―――少年と少女は運命に抗う
概要
『Fate/stay night』において、間桐桜をヒロインとする第三ルート。
『Fate』『Unlimited Blade Works』の2ルートを終了させて、初めて登場する最終ルートである。
また、第三魔法「ヘヴンズフィール」の事。こちらは天の杯を参照。
PC版ではFateルート、UBWルートの終了後でないと入ることが出来ないルートだが、PSVita版ではパッチを当てる事で即時開放コマンドが追加される。また、PC版・スマートフォン版[Realta Nua]はルート毎に単品購入なので、いきなりこのルートからプレイする事も可能。
ただし、前2ルートを終了している前提で話が進むため、このルートに最初に入っても理解できない話が続く恐れがある。なので、『stay night』は他ハードでプレイ済みという人以外はオススメしない。
セイバールートと凛ルートが『stay night』の骨となるテーマを表裏一体となって描き出す表のFateなのに対して、桜ルートはそこで提示された士郎の問題点に、とあるひとつの解答を導く裏のFate(死闘編)となっている。
内容
聖杯戦争を描いたこれまでのルートと根本的に異なり、そもそも「聖杯」とは何か、なぜサーヴァント同士の戦いが必要だったのかという謎の核心部分が明らかになるストーリー。
雰囲気もガラッと変わり、今まで登場しなかった人物も姿を現す。
ストーリーのメインがサーヴァントからマスターたちへシフトしてゆく。
3つのルートのうち、ホラー、伝奇的雰囲気がもっとも強い。
物語が進むごとに壊れてゆく士郎と桜、それまでと違って淫靡で閉塞的な雰囲気の漂う魔力供給シーンなど、鬱度も全開。
他ルートの人気キャラクターが早期退場するばかりか、他ルートのヒロインでさえ戦って殺さなければならないなど、作中で何度も語られた「誰かを救うという事は、誰かを救わないという事」を地で行くルートでもある。
一方、士郎の人格が抱える歪みを解決し、彼が救われるための在り方の一つを提示する意味も含まれている。士郎と桜が「英雄」ではないがゆえに大きく躊躇い続ける、ただの「人間」の物語ともいえる。
他ルートでは理想に生きてきた士郎が、理想と決別し人間味をむき出しにするルートであるため、燃え度も全開。
これらの要素から最も賛否が分かれているルートである。
また後述のイリヤルートが断念されてその側面が断片的に描かれている。衛宮士郎の歪んだ内面をアーチャーとは違う形で暴く言峰綺礼の内面を深く掘り下げられており他ルートで見せなかった彼の数少ない人間性を見ることができる。
そういったことからHFは桜ルートでもありイリヤルートでもあり言峰ルートでもある
注意点
企画段階ではイリヤスフィール・ルートがあり、納期の問題で桜ルートと統合されたため、桜ルートは長い。文量だけでなく物語の濃度で言うと数倍規模。
しかも起承転結の「起」と「承」が長い構成になっており(大まかだが「起承」で7割、「転結」が3割くらい)、"Fate"に慣れてきたプレイヤーでも、読み進めるにはなかなか根気がいる。
そもそもFateという作品全体に対するアンチテーゼとなるストーリーとなっており、一部のファンからはあえてこのルートを見ずにFateを楽しむ事を提唱している人さえいるほど。
メディアミックス
最後に解放されるルートの宿命か長らくメディアミックスに恵まれなかったが、2014年にUBWルートまで一通り終わった為2015年以降はこのルートのメディアミックスが中心となった。
コミカライズ
ヤングエース五周年プロジェクトとして現在連載中。作画担当はタスクオーナ。
後述の映画化に先駆けての連載。
PC版をベースに話の大筋は原作に忠実な一方、同時進行で桜側には何が起きていたのか細かく描かれており、実質的に桜がヒロイン兼もう一人の主人公となっているのが特徴。映画版では尺の関係で描かれていないシーンも含め、様々な要素を丁寧に描いており、原作ファン必見の内容となっている。
PC版(18禁版)をベースに描かれているため、グロシーンだけではなく行為に及ぶシーンも含め生々しく描かれており、苦手な方は注意が必要。
既刊は8巻。
劇場版
劇場版『Fate/stay night〔Heaven's Feel〕』。
『Unlimited Blade Works』テレビ放映決定の一報と共に、桜ルートの劇場アニメ化決定も報じられた。制作は『Fate/zero』や2014版UBWルートと同じくufotable。
第1章『presage flower』は2017年10月14日公開。主題歌はAimerの「花の唄」。
第2章『lost butterfly』は2019年1月12日公開。主題歌はAimerの「I beg you」。
第3章『spring song』は2020年3月28日公開予定だったが、新型コロナウイルスの影響で一旦4月25日に延期となり、その後一旦公開日未定となった後に8月15日に公開が決定された。主題歌はAimerの「春はゆく」。
全3章の枠に収め、かつ原作の世界観を余すところなく表現するために、共通ルートのカットや一部の時系列変更を行っているため、展開速度はかなり速い(セイバーの初登場すら省略されているほど)。
このルートでスポットが当たらない登場人物については、最低限、TVアニメ『Fate/stay night』かTVアニメ『Fate/stay night UBW』の視聴は必須である。
前述のとおり、共通ルートはほぼカットされているため、他のルートを知らないと、ほぼ理解できない流れとなっている(聖杯戦争の説明すら、かなり省略されている)。このため、宣伝でも「Fate、UBWに続く第3の物語」と何度も強調している。
ただ、映画3本分の尺をしっかり使っただけあって、キャラクターの心理描写についてはむしろ充実していると言ってよい。
映画内では語られない、FateルートやUBWルートで語られた設定をきちんと理解できてさえいれば、しっかりと内容の詰まった作品として見ることができるだろう。
ストーリーはレアルタ版(全年齢)とPC版(18禁)を掛け合わせた内容となっており、Fateシリーズの映像化作品の中では初めて明確に行為に及ぶシーンも描かれている。また、グロテスクなシーンも鮮明に描かれているため、苦手な人は注意が必要である。
『氷室の天地』
本編に影響しないスピンオフ作品(言峰が遠坂家の財産を本編より多めに手放した事により分岐した世界線)であるが、単行本にて「桜ルート」であると触れられている。
ただし本編死亡キャラの生存、殺害事件が傷害事件になるなどマイルドな描写になっており、作中で起きた重大な事件はある人物の暗躍と陸上部の三人娘の勘違いによって被害が最小限に抑えられている。
そしてどうやらこの世界線がまた別の聖杯戦争に繋がる模様。
関連イラスト
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