ロジャー「よおし! いい子にしなさい、ドロシー1!」
ベック「クッフフフゥ! 天才科学者の遺産は、有効利用しねぇとなぁ!!」
概要
『THEビッグオー』Act.01・02に登場したメガデウスで、本編におけるビッグオー最初の相手。
メガデウス建造のメモリーを思い出したティモシー・ウェインライトが、技術援助元のソルダーノ重工に依頼されて設計、建造された。だが両者を結び付けたジェイソン・ベックの一味に強奪され、ベックの遠隔操作により造幣局の紙幣原版を強奪する犯罪の道具に使われる事に。
三日月を模したガラス製の顔と、女性的な機体フォルムを持つ。
両腕に内蔵された万能装備『エクステンションアーム』が特徴で、触手状のアーム『ドリルロッド』をビル地下と言った狭い箇所に侵入させて目標物を確保する繊細な動作が可能(アーム先端からはマジックハンドやレーザーメスも展開出来る)。
戦闘ではドリルロッドで相手を捕縛する、アーム基部より展開するクロー『ウォームファング』やアームを変形させての『ドリルランサー』で格闘戦を仕掛ける等の器用さを見せる。
反面パワーは低めで、ビッグオーとの殴り合いでは強固な装甲にクローの連打を全て防ぎ切られ、相手の連打に終始押されていた。
ベックは彼女を、報道車両に偽装したコントロールルームより遠隔操作する事で造幣局を襲撃、強盗犯としては余りに過剰な力で軍警察の抵抗も意に介さず目的を果たそうとするも、ロジャー・スミスが呼び出したビッグオーの前に制止させられる。格闘戦で抵抗しようとするも逆に圧倒され、ドリルロッドで相手を縛り上げて持ち上げるも、空中で方向転換したビッグオーは拘束を振り解きながら背後に着地。そこから胴体部分をサドンインパクトで貫かれ、制御中枢部を喪失して沈黙する。
しかしすぐ近くにいたドロシー2が、姉の動きにリンクしていたのを中継映像で知ったベックはドロシー2を拉致、彼女を顔内部の機構と一体化させて中枢部を補い再起動(但し突貫の修復だったからか、操縦するベックはトレース方式(パワーアシスト等は無いらしく、歩行ペダルを踏むのに難儀していた)でドロシー1を操作していた)。ビッグオーとの再戦時に顔を破壊されるも、内部にいたドロシー2に動揺したロジャーの隙を突いて捕縛。そこから引き寄せてドリルランサーで貫こうとするも、ロジャーの操作でビッグオーが踏ん張るのを止めた為自分の方がバランスを崩して接近を許し、そこで顔内部に乗り込んで来たロジャーにドロシー2を引き剥がされた事で再び沈黙、その場に崩れ落ちた。
そしてドロシー2に付けられていた受信装置の解析によって潜伏場所を知られてしまったベック一味は、コントロールルームごとビッグオーに捕まりストライク・パイルからの空気砲を喰らって行動不能に。その上でビッグオーを追って来た軍警察にコントロールルームごと突き出され、御用と相成った。
このドロシー1を建造するのと引き換えに造り出されたのが、ティモシーの亡き娘の姿を忠実に再現して作られたドロシー2こと、R・ドロシー・ウェインライトである。中枢部にメガデウスへ用いられているテクノロジーを流用されたR・ドロシーは正しくドロシー1と姉妹の関係に当たる。
関連人物
- R・ドロシー・ウェインライト(ドロシー2)
同じメモリーより再現されたテクノロジーで作られた『妹』。
メガデウスの製造技術の失われたパラダイムシティに置いて彼女は事実上の人間の姿をした意思持つメガデウス(=ザ・ビッグ)と呼んでも差し支えなく、これにより以降もメガデウス絡みのトラブルへ幾度と無く巻き込まれる羽目となった(ついでにベックとも腐れ縁が出来てしまった)。
詳細は語られていないが、ウェインライト博士の仲介人としてソルダーノ重工と接触、建造されたドロシー1を強奪する形で入手した様子。その途中で情報攪乱の一環なのか、ドロシー2を使っての狂言誘拐を行ってロジャーと対峙するも、そこで裏があると予測していたロジャーにブービートラップ付きの身代金(詰めていたトランクに催涙ガスと飛行ブースターが仕込まれており、遠隔操作でロジャーの元に帰って来る仕組みとなっていた)を掴まされ苦汁を飲む事に。
なお、この頃は髭を生やしておらず悪党としての狡猾・凶悪さが強い印象だった。
- ミゲル・ソルダーノ
ドロシー達を造った『父』であるソルダーノ重工のトップ。ティモシーと接触して得たメガデウスの建造技術を用いて郊外の製造工場で御禁制の代物を製造していたらしく、ティモシーと取引する形でドロシー1を設計させて建造、引き換えにドロシー2を造り出した。
ドロシー1を『娘』と呼び、強奪された彼女を取り返すべくロジャーにネゴシエーションを依頼した一方、ドロシー2をティモシーの愛玩道具と軽んじ歌う機械の鳥『ナイチンゲール』と揶揄していた様子。
最終的にベックに操縦されたドロシー1に襲撃され致命傷を負い、事切れる瞬間をロジャーとドロシー2、もといR・ドロシーに看取られる。そこで彼女を「お前の方が本当の娘だ」と呼ぶも、その身勝手な態度へシニカルな反応を返された。
- ティモシー・ウェインライト
ドロシー達を産み出したメモリー(メガデウスの製造技術)を思い出した男で、R・ドロシーに40年前亡くなった娘の外見諸々のメモリーを託した人物。R・ドロシーを孫娘『ドロシー・ウェインライト』として着飾らせて高級クラブ『nightingale』に連れ出し、その歌を聞いていたが、急遽ドロシー2が必要になったベック一味の襲撃に会い人質にされた挙句、押さえ込みを振り払いながら迫って来るドロシーの気迫に怯んだベックの手下の誤射により殺されてしまう。危険なメモリーを思い出したが故に晩年を振り回されて終わったが、彼自身は亡き娘の姿と歌を懐かしむただの老人だった。
後に設計を流用したと思わしき、暗殺を使命とするドロシーの姉妹達が登場。アレックスやユニオンとの関係も示唆されたがそちらの詳細は不明。
余談
R・ドロシーの名の由来を『オズの魔法使い』の主人公である同名の人物とするなら、このドロシー1はオズの国に家ごと飛ばされて来たドロシーに潰されて死んだ“東の悪い魔女”がモチーフと考える事が可能。動かなくなったドロシー1にR・ドロシーが組み込まれて再び動く展開は、悪い魔女が残した魔法の靴を履いて冒険へと歩き出したドロシーを彷彿とさせる。