概要・沿革
1953年、「京都盃」の名称で創設。1971年より、提供企業の京都新聞社から「京都新聞杯」に名称変更。
当初は秋に開催されており、菊花賞と同じ京都競馬場で開催される前哨戦としての性質をもっていた。トップ画像は1997年の勝ち馬マチカネフクキタルであり、このレースを制したのち菊花賞を制覇している。
2000年から開催時期が5月上旬に変更。このため日本ダービーの前哨戦のひとつにレースの意味合いが大きく変わることとなった。
1953年(第1回):「京都盃」として創設。
1956年(第4回):この年のみ「4歳以上」で開催。勝ち馬のヤサカは前年の第3回も制しており、現在に至るまで(制度上当然だが)唯一の二連覇馬である。
1971年(第19回):「京都新聞杯」に競走名変更。
1984年(第32回):グレード制定でGⅡに格付けされる。
2000年(第48回):現行の5月上旬に開催時期を変更。
日本ダービーとの関連
京都新聞杯は毎年5月第2週に行われ、5月最終週開催の日本ダービーとは中2週。あまり余裕のあるレース間隔とはいえない。
しかし、それでも京都新聞杯を足がかりにダービーを狙う馬は多い。
というのも、京都新聞杯が日本ダービー前に大きく収得賞金を積める最後のチャンスであり、今の収得賞金のままではダービーに出られない立場の馬たちが、逆転出走を狙って集まるからである。
日本ダービーのトライアル競走である青葉賞は、京都新聞杯の前週に終わってしまっている。もう一つのトライアル競走として、京都新聞杯の同週にプリンシパルステークス(L・東京芝2000m)があるが、ダービー優先出走権を得られるのは1着馬のみであり、リステッド競走なので2着では収得加算ゼロ。1着以外ダービーへの道は閉ざされるだろう。
その点、京都新聞杯1着なら本賞金の半額・2700万円の収得賞金(2021年)、重賞なので2着でも収得加算があり1100万円がプラスされ、収得賞金順によるダービー出走枠確保に大きく前進できる。
実際、アグネスフライト・キズナ・ロジャーバローズが京都新聞杯からのローテでダービー馬に輝いている。
京都新聞杯の同週には東京競馬場でNHKマイルカップもある。京都新聞杯の約2倍の賞金が得られるが、GⅠなので当然ながら相手となる馬の質も高く、2着以内に入る難度は大きく上昇するだろう。
また、中2週でNHKマイル(芝1600m)→日本ダービー(芝2400m)という明らかに距離カテゴリの違うレースを戦わせるのは馬への負担も大きい。タニノギムレットやキングカメハメハなどがこのローテの結果競走生命を大幅に縮める結果を招いてしまった。こうした歴史から、現在ではこの「変則二冠」ルート(松田国英調教師が多く採用したことから「松国ローテ」とも)が採られることはまれである。
そうしたわけで、京都新聞杯は「ダービーへの最後の望み」として存在感を増している。
無論、じゃあ京都芝2200m→中2週で東京芝2400mなら疲労や負担はないのかといえばそういうわけではない。2019年、ロジャーバローズは京都新聞杯2着の収得加算によってダービー出走に滑り込み、12番人気・単勝93.1倍の大穴からダービー馬の栄光に輝いたが、その勝利とひきかえに屈腱炎を発症し現役を退いている。
リスクを孕んだローテには違いないが、それでも一生に一度のダービーを目指し、京都新聞杯には野望に燃える3歳馬たちが集うのである。
歴代優勝馬
平成
1989年(第37回)バンブービギン ※当時は10月中旬開催
1990年(第38回)メジロライアン
1991年(第39回)ナイスネイチャ
1992年(第40回)ミホノブルボン
1993年(第41回)ウイニングチケット
1994年(第42回)スターマン
1995年(第43回)ナリタキングオー
1996年(第44回)ダンスインザダーク
1997年(第45回)マチカネフクキタル
1998年(第46回)スペシャルウィーク
1999年(第47回)アドマイヤベガ
2000年(第48回)アグネスフライト ※この年から5月上旬開催
2001年(第49回)テンザンセイザ
2002年(第50回)ファストタテヤマ
2003年(第51回)マーブルチーフ
2004年(第52回)ハーツクライ
2005年(第53回)インティライミ
2006年(第54回)トーホウアラン
2007年(第55回)タスカータソルテ
2008年(第56回)メイショウクオリア
2009年(第57回)ベストメンバー
2010年(第58回)ゲシュタルト
2011年(第59回)クレスコグランド
2012年(第60回)トーセンホマレボシ
2013年(第61回)キズナ
2014年(第62回)ハギノハイブリッド
2015年(第63回)サトノラーゼン
2016年(第64回)スマートオーディン
2017年(第65回)プラチナムバレット
2018年(第66回)ステイフーリッシュ
令和
2019年(第67回)レッドジェニアル
2020年(第68回)ディープボンド
2021年(第69回)レッドジェネシス