概要
国鉄の分割民営化が近づく中、キハ20系を置き換える目的で民営化の直前までに両運転台車が21両製造された。その後はJR四国の所属となっている。予土線、内子線、土讃線で運用される。
車体は全長が16m、幅は2.7mに抑えられ、台車などエンジン以外の機器類は廃車発生品を使用し、ドアとドアエンジンはバスと同じものが採用され、軽量化がなされた。ロングシート車でトイレも設置していない為、ローカルでの運用では不満の声もある。
新潟鐵工所製造の1~11は丸型ライトと黒色の窓サッシ、富士重工業製造の12~21は角型ライトと銀色の窓サッシとなっている。
キクハ32形
トロッコ列車用として1997年と2003年に片運転台車が1両ずつ製造され、16m級で台車も廃車発生品を使用していたためキハ32の制御気動車形式として位置付けられた(キクハ32-501、502号)。動力を持たないため動力車としてキハ185系が使われており、キハ32と組まれることは無い。
キクハ32-501号は定員61名で、デビュー当初は緑色塗装であった。運転開始当初は予土線「清流しまんと号」の増便用として登場したため、車体の前面や側面に白地のローマ字で「清流しまんと」や「四国」の文字が入っていた。その後、土讃線の「大歩危トロッコ」など予土線以外で運用されるようになり、白地のローマ字で「四国」の文字だけに変えている。2017年9月23日から2019年11月30日まで坂本龍馬や中岡慎太郎などの偉人が描かれた幕末維新仕様に特別ラッピングを施した「志国高知 幕末維新号」として運行された後、2020年10月より徳島線で「藍よしのがわトロッコ」を運行開始するに当たり、車体は藍色をベースにしたカラーリングに変更された。
キクハ32-502号は、基本構造は501と同じだが眺望を重視して側面と床部に透明ガラスを追加している。501同様デビュー当初は緑色塗装だったが2006年のリニューアルで「アンパンマントロッコ」となり、同時に定員は52名から48名になった。2015年に再リニューアルが行われ塗装が変更された。
「アンパンマントロッコ」は東日本大震災の直後には団体臨時列車として東北地方や関東地方に出張に出た。この時はATSの関係で自走はