ゲーム概要
文字通り首都高を舞台としたレースゲームでプレイヤーは走り屋となって首都高の走り屋たちに挑むというレースゲーム。PS1までの作品では土屋圭市や坂東正明も関与していた。
2006年の首都高バトルX(XBOX360)のリリースを最後にシリーズは途絶えてしまっていたが、2017年1月にスマートフォン専用アプリ「首都高バトルXTREME」をリリース。しかし残念ながら同年11月にサービス終了が発表された。
しかし2024年になり新作を匂わせる動きを見せており、同年8月21日に新作「首都高バトル」をSteamでリリースすることが告知された。
これまでの経緯は余談を参照。
ゲームシステム
初期のころは純粋に1位でゴールというシンプルなものだったがドリームキャスト版以降から格闘ゲームに似た要素の「SPバトル」が導入された。これはHPに似た「SP(スピリットポイント)」を用いたバトルでこれが0になると勝敗が決まるというもの。また、首都高バトル01では1VS2、勝ち抜き戦も導入されている。首都高バトルXでは1VS3、SP不要でゴールにたどり着いた方が勝ちとなる「タイムアタックバトル」が導入。
またプレイヤーの走行パターンによって通り名が決まる「B.A.D.(Battle Abillity System)」も大きな特徴である。
シリーズ一覧
※PS1版以前の作品の追記を随時宜しくお願いいたします。
ドリームキャスト版『首都高バトル』(1999年6月24日発売)
本作よりフリー走行からのSPバトルが展開されるようになり、現在に至るまでの首都高バトルシリーズのイメージを決定付けた作品。
収録コースは都心環状線(C1)及び八重洲線のみだが、当時の次世代機ドリームキャストの性能を駆使して再現された、実際のレイアウトに極めて近い首都高やリアルになった車のグラフィック、何よりその首都高を自由に走り回れる要素は当時としては圧巻であった。
ただし、コース上のビル群などのオブジェは最低限しか再現されておらずいささか殺風景であり、広告も大半が『ワィルドファイナンス(当時実際に至るところに広告があった『ワールドファイナンス』のパロディ)』で占められている。
この時点ではまだワンダラーの概念は無いが、ローリング野郎などのシリーズお馴染みのライバルは本作で軒並み登場している。
海外版のCrave Entertainmentから発売された『Tokyo Xtreme Racer』では、ナンバープレートがアメリカンになっている他、あちらで人気の高いGFLF及びGFLSが追加されている。
ドリームキャスト版『首都高バトル2』(2000年6月22日発売)
DC版の続編で、前作からコース・車両のグラフィックが一新されてより実物に近くなった。
コースは前作のC1と八重洲線に加え、新環状・横羽線・湾岸線が収録され大幅にボリュームアップ。収録車種も大量に追加された。
本作よりワンダラーが実装され、それに伴いライバルが大幅に増加した。
前作や後のシリーズにあるライバル専用車は本作のみ存在せず、後のシリーズに比べてライバル車両の外装変化が控えめになっている。
前後のシリーズ作品に比べてBGMなどは全体的にアングラテイストである。
なお、本作で制作されたコース・車両のグラフィックは後述の他作品含め長く使用される事になる。
海外版は前作に続き『Tokyo Xtreme Racer 2』として発売。前作同様、海外から需要のある車種が何台か追加されており、それに伴い一部ライバルの車種が日本版から変更されている。
エンブレム類も海外で車名や販売ブランドの異なる車を中心に削除されている車種が目立つ。
実写オープニングも追加されており、こちらは往年のビデオオプションさながらの日本の公道レース映像が収録されている。
プレイステーション2版『首都高バトル0』(2001年3月15日発売)
プラットフォームをPS2に移したDC版2の続編。
グラフィック類は基本的に前作を踏襲しつつ、プレイアブル車・アザーカー双方で追加車種がある(主に海外版『Tokyo Xtreme Racer』前2作で追加された海外専売車などがメイン)。
BGMは前二作のアレンジが中心。
本作からハザードランプ及びウインカー・クラクションなどの操作を自由に行うことが可能になり、これが特定のワンダラーの出現条件にもなっている。
