概要
主人公ロジャー・スミスが所持する腕時計型の通信機への掛け声によって、地下から召喚される巨大ロボット。
素性を知らない周囲の人々からは「黒いメガデウス」と呼ばれている。
ちなみに移送は、「プレーリードッグ」という専用のキャリアーを使い、地下の廃棄されたサブウェイ(地下鉄)の路線を経由して運んでいる模様。
起動時に「CAST IN THE NAME OF GOD, YE NOT GUILTY. (我、神の名においてこれを鋳造する。汝ら罪なし)」という言葉がモニターに表示され、全長30メートル程の体躯の中には多様な武器が搭載されている。サイズと外見に見合った重量・パワーは凄まじく、機動力を除けば非常に高い戦闘能力を誇る。装甲も頑強だが、前腕部分の盾状になっている部分は特に強固であり、実際に敵の攻撃を防ぐ盾として使われる。
しかし、いつ誰によって何のために作られたのかがまったく不明の謎の存在であり、主であるロジャーや整備をするノーマンでさえ知らない未知の機能も多数存在する。そもそも、どういういきさつで彼がビッグオーを手に入れたのかさえもよくわかっていない。
多くの謎に包まれながら、その黒い巨躯はパラダイムシティを跋扈し、ロジャーとともに巨悪に立ち向かう。
武装
基本的に陸戦・重火器搭載型の特化機であるが、乗り手のロジャーが操縦・戦闘経験が豊富な為武装の応用力が高く、多彩で柔軟な立ち回りを見せる。
配置上、ファイナルステージ以外の遠距離武装を全開門しての一斉砲撃も可能だが、ロジャーは相手が隙を見せた所に最適な武装をピンポイントで放つ、無駄の少ないスタイリッシュな攻撃を好む。
なお、前述の様に機動力が低いが、その反面『超合金O(オー)』製の装甲は非常に強固であり、両腕で防御姿勢を取れば大抵の遠距離攻撃は凌ぎ切れてしまう。故に敵側は有利不利問わず近接戦で有効打を探さなければならない状況となる事が多く、結果的に相手の攻撃手段を狭めて自身の得意な状況に誘導する事が可能な機体スペックを持つとも言える。
- モビーディック・アンカー
ロジャーの豊富な戦闘経験により、巻取り動作によるスライド移動での緊急回避や機敏な敵を捕縛・引き寄せで強引に距離を詰める等、ビッグオーの機動力の低さを補う装備として有効に使われている。鎖を切られる事も多いが予備が腰内部にあるらしく、射出部から新たなアンカーの先端が出て来るカットがある。
- キャノン・パーティー
- ミサイル・パーティー
- アーク・ライン
- クロム・バスター
使用の際にポーズを取ったり取らなかったり姿勢が安定してないが、ポーズを取る事で集束(必殺威力)、取らない事で速射とモードを切り替えているのかもしれない。
- サドン・インパクト
実際はストライク・パイルからの衝撃波が本命で、パンチは衝撃波を叩き込む打点を指定する為の物。この仕組みを応用する事で掌で掴んだ箇所以外を衝撃波で吹き飛ばす、圧縮率を下げた空気砲を掴んだ物に浴びせ内部の人間をスタンさせる等、シンプルかつ豪快ながら何かと便利な使い方も出来る武装。圧縮空気をゆっくり打ち出す事で安全に元の状態に戻す事が可能。
コミック版では強化型アームによる「三重サドンインパクト」という大技も使用している。
- O・サンダー
両前腕に砲身が内蔵された機関砲…もとい必殺武器。使用時には前腕の装甲をシールドユニットを上にして上下に割り内部の機関砲ユニットを露出させ回転させて使用する(この際、専用トリガーが操縦桿の代わりに展開される)。機関砲と言っても発射するのは光弾であり、その威力も同じザ・ビッグにあたるビッグデュオ・インフェルノのボディを貫通してもなお、威力を失わず後方の建造物を巻き込んで破壊してしまう程で、サドン・インパクトを上回る。
しかし、よく見ると光弾を長時間目標に浴びせる事で総ダメージを稼いでいる様で、基本的に動きの止まった相手でなければ使えない武装でもあり、パンチを放つ延長で使えるサドン・インパクトと比べると速攻・応用性に乏しい。なお普段は、手を小さく引っ込めて砲身ユニットの回転と逆方向に回転させるのだが、手を出したまま相手を鷲掴みにした状態でも使用している。
