概要
主にいじめの対象になりやすい子供のこと。青年や成人に対して使われることは稀である。
いじめをした場合はいじめっ子の方に責任がある。
ただしこれはあくまで現実世界における概念であり、フィクション作品においては
「酷いいじめに遭っていた人物が屈辱のあまりもはや同情の余地も無いレベルの極悪人に変貌し、それ相応の報いを受ける」
という展開が稀に見られる為、そういった例に限っては必要悪としての役割も併せ持つ。
特徴
- 社会的または集団的、能力的弱者。または何らかの理由で報復・抵抗できないもの。
- その集団に対して単独で敵対または孤立している。
- 周囲から(一時的にでも)高い評価を受けている。
- その集団に属しながらも明らかに異質な存在。
- 大人などの庇護下にないもの。
フィクション作品において「いじめられっ子(いじめの被害者)」のパターンは二通り存在する。
一つは、
・「加害者側を憎んでいるものの、自身の目的の為に他人に迷惑を掛けてはならないという真っ当な善の心の持ち主」
というもの。
こちらは次第に同情する仲間を増やし、尚且ついじめを乗り越える為の自身の成長が描かれる事で作中の仲間達だけでなく読者、視聴者からも応援され、見事報復を果たした際には賞賛される。
加害者と完全に和解する作品も無い訳では無いが、多くの作品では加害者は大きな懲罰を喰らう。
(自分がいじめられる立場になる、周りからの信用を失う、いじめが明るみに出た事で親の会社が倒産して一気に貧しくなるといったものから少年院や警察の世話になったり作品によっては死に至るものまである。)
中には被害者が内面的な成長、経験を積む事で報復の事などどうでもよくなってしまうというパターンもあるが、その場合でも本人が関与しない所で加害者が手痛い目に遭う事が多い。
こういった作品に込められたメッセージは
「誰にでも救われる道はちゃんとある」
「悪い事をすると必ず自分に返ってくる」
であり、現実世界におけるいじめや差別に悩まされている者に勇気を与え尚且つ加害者側にもいつか自分もこういった目に遭うという教訓の役割も果たしている。
もう一つのパターンは、
・「理不尽な被害に遭ってこそいるものの世間から見れば間違い無くズレた存在であり、報復の為なら卑劣な手段や犯罪にも手を染め尚且つ罪の無い他の人の事を考えない性格の人物」
というもの。
こちらは当初こそ何の落ち度も無い善良な被害者として描かれるものの、次第にもはや読者や視聴者ですらいじめたくなるような陰湿で悪どい本性を露わにする事が多い。
(いじめの被害者である事を免罪符として悪質な手段に走る、無関係な人物を犠牲にする等)
中には報復もそっちのけで自分より弱い子供に危害を加えるようになる等完全なる悪人にシフトする例も見受けられる。
そして、多くの場合こういう人物が敵視するいじめの加害者達はルックスも良く成績優秀、スポーツ万能、他人を気遣える思いやりの持ち主等周りから非常に信頼される立場にあり、「弱い者いじめをする事以外は完璧な人物」として描かれるのである。
このパターンの被害者はいじめに立ち向かう意志こそ見せるものの、やり方や心構えが明らかに間違っており報復を果たす、果たさないに拘らず最終的に当初のいじめを遥かに上回る不幸な目に見舞われる事が多い。
こちらに込められたメッセージは
「自分が被害者だからといって軽率に仕返しをしてはいけない」
「憎しみからは何も生まれない」
である。
関連タグ
野比のび太・・・おそらく最も有名ないじめられっ子。ひみつ道具の力で報復を果たすものの、調子に乗り過ぎて痛い目を見る事が多い。
週刊ストーリーランド・謎の老婆・・・『かえすマスク』編にいじめられっ子の主人公、田辺マサルが登場する。
こちらは上述ののび太のように老婆から購入した不思議な商品の力で報復を果たすものの、外部からのあらゆる痛みを受け付けない無敵の身体を手にした事で不良グループのトップとなり無差別暴行やカツアゲに明け暮れるようになる等落ちるところまで落ちてしまい、最終的に盲腸炎という内部からの痛みで死に至った。(手術をしようにも刃物であるメスを身体が受け付けなかった。)
スター団・・・いじめの被害者達が結成した組織。しかし、こちらは元凶である加害者達が最後まで一切登場しなかった。
斉藤慎二・・・「いじめられっ子が逆に悪人と化す」という流れを現実世界において見事に具現化させた人物。