カタログスペック
頭頂高 | 18m |
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本体重量 | 52.8t |
ジェネレーター出力 | 1,350kW |
装甲材質 | ルナ・チタニウム合金 |
スラスター総推力 | 52,000kg |
センサー有効半径 | 5,900m |
概要
型式番号RX-79[G]。地球連邦軍の陸戦量産型MS。
三度に渡る地球侵攻作戦によって占領地域を拡大するジオン公国地球方面軍に対して、連邦陸軍が投入した量産機の1つで、名称の通りガンダム直系のバリエーション機である。
当初連邦軍は、サイド7で行われていたガンダムの試験運用データを元に量産機開発をスタートする予定だったが、先の地球侵攻作戦によって地球上の約半分がジオンの占領地域となってしまい、既存兵器で防戦を行うには物量作戦以外の有効手段が無くなってしまった。
この戦況を憂慮した連邦陸軍は、ガンダムの運用データを待たずに量産機開発を開始。ガンダム開発時に発生した、要求スペックに満たない規格落ち部品や、不採用部品を流用する事により本機を完成させる事となった。
地上でなんとか運用できさえすれば良かったため、宇宙用の装備やコア・ブロックシステムを廃した一方、装甲はガンダムと同じルナ・チタニウム合金を採用している(装甲については、元々ルナ・チタニウム合金を量産MSの標準装甲にしようとしていた事や、陸軍がMSを戦車に近い感覚で捉え耐弾性能を重視していた事によるもの)。
シュノーケルダクトやサーチライト、搭乗用の昇降リフトなど地上での運用に適した装備が標準装備されており、コックピットハッチも河川での運用を想定して腹部ではなく胸部上面に配されている。また、バックパックは大型のウェポンラックを備えた独特の形状で、長期作戦行動用のウェポンコンテナや空挺降下用パラシュートパックなど、任務に応じた装備を背負える。
反面、これらの装備追加により自重はガンダムより10トン近く重くなっている。
携行装備の大半や部品は兄弟機ともいえる陸戦型ジムにも装備・転用が可能であり、中には陸戦型ジムの部品を野戦換装し、戦闘を続けた機体も存在する。
ガンダムの生産に際して用いられたパーツは一年戦争当時に於いては、軍の最新鋭試作品であったためかなり高性能な物であった。品質基準を満たさなかった規格落ちの多数部品は、実際に期待された性能に満たないものから故障の不安を抱えるもの、基準を満たしていても傷物であるだけなどばらつきが生じており、運用時にはパーツごとの性能を本来の基準より低い位置で均一化するためのリミッターが配されている。
このリミッターは一時的に解除(MAXモード)する事が出来るが、あくまで通常よりも動きが良くなる程度であり、機体性能を劇的に上昇させるものではない。
戦時急造機としての側面が強い機体ではあるが、もともと高性能な機体であるRX-78(ガンダム)が元であるため、その性能はジム以上であり、当然、ザク相手にも互角以上の戦闘が出来るだけの性能を備えていた。
しかしその生産数は(諸説あるが)20機程度と少なく、また「RX-78の余剰パーツを再利用している」というその性質上補修用パーツがほぼ在庫がない機体であった為、現地改修や共喰い整備、或いは違う機体からパーツ流用したり、一部の機能を欠損したまま使うなど、修理というより現地改修が行われた機体も多く、十全な状態で一年戦争終結を迎えた機体は少ないとされている。
主なパイロットはシロー・アマダ、カレン・ジョシュワ、テリー・サンダースJrなど。
武装
ビームサーベル
固定武装として脚部(ふくらはぎにあたる部分)の内蔵型サーベルラックにビームサーベルを装備する。
RX-78のランドセル(背中)に装備されたものと同じ、連邦軍標準タイプのビームサーベルであり、外観に細かな差異がある他は基本的に同じ物である。
装備位置の関係上、直立状態からでは腕部がサーベルラックに届かず、装備/収納時に脚部のどこかを曲げない限り、物理的に届かないという制限が発生している(このため劇中では走りながらサーベルを抜くという動作が見られた)が、完全に内蔵するタイプのため、収納中のサーベル本体を破損しにくいという長所もあった(RX-78のランドセル装備はいつでも装備/収納ができる代わりに被弾・障害物によるサーベル破損の可能性があった)。
スパイク
膝アーマーには敵機との格闘戦を考慮して打撃用のスパイクが装備されている。
これはジオンのザクⅡが対MS戦を考慮して、左肩をスパイクアーマーとしたのと同様の発想であり、陸戦型ジムにも機構を簡略化したものが装備された。
