概要
ハイエナの仲間は、主にアフリカからインドにかけての乾燥した草原に分布する。ややイヌに似た体形は、開けた土地に棲むことと関係があるようである。アードウルフ以外の種は頑丈な顎と歯を持ち、動物の硬い骨も噛み砕く。
「サバンナの掃除屋」と言われくらい獲物を綺麗に食べ、サバンナを綺麗にするのに一役買っている。逆にライオンは食べ残しが酷く、ハイエナはそれを見て「勿体無いから貰っている」というだけであり横取りしているわけではない(さらに言えばハイエナが食べないと死骸でサバンナが汚れる)。そもそもハイエナはライオンより遥かに狩りが上手いため横取りする必要などなく、寧ろライオンの方が積極的にハイエナから横取りしている。
よく見るとタレ目で耳が丸く、口を閉じてるときは結構愛嬌のある顔をしている。
進化
ハイエナ科の祖先が現れたのはおよそ300万年前。現在のヨーロッパに初めて出現したと考えられている。祖先の「プロティクティテリウム」がアフリカへと移り棲んだ。初期のハイエナは樹上生活に適応していた。昆虫や鳥、木の実を食べる雑食性だっとという。100万年後以降は、特殊な道を選び、大変繁栄した肉食動物で、種も多数存在していたが、氷河期を境に殆どの種が滅んでしまった。その理由は不明。
生態
夜行性で、腐った肉に群がる習性があるが、アードウルフのような例外(シロアリを主食)もある。シマハイエナはカニや魚なども食べる。死肉あさりというイメージが強いが、ブチハイエナは骨をも砕く顎としつこさ、群れの力を活かして獲物を狩る優れたハンターでもある。しかもその狩りの成功率は、ライオンが約20%であるのに対し、ブチハイエナはなんと約80%と、極めて高い。そしてブチハイエナの獲物は、そのほとんどが、自分たちで仕留めたものなのである。ライオンとは獲物を横取りし横取りされる間柄。ハイエナがライオンの獲物を横取りするというイメージが強いが、むしろライオンに獲物を横取りされる方が多い。ちなみに、咬合力も450kg前後と、ライオンの310kg前後の約1.5倍の強さを持つ。
ライオンキングのシェンジがそうであるように、雌がリーダーとなる女系家族であり「クラン」と呼ばれる群れを作り、雌の方が体も大きい。クランの規模は様々だが最大で80頭の規模が確認されている。こういった特性は哺乳類ではかなり珍しい(メスの方が大きくなるのはヒゲクジラの普遍的な特徴であり女系社会を形成するのはミーアキャットにウサギ、ゴンドウクジラなどにもみられるが、両方を兼ねそろえているのは限られている)。また、ライオンキングでは、非常に頭が悪い動物として描かれているが、実際は、霊長類に匹敵するほど高い知能を持っているということが、最近になって判明した。その詳細はこちら
生殖
ブチハイエナは雌のクリトリスが雄のペニスと同じくらいか、それ以上に大きく、偽陰嚢と呼ばれる脂肪の塊が股間についている。また発達した肛門腺が女性器のような形をしており、非常に雌雄が見分けづらい。そのため中世ヨーロッパではブチハイエナは両性具有の動物だと思われていた。また、近年でも円山動物園につがいとして韓国の動物園から寄贈された2匹がいつまでたっても喧嘩ばかりで生殖に至らないので調査したところ両方ともオスだったという事件が起こっている。(ブチハイエナの性別の訂正について)
一般的には勃起したペニスの先端が尖っていたら雄で、先端が平らな方が雌となる。交尾の際は、雌がペニスをひっこめ、そこへ雄のペニスを挿入する事になる。雌が交尾の主導権を握っており、前述にあるように雌優位社会である。ペニスの尿道にあたる部分から出産するため、非常に難産な動物である。初産の60%が死産、その際母親も20%が死に至る。出産後の雌には擬陰茎に出産の跡が残る。
その代わりクラン内で実母以外のメンバーも生まれた子供の世話をするため、出産時を乗り切った後の生存率は高い方である。
人間との関わり
アフリカでは、寝ている人間がハイエナに襲われる事例がかなり多い(アニメ『新機動戦記ガンダムW』では、張五飛がハイエナの群れに遭遇するも追い払うシーンがある)。逆に南アフリカのような治安の悪い地域では、番犬代わりに飼育されることもある。