概要
2000年代半ばに清楚系ファッションが流行したのをきっかけに囁かれ始めた女性の類型で、2012年にTwitter上のとあるイラストが話題になった事(外部リンク参照)をきっかけに広く認知されるようになった。
それまで、良くも悪くもはっきりしていたビッチが清楚な女性の中に紛れているかもしれないとあって、そういう女性に幻想を抱いていた男性が恐怖した。
一般的なイメージのビッチが男漁りをしやすくするために擬態したパターンと、元々清楚指向であったものの性格や男運の悪さが原因で結果的に男性を渡り歩く事になっているパターンに大別される。
成立の背景
一般的にビッチはギャルやヤンキーといったアウトローな存在と親和性が高いとされてきた。伝統的価値観への反発が根底にあると考えられ、実際そのような動機から行動パターンを選ぶ者も多々いたからである。
しかし、2000年代半ばに入ると若者文化が渋谷から秋葉原寄りにシフトし、持ち物もガラケーからスマホに変わっていく中、ギャル全盛であった1990年代末への反動もあって白い目で見られる傾向が強まったため、次第に夜のコンビニの前で屯すような古典的ギャルに対して「ダサい」「時代遅れ」といった評価が主流になっていった。
さらに秋葉系がリードしてきたネットの世界では処女厨が幅を利かせており、性体験はおろか異性との交遊関係自体が半ばタブー視され、嫌悪の対象となっていた。
その結果として、あからさまにハジけた明るい茶髪・派手なアイシャドウ・太いつけまつげのようなファッションをする事が憚られるようになり、むしろ一見してそれと分からない姿を装う事が「イケている」ものとされるようになった。
こうして「見た目は清楚・中身はビッチ」という地雷じみた存在が一般化していったのである。
2010年代に入っても社会の保守化傾向は続き、AKBや坂道グループ、韓流などの清楚・コンサバ寄りのファッションが女子の間で台頭した。
それに伴い、古典的なビッチギャルのイメージも悪化の一途を辿っていった。そのような風潮の中で清楚ビッチは増殖し、一つの概念として定着したのである。
今日では清楚系美人(芸能人含む)のビッチ疑惑を掘り出したり、ゴスロリ等がオタサーの姫認定されたり、女性が気に食わない相手の私生活を男性に「密告」したり、根拠も無い相手にレッテル貼りとして用いたりする事も少なくない。まるで魔女狩りのような時代が到来したものである。
フィクションでの扱い
上記のような状況であるため、作中でこう表現されるキャラクターは基本的に悪女、それも性質の悪い知能犯系の人物として描かれがちであるため、好かれる要素が少ない。世の中にはビッチ萌えという人種もいるのだが、彼らはあくまで「性欲が強い女が良い女」という価値観であるだけであり、悪女が好きなわけではない。
逆に言えば、監禁・BDSM・ハーレムものなどアダルトなジャンルや、NTRを初めとしたダークな作劇においては、ある意味重宝されている。もっとも、バイセクシャルだったり悪女扱いされることが多い。
二次創作では元々「ビッチ化」というジャンルが存在していた事もあり、しばしば特定の清楚系のキャラクターが清楚ビッチの設定にされて集中的に描かれている。とは言え現実同様、根拠の無い単なるレッテル貼りである場合が大半であり、やりすぎると争いの火種になりかねないので節度ある行動が求められる。
なお、始めから清楚ビッチを描こうとして描いた作品はpixivでもそう多くなく、タグも必ずしも貼られているとは限らない。あえて見たいのなら「黒化」の一環としてそのような描写が出てくるといったパターンを探す方が早いのが現状である。