しゃがみ体勢での射撃時に機体を固定するなどある程度は活用されているが、実際の接近戦では格闘兵器としては使いづらかったのか、以後の連邦軍系モビルスーツにおいて、膝部の打撃用スパイクは殆ど採用されていない。
胸部バルカン砲/マルチランチャー
バルカン砲は左胸部に移され、その下部にはマルチランチャーを装備する。
容積に余裕のある胴体部にバルカン砲を装備することで装弾数の増加を可能としたが、上下左右に旋回できる頭部から胴体部に移しているため、照準がつけづらくなり、追従性も低下している。
コクピット真横に火器を装備することによる引火、被弾での暴発というの危険性があり、
搭乗員の保護という点においても問題を残している。
100mmマシンガン
型式番号YHI YF-MG100。
ヤシマグループ傘下の兵器企業『ヤシマ重工』製のMS用実弾火器。
小型で取り回しが良く、密林地帯などで用いられた。予備マガジンは腰部に装着することができる。
対MS戦において十分な威力を発揮したが、同じく初期の連邦製MS用火器である90mmマシンガン(ブルパップ・マシンガンとも呼ばれる、ジム・ライフルと機関部を共用する実弾砲)とは異なり、戦後は殆ど使用されていない。
ビーム・ライフル
型式番号XBR-M-79E。装弾数16発。
ガンダムが使用したXBR-M-79-07Gの改良型バリエーションで、切り詰められた銃身後方とボックス型センサーが特徴となっている。生産数が少なく、最前線である08小隊でも2丁しか配備されなかった。
RX-78のものと比べて命中精度は低いが、経験と腕があれば望遠モードで10km先の標的を狙い撃ちすることも一応可能。
本機以外に、ブルーディスティニーやホワイト・ディンゴ隊のジム・スナイパーⅡにも装備されている。
180mmキャノン
型式番号YHI FH-X180。
ヤシマ重工製の長距離支援砲。
僚機との連携により後方から射撃を行う。
この武装は非常に大きいため移動時にはマガジンを含め4つのユニットに分解し、ウェポンコンテナに収納する事で携行する。
余談だが、オープニング映像では地面に突き刺ったシールドの後方で射撃を行うシーンが印象的であるが、これはシールドをバイポッド(砲身を乗せる台)のようにしている訳ではない。プラモデルなどでシールドをバイポッドとして使用するシーンを再現した場合、高さの関係から片膝立ちになる事が多い。このスタイルは非常に格好いい為、一部のゲーム等では盾の上に砲身を乗せる演出がある。これについての詳細は、輝き撃ちの記事を参照。
ミサイルランチャー
装弾数6発の追尾性能の高いミサイルランチャー。
同様の装備が陸戦強襲型ガンタンクなどにも配されている。
ロケットランチャー
携行型榴弾砲。
密林での取り回しも考慮され、ハイパー・バズーカなどと比較して砲身が短いものとなっている。
シールド
ガンダムのものに比べ、取り回しを考慮した小型のもの。
シールド先端は攻撃にも使用できる他、塹壕を掘ることも可能。また、シールド先端部を地面に突き刺し、その上に銃器を置く事でバイポッドのような運用が可能となる。
一年戦争終盤には増加装甲が施された改良型シールドが新たに配備された。
その後も、一部のジムⅡなどが装備している。
バリエーション
局地型ガンダム
機動戦士ガンダムTHEORIGINのメカニックデザイン企画であるMSDに登場。形式番号RX-78-01[N]。
RX-78-01から派生した機体であり、陸戦型ガンダム及びガンダイバーの前身となったモビルスーツ。
詳細は局地型ガンダムを参照。
ガンダムEz8
中破した極東方面軍コジマ大隊第08MS小隊長シロー・アマダ少尉の機体を大規模改修した機体。
詳細はガンダムEz8を参照。
ジムヘッド
頭部を損傷したカレン・ジョシュワ機を陸戦型ジムの頭部パーツを用いて現地改修した機体。
詳細はジムヘッドを参照。
ブルーディスティニー
クルスト・モーゼスの開発した戦闘システム「EXAMシステム」を搭載した実験機群。
昨今の設定変遷で1号機以外のベース機はやや怪しくなっている。
詳細はブルーディスティニーを参照。
陸戦型ガンダム(サンダーボルト版)
漫画「機動戦士ガンダム サンダーボルト」に登場する陸戦型ガンダム。
外見は陸戦型ガンダムよりも、RX-78や従来の汎用型ジム系に近い外観であり、足のソール部分がホバークラフトのエアクッションとして機能するため、従来の機体と比べて丸みのある形状に見えるのが特徴。
この機体には2つの仕様が存在し、本作外伝「砂鼠のショーン」にて登場するものと、本編2部に登場するものと分けられている。
前者は連邦軍所属の部隊、通称「砂漠の鷹旅団」により強奪されかけていた機体であり物語終盤でパイロットともども再起動し旅団の旗艦であるビッグ・トレーのブリッジを狙撃し破壊している。
