノーマンでさえ知らない未知の機能も多数存在する。そもそも、どういういきさつで彼がビッグオーを手に入れたのかさえもよくわかっていない。
多くの謎に包まれながら、その黒い巨躯はパラダイムシティを跋扈し、ロジャーとともに巨悪に立ち向かう。
武装
- モビーディック・アンカー
腰に複数搭載された鎖付きのロケットアンカー。様々な応用が利く汎用装備で、攻撃から敵ロボットの拘束、姿勢制御など、様々な局面で利用された。ロケット射出式のため射程距離が長く、射出後もある程度の軌道修正が可能。鎖は一本だけでもビッグオーの巨体と重量を支えきれるほど頑丈で胴体側の巻き取り機構も一本の状態で十分敵機または自機を移動させる事が可能。
- キャノン・パーティー
胸部に内蔵されたキャノン砲群。連射力に優れている。ミサイルパーティーとセットで使われることが多い。
- ミサイル・パーティー
腹部に内蔵された多連装ミサイルランチャー。普段は腹部の発射サイロ全てを展開するが左右ワンセットのみの展開も可能で時限装置付きなど特殊な弾頭を搭載したミサイルも使用可能。
- アーク・ライン
目から照射される白いレーザー。他のザ・ビッグにも搭載されており、このシリーズには標準搭載の武装と思われる。
- クロム・バスター
頭部のクリスタル部分から照射される赤いレーザー。アークラインよりも範囲・威力が高い。
使用の際にポーズを取ったり取らなかったり姿勢が安定してない。
- サドン・インパクト
ビッグオーの代名詞とも言える必殺武器。肘の「ストライク・パイル」を伸張し吸引圧縮された空気をパンチと共に急速に打ち出し、衝撃波を叩き付ける。『パイルバンカー・パンチ』とも言うべき機構。その威力はメガデウスの頑強な装甲をも貫通してしまうほど凄まじく、衝撃波のみを飛ばして遠くの標的を攻撃すると言った応用も可能。水中では空気の代わりに水を吸引し圧縮するので水中でも威力は変わらず、更に衝撃波を推進力にして急速浮上にも使われる。何かと便利。圧縮空気をゆっくり打ち出す事で安全に元の状態に戻す事が可能。
コミック版では強化型アームによる「三重サドンインパクト」という大技も使用している。
- O・サンダー
両前腕に砲身が内蔵された機関砲…もとい必殺武器。使用時には前腕の装甲をシールドユニットを上にして上下に割り内部の機関砲ユニットを露出させ回転させて使用する(この際、専用トリガーが操縦桿の代わりに展開される)。機関砲と言っても発射するのは光弾であり、その威力も同じザ・ビッグにあたるビッグデュオ・インフェルノのボディを貫通してもなお、威力を失わず後方の建造物を巻き込んで破壊してしまうほどで、サドン・インパクトを上回る。なお普段は手を小さく引っ込めて砲身ユニットの回転と逆方向に回転させるのだが、手を出したまま相手を鷲掴みにした状態でも使用している。
- プラズマ・ギミック
両腕と上半身の装甲を展開してバリアーを展開した後、機体を中心に高出力のプラズマを放出して広範囲の敵を殲滅する。操作が他の武装と比べてやや特殊で、フットペダルの少し先に1番目のスイッチがあり、押すと発動用のスイッチが改めて足元に現れる仕組みになっている。ロジャー自身はこの機能を覚えていなかったのか、偶然脳裏によぎった過去のメモリーを頼りにスイッチを踏んでいた。その思い出もあまり良いものではなかったらしく、多くの味方が倒れている中で最後の手段として使っていた様だった。
- ビッグオー・ファイナルステージ
パイロットであるロジャー・スミスでさえ、最終話までその存在に気付かなかった(気付いたのはよりにもよってメモリーを取り戻したベックである)、ビッグオーの隠された究極兵器。ビッグオーそのものが巨大な砲台に変形、これまでのどの武装をも遥かに上回る究極の一撃を放つ。全てのモビーディック・アンカーを用いて姿勢制御を行わなければならないほど反動が凄まじく、発射後は砲身がパージされ使い物にならなくなる。一見すると完全な無防備状態にも見えるが、発射態勢中はプラズマ・ギミックによるバリアーで守られており、ビッグファウ・キャノンの直撃を完全に防ぎきるだけの防御機能はある模様。
演出を見る限り、
1.モビーディック・アンカーを地面に放ち姿勢固定(この時専用トリガーが展開される)。
2.プラズマ・ギミックを展開。
3.胸部が開き、砲身を展開。発射態勢に移る(『その砲身何処に仕舞ってたんだ!?』と言える程のデカさだが、気にしないように)。
