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穴熊の編集履歴

2021-10-29 17:47:23 バージョン

穴熊

あなぐま

もっとも有名な将棋の囲いの一つ

曖昧さ回避

  1. 将棋の囲いの名称 本項で解説
  2. イタチ科アナグマ亜科アナグマ属→アナグマ
  3. 聖剣伝説LOM』に登場するキャラクター。→アナグマ(聖剣伝説LOM)
  4. ソニック・ザ・ヘッジホッグ』に登場するキャラクター。→スティックス・ザ・バジャー
  5. 少年漫画『ONEPIECE』の映画作品に登場する人物。→アナグマ(ONEPIECE)

概要

将棋における囲いの一つ。王将香車の下に潜り込まして盤の隅に置き、その周りを金将銀将で固めた陣形。飛車は左側のままで玉を右側に囲う居飛車穴熊と飛車を右側に振り、玉を左側に囲う振り飛車穴熊の2種類がある。

もっとも有名な将棋の囲いの一つであり、特に対抗系の将棋で居飛車側が居飛車穴熊に、振り飛車側が振り飛車穴熊に組む「相穴熊」と呼ばれる戦型は根強い人気を誇る。


ちなみに居飛車穴熊は「イビアナ」、振り飛車穴熊は「フリアナ」と略されることが多い。また穴熊に囲うことは「熊る」「グマる」と略される。他にも穴熊特有の表現として玉を隅に置いた後、居飛車穴熊では8八(2二)の地点に、振り飛車穴熊では2八(8二)の地点に銀を動かすことを「ハッチを閉める」という。

歴史

振り飛車穴熊黎明期

穴熊自体は江戸時代から知られており、この時に用いられていたのは全て振り飛車穴熊である。しかし穴熊は玉を含めた駒が一ヶ所に集中して自陣がスカスカになりバランスが悪い、組むのに手数がかかることなどから長らく邪道視されてきた。

このような風潮を打破したのが大内延介である。大内は振り飛車穴熊の戦法を確立し、各棋戦で穴熊を用いて結果を残す。大内の活躍により穴熊が認められ、プロの間でも一大戦法へと成長した。

居飛車穴熊の誕生

振り飛車穴熊が流行をする中、「居飛車側でも穴熊を作れないか」という試みが始まる。玉を右側に囲う振り飛車と違い、居飛車だとが邪魔をして穴熊に組みにくいのだ。この課題を克服して現代に通じる戦法として居飛車穴熊を体系化したのが田中寅彦だ。

田中が居飛車穴熊を用いて高勝率を示したため居飛車党の棋士たちは対振り飛車の戦いにこぞって居飛車穴熊を採用し、振り飛車を絶滅寸前にまで追い込んだ

現代の穴熊

居飛車穴熊によって振り飛車は駆逐されたかに見えたが、近藤正和ゴキゲン中飛車藤井猛藤井システムなど「攻める振り飛車」の登場によって居飛車穴熊は一時期鳴りを潜めるが、松尾流穴熊の登場などによって近年はこれら二つすら克服しつつある。

一方振り飛車穴熊も以前ほどの主流戦法ではなくなったが2010年に広瀬章人が振り飛車穴熊を駆使してタイトルを奪取するなど新しい可能性を示した。


ソフトの感覚が重視されるようになった現代の将棋では「陣形は固さよりバランス重視」という風潮にあるため全盛期ほどは穴熊を見かけることはなくなったが、それでもなお、特に居飛車穴熊は対抗系における最終手段としてしばしば盤上に出現し続けている。

特徴

利点

とにかく固く、玉が遠い。穴熊の状態は絶対に王手がかかることのない「ゼット」の状態であるので、相手に駒を渡してもすぐには自玉が詰まされない。そのため飛車や角などの大駒を切るような大胆な攻め、多少強引な攻めをおこなうことが可能である。

例え相手に穴熊をはがされたとしても持ち駒で陣形を埋める作業さえすれば陣形は何度でも復活させることができ、いわば持ち駒さえあれば永遠に穴熊を作り直せる。そのため終盤に劣勢になったとしても粘りやすく、逆転を起こしやすい。

欠点

とにかく組み上げるのに時間がかかる。これが穴熊のもっとも有名かつ最大の弱点。考案されている穴熊対策のほとんどは穴熊が組みあがる前に短期決戦で勝負を決める、というものである。

また駒が一ヶ所に偏ってしまうため大駒の打ち込みに弱かったり、攻め駒も守りに使ってしまうこともあるので攻めが細くなりやすいことが挙げられる。特に後者は言い換えれば「高度な攻めの技術が必要とされる」ということであり、ぶっちゃけ攻めの技術があまり身についていない初心者に穴熊は向かない。一直線に穴熊に組んでしまって気づいたら自陣はボロボロ初心者がよく見かけられる。

他にも穴熊には一切手を付けられず穴熊側の攻め駒が全て取られ、穴熊側からは攻めの手段が一切なくなり手も足もでなくなる状況もある。これは「穴熊の姿焼き」と呼ばれ、この状況になってしまえばもはや穴熊側はなすすべもなく相手に殺されることが確定するのでこの時点で投了することもしばしば。