自動車メーカーからのライセンスを得ていない作品は本作が最後となるが、その分収録車種は歴代最多を誇り、ライバル専用車両のカスタマイズバリエーションも非常に豊富である。またシリーズを通して自車・敵車共にマシンのスペックが最もインフレし、通常ライバルですら1000馬力超えの車両に乗る者がゴロゴロいるほか、ボスとなる十三鬼将・十二覇聖では最高速425km/hに到達する車両も珍しくない。
本作のみの要素として、アザーカーが路上で事故を起こし停車していたりオービスの概念があったりする。
また、非ライセンス作品故か廉価版が長きに渡って出荷されていたようで、2013年12月が最終出荷だったと元気の公式Twitterで公表されている(同時に、続編の01はこの6年前には既に廃盤になっていたとも明かしている)。
海外版は『Tokyo Xtreme Racer: Zero』として発売。
本作のグラフィックをベースに制作されたアーケードゲームが二作品あり、ナムコ発売の『湾岸ミッドナイト(2001年稼働開始の初代と2002年稼働開始のR)』とセガ発売の『頭文字D Arcade Stage Ver.1(2002年)』である(前者は開発が元気である為コース・車両グラフィックからゲームシステムまで0のゲームシステムの大半を、後者は車両グラフィックを提供し実車に近くなるよう手を加えて使用しており(Ver.1のエンドクレジットのスペシャルサンクスに元気の社名がある)、いずれも自動車メーカーからの正式ライセンスにより実名で登場し細部も実車通りに修正されている)。
Windows版「首都高バトルOnline」(2003年3月1日発売)
シリーズ初のオンライン対応タイトル。
基本的なグラフィックやシステムは0をベースとしつつ、自動車メーカーから正式にライセンスを取得した事によりエンブレムなどが実車に準じた仕様に修正されている。
…が、これにより本作以降ホンダからライセンス許可がおりず、ホンダ車は全車リストラとなった(理由は余談を参照)。
プレイステーション2版『首都高バトル01』(2003年7月24日発売)
0の続編で、グラフィック類は全て作り直された。
本作より据え置きゲーム機シリーズでも自動車メーカーから正式にライセンスを得た為に全車実名での収録となり、エアロパーツも形状毎の性能差は無くなった。
ただし、Onlineに引き続いてホンダ車は未収録となっている。
このためライバルにも大きな変化が起こり、車を乗り換えた者やチームごとリストラされた者もいる。
なお、本作からはライバル専用カスタム仕様の車はカスタムカーとして位置づけられるようになり(※ただし本作以降からカラー変更・ホイール変更が不可能になりチューニングもエンジンチューンのみ(PSP版ではチューニングも不可)になった)、さらに本作にのみカスタムカーに加えチューニングショップのデモカーであるスペシャルカーが登場した(カスタムカーと異なり一切のチューニング・ドレスアップが不可能。なお、スペシャルカーは街道バトル、レーシングバトルにも登場している)。
車両の改造についてはエンジン換装やカスタムペイントが可能となった一方、収録されたエアロは大幅に減少。そのため大半のライバルがノーマルとほとんど変わらない外観で登場する。またエンジンスペックも実車に近い物となっている。最高速度の上限は370km/h。
また、実名収録にあたってゲームの設定そのものも変更され、本作での収録コースはすべてサーキットという扱いになっている模様。
この為、アザーカーは全車『元気レーシングプロジェクト』の黄色いカラーリングをまとったハイエースに統一されている。
コースは、首都高エリアは新たに横浜環状が追加された一方、八重洲線が削除された。また、首都高以外にも新規で名古屋エリア(名古屋高速道路と東名阪自動車道※現在の名二環区間)及び阪神エリア(阪神高速道路)が追加された。
本作から追加されたシステムとして天候変化があり、雨天や雪の中を走る事が出来る。
海外版は『Tokyo Extreme Racer 3』として発売。2005年にCrave EntertainmentがHandleman Companyに買収されたことでここからの発売はこれが最後になった。
ちなみにOPは片渕須直が関わっている
プレイステーションポータブル版『首都高バトル』(2005年4月21日発売)
シリーズ唯一の携帯ゲーム機用作品。
収録コースは01の首都高エリアに準じている。
登場車種は日本の主要メーカーのみになり前作から大幅に減ったものの、ホンダからとある車種が非ライセンス車両のカスタムカーとして一台だけ登場する。