劇中ではベック・ザ・グレートRX3が必殺技をぶちかまそうとしている所に打ち込んで台無しにした事もある(※技の発動シーンが無駄に長く、狙ってくれと言わんばかりに動きを止めていた為)。
- プラズマ・ギミック
- ビッグオー・ファイナルステージ
パイロットであるロジャー・スミスでさえ、最終話までその存在に気付かなかった(気付いたのはよりにもよってメモリーを取り戻したベックである)、ビッグオーの隠された究極兵器。ビッグオーその物が巨大な砲台に変形、これまでのどの武装をも遥かに上回る究極の一撃を放つ。全てのモビーディック・アンカーを用いて姿勢制御を行わなければならない程反動が凄まじく、発射後は砲身がパージされ使い物にならなくなる。一見すると完全な無防備状態にも見えるが、発射態勢中はプラズマ・ギミックによるバリアーで守られており、ビッグファウ・キャノンの直撃を完全に防ぎ切るだけの防御機能はある模様。
演出を見る限り、
1.モビーディック・アンカーを地面に放ち姿勢固定(この時専用トリガーが展開される)。
2.プラズマ・ギミックを展開。
3.胸部が開き、砲身を展開。発射態勢に移る(『その砲身何処に仕舞ってたんだ!?』と言える程のデカさだが、気にしないように)。
4.専用のトリガーにより発射。
という手順を踏んでいる。
コミック版オリジナル
マガジンZの有賀ヒトシコミック版では、メカニックデザイン担当の中井氏協力のもとに、独自の装備と必殺技が登場している。
- オプションアーム
空中に雷雲発生用のポッドを打ち上げ、肩のアンテナから落雷を集中させて撃ち放つ両腕「オプションアームSA」、地中用の掘削ドリルが付いた「オプションアームDR」、コミック版最終回で使用されたサドンインパクト用のシリンダーを三本に増設した「強化型アーム」がある。またスラスター付きで自在に軌道を操れる鉄球がついたアームも登場した。
ザ・ビッグ
ビッグオーはメガデウスの中でも特別と言われている「ザ・ビッグ」の一機である。作中ではビッグデュオ等別のザ・ビッグが登場しており、ザ・ビッグの操縦者はドミュナスと呼ばれる。
ドミュナスはザ・ビッグが持つ自我の様な物で選ばれる。ドミュナスに相応しくない人間が乗り込むと拒絶するかのように暴走して、場合によっては操縦者を殺害する事さえあるなど、通常のロボットとは一線を画している。
だがビッグオーは劇中登場したザ・ビッグの中では暴走が最も少なく、暴走らしい暴走といえば、戦闘中にある人物の危機を察知して自分から制御不能となり、ロジャーをその人物の危機に駆けつけさせたり、最終決戦で危機に陥った際に溺死寸前のロジャーを自身の機関に取り込もうとしたが、ロジャーの語りかけにより未遂に終わり、ロジャーと共に戦う道を選んでいる。
ロジャーとはある種の信頼関係の様な物がある事から、劇中ではロジャーがビッグオーにふさわしいドミュナスである事が示唆されている。
その為、世界のリセットをする為に現れた第四のザ・ビッグ「ビッグヴィヌス」が出現した際もロジャーを守る為に戦意を失っていなかった。
ドミュナスの評価
言うまでも無く『YE NOT GUILTY』(汝に罪無し)。
この評価を下されている背景を考えると、その理由は起動時に出る文字『CAST IN THE NAME OF GOD』(我は神の名の元造られた剣)に込められた意図をロジャーが履行し続けているからだろう。
12世紀ドイツの死刑執行人が振るった剣に刻まれていたと言う設定である、ザ・ビッグ起動時に現れる前述の文面は、意訳すると“神の名の元に命を奪い断罪を行う事を許された者”であり、逆説的に剣を握った者へ力を奮う資質を問う言葉でもある。一方でザ・ビッグ達は言葉を発しないが、自身を操ったドミュナスがその強大な力で何をしたかを観察する事で評価を下し、何らかのアクションを返す事でドミュナスに意思を示す様子。
対して、自分のルールを信じながら周りとの協調を諦めない、“自由”を愛するロジャーは己のルールを周りに押し付けて他者を侵害する身勝手な者を許せない。そうした輩と言葉で戦おうとしてネゴシエイターの道を選んだロジャーだが、その相手が言葉では無く強大な力で身勝手を通そうとした時、彼はそれに対抗する為ビッグオーの力を頼る。
