超力ロボガラット
ちょうりきろぼがらっと
概要
名古屋テレビ発テレビ朝日系列で1984年10月6日から1985年4月6日まで全25話が放送された。
『銀河漂流バイファム』のスタッフによる、ギャグテイストのロボットアニメ。
主役の声を担当した中川勝彦とヒロインの声を担当した鷹森淑乃の声優デビュー作でもある。
だが、時代を先取りし過ぎた感覚が有り、視聴率は振るわなかったものの、LP版オリジナルサウンドトラックは出されている。
キャラクターデザイン担当の芦田豊雄は『月刊OUT』などで、「本格的なギャグアニメに企画から関わったのは本作が初めてで感覚が掴めなかったと」告白しているが、本作が『魔神英雄伝ワタル』シリーズや『魔動王グランゾート』の製作に活かされたのも事実。
ストーリー
地上から戦争が無くなり、一切の兵器の所有が禁じられた未来。地球の地上げを目論む悪の宇宙人、宇宙不動産のドーサンが地球に侵略してきた。破壊の限りを尽くすアーモロボイドの前に警察は無力だった。そこへ颯爽と現れた謎のロボットガラットが、圧倒的な強さで侵略者を蹴散らしていく。
ガラット
元々は人間サイズの通学用ロボ(背中に座席を持つ送迎用ロボ)だったものをキウィ博士が改造したもの。巨大化して「クルット」になる(この段階でパイロットは胴体内のコックピットに移る)があまり強くなく、そこから変形して「ガラット」となる事で高い戦闘力を得る。
その原理は「膨張超合金」によるもの。プラモデルのランナー状に形成した膨張超合金を、通学用ロボの外装と交換する事で改造している。
膨張超合金は劇中で製造工程が描かれていたが、色々な材料を沸騰した鍋の液体の中に適当にぶち込んでいるのみで、具体的にどういったものかは不明。
ちなみにジャンブーガラットはトライダーG7、パティーグガラットはアイアン・ギアー、カミーグガラットはバイファム(色的にはディルファム?)がデザインモチーフになっている。
クルット(SD体形)からガラット(リアル体形)への変形パターンは後に「ビーロボカブタック」「テツワン探偵ロボタック」「仮面ライダーエグゼイド」等に流用される事となる。
特に、カミーグガラットの変形はSD戦国伝(機動武神天鎧王や豪剣頑駄無等)をはじめ、ガンダムビルドファイターズトライ(ウイニングガンダム)やガンダムビルドダイバーズ(RX-零丸)等、SDガンダムの定番となった。他には魔動王グランゾートも(と言うか天鎧王の封印形態(神顔形態)がグランゾート)。
クルット
人間サイズの通常形態から、レバーを引く事で巨大化した形態。いわゆる中間形態。
基本は通常の通学用ロボと同じデザインだが、ディテールが増え、パーツもいくつかが多面化、プロポーションも変化している。
この状態で体内のコックピットにパイロットを搭乗させる事が可能だが、通学ロボとしての自意識は有しており、自立行動が可能。ただし、性格は若干攻撃的に。
三体ともそれぞれ専用武器を搭載しているが、あまり強くなく、すぐに敵ロボットにやられてしまう。
ガラット
クルットの状態から上下逆にひっくり返り、変形した「格好いい」姿。
各機のパイロットがクルットの状態で、胸部(ハッチは背中側にある)に存在するコックピットに乗り込み、ひっくり返った状態で天井部にある変形用レバーを引きつつ、「チェンジング・ガラット!」と叫ぶ事で変形。
(カミルのみ「チェンジング・ヒーロー!」と叫んでいる)。
ジャンブー及びパティーグは、クルット時の腕が足に、脚部が腕に、それぞれ変形する(カミーグのみ変形パターンは異なり、腕部はクルット・ガラット両方で共通、クルット時のランドセルが展開しガラット時の脚部に、クルット時の脚部は畳まれランドセルに、それぞれ変形する)。そしてコックピットも再度ひっくり返り、頭部が出て、変形は完了する
各機パイロットは、ガラット時には専用コスチュームが装着される。これはパイロット個人の
専用ではないらしく、乗り込んだ者にガラット時に必ず装着される様子。あるエピソードでジャンブーがパティーグに、パティーグがジャンブーに搭乗し、クルットからガラットに変形した際にも、それぞれ装着されていた。
また、クルット時の記憶と意識は通学ロボ時も保存されているが、ガラットに変形する事で封じられ、サブ回路に切り替わってしまう。そのため、ガラット時の出来事は一切思い出す事が出来ない(※)。そして、パイロットの操縦のみでしか動けなくなる。
