概要
道教において、人里離れた秘境、すなわち仙境に住み凡人では想像もできないような鍛錬の末に不老長寿になり、あるゆる秘術を扱うことができるようになった人間を超えた人間である。
古代中国の伝承に登場するものが有名だが、似たような存在はインドの伝承にも登場する( インドの仙人を中国の仙人と区別して【聖仙(リシ)】と呼称する事もあるが、いずれの伝承でも仙人を「神でも人でもない存在」とするのは似ているようである )。
分類等
古代中国の仙人は大きく分類すると、飛翔能力と高い霊力を持つ「天仙」と、飛翔能力を持たない「地仙」に分類される。
地仙は辟穀、すなわち穀物の摂取をやめる事、いわゆる五穀絶ちのこと、「気の循環を目的とした性交」、すなわち気功法と呼ばれる様々な呼吸法などの過酷な修行方法で人間からクラスチェンジ出来ない事も無いが、これはかなり困難な行為であり、地仙となることも大変なことであるが、そのうえである天仙にクラスチェンジするのは地仙になるよりも更に困難を極める。
人間以外
また、天然の「気」を取り込む事で、動物や植物・鉱物の劫を経た者が仙人に生まれ変わる事例も存在し、例えば「封神演義」ではそうした【人間以外の出自】の仙人が、人間から生まれ変わった仙人に差別を受けていると思しき描写が見られる。
生活
普段は積極的に他の世界に干渉する事は無いが、たまに下界にやってきては現世にちょっかいをかけてたり、時には人間に対し恩寵をもたらす。
現代の日本に広まっている一般的な仙人のイメージは、頭が丸くて大きく、白ひげが垂れ下がり、ゆったりした衣を纏い、杖を手にして、雲に乗っている老人像であると思われるが、彼らは必ずしも老人姿であるとは限らず、古代中国の有名な仙人には中年男性の姿をした仙人や、美青年の姿の仙人も登場している。また仙女すなわち女性の仙人は、若く美しい女性の姿をしている事も多い。
道教における扱い
道教などでは三清や四御などは別として一部の神々より位が上とされることがある。道教における究極の目標は
となっている。
比喩表現の「仙人」
上記の仙人から転じて、俗世の欲望から離れており、無欲で世事に疎い人を指す。
関連タグ
架空の「仙人」
アニメ・ゲーム・二次創作等で登場するキャラクターとしての仙人はこちらへお願いします。
東方projectにおける仙人
作品集の中の東方茨歌仙と東方神霊廟では特に、仙人をメイン題材として扱っており、具体的なキャラクターは、茨華仙(茨木華扇)、霍青娥(青娥娘々)( 邪仙 )、物部布都( 尸解仙 )、豊聡耳神子( 尸解仙 )が該当する。
彼女たちの状況等
皆対外的には「仙人」と呼ばれており、彼女たちの基本は、上記の仙人を踏襲した存在であり、道教等の修業や秘術によって寿命を数百~数千年に伸ばした不老長寿の人間を指す。
老人の外見をした者が多い。
超人的な力を身に付けており、妖怪に匹敵するかそれ以上の力を持っている。
仙術や方術を駆使して隠居しながら気楽に生活している。たまに俗世にちょっかいを掛けてくる。
人間からは変人扱いされるものの、俗世と関わりを持つ仙人の中には人間の味方をする者が居るため、妖怪に襲われている時の人間はそんな仙人を安心して頼る事ができる。
新たに仙人候補が現れると雑用係も兼ねた弟子入りを積極的にさせ独り立ちできるまで面倒を見てくれる、と噂されている。実際仙人の超人力を求めて弟子入り志願してきた人間を受け入れてくれる仙人も居るが、そのほとんどは小間使いか使いっぱしり扱いに留まっている。ほとんどの仙人が他人のために力を使う必要はなく、さらに他人に力を教える必要が無いためである。一方仙人同士の繋がりは深いといわれている。
仙人の住居は、俗世との関わりを断つ為かその殆どが通常の世界から隔絶されている。例を挙げると、1つ目は仙郷と呼ばれる別世界をこの世の隙間に作り出し、普段はそこで生活し、その空間を逆にどこにでも繋げてどこからでも現れる神出鬼没型。2つ目は、俗世の定まった場所に住居を作るが、そこへ通じる道を方術によって隠し正しい道順を辿らないと辿り着けなくする型等、これらの所作により普通の生物が彼らの住居に侵入を試みるのは非常に難しい。
仙人は霞が主食だと言い伝えられている通り、実際に仙人は空中に漂う霞を糧としているが、霞ばかりを食べて暮らしているわけでは無い。
人間の食べ物もその辺で購入できるものの、辺鄙なところに居住するため流通価格は比較的高値である様子。( 求聞口授より )修業の内容には穀断ちのような食事制限が多いはずだが、どうやら酒や嗜好品( 普通の料理、菓子 )を日常的に口にする事は可能であるらしい。( 茨歌仙、求聞口授より )
彼らの実態は、天人に憧れ、天人になるために修行を積んでいる天人モドキであり、厳密には未だ人間であり、一日の大半を修行に費やすことによって不老長寿の体と数々の秘術を手に入れたものの欲を捨てきれていないせいか悟りが開けず、天人になれない存在である。
ちなみに仙人の肉は僧などの修行を積んだ徳のある人間の肉と同様妖怪のクラス、すなわち強さを上げる効果があり、とても美味だとして多くの妖怪から日々狙われている。逆に天人の肉は妖怪にとって猛毒といわれる。
さらに、修行を怠るとすぐに体が維持できなくなってしまい、老化することになる。何よりも仙人にとって最も大きな試練にして仕事が存在し、それは百年に一度くらいの頻度で地獄から来る死神のお迎えである。生き過ぎた人間を殺すべく攻撃を仕掛けてくる死神に負けると、即死んでしまう。死神の到来からは決して逃げられないが、戦いに打ち勝てば次のお迎えまで寿命を保つことができる。なので、寿命を延ばすためには抗う力を付けなければならない。ちなみに死神の「攻撃」は心の隙を突いた不思議な精神攻撃が主体。仙人は打ち勝ってきた者ばかりなので死神からは嫌われている。
という具合にあの世界では、仙人になるのは正直あまり良い事では無いように思える。ただ千年も仙人を続ければ、やがて天人や神仙に成れるらしいが。
ちなみに、天人にも死神のお迎えは来るため、天人も理論的には不老不死では無い。
作品内での分類
作品内で登場した分類上の種族は、まともな仙人のほかに、
「邪仙」( 仙人でありながら仙道から外れていると天から認定され、邪気を持った仙人 )
「尸解仙」( 死んだフリや、実際に体を滅ぼして剣などの物に魂を移し人間体に変化させる等して、世間から一度死に、再び現世に蘇る術を使い仙人になった人間。手軽だが、死後の気配が体に付いてしまう )
が存在する。