概要
フルネームはビフ・ハワード・タネン(Biff Howard Tannen)。
シリーズを通しての悪役で、初登場時はサラリーマンのジョージ・マクフライ(主人公:マーティの父親)をアゴでこき使い、自分の仕事をさせたり、飲酒運転でジョージの車をぶつけるなどの悪徳パワハラ上司であった。
相手の頭を小突きながら「もしも~し?聞こえてますか~?」(または「頭はお留守ですかあ?」)と言うのが口癖。
「靴ひもがほどけているぞ」と言って相手が足元を確認したところで一発かますといった姑息な手を用いる一方で、頭の方はあまり良くない節が見受けられ、マーティの策略にハメられたり、しばしば言い間違えては子分に訂正されたりすることも(場合によっては「こういう時は何て言うんだっけ?」とビフの方から尋ねたケースもある)。
シリーズを通して馬糞に突っ込んで成敗されるのがお約束のパターンとなっており、『PART 2』以降は「俺は馬糞が大嫌いなんだ…」(「チキショウ!なんでいつも肥料なんだ!クソー!」、「もう肥やしはまっぴらだ…」)とぼやく台詞も追加された)。
劇中での活躍
PART 1
マーティ・マクフライがタイムスリップした過去の1955年では手下を引き連れた不良高校生であり、1946年型のフォードのオープンカーを乗り回しては、同級生のジョージに横暴を働いていた(とはいえ、その横暴ぶりはジョージに対してだけ向けられていたものではなかったようで、PART 2では、近所の子どもに対しても嫌がらせをしていた様子が描かれている)。
加えて若き日のロレインに気があったようで、セクハラまがいな事をしてまで何かと自分の彼女にしようとしていた。
ところがマーティが過去に割り込んできた影響により、高校の社交ダンスパーティーで見下していたジョージに渾身の一発で叩きのめされてしまう。
それから歴史が大きく変わってしまった1985年では、自分に自信をつけてSF小説家として成功していたジョージとは立場が完全に逆転し、マクフライ家のお抱え自動車整備士として一家には頭が上がらない状態となっていた(玄田氏版に至ってはマーティにも敬語を使い「坊ちゃん」と呼ぶありさまであった)。
PART 2
2015年では年老いた姿で登場。年齢のせいか、ひねくれた性格になっている。また、ソックリの孫息子グリフ(演:トーマス・F・ウィルソン)には頭が上がらないらしく、こき使われてしまっている。彼の血筋とマーティ一家との因縁は未だに続いており、グリフはマーティの息子のマーティ・ジュニア(演:マイケル・J・フォックス)に対して横暴を働いていた。ドクによると、彼らと共に強盗に手を染めてしまったことでジュニアは刑務所に入れられ、そこから芋づる式に家族に不幸が訪れるという悲惨な未来が待ち受けていた模様。ドクとマーティによってグリフとその一味だけが別の器物破損事件で留置所に送られる羽目になり、ジュニアは救われた。何かと自分をこき使うグリフのことは嫌っていたらしく、逮捕されても「間抜けが」と吐き捨てていた。
一方の老人ビフは、1985年から来た2人の話を盗み聞きしてドクのデロリアンDMC-12がタイムマシンである事を知り、2人が連れてきたマーティの彼女を救出している間に勝手にデロリアン(タイムマシーン)で過去へタイムスリップし、なんと未来に関するデータ本である『スポーツ年鑑』を過去の自分に手渡したのであった。
そのことにより1955年以降のビフは競馬やサッカーくじといった賭博で大儲けし、それを元手に大富豪となっていく。そして、遂には彼が財界人としてアメリカ全土を支配するという改変された1985年ができ上がってしまっていた(加えて、ジョージを射殺してロレインを手籠めにするという暴挙まで働いていた)。
しかし1955年にやってきたドクとマーティにより、壮絶な争奪戦の末に高校生のビフはとうとうスポーツ年鑑を取り上げられてしまい、そこから(『PART 1』と同様に)馬糞の肥料を積み上げたトラックに愛車ごと衝突してしまい成敗された(これにより、ビフが大富豪となりアメリカを牛耳る世界線も同時に消滅した)。
ちなみにデロリアンを悪用した老人ビフは、過去の自分に年鑑を渡して帰ってきたところで、歴史改変の影響で徐々に体調に変調をきたしていき、最終的に消失してしまうという悲惨な末路を辿っている。ショッキングなシーンであるためなのか、本編ではカットされているが未公開映像・DVDの特典映像として視聴することは可能である。ただし、上記のように歴史が元に戻ったことで最終的に彼の存在も元通りになっている可能性が高い。
劇中で描写されることはなかったが、裏設定によると富豪となったビフは最終的に我慢の限界に達したロレインによって射殺されるという因果応報な結末を迎えたとのこと(消滅する老人ビフが胸を手で抑えて苦しんでいたのはこれへの伏線であったようだ)。
PART 3
ドクとマーティが西部開拓時代の1885年に飛ぶ『PART 3』では、同じウィルソン氏が演じる曽祖父のビュフォードが登場する。
マッド・ドッグのあだ名(ただし、本人はそう呼ばれることを非常に嫌っている)で知られる凶悪な無法者の殺人者で、ドクやマーティとも大いに揉める事になる。子孫と同様、頭の方はあまり良くなく、それが災いして最終的にはマーティの奇策にまんまとハメられてボコボコに殴り倒された挙句、子孫と同じく荷車の肥料に倒れこんだところを保安官に逮捕された。
その後マーティが1985年に帰還すると『PART 1』のラストと同じ明るい我が家に戻っており、ビフもマクフライ家には愛想のいいお抱え整備士に戻っていた。
余談
ビフとその子孫と先祖を演じたトーマス・F・ウィルソンであるが、シリーズ三部作を通じて本物の肥料(クソ)に突っ込んだ体当たり演技のおかげからなのか、アカデミー賞助演男優賞を受賞した。
なお演じた役柄とは対照的に、ウィルソン氏は幼少期は大人しい性格で逆に周囲からいじめられる立場であったといい、役者の仕事ゆえ仕方がないとはいえいじめっ子役を演じるのは非常に心が痛むものもあったと述べている。
『PART 3』ではスタントなしで乗馬の演技に臨んでいる。馬に乗りながら投げ縄を投げるシーンにはかなり苦労したとのこと。
関連タグ
:脚本家のボブ・ゲイルによると悪の改変がされた1985年のビフは、制作当時不動産王として有名な財界人であったトランプ氏をモデルにしており、その後シカゴ・カブスのワールドシリーズ優勝と合わせて彼が実際に国家の権力者たるアメリカ合衆国大統領となった事から、「まるで未来を予言していたかのようだ」と世界中で話題になった。ちなみに権力者になっていた時のビフは、大統領就任時のトランプ氏の容姿ともよく似ておりこの点でもよくネタにされている。