概要
「究極の格闘ゲーム」というコンセプトで開発されていた『ストリートファイターⅢ』に対し、
その間のつなぎ企画として開発・稼働したシリーズ。
当初はあくまでつなぎ企画としての始動だった為に、商業的にもそこまで
大きな期待はされていなかったようだが、プレイヤーからは好評を博し、
「ZERO」「ZERO2」「ZERO3」の他、それぞれのバージョンアップ版・移植版が発売された。
初代の稼働は1995年、ZERO2は96年、ZERO3が98年稼働。
後に、家庭用版ZERO3↑(アッパー)が逆移植という形で01年にアーケードで稼働した。
上記のようなタイトルであった事から、「一定の開発期間でどこまで作り込めるか」
「スーパファミコンなど、家庭用ゲーム機に移植できるか」という開発コンセプトがあり、
スト2のスプライト(ドット絵)で使われていたタイリングを廃し、
ヴァンパイアシリーズのようなアニメ調のスプライトを採用している。
結果として開発期間短縮につながったほか、多くのスプライトパターンを用意できるために
アニメーションが滑らかになる、新キャラ・隠し要素を数多く入れられるなど多くの利点があった。
本シリーズ用に作られたスプライトは後の作品やクロスオーバー系作品でも
流用されており、シリーズにとって大きな資産となったタイトルである。
ストーリー、世界観的には初代『ストリートファイター』と『ストリートファイターⅡ』の間を意識しており、
言ってみればスト2の前日譚的な部分が強い。
しかし、村田治生氏や船水紀孝氏は本作の世界観はあくまでパラレルワールドとなっており、
厳密には全ての設定がストリートファイターシリーズで共通していると述べており、
必ずしも全部が以後のストーリーに反映されているわけではなかったりする。
欧米では「ZERO」ではなく『Street Fighter ALPHA』シリーズとして展開された。
登場キャラ
初代ZEROから登場
ZERO2で追加
ZERO3で追加
- エドモンド本田
- ブランカ
- バルログ
- M.バイソン(ACでは隠しキャラ。家庭版では最初から使用可能)
- コーディー
- 神月かりん
- レインボー・ミカ
- ユーリ(ACでは隠しキャラ。家庭版では最初から使用可能)
- ユーニ(ACでは隠しキャラ。家庭版では最初から使用可能)
- フェイロン(家庭版ZERO3で追加)
- ディージェイ(家庭版ZERO3で追加)
- サンダー・ホーク(家庭版ZERO3で追加)
- ガイル(家庭版ZERO3で追加。PS版・GBA版では隠しキャラという扱い)
- ユン(GBA版ZERO3↑で追加)
- 源柳斎真紀(GBA版ZERO3↑で追加)
- イーグル(GBA版ZERO3↑で追加)
- イングリッド(PSP版ZERO3↑↑のみ登場)
ゲームシステム
スーパーコンボ・オリジナルコンボ
スーパーコンボゲージを消費して使える、いわゆる超必殺技。
スーパーコンボが『ⅡX』で1キャラ1つだったのに対し、ZEROシリーズでは2~4種類に増加。
また、Lv1~Lv3版が追加されており、作品によって方法が違うが任意に使い分けられる。
ZERO2からは通称オリコンと呼ばれたオリジナルコンボが導入され、
スーパーコンボゲージを全て消費する代わりにゲージが0になるまでの間、
必殺技を含む全ての技をキャンセルして次の技を出し、オリジナルのコンボを決められるようになった。
ZERO3は特にこのオリコンが強力になっており、色々と危険なコンボが可能だったりするために
後の作品ではオリコンが登場してもかなり弱体を受けている場合が多い。
ISMシステム
ZERO3ではキャラクター選択のあと、更にISMと呼ばれるゲージシステムを選ぶ事ができる。
能力値に補正が入るだけでなく、上記のスーパーコンボ関連の使い勝手が大きく変わるため、
どのキャラをどのISMで使うかという戦略性が出た。後にカプエスシリーズへ受け継がれている。
- Z-ISM(海外版ではA-ISM):オーソドックスなZEROシリーズ準拠の性能。
- X-ISM:スーパーコンボの使い分けができない、防御系のシステムが使えない反面基礎性能が非常に高い。
- V-ISM:スーパーコンボではなくオリジナルコンボが使える。
なお、家庭版・バージョンアップ版では以下のものが登場する作品がある。
- ノーマル:通常と同じ。モードによるステータス補正が無効。
- 本気:攻撃力上昇。しかし、KOされるとその場でゲームオーバーになる。
- クラシカル:ISM選択なし。X-ISMで使えるシステムも削除される。
- S-ISM(シャドルー-ISM):Z-ISM基準にアレンジされている。CPU専用だが、一部の作品では隠し条件でプレイヤーも使える。
- サイキョー流:ガードゲージがかなり減少している。