本作ではカスタムカーがプレイヤーとは違うライバル専用仕様カラーで登場するようになった(ライバル専用カラーはタイムアタックモードでのみ使用可能)。また、チームリーダーもカスタムカーに乗るようになった(チームリーダーのカスタムカーもタイムアタックモードのみ使用可能)。
アザーカーは本作ではプレイアブル車種が走っている。
移植機種の性能上、バトル方式はこれまでのフリーランからのパッシングではなく、バトル画面でライバルを選択してそこからのスタートとなる。
後に、本作をベースにして発売されたのがPSP版湾岸ミッドナイトである。
海外版は『Street Supremacy』のタイトルでコナミ(海外法人)から発売。
Xbox360版『首都高バトルX』(2006年7月27日発売)
現時点では据え置き機でのシリーズとしては最新作。
グラフィックは大幅に進化したものの、PSP版から更に収録車種が減ってしまった。
この為、ライバルの数に対して車両被りが非常に多く目立ってしまっている。
しかしその分1台あたりのモデリングの質が向上し、エンジンルームは3Dモデル化され、強化が進むと部品が交換されたり、一部の部品が変色したりなど、チューニングによる変化を楽しむ事が出来る。
新規収録車種は、三菱自動車からランエボXのプロトタイプである「CONCEPT-X」や、米国三菱限定のエクリプスGTが追加された。
なお、本作ではAE86トレノ/レビンを例に通常仕様の車がNPC専用となり、プレイヤー側が使用できる車がカスタムカーのみになってしまった車種もある。
収録コースは渋谷線と新宿線が追加されたものの、入れ替わるように大人の事情で横羽線・湾岸線・横浜環状が削除されてしまった。
一方、アザーカーは0までの様に一般車を思わせるバリエーション豊かなものになった。
(日産マーチK12やトヨタ エスティマ等)
Xbox360自体が日本での需要が少なかった事に加えて本作の知名度自体も今までの作品に比べて低く、元気自身も本作の出荷数が少ない事を認めており中古価格も下落せず現在プレミア価格である。
海外版は『Import Tuner Challenge』のタイトルでUbisoftから発売。
ストーリー
首都高バトル0(2001年)
ある夜、瞬く間に首都高を制圧した一人の走り屋が現れる。その名は「迅帝」。その最速の走り屋に最も近い場所にいる13人の走り屋をまとめて「十三鬼将/THIRTEEN DEVILS」と呼ばれるようになる。
首都高バトル01(2003年)
首都高最速の走り屋「迅帝」がある日、首都高バトル0のプレイヤーに敗れた。その敗北から首都高が弱体化し、それに呼応して名古屋、阪神の走り屋が動き出す。
首都高バトルX(2006年)
3年前、復活を果たした「迅帝」が突如姿を消す。この間に首都高の環境は大きく変化を遂げ、古参の走り屋が去り、新たな走り屋たちの台頭により、王者無き首都高の世界はより混沌へと向かっていく。
主な有名なライバル
チーム
ボスチーム
チーム内の主な有名なライバル
堅実部長(のちのC1の大御所など,Galaxy Racers)
ワンダラー(条件付きのライバル)
ボス(十三鬼将/THIRTEENDEVILSなど)
ラスボス
余談
このゲームにはなにかとパロディネタが多い。ブラッドハウンドの車がDTM仕様だったり、迅帝の車がJGTC仕様だったり、紅の悪魔の車が某機動戦士の赤い彗星専用のMSを模した改造が施されていたり、果ては名称不明のラスボスの車がとある漫画の主人公の車だったりする。
またライバルの中には「SHINSEN-GUMI」なるチームや阪神エリアの舞台となる大阪に所在するユニバーサルスタジオジャパンをネタにした「Univer-SARU」なるチームも存在したり、実在する人物(プロレーサー、ゲーム雑誌や車雑誌の編集者、ゲーム制作のスタッフ、チューニング会社の社長や社員)が登場しているが挙げるだけでかなりキリがない。
同じゲームシステムが用いられているPS3版「湾岸ミッドナイト」のサバイバルモードに湾岸ミッドナイトのキャラに混じって登場し、プレイヤーの前に立ちはだかる。ある条件を満たすと首都高バトルの車も使えるようになる。
首都高バトル01から本田技研工業の車両が一切登場しなくなった理由は、かつてホンダは阪神の環状族の起こした事故のせいで関連会社の無限共々書類送検された過去があり、以降アザーカーの登場する作品=高速道路や一般道での暴走行為を連想させるゲームに長い間使用許可を出さなかった為と言われている。
