概要
陽キャラの対義語。人によって定義はまちまちなのだが、要は根暗のこと。
解説
オタク(キモオタ)、引きこもり、メンヘラなどいわゆるインドア系に多い性格とされている。また、ある程度アウトドアであってもサブカル系だったり顔がチー牛系統だったりイケてるキャラではないと陰キャラだとされやすい。オタクでなくても大人しければ陰キャ扱いされることも多い。
このようにかなり人によって定義がばらけるのが特徴。各々が思う「社会的に負の人間性」の集合体とも言える概念であろう。
元々は2010年前後くらいから存在する学生スラングだった。この頃はさほど流行っていたわけでもないが、2014年頃から匿名掲示板なんJで人気が爆発。陰キャのレッテル貼りが盛んになり、煽り目的や荒らしに使われる事が多くなった。同時期のTwitterなどのSNSの普及もあり、陰キャという言葉・概念は多くの十代〜二十代にとって身近になる。
定義が混沌としているのは、このように煽り目的での使用が広まったことやネット/リアルでのコミュニティによって使われ方に差異があるからである。
いわゆるヤンキーやギャル系のグループ内で自虐で使われる「陰キャ」が匿名掲示板内での煽りの「陰キャ」と全然指しているものが違うこともよくある話。
陰キャと陽キャの両方の属性を持つ人も多いとか。人間だから当たり前であるが。
陰キャという言葉が包括する属性
複数の属性を持てば持つほど陰キャと呼ばれる可能性は高い。
- 内向型……外向型と違い一人でいる時間が長く必要なタイプの人間。日本人には多いとされている。おとなしさや思慮深さ、ネガティブさに繋がることも多く、それは陰キャ的な特徴である。インドア系だったり一人で完結する趣味を持つものは内向型が多い。もちろん外向内向どちらともの特徴を兼ね揃える者もいる。
- いじめられっ子/スクールカースト下位層……内向型の中にはスクールカーストが低く、上位層に押し切られたり無碍にされる者も多い。彼らは間違いなくいじめっ子にとっては陰キャである。ただしカースト外のぼっちや一匹狼でも陰キャとされる場合もある。また、比較的上位のカーストであっても寡黙・冷静であったりいじられキャラの場合は陰キャとされる者もいる。一人でいても平気な者はある程度恵まれており、真の下位層は、まるでビリがブービー(に見える人物)を探すような行動で攻撃に走る人物、趣味や悪口不要の好きな人物を探さない人物だという説もある。
- 運動音痴/人見知り……いじめられっ子に多い要素。リズム感や反射神経が鈍い人間。内向型+運動音痴だと特に球技と相性が最悪で球技が下手な人間は大概学校で陰キャだと思われる。またボディランゲージや「キモくない」「変じゃない」体の挙動、身体や五感の安定した使い方は陽キャとされる人間に非常に多く見られる特徴。これが陽キャの「盛り上がる」ノリや会話にも繋がっている。そのためそれらの能力が低いとルックスが良かったり人間性が明るくても一気に陰キャらしさが出る。後述の発達障害などとも関連があり、「人間関係以外の話(物の話、架空の人物の話)」「好きな話」「好きな人とのマンツーマンの会話」限定で盛り上がることができる人間もいる。
- 優等生/ガリ勉……特に低偏差値の学校においては勉強ができると陰キャ扱いされる。通常この傾向は大学くらいまでにはなくなる。逆に学歴厨的なマウンティングが始まり、理系や地方の大学、国公立大学、低学歴が陰キャだとされることもあるが、これはネットの一部でしか行われていない。
- 真面目……ルールや権威に忠実であること。髪染め、パーマ、整髪料、ピアス、飲酒、喫煙、大麻、タトゥー、クラブ遊び、セックス、風俗、浮気、ギャンブルといったDQN系の行動を忌避し批判する。内向的な人間に多い。真面目な人間には真面目系クズも多いが、それもまた陰キャ扱いされやすい属性(余談で、陽キャにも「見た目や雰囲気が優等生、真面目っぽい」人間がよくいて、そっちが真面目系クズかどうかは一つの時代が終わってから判明する)。また、不真面目だったりDQN系の趣味を持っていたとしても、友人が少ない、あるいは過度に反抗的(陽キャやDQNはルールは破っても一線を弁えることが多い)だとすると陰キャとされやすい。
- オタク……分野はなんでもいいが、何か特定の分野に詳しい人。しかし多くの人間に趣味や好きなことがあるので、いかに幅広い知識・体験があるのか、分野がメジャーなのか・女受けするのかなどで陰キャ呼ばわりされるかが左右される。特に科学や歴史などといった男性的でありマイナーや分野は陰キャとされやすい。しかし身なりや言動が洗練されており明るければ問題にならないことも多い。また、特に何かに詳しくなくても過度に理屈っぽいとオタク扱いされやすい。サブカル系やEDM、ロック・バンドなどはオタクや陰キャとされないことも多いが、されることもまた多い。