そう、“自由”を愛するが故に身勝手へ立ち向かおうとするロジャーは“断罪の剣”たるザ・ビッグの力を奮うに相応しい資質を具えていたのだ。そしてこれを下敷きとして、ビッグオーが暴走も少なくロジャーに従い、時には助けに向かう行動も取る信頼関係で結ばれていたのは当然至極だったと言えよう。
この事実は、他のザ・ビッグのドミュナス達が身勝手な行いをした結果ザ・ビッグの暴走へ戸惑う光景と対になっている他、その彼らと比較する事でロジャーとビッグオーの関係性が理解出来る仕掛けともなっている。
最終的に、パラダイムシティで一番身勝手だった者をファイナルステージで下したビッグオーは、世界のリセットを始めたビッグヴィヌスとのネゴシエーションを試みるロジャーを信じ見守った。因みにザ・ビッグは首部分にドミュナスを納めるコクピットが存在するが、ビッグオーは胸部にファイナルステージが存在する事からコクピットの位置が上にズレていて、ちょうど喉仏に当たる部分へロジャーを納めている格好である。
そして直前のビッグファウとの戦闘で首装甲が破損していて中のロジャーが剥き出しになっていたが、そのロジャーが喉仏より出す言葉で戦う者=ネゴシエイターであると考えれば面白い構図になっているとも取れる。
いわば、強大な力(メガデウス)を『紙に書かれた設定』として破き捨てれる製作者(ビッグヴィヌス)に対抗し得るのは、物語の登場人物(ロジャー)の魂を込めた説得(ネゴシエーション)のみと言う事で、そうした意味でファイナルステージよりも上の場所にロジャーが収まっていたとの考察も出来るのである。
元ネタの考察
数々の昭和特撮オマージュが織り込まれた『THEビッグオー』において、ビッグオーらザ・ビッグは恐らくウルトラマンのポジションに相当する。流石に主役であるビッグオーは顔をそのままウルトラマンにする訳にいかなかったか、ロボット刑事Kに似たデザインを採用している(相棒たるロジャーが元軍警察であるのを意識したか)。
その一方で胸部をよく見ると、カラータイマーをカバーで覆い隠した様なデザインになっていて、そこから現れるファイナルステージの元ネタはウルトラ戦士が使う技の一つタイマーショットと思われる。
また“オー(O)”を0(ゼロ)と解釈すれば、本機のポジションはゾフィーに相当すると思われる。“0”なのはゾフィーが主役を務めたエピソードを持たないからだと考えられ、本編でロジャーのネゴシエイター家業をなおざり気味にして活躍したのは主役へなれない元ネタの鬱憤を代わりに晴らしていた故か。
また、胸部周りに配された突起はスターマークを模している他、頭頂部を覆うオレンジのクリスタルはミスターファイヤーヘッドを意識した物だろうか。
なお他のザ・ビッグの元ネタと思わしきウルトラマンは『自分を模したロボットが存在する』共通点があるが、ゾフィーの場合は初代スーツがにせウルトラマンの改造品であると言う逸話がある。
最終話に登場したビッグオーとほぼ同じ姿のビッグヴィヌスのモチーフがにせウルトラマンなのは、この逸話を意識した物だと推測される。
関連イラスト
関連項目
THEビッグオー メガデウス
インテリジェンスソード
ウルトラマンゼロ:後年のウルトラシリーズに登場するゼロ(0)の名を冠するウルトラ戦士。基本形態の最強技『ゼロツインシュート』はタイマーショットの派生形である。
ダークロプスゼロ:上のウルトラ戦士を模したロボット。技の一つ『ディメンジョンストーム』は胸部よりコアを展開して放つ物で、よりファイナルステージを連想させる(あちらほど大掛かりな発射シークエンスでは無いが)。
ウルトラマントレギア:カラータイマーをプロテクターで隠している他に、顔を覆う仮面の頭部形状が似ている。
ベリアロク:自らを振るおうとする者に「俺様を手にして、お前は何をする?」と問い掛ける意思を持った魔剣で、返答によっては手近な所へ刺さって振るわれるのを拒否したり別の振るい手の元へ飛んでいく。
ジャイアントロボ:主役が多数の武器を内装した陸戦型、同型機に空戦型・海戦型があるなど類似点が多く、モチーフにしていると思われる。
ちょっとしたネタバレ
実は他のザ・ビッグと共に量産型の機体である可能性が示唆されている(本編での回想にも、複数体が映っている)。
『スーパーロボット大戦Z』出演時に、この設定が生かされたステージが存在する。