しかし、2010年代後半から規制が緩くなったのか徐々にではあるがその手のゲームにも許可を出すようになり、「首都高バトルXTREME」で実名登場作品としては遂に初めてホンダ車が収録されることとなった(アザーカーが登場するという前提より)。
類似例として、日産のカスタムカーもXから激減しており迅帝や紅の悪魔の搭乗車種も変更になっていた。
没車・データ
ソフトに改造コードを適用することで、製作段階で没となった車両や本編には未収録の車両を見ることができる。以下は主な例。
首都高バトル2
・フェラーリ・512TR
体験版のみの収録。フェラーリはライセンスに非常に厳しいことで有名であり、(「実車にソックリな架空の車」という建前があるとはいえ)仮に出していたら良くも悪くもエラい騒ぎになっていたかもしれない。
・トヨタ・アリスト(初代)
実写は2代目(JZS161)の陰に隠れてマイナー車となっているが、泣く子も黙る2JZ-GTE搭載車であり、戦闘力は十分。
なお2代目は既に出演しており、ブラッドハウンド等ボス車のベースに抜擢されている。
首都高バトル0
体験版のみの収録。なぜか収録されていた。
首都高バトル01
・プジョー・206/406セダン
前作0では106が収録されているので、その後継として収録予定だった可能性がある。なお406にはエアロも設定されており、どこかで見た外観にすることもできた。
・RUF・RCT(ポルシェ・964)
ZERO用に用意された可能性があるが、没に。おかげで当該ライバルは著しく弱体化してしまった。
なおポルシェベースの改造車としてゲンバラGTR500(ボクスターベース)・GTR750(996ターボベース)が収録されている。
・謎のカスタムスープラ
JZA80スープラをベースに、Veilside・C1モデルのフルエアロに透明なボンネット、カスタムペイント、アンダーネオンなどの専用チューンが施されたモデル。本作ラスボス「不明」説や、スネークアイズの原型説、製作段階のテスト車両説など様々な考察がある。
新作への動き
- 2024年1月頃、「Eco Car Cup 2024 Winter Festival」にチームGenki Racing Projectが首都高バトルを冠した名前でエントリーしていることが確認される(参照)。
- 2024年2月17日、上記イベントにてGenki Racing Projectより、具体的な作品名の言及はなかったものの夏頃~年内に何らかの発表があると告知される(参照)。
- 2024年2月20日、NSX等のエアロパーツを発売するルートKS社のブログにて「元気株式会社様がご来店し、年内発売予定の首都高バトルの新作に当店のエアロパーツが採用された事をご報告させて頂きます」との記事が掲載され、それから1ヶ月後にTwitter(現:X)のユーザーに発見され、瞬く間に拡散された。
- 同年7月31日、元気社のSteam参入第一弾として完全新作ゲーム『Devil Road Run(デビルロードラン)』を発売した。内容は、勇者から追われる女の悪魔を、テトリスの様なブロックで道を作り、ゴールまで導くと言うもの。かつてスーパーファミコンで発売された『マリオとワリオ』を彷彿とさせる。
その紹介映像の最後には、何故か車に追われており、これが首都高バトルの新作への伏線ではないかと言う考察がある。
- 同年8月中旬「Eco Car Cup 2024 Summer Festival」にチームGenki Racing Projectが首都高バトルを冠した名前でエントリーしていること、および「アレのお知らせに参りました」とのコメントが確認される(参照)。
- 同年8月19日、カウントダウンサイト「https://2024-00-countdown.genki.co.jp/」が公開、カウントダウンの終了は2024年8月22日16時。なおGenki公式Xでの告知ではサイトURLと併せてハッシュタグ#GenkiRacingProjectがつけられている。
- 同年8月21日、カウントダウン終了と同時に新作「首都高バトル」をSteamでリリースすることが告知された。これはコンシューマーではXbox360版「首都高X」以来18年振りであり、シリーズ全体で見ればスマートフォンアプリ「XTREME」以来8年振りの新作となる為、期待が高まっている。なお、プレイステーション5及びプレイステーション4等のコンシューマー機への展開は現時点では不明。
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