- 二次元オタク……アニメ、漫画、ゲームなどインドア中心で二次元に没頭する人。非二次元系のオタクに比べると、身なりが洗練されていたり、喋り方や挙動が明るい場合(キモくない場合)でも陰キャとされやすい。また二次元ではないがアイドルや鉄道なども同じように括られることが多く、事実陰キャとされやすい。しかしアクティブ系や明るい系のオタクで、二次元の充実度と三次元の充実度が比例していて、二次元キャラの描き方、解釈の仕方がキモくないオタクであればあれば陰キャから外れる場合もある。
- キモオタ……外見や言動がキモいオタク。あるいはオタクでなくても、いかにもキモオタっぽい外面であればキモオタ認定そして陰キャ認定までは早い。清潔感や体型に左右される。
- チー牛……「三種のチーズ牛丼」のイラストのような顔の男性のこと。キモオタ顔とされる顔のひとつ。実際言動が明るくてもキモオタ、陰キャとされやすい。アデノイドもまた陰キャとされやすいが、コンタクトや髪型、表情などで定型的なチー牛顔から脱している場合、言動が洗練されている場合などは通常チー牛とはされない。ただし現在チー牛も陰キャと同じく概念が拡大している。
- ブサイク/ブス……キモオタ風でなくチー牛顔でもない不細工は存在し、彼ら彼女らもまた陰キャとされやすい。しかし上に挙げた属性よりは断然その確率は低く、特に非オタであったり明るかったりすると通常は陰キャ認定されない。DQN系や体育会系にも大概不細工は混じっている。
- 非モテ/童貞……かなりの場合で陰キャとされやすい。大人しさやオタクさと親和性が高いためだろう。オタクでもモテている場合は陰キャとされにくい一方、非オタでも非モテ、童貞ならばそれが明らかになった途端陰キャとされる確率は高い。性格が明るくても女の体を無理矢理触ろうとし、殴って追い返される女に好かれていない男は陰キャ扱いされやすい(女に彼氏がいない場合は性格の悪い第三者に「喧嘩するほど仲がいい」と言われる可能性があるが、大体その女はTPO、相性、容姿や性格の好みが上の陽キャ男のほうが好きで漫画のようには行かない。男女両方に言えるし相手が同性の場合も言えるが、特別仲がいいと勘違いされる可能性は周りにいて会話を交わしたことがあるすべての人間に言え、特に嫌いで露骨に嫌がらせをしてきて隠れファンもいない者のみを恋人だと断定する意味は皆無であろう)。友達がいても友達が全員陰キャ仲間の場合や第三者が様子を掌握できる場合は陽キャ扱いしない厄介な人間もいる。
- カオナシ……非モテや童貞の親和性が高いため、必然陰キャとされやすい。しかし二次元オタクと同様に明るければ陰キャとされないこともある。
- 発達障害……特にASD/アスペルガーの場合、その特徴のほとんどが陰キャ的とされるものである。ADHDの場合はその特徴から必ずしも陰キャと言われることはない。しかし発達障害とは社会との衝突度合いで決まるものであり、ASDとADHDの併発や混合も多いため一概に言い切ることはできない。
- メンヘラ/内剛外柔……内向型の人間はそもそも自分のペースを守らないと病みやすいため、メンヘラ的な人間は陰キャ的な特徴を持つ。またオタクとメンヘラの親和性も高い。ただし同じく親和性が高いとされているバンギャやホス狂などはアクティブ〜DQN的なイメージがあるからか、またはある程度の容姿がある場合が多いからか陰キャとされないことも多い。
- 対物性愛者(恋愛に興味がないタイプ)/同性愛者……少数派で理解者が少ないために陰キャになってしまうパターン。ムッツリスケベ認定されやすいため、陽キャのいるグループでお洒落に嵌ったら即生意気認定され、力づくで阻止される。自分に突っかかる同性から離れて恋人のように楽しい話ができる同性のみをチョイスするため、陽キャにありがちな「交流数、落とした異性数で張り合う」「部下にする」「悪口や噂話で繋がる」「仲の良し悪しに関係なく連れションする」という発想そのものがなく、同性と繋がる理由が陽キャと完全な別もの。友達と争うとしてもせいぜい「同じ人物を好きになって喧嘩をする」程度で滅多に肉体関係には及ばず(いかにもな愛憎関係に見えるが、実は広く浅く付き合い、他者との比較で自分の立ち位置と優劣を決める陽キャは一人の人物にのめり込むことはせず、周りにいる人物ほぼすべてに手当たり次第手を出して体しか狙わないなんてこともある)、好きな人物がいたら「二次元キャラ化してそこから更にいじる」「親しい人以外に知り合いの存在は話さない」(どっちみちやましいことをしていないのもあるが)といったオタク特有の萌え方をするため、昼ドラのような関係にはならない。棲み分けの意識はあっても帝国主義(好き嫌いに関係なくすべての城を侵略するか潰すか奪い取る)の意識はなく、棲み分けは争いを最小限にする努力であり、無視するいじめとは別もの。なのに陰キャ扱いされている。