4.専用のトリガーにより発射。
という手順を踏んでいる。
コミック版オリジナル
マガジンZの有賀ヒトシコミック版では、メカニックデザイン担当の中井氏協力のもとに、独自の装備と必殺技が登場している。
- オプションアーム
ビッグオーの機能を拡張するための換装腕部。肩関節から丸ごと付け替える。
空中に雷雲発生用のポッドを打ち上げ、肩のアンテナから落雷を集中させて撃ち放つ両腕「オプションアームSA」、地中用の掘削ドリルが付いた「オプションアームDR」、コミック版最終回で使用されたサドンインパクト用のシリンダーを三本に増設した「強化型アーム」がある。またスラスター付きで自在に軌道を操れる鉄球がついたアームも登場した。
ザ・ビッグ
ビッグオーはメガデウスの中でも特別と言われている「ザ・ビッグ」の一機である。作中ではビッグデュオなど別のザ・ビッグが登場しており、ザ・ビッグの操縦者はドミュナスと呼ばれる。
ドミュナスはザ・ビッグが持つ自我のようなもので選ばれる。ドミュナスに相応しくない人間が乗り込むと拒絶するかのように暴走して、場合によっては操縦者を殺害する事さえあるなど、通常のロボットとは一線を画している。
だがビッグオーは劇中登場したザ・ビッグの中では暴走が最も少なく、暴走らしい暴走といえば、戦闘中にある人物の危機を察知して自分から制御不能となり、ロジャーをその人物の危機に駆けつけさせたり、最終決戦で危機に陥った際に溺死寸前のロジャーを自身の機関に取り込もうとしたが、ロジャーの語りかけにより未遂に終わり、ロジャーと共に戦う道を選んでいる。
ロジャーとはある種の信頼関係のようなものがある事から、劇中ではロジャーがビッグオーにふさわしいドミュナスであることが示唆されている。
その為、世界のリセットをする為に現れた第四のザ・ビッグ「ビッグヴィヌス」が出現した際もロジャーを守る為に戦意を失っていなかった。
元ネタの考察
数々の昭和特撮オマージュが織り込まれた『THE ビッグオー』において、ビッグオーらザ・ビッグは恐らくウルトラマンのポジションに相当する。流石に主役であるビッグオーは顔をそのままウルトラマンにする訳に行かなかったか、ロボット刑事Kに似た物を採用している(相棒が元軍警察であるのを意識したか)。
その一方で胸部をよく見ると、カラータイマーをカバーで覆い隠した様なデザインになっていて、そこから現れるファイナルステージの元ネタはウルトラ戦士が使う技の一つタイマーショットと思われる。
また“オー(O)”を0(ゼロ)と解釈すれば、本機のポジションはゾフィーに相当すると思われる。“0”なのはゾフィーが主役を務めたエピソードを持たないからだと考えられ、本編でロジャーのネゴシエイター家業をなおざり気味にして活躍したのは主役へなれない元ネタの鬱憤を代わりに晴らしていた故か。
また、胸部周りに配された突起はスターマークを模している他、頭頂部を覆うオレンジのクリスタルはミスターファイヤーヘッドを意識した物だろうか。
なお他のザ・ビッグの元ネタと思わしきウルトラマンは『自分を模したロボットと戦った』共通点があるが、ゾフィーの場合は初代スーツがにせウルトラマンの改造品であると言う逸話がある。
最終話に登場したビッグオーとほぼ同じ姿のビッグヴィヌスのモチーフがにせウルトラマンなのは、この逸話を意識した物だと推測される。
関連イラスト
関連項目
ウルトラマンゼロ:後年のウルトラシリーズに登場するゼロ(0)の名を冠するウルトラ戦士。基本形態の最強技『ゼロツインシュート』はタイマーショットの派生形である。
ダークロプスゼロ:上のウルトラ戦士を模したロボット。技の一つ『ディメンジョンストーム』は胸部よりコアを展開して放つ物で、よりファイナルステージを連想させる(あちらほど大掛かりな発射シークエンスでは無いが)。
ウルトラマントレギア:カラータイマーをプロテクターで隠している他に、顔を覆う仮面の頭部形状が似ている。
ジャイアントロボ:主役が多数の武器を内装した陸戦型、同型機に空戦型・海戦型があるなど類似点が多く、モチーフにしていると思われる。
ちょっとしたネタバレ
実は他のザ・ビッグと共に量産型の機体である可能性が示唆されている(本編での回想にも、複数体が映っている)。
『スーパーロボット大戦Z』出演時に、この設定が生かされたステージが存在する。