それゆえに、ガラットへの変形はクルット時でのパイロット搭乗が必要不可欠で、変形後も操縦者がいなければ一切動けない。
※この点は、AIを交換すれば解消されるらしいが、そのためには今までの記憶を消さねばならなくなる。ジャンブーらはマイケルの今までの思い出を消したくない事から、交換を断った。
物語の後半で、ブラッド星に赴いた際。ガラットでいられる時間に制限ができてしまった(制限時間が過ぎると、強制的に解除され、通学ロボに戻ってしまう)。
そのため、特殊装備がコックピット内に搭載された(見た目はただの砂時計)。
マイケルが搭乗する。元はマイケルの通学用ロボ兼お目付け役。通学用ロボとしてはかなり旧式らしい(放送当時の設定資料では「オート三輪くらいの旧式機」との事)。
詳細は当該記事を参照。
パティが搭乗する。元はパティの実家の経営補助用ロボだが、かつてパティは通学用に用いていた(乗用の座席がある)。やや乙女チックな性格。
パティは流行の最新式通学用マシンを与えられているため、当初はそちらに乗っていた。が、マイケルがジャンブーガラットに乗って活躍しているのを見て、自分もとパティーグを改造してもらい、通学用として再び使用するように。かつてはパティのお目付け役として一緒に行動していた。
同じくカミルが搭乗する。元はカミルの執事・雑用ロボ。乗用座席が存在しないため、カミルを肩車するような形で乗せている。カミルの事を「大将」と呼んで付き従っているが、主人と異なりあまり目立つような事はせず、一歩引いている。
登場人物
主人公。会社員の父を持つ、中流階級の子供。
年相応の普通の少年で、ややお調子乗りだが正義感は強く、ヒーローに憧れる一面もある。
ジャンブーとは長い付き合いで、スピード違反をしないジャンブーのために、毎朝遅刻してしまう事をぼやいている。
ジャンブーがガラットに変形できるようになってから、キウイ博士の口車に乗せられてそのパイロットに。以後、あまり悩むことなく戦いに赴いている。
マイケルの幼馴染の少女。スーパー経営者の多忙な両親を持ち、そのためやや放任されている。活発な性格で、パティーグの他に最新式の通学用メカを買ってもらっており、当初はそちらを使用していた。
カミル・カシミールJr.(CV:鈴置洋孝)
元大富豪の青年。しかしキウイ博士に投資した事が原因で全財産を失い没落、現在は昼間からあちこちうろついている無職の暇人と化している(カミーグは、没落の詫びにと、キウイ博士から巻き上げたもの)。
端正な顔立ちをしている美形の青年ではあるが、その性格はギャグキャラそのもので、ほぼ毎回崩れたギャグ顔を披露する。毎回格好つけようとするが、イマイチ決まらない。後半になると、ガラット状態から強制解除された際、毎回ズボンが引っかかって脱げかかってしまう。
ガラットの事を知り、キウイ博士の元に押しかけて無理やりカミーグを改造させ、自身もヒーローにならんと画策した。
キウイ・グレコビッチ(CV:龍田直樹)
ガラットの開発者。58歳。
いわゆるマッドサイエンティストで、非常にエキセントリックな変人。毎回研究資金の金策に苦心しており、膨張超合金を開発しガラットを作り出したのも、金目当てである。宇宙不動産の侵略に対しても、金儲けに利用しようと考えていた。専用の乗用メカ・シルバーに乗って移動する(ちなみにシルバーは、博士へのツッコミ役も兼ねている)。
ドリアル軍司令官ハッヘラ(CV:富山敬)
主題歌
オープニングテーマ
「Welcome! ガラット - ガラットのテーマ」
作詞 - 麻生圭子、作・編曲 - 笹路正徳、歌 - 村田有美
エンディングテーマ
「不思議なトワイライト - パティのLOVE SONG」
作詞 - 麻生圭子、作・編曲 - 笹路正徳、歌 - 村田有美
コミカライズ
放送当時、コミックボンボン誌上で笑夢ジェイ(増田ジュン)氏によるコミカライズが行われていた。
初期には宇宙不動産、および宇宙シンジケートといった、アニメ劇中の中盤までに登場した敵が登場していたが、アニメ後半に登場したドリアル星人などは登場しない。
中盤辺りから、サッカーを得意とする「キッカー晃司」といった、オリジナルの敵が登場。ラストも異なっている(敵のラスボスが強化光線でガラット三体を破壊。しかし副作用で老化。ガラットたちは修復され元の通学用ロボに、といったもの)。
ちなみに、劇中事あるごとに作者本人が登場し「モンクあっか!?」と読者に言ってたりする。