こちらの頭部はV字アンテナこそ無いものの、従来の陸戦型ガンダムに近いものである。
カラーリングはブラウンとサンドイエローで、砂漠迷彩のような雰囲気。
また、こちらは作中の反応を見る限りでは後者の機体とは「違う」とのこと。おそらくはれっきとしたガンダムタイプなのだと思われる。
後者は一年戦争終結後、ペガサス級強襲揚陸艦「スパルタン」にも配備され艦の防衛に務めている。
性能については詳しくは言及されてはいないが、少なくともジム系よりは高性能であるとされながらも「顔だけの偽物」と評される場面も。
こちらの顔は前者とは違い、外観的にはRX-78の頭部からV字アンテナとバルカンを除いた物である。
カラーリングはジムと同じようなグレー系のブルーとホワイト。
OVA版では「陸戦型ガンダムS型」という名称で登場する。
なお、一年戦争末期に「ガンダムヘッド部隊」と銘打たれア・バオア・クー攻略戦に「量産機」として大量投入されている機体も存在する。陸戦型でありながら宇宙でも運用が出来る所を見ると「陸戦型」と言うより「量産型ガンダム」と呼ぶ方が正しいと言えるかも知れない。
この時の機体はムーア同胞団のジムと同様の装備と、ホバークラフトではない通常の足になっている。この機体はOAV版にて「ガンダムヘッド」と呼ばれるジムの改良型であることが明らかになった。
スレイヴ・レイス
型式番号RX-79[G]SW。
陸戦型ガンダムをベースとしてセンサー・光学カメラ・通信システムなどを最新の物へと更新した機体。
詳細はスレイヴ・レイスを参照。
フルアーマー・スレイヴ・レイス
型式番号RX-79[G]WR。
漫画版ミッシングリンクに登場したスレイヴ・レイスの重装仕様。
詳細はスレイヴ・レイスを参照。
陸戦型ガンダム(市街地戦仕様)
ガンダムブレイカーバトローグにおいて仮面の男が送り込んだ陸戦型ガンダムの市街地戦用に改造した機体。陸戦型ガンダムのイメージの乗り手をイメージされてかEXAMを搭載してユウ・カジマのAIパイロットを使用している。
生産数における諸説
当機は先述の通り、あくまでもRX-78の試作機製作の過程で発生した“型落ちパーツ”の集合体である。それゆえに生産数も公式には“20機”とされてきたが、ガンダムタイプでありながら量産されているという点が都合がよかったのかゲームや漫画などで主役級として登場したりバリエーション機が登場したりする事が増え、ファンには「そろそろ設定上の生産数のストックが足りなくなるのではないか」と心配する者もいる。
この影響があるのかどうかは不明だが、最近ではこの20機説以外の生産数を上げる資料もある。一応サンライズの監修の入ったソフトバンク・クリエイト刊行の「ジム・マスターアーカイブ」シリーズに於いて、「20機が生産され、兄弟機である陸戦型ジムを含めると50機程度、その後はA/B型ジム(我々のよく知るRGM-79)の生産に伴って製造ラインがA/B型へ転換、数ロット単位で生産されたにとどまった」とされているなど、最近のゲームや映像媒体への出現数の増加を鑑みた資料の改正がみられる。
現実の兵器においても、資料の散逸や、そもそも生産数を管理していない事があるなどで、生産数が特定できないケースは存在するため、当機のみが特別生産数が不詳というわけではない。
後付けゆえに・・・
もともとは先行量産型ガンダムという呼称も存在するなど、その名前すら二転三転した本機ではあるが、
そもそもが投入時期が資料によってばらけているもの、三機生産されたと称されながらあっちこっちに居るもの、生産されていないとされて実戦投入されたものなど、地球連邦軍の出庫管理と計画管理は後々になって訂正されることが多々あるのはご愛敬である。
立体物
1/144シリーズ、HGUCシリーズ、1/100シリーズ、ガシャポンSDガンダムフルカラーシリーズ、SDガンダムシリーズにてラインナップ。
※1/144シリーズでは、【量産試作型ガンダム】という名義で陸戦型ザクとセットで販売されていた
小話
本機が背負うコンテナユニットには、当初【収納する武器によってコンテナユニットの形状や大きさが変わる】という案が挙がっていた。 ※ロケット砲がそのまま収められているのでなく、分解された大型の銃が入っているというものでコンテナから取り出し、各部部品を組み上げていくという流れにする予定で、コンテナの側面部には弾丸が収納されているハッチが設けられていた。
更に二連キャノンタイプを初め、連装ミサイルランチャータイプ、超長距離キャノンタイプなどのウェポンコンテナによる戦術バリエーションを生み出すという案が生まれていたが、『あまりに万能すぎてしまうから』という理由でお蔵入りとなってしまった。