ギガデウスとは、『THEビッグオー』のマガジンZ版に登場した巨大ロボットである。
「パラダイム・パラダイス・パラライズ……」
概説
ありがひとしのコミック版に第5巻に登場した正体不明のメガデウス。
“ギガデウス”という名前はロジャーのビッグオーに対し、ベックが「お前のがメガデウスなら これはさしずめギガデウスだな」と評したセリフからつけられた仮称で、巻末資料では「Unknown」という正式名称が記載されている。
ベックが4巻の天使騒動でぼろ儲けした大金を費やし、パラダイムシティの地下空間を漁っているうちに発見した“メモリー”。規格外の巨大さと、それに相応しい実力を有する。
メカデザインは、アニメ版のキャラクター、メカデザイン全般を担当したさとうけいいち氏。
外見
実に身長だけでもビッグオーの2倍以上の体格を誇る超巨大マシン。
腕だけでビッグオー一機分はあるという、規格外な巨体を誇る。
剣のように細い頭部に肩から反り返った角のようなパーツ、三本の脚を持ち、頭部と両肩の三個所にはそれぞれ蛇のように伸びる小さな首がある。この首はそれぞれ過去・現在・未来に関する能力を有しているらしいが詳細は不明。
左腕は破損しており、人差し指と手首から上辺りの装甲が剥げている。
肘には巨大なドリルが付属し、肘間接が180°回転することで使用可能。
性能
その巨体に見合わず、三つの伸びる首のおかげでかなり小回りが利き、隙と呼べる隙が殆どない凶悪な性能を誇る。また装甲もかなり頑強で、ビッグオーの「サドンインパクト」ですら蚊が刺すほどのダメージしか与えられず、「クロムバスター」以外の攻撃はまるで通用しなかった。
そしてその強大な能力に加え、右肩の首が見せる(らしい)強力な幻覚により相対するものの精神力をゴリゴリと削っていく。この幻覚こそが本機最大の特徴であり、過去の記憶(メモリー)を無作為に氾濫させていく混沌とした様は見る人によってはトラウマ必至。
実際、ロジャーもギガデウスのマシンパワー以上に、この幻覚で精神が摩耗し苦戦を強いられた。ただこの幻覚、どうも操縦者にも影響を及ぼすらしく、操縦していたベックもまた終始発狂と言って差し支えないほど激しい躁鬱状態に陥っていた。
武装
- アークライン
頭部の首の目から発射される白色のビーム攻撃。ビッグオーのアークラインよりも出力が高いうえ、それが首の額に並ぶ四つの穴からと合わせて六連装アークラインとして発射される。
左肩の首の口から吐き出される火炎。かなりの高熱らしく、ロジャーも危機感を感じたのかビッグオーの腕部シールドで防ぐことを諦めて回避に徹していた
- ドリル
両肘に装備されており、肘から180°回転させて使用する。
劇中ではビッグオーの「ミサイルパーティー」にもびくともしない頑強さを見せつけている。
活躍
ベックの放蕩ぶりを見た彼の舎弟三人(トム・ヤム・クン)が資金収集(という名の強盗)に奔走し、いつもどおりロジャーにあっさりと敗北した瞬間、地下から腕を伸ばしてビッグオーを地下空間に引きずり込み、ビッグオーとロジャー抹殺を掲げて襲いかかった。
ギガデウスの装甲はビッグオーのあらゆる攻撃を寄せ付けず、幻覚による精神攻撃も相まって、勝負は終始ギガデウス優勢のまま進む。
ところがベックの無茶苦茶な操縦によって機体の各所が自壊していき、ベック自身もマトモな操縦が不可能ほど発狂が進行してしまう。最終的にロジャーが一瞬の隙を突き、胴体部目掛けてビッグオー最強のビーム兵器「クロムバスター」をゼロ距離で撃ち込んだことで機体は崩壊、撃破された。
しかし……
コミック版ロジャー最大のトラウマ
ギガデウスを破壊され、操縦席から転落していくベックを見たロジャー。
それは「悪夢のような光景の中で、犯罪者が自分の罪に沈んでいく」ようだったという。
そのとき、ロジャーは洞穴のような不気味な目でニヤ付くベックの顔を目撃する。
結果、ロジャーは数日にわたって精神を患って寝たきりになり、復帰後も数ヶ月のあいだトラウマからくる幻覚に苦しめられることになった。
コミック版終了後に5巻と6巻(最終巻)のあいだの出来事を描いた外伝『LOST MEMORY』が刊行されたが、その前巻がトラウマを抱えて苦しむロジャーにスポットが当てられている。
……正直、耐性のない人にはたちの悪いホラー漫画以外の何物でもないえげつない仕上がりであり、強靭な精神力を持つロジャーをも廃人寸前まで追い込んだベックの狂気は、想像するだにおぞましいものがある。
コミック版『THE ビッグオー』における、まさにみんなのトラウマである。