- オレ-ISM:ワールドツアーモード用のISM。
ドラマチックバトル
ZERO2以外の隠しモード。2vs1の変則的な対戦を行えるモードで、
リュウ・ケンvsベガのように決まった組み合わせのみ発生する。
逆に、プレイヤーが1人で2人の敵を相手にするという組み合わせもある。
ZERO2 ALPHAでは独立モードになった他、以後の家庭用移植版では専用モードとして
独立しており、好きな組み合わせでドラマチックバトルを行う事も可能になっている。
なお、上記のリュウ・ケンvsベガは劇場版『ストリートファイターⅡ MOVIE』の
クライマックスシーンの再現となっており、この試合のみ『恋しさと せつなさと 心強さと』の
インストバージョンが流れるという熱いファンサービスがあるものの、
JASRACに支払うお金で基板の開発コストが上がったと言われていたりもする。
なお、インターネットスラングとして登場人物が2vs1で相手をボコボコにする
シーンなどで「ドラマチックバトル」と言われる事があるが、本作のこのモードが元ネタである。
その他の細かい変更点
原則的に空中ではガードができず、空中コンボ・受け身などの要素も無かった
「ストⅡ」系列の作品に対し、本作では空中ガードが可能になっている。
ZEEO3では空中に居る相手にコンボを入れられるようになり、それに伴い空中受身も実装。
ガード系のシステムはオートガード(オートモード)が登場した。
これもヴァンパイアシリーズと同じく、ZEROではZEROコンボという名称で
チェーンコンボのようなシステムが登場したが、ZERO2では廃止され、
一部のキャラクターのみの要素として残っている。
評価・バランス
大幅に画風が変わった事は賛否両論あったが、より多くのキャラクターが登場した事や
新キャラクターの人気が高かった事などから、最終的な評価は高めとなっている。
当初はキャラクター数が少なめだったものの、春日野さくら、レインボーミカ、神月かりん、ユーリ、ユーニ、
ローズ、源柳斎マキなど、女性ファイターが数多く追加されたのも本シリーズである。
ただし、春麗のコスチュームがおなじみのチャイナ服風の衣装でない事や、
ベガが映画のイメージに引っ張られてゴリマッチョ化+飛び道具を使うキャラになるなど、
既存キャラのイメージ変更に困惑する声はあった(なお、前者はZERO2以降で隠し版としておなじみの衣装の春麗を使えるようになった)
前作で操作性に難があった部分もきっちり改善されており、
全体的に動きが軽快になっており初心者でもキャラを動かす面白さがわかりやすい。
移植版が非常に多く出ていた事から、格ゲーの入門用として触りやすく、
当時格ゲーを始めた人にとっては馴染みのあるタイトルに挙げられる事が多い。
バランス面はオリジナルコンボに絡むものを除くとおとなしく収まっている。
しかし、そのオリジナルコンボが異常に強力という問題点もあり、
ZERO3では「着キャン」と呼ばれるテクニックによって永久に持ち込むのが容易なため、
このオリコンは「格ゲー史上一番ヤバかったシステム」等と言われる事もある。
一方で、[[[世紀末ゲー>AC北斗の拳]]としてこれを楽しむ人も普通におり、
上級者どうしの対戦ではこれを駆使した激しい戦いが繰り広げられているという面もある。
移植版
非常に多くの移植版が出た事が本シリーズの特徴となっている。
- ストリートファイターZERO(プレイステーション、1995)
- ストリートファイターALPHA(ゲームボーイカラー、2001)
- ストリートファイターZERO(携帯アプリ版、2006~2007)
- ストリートファイターZERO2(プレイステーション、1996)
- ストリートファイターZERO2(携帯アプリ版、2007~2008)
- ストリートファイターコレクション(セガサターン、1997)
- ストリートファイターZERO2'(セガサターン、1998)
- ストリートファイターZERO&ZERO2(Windows、1998)
- ストリートファイターZERO3(プレイステーション、1998)
- ストリートファイターZERO3 サイキョー流道場(ドリームキャスト、1999)
- ストリートファイターZERO3 サイキョー流道場for Matching Service([[ドリームキャスト、2001)
- ストリートファイターZERO3↑(ゲームボーイアドバンス、2002)
- ストリートファイターZERO3↑↑(プレイステーション、2006)
- ストリートファイターZERO Fighter's Generation(プレイステーション2、2006)
- ストリートファイター30thアニバーサリーコレクションインターナショナル(プレイステーション4、Nintendo Switch、Xbox One、Steam、2018年)