解説
Cセグメントクラスのハッチバック車で、カローラの派生車種に当たる。取り扱い店舗はネッツ店。
車両形式的にカローラ系の「E」軽が割り当てられていること、取り扱い店舗がネッツ店であることからスプリンター→アレックスの後継車種であると言えた(2代目については後述)。またカローラのハッチバック版と言える存在であるため、地域によってはこれを『カローラ』の名で販売していた。
ターゲットは「50~60代または20~30代のスポーティ嗜好の独身男性」。登場当初はその面構えから「デカいヴィッツ」のような趣だったが、初代後期型では6速MTを搭載した「RS」グレードを新設、MR-S生産終了から2年3ヶ月ぶりに国内向けの6速MTのトヨタ車が復活した。
加えて日本向けのカローラ(フィールダーとアクシオ)が、ヴィッツと同じプラットフォームでリアサスペンションはトーションビームと走りの味を完全に捨てていたのに対し、オーリスはCセグメントハッチバックの主戦場である欧州でも戦えるように海外のカローラと同じプラットフォームで、リアサスもダブルウィッシュボーンを奢られていたため、エンスーからはアベンシスと並ぶ和製欧州車として、比較的通好みの車とされていた。
2代目では様々な仕様変更が行われたが、特に外観はそれまでのトヨタ車では考えられないほど前衛的なフォルムとなり、ひと目見ただけでは「え、トヨタ車なの?」と疑われるほどのものとなった。そしてこの雰囲気のデザインは後に「キーンルック」と呼ばれるようになり、トヨタのデザインの代名詞となっている。
2代目後期型では、トヨタ車として初のダウンサイジングターボエンジンである8NR-FTSを搭載したグレード・「120T」が登場。排気量1.2Lでありながら、1.8L自然吸気エンジンにも勝るとも劣らないトルクフルな走りと低燃費を両立している。ただし1.8Lモデルよりも高価な価格設定や、ガソリンがハイオク指定であったことがネックで、それほど売れなかった。後発のC-HRやカローラスポーツではこの反省から、同エンジンはレギュラーガソリン仕様に開発し直されてる。
更に後期型登場から1年後、ハイブリッド化の波に押されてオーリスにもハイブリッドグレードが追加。欧州市場では既に初代後期型の姿でオーリスハイブリッドも生産されていたが、これは元々ハイブリッド専用車・プリウスの3代目がオーリスと同じプラットフォームを採用していたことから、このようなグレードが過不足なく実現できたことが背景にある。
2018年3月、日本での製造・発売を打ち切った。
ヨーロッパ向けに関しては、同年6月末に日本市場に投入したカローラスポーツのヨーロッパバージョンとしてオーリスの名で売るつもりでいたようだ。だがその年の8月、「ヨーロッパでもカローラの名前で売ります(2019年1月から)」と方針を改めたため、日本とヨーロッパではこの名前の車種は消滅している。
その一方台湾では、カローラスポーツをオーリスという名前で販売している(2018年9月から)ため、オーリスの名は辛うじてだが生き長らえている。
特に2代目は、Cセグメントハッチバック市場をプリウスが席巻している中での登場であったため、一般的には影が薄いかもしれない。しかしキーンルックやダウンサイジングターボをいち早く採用したり、シャア専用オーリス(後述)のようなファンキーな取り組みをするなど、現在のイメージのトヨタの尖兵としての役割を果たしてきたといえる。
シャア専用オーリス
2013年に立ち上げられた機動戦士ガンダムとのコラボプロジェクト「ジオニック・トヨタ社」で、シャア専用オーリスが発売。
同時にシャアの台詞366種類が収録されたシャア専用カーナビも900台限定で発売されている。
これはコンプリートカーではなくディーラーオプションとしてのパーツ販売ではあるのだが、フルオプションにすると車体込みで本体価格330万円以上(税5%当時)、総費用はヘタをすると400万円近くもする。
具体的な例を挙げると、代表2グレードで専用パーツ全部乗せのシャア専用機を作った場合の価格差は以下の通り。
1.8RS“S Package”(最高額グレード、214万円)+100万円=314万円(約1.46倍)
150X “C Package”(最廉価グレード、162万円)+100万円=262万円(約1.61倍)
※価格は全て消費税抜き、1万円未満切り捨てのため誤差あり。
しかもこのパーツ代100万円には取り付け費用は含まれていない。
参考までに、
ランエボⅩ GSR標準車 361万円
WRX STI標準車 351万円
アクセラ2.2XD(ディーゼル) 284万円
等と比べると、その値段が尋常でないことがわかるだろう。
しかしながら、自動車のカスタムというのは往々にして高額になるものである。実際写真を見ると分かるが、外装は空力パーツはもちろんアンテナやエンブレムまで、内装はシートやシフトノブ、ダッシュボード、スイッチに至るまでベースのオーリスから想像できないほどの内外装の凝りっぷりであり、むしろ100万円でここまでやってもらえるなら安いかもしれない。この辺はコスパを度外視した、趣味としての自動車の妙味である。
登録すれば誰でもジオニック・トヨタの「社員」になることができる、という設定もあったが、実に26000人ものオーリス乗り・ガンダム好きが「社員」となった。まさに、赤いのは3倍(集客力的な意味で)である。ちなみに選抜された「社員」が同社の企画を議論するというイベントも開催されている。
この人気ぶりに2015年に目出度くモデルチェンジが行われて2代目(ベース車は先代と同じ)のシャア専用オーリスⅡが登場、300台限定のコンプリートカーも発売されている。
この他、機動戦士ガンダムUCの公開を記念して、フル・フロンタル専用オーリスも登場している。こちらもシャア専用のように外装がワンオフパーツで組み立てられており、袖付きの専用車を主張するように金色のエングレービングをあしらっている。ただしこちらは未発売に終わっている。
取り扱い店舗について
初代〜2代目後期の日本仕様ハイブリッド追加前まではネッツ専売である。しかし、2016年4月に日本仕様ハイブリッド追加とともにトヨペット店での取り扱うようになった為にネッツ専売のNマークが廃止され、トヨタのエンブレムマークに変更される事となった。
関連タグ
・プリウス - プラットフォームの流用先。内装類のレイアウトもよく似ている。
・ブレイド - 違う販売チャネルから生産された姉妹車。同じ車格ながら一部グレードに3.5Lエンジンをぶち込んだせいでスープラと同等のパワーウエイトレシオを叩き出してしまった。
・CT200h - 謂わば「レクサス版オーリス」。プラットフォームはオーリス、足回りはブレイド、そしてパワーユニットはプリウスといういいとこ取り。同ブランドで初のハッチバックであり、かつ初の300万円台から買えるエントリーモデルである。
・紅の悪魔 - 元気から発売されていたゲーム『首都高バトル』シリーズに登場するライバルで、シャア或いはジョニー・ライデン専用機をモチーフにし、シャア専用オーリス以上に過剰なモディファイが施されている車(主にスカイラインGT-R)に乗っていた。シャア専用オーリス発表当時、こちらを連想する首都高バトルユーザーが多かった。
・カローラスポーツ - 後継車。オーリス時代ではコンセプトカー止まりになってしまった「5ドアハッチバックのハイパワー仕様」をスポーツブランドを経由する形ではあるが実現させた。