羊の皮を被った狼
ひつじのかわをかぶったおおかみ
1.自分の正体を隠している悪人。
2.凡庸な見た目の実力者。
概要
新約聖書・マタイ7章15節にある「偽預言者に気をつけなさい。彼らは羊の身なりをして近づいてくるが、その内は貪欲な狼です」を語源とする、「一見親切そうにふるまってはいるが、内心ではよからぬことを考えている人物」のたとえ。
自動車用語として
上記の通り本来は否定的な意味合いの語であるが、自動車雑誌の試乗記事などで「アクセルを踏んだ瞬間、私の予想は良い意味で裏切られた。こいつは紛れもなく羊の皮を被った狼だ!」などと記載されるように、「隠れた実力派」や「外観のイメージからは想像がつかないほど高性能」という肯定的な意味で使用される例が散見される。
この言葉が自動車用語として定着するきっかけとなったのは1964年にリリースされたプリンス(現・日産)「スカイライン 2000GT-A」(上の画像参照。但しこちらは「GT-B」)とされている。
派生用法
後に自動車やその他の乗り物にとどまらず、人に対しても使用されるようになったが、やはり原義からすれば誤用であると思われる。
そうなってしまった背景には、自動車用語に加え、日本にはそもそも羊がいなかったうえに、狼に対しても欧米とは異なり悪印象を持っていなかったことがある。
また、原義からの別の派生として「一見無害そうに見えて、よく見ると獰猛そうだが、実はやっぱり無害」な人物や存在を指す「羊の皮を被った山羊」という語が生まれている。