穴熊の種類

振り飛車穴熊

  • 振り飛車穴熊

振り飛車穴熊

最もオーソドックスな穴熊であり、全ての元凶。正方形の形が美しい。

居飛車穴熊

  • 居飛車穴熊

居飛車穴熊

現在もっともよく見る穴熊。7八の金が6七にあるバージョンもある。

  • 四枚穴熊

四枚穴熊

とにかく固い。ここまで組めれば作戦勝ちだが、攻めの銀を穴熊に使っているため組むのに時間がかかり攻めが細くなりやすい。

  • ビッグ4

BIG4

穴熊の弱点である端もカバーでき、非常に固い。しかし四枚穴熊以上に手数がかかってしまい実戦で組みあがることはまずない。

  • 松尾流穴熊

松尾流穴熊

プロ棋士の松尾歩が考案した穴熊。狙われやすい角頭も金でカバーしており、この段階まで組めればプロ間ならば居飛車の勝率8割とも。

  • 田尻穴熊

田尻穴熊

アマ強豪の田尻隆司が考案した穴熊。横からの攻めには以上に強いが上は通常のモノよりももろい。

  • 銀冠穴熊

銀冠穴熊

銀冠と穴熊のハイブリッド。ビッグ4への進展も見せている。

  • 一直線穴熊

一直線穴熊

ゴキゲン中飛車対策に現れた穴熊。角を8八に引くことができるのが最大の特徴

穴熊と関わりのある棋士

振り飛車穴熊

  • 大内延介
    • 振り飛車穴熊の…というより穴熊の創始者。振り飛車穴熊の定跡を整備し、穴熊の優秀性を証明。第34期名人戦では振り飛車穴熊を駆使して絶対王者・中原誠をあと一歩のところまで追い詰めた。
    • なお大内は没後の2018年に「振飛車穴熊を戦法に確立した工夫」として升田幸三賞特別賞が授与された。
  • 福崎文吾
    • 振り飛車穴熊を得意とし、相手の意表を突く指し回しから「妖刀流」と評された棋士
    • 1984年の第23期十段戦リーグでは若き天才、谷川浩司相手に振り飛車穴熊で圧勝。当時名人であった谷川に「感覚を破壊された」と言わしめた。
  • 広瀬章人
    • 振り飛車穴熊の歴史を語る上で絶対に外すことのできない男。デビュー当初は振り飛車党で四間飛車穴熊を得意としており、現代穴熊定跡の発展に貢献。
    • 2010年の第51期王位戦では羽生善治に穴熊で快勝、深浦康市王位相手の番勝負では8局中6局で四間飛車穴熊を採用し、23歳の若さで王位を奪取。「振り穴王子」と呼ばれた。
  • 青島未来
    • 振り飛車穴熊を得意とする若手の中でも将来が期待されている一人。
  • 黒沢怜央
    • 青島と同じく将来を期待される穴熊使いの一人。
  • 宝山貴善
    • 漫画『将棋めし』に登場する棋士。振り飛車穴熊を得意とする(穴熊しかやらない)
  • 供御飯万智
    • ライトノベルりゅうおうのおしごと!』に登場する女流棋士。
    • 振り飛車穴熊を用いて相手の攻めを切らしてじわりじわり追い詰めていく棋風から「嬲り殺しの万智」の異名で恐れられている。

居飛車穴熊

  • 田中寅彦
    • 序盤のエジソンと呼ばれた棋士で居飛車穴熊の創始者。ノーマル振り飛車が第一線から退くことになったのも全部こいつのせい。
  • 升田幸三
    • 新手一生を掲げた大棋士であり、名人戦において居飛車穴熊の原型ともいえる形用いている。
    • 結果こそ敗北であったが、互角に近い内容であった。
    • ただし升田が居飛車穴熊の創始者という訳ではなく、居飛車穴熊を体系化させて現代にも通用するレベルにまで押し上げたのは田中の功績である。
  • 渡辺明
    • 魔王と呼ばれ、 竜王9連覇を成し遂げた棋士
    • 棋風としては対居飛車でも対振り飛車でもあらゆる戦型で居飛車穴熊に組み換え、自玉を安全にした状態で多少強引でも相手を攻めて攻めて攻めまくる将棋を得意とする
  • 松尾歩
    • 松尾流穴熊を考案し、高勝率を上げた
  • 井上慶太
  • 羽生善治
    • 皆さんご存知鬼畜眼鏡
    • 藤井システム登場以前、羽生の居飛車穴熊は先後合わせて勝率が9割を超えていた。
      • もちろん将棋は後手よりも先手の方が勝ちやすいと言われるゲームで、その先手でも一般的な棋士の勝率は5割前後であるのでどれだけ羽生が恐ろしいかが分かるであろう。
    • というより身も蓋もないことを言うと、羽生は自分が穴熊を組む側だろうが組まれる側だろうが、つーかどんな戦型も指しこなして勝ち続けていた男なので居飛車穴熊が特に得意、というわけではないのだが…
  • 二海堂晴信
  • 文字山ジロー

関連タグ

将棋

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