などなど。上の属性やその派生を一つでも持っていれば陰キャのレッテル貼りはされる可能性がある。また、同じ属性を持っていても比較的男性の方が陰キャ扱いされやすい。
これらをまとめて、「絶対にどこに行っても陰キャとされない人間」を構想すると……
外向的でいじめとは無縁、友達や知り合いが多く、球技やダンスが得意な一方で勉強や座学で目立ったことは一度もなく、お洒落やセックスを楽しみつつガリ勉せずに推薦や内部進学などでMARCH〜早慶あたりの私立文系の大学に通い、広く浅く経験があるが深い知識やサブカルチャーに疎く、ルックスが美しく華やかでEラインがあり、恋愛経験豊富、セックス好きだが水商売はせず、誰かに貢ぐようなことはなくむしろ貢がれている定型発達者の女性(落ち込んでもすぐに立ち直る。自己肯定感高い)。本人は「これぐらいは挨拶代わりや冗談で済まされて当然っしょ?」といった悪ノリやからかい以外で他人の悪口は言わず(優しい訳ではない)、都合良くブサイクの彼氏と本人が劣等感を抱く同性の友人はおらず、格下の女性とは仲良くなく(陽キャの意地悪さではなく陰キャの僻みっぽい性格に起因)、他人が抵抗したら周囲がその人物を嫉妬と見なして総攻撃し、本人が他人に抵抗したら周囲がいじめではなく心配・注意喚起・自己保身と見なして全肯定し、知り合いに陰キャがいたら周囲が追放し(その際、陰キャを友達扱いして庇うことはない)、内向型・真面目を差し置いて清楚、お淑やか、優しい女性扱いされ、周囲が陰キャから盗んだものを貢ぎ、本人が手を汚すことは滅多になく、男を立てる女でもフェミニストでも物理科学に詳しい人間でもないが友達数で困ることがなく、男尊女卑社会で性別、容姿、年齢で貶められることが滅多にない奇跡の人(※)となるだろう。
それ以外は誰しも陰キャと言われる隙がある。
※余談だが、このような人物がいたとすれば本来の意味のサイコパスに似ている。雑談などで使われるサイコパスという単語はネガティブでいかにも危うげな人間(これも陰キャ的属性)に対して貼るレッテルだが、定義を考えると大間違いである。サイコパスは魅力的で自己演出に長け感情が豊かなようで実は薄っぺらい人間なため、むしろいわゆる陽キャに多いだろう。
なお、外見的陽(陰)キャと内面的陽(陰)キャは定義が異なっており(恋愛経験と現状の満足度を知っているのは本人だけなため)、これに個々のばらけた定義が加わると殆どの人がお手上げであろう。「最も多い中位層かそうではないか」(今日日、発達障害ですら珍しくないため)「あからさまな不審人物ではないか」(生まれつき顔が悪くてもモテなくても、気を付ければここまで酷くはならない)を意識している人が一番多そうである。
使用の注意
使う人によって意味合いや目的が変わる言葉のため、安易に煽りやいじりに使うと最悪人間関係が崩壊するどころか、自分や身内に危険が及びかねない。陰キャは日本に数多く、中には殺人も厭わない無敵の人もいるのである。そこまで行かなくても、コンプレックスやマウント意識、心の地雷原を持つ人が増えており世の中から最近どんどん余裕が失われているのは事実である。
そもそも本当に明るい人間なら煽る必要もないのである。いじめ・理不尽な行為の被害者は脳に損傷を負い、その後逆転したり成功してもネガティブな心理傾向を引きずるというデータがある。そういう意味では十代の明るくて加害的・無神経な人間が陰キャを大量生産していると言える。しかし陽キャ寄りの人ならばいくらでも世の中に楽しいことがあるはずなので、そちらにコミットした方がいいだろう。(陽キャ寄りの者にとって誰かをいじることや「正しさ」からの逸脱を指摘することは至上の娯楽であり、それを我慢するのは能力的にも難しいかもしれないが) 繰り返すが陰キャ的人間が世の中に増えると社会不適合者も増え世間の空気も悪くなり、長期的・全体的に見ると陽キャにとっても不利なのである。(賢い陽キャ的人間はそのことを知っており、また世渡りの上手さから成長するにつれ異端に対して攻撃・嘲笑する代わりに無関心になる。しかしそれでも思わぬところで人を傷つけている場合は多い)
また、陰キャ気質を持ちながらも自分はあいつよりは陰キャじゃない、と見下し安心してしまう傾向のある中位層もまた注意した方が良いだろう。健全な競争をのぞけば、人と比べることには何の生産性もないのである。(また、いわゆる陰キャとされる人間の中には、そもそも陰陽の概念や人目を気にするという考えもなくマイペースに生きている者も多い。そう考えると陰キャ煽りとは空気に喧嘩をしかけているようなものであるし、無言で煽る側と煽られる側の普段の悪口量を聞き比べ、噂話と実際の性格の違いを見比べている人たちがいる。煽って来ない人がもっとも怖いのだ。)