「あなたって最低だわ」
CV:矢島晶子
概要
ティモシー・ウェインライト博士によって作られた少女型アンドロイド。博士の娘に似せて作られている。
作中においてヒト型アンドロイドは珍しい存在ではないのだが、いかにもロボット然とした無機質なデザインの彼らの中にあって、人間の娘と見分けがつかないほどのドロシーは「芸術品」とすら称される精巧な美しさを持つ。
だが、血色の無い白い肌、薄緑のクマが浮いた暗い目元と仏頂面、何より平坦な口調で遠慮なくモノを言う性格ゆえ、可憐とは言いがたい奇妙な威圧感を放っている。
巨大ロボットメガデウスのコアメモリーの役割を果たす存在として設計されており、第1・2話ではそれ絡みの事件でロジャーの元へ自身の護衛を依頼しに訪れた。
解決後は報酬として住み込みでスミス邸の使用人として働くこととなり、同時にロジャーの助手のようなポジションに収まったが、以後もメガデウスの利用を企む者から狙われることが何度かあった。
シリーズ中、主人公であるロジャー・スミスと共にほぼ全ての回に登場している。
人物
前述の通り、色んな意味で遠慮のない性格。だが無表情なだけで無感情ではなく、言動の端々に機嫌の良し悪しが見て取れる。
「そういう気分」と称して表情ひとつ動かさずに奇妙な振る舞いをしたり、やはり無表情のまま全身で喜びを表現するなんてことも。ロジャーの口ぶりや黒への偏愛を「最低」と言い切ったり、猫を拾って可愛がったり、乙女心が傷つくような場面では機嫌を損ねたりと、見た目どおりの少女らしい部分も多く見られる。
ロジャーとは当初は憎まれ口を叩き合う仲であり、ロジャーの方もアンドロイドである彼女を「機械に過ぎない」となどと述べていた。しかし共に死地を乗り越え世界の謎に迫っていくうち、お互いにかけがえのない存在となってゆく。
ロジャーの危機を救ったことも一度や二度ではなく、ロジャーと共にビッグオーに乗り込み戦うこともある。先ほど述べた憎まれ口の叩き合いも、終盤では傍目にはイチャついているようにしか見えなくなっていた。
外見や体格は同年代の少女と変わらないが、身体能力や頑健さは人間をはるかに超えているため、機銃掃射からダッシュで逃げ切る、壁やガラスをパンチ一発で打ち砕く、自動車並みの速度で自転車を漕ぐといった芸当を披露している。
挙句の果てには自動車のボンネットに飛び乗ってフロントガラスを蹴破り、ハンドルにつま先を引っ掛けて車を操作するという離れ業もやってのけた。
この頑丈さの源なのか、身体はかなり重い材質でできている。人間が担いで運ぶのも困難なほど重いようなのだが、場面によって妙に軽そうだったり、天井に仕掛けられた磁石に引かれてふわりと浮くなど、彼女の重さに関しては描写が安定しない。
特技
作中世界ではアンドロイドも人間と同じように文化的な活動をしているのだが、ドロシーは特にピアノの演奏を好む。アンドロイドゆえか疲れ知らずで、指先を酷使するような激しい曲も身体をぴたりと安定させたまま平然と弾きこなすほどに巧い。
しかしロジャーは「技術的に再現しているだけで心がこもっていない」といった感じで酷評している。
これは、ロジャーの好みに沿わない激しい曲調を毎朝のように目覚まし代わりに弾きまくって彼をノイローゼ気味にした恨み混じりではあるのだが…まあ、気分によって午後1時まで惰眠を貪ったりするロジャーも悪い。
その後、プロのピアニストでアンドロイド仲間でもあるR・インストルの元で継続的な指導を受け上達している様子も描かれているのだが、目覚まし演奏も続けているのでロジャーの悩みは絶えない。
歌も得意であり、「父親」であるティモシー博士の下にいたときはジャズクラブでゲストシンガーとして歌声を披露していた。その際は普段の仏頂面が嘘のような笑顔を披露しているので、案外コチラの方が素のドロシーなのかもしれない。
余談
- ロジャーは機嫌によって彼女の呼び名を変える。普段は「ドロシー」と呼び捨てだが、かしこまった時などは「R・ドロシー」と呼び、怒っている時は「R・ドロシー・ウェインライト!」とフルネームで怒鳴るのがお約束。
- 基本的にはロジャーの相棒という立ち位置だが、自身の身柄を報酬にした事もあってか、たまにメイドとして働いている描写がある。料理やビッグオーの整備は執事ノーマンの領分なので、普段は掃除や買い物を担当している様子。
- ロジャーが彼女をモデルに絵画を描いているが、モディリアーニを彷彿とさせる画風はご不満だった様子。
- Act.1のエンディングで砂時計に座っているのはロジャーだけ。Act.2からドロシーが背中合わせに座る。
- ビッグオーのキャラクターデザイナーさとうけいいち氏が監督を手がけるアニメ『TIGER&BUNNY』には、少女型アンドロイド「シス」が登場する。シスはドロシー役の矢島晶子、開発者の男はロジャー役の宮本充が声を当てているため、セルフパロディのような形になっている。
- スーパーロボット大戦Zにおいて、ホランドと共演した際、彼に子供ができたと知って「父ちゃん」と呟いた。言うまでも無く中の人ネタである。
- ありがひとし版でも毒舌ぶりや頓珍漢な言動は健在。ただし目が少し大きめに描かれ、ずけずけと毒を吐く場面も少なめなので、どちらかと言えば“ダウナーな不思議ちゃん系美少女”といった感じに仕上がっている。最終回前後ではメモリーを奪われて起動停止に追い込まれるなど、ヒロイン性が強め。外伝『LOST MEMORIES』では、ロジャーが漫画5巻で負ったトラウマの払拭に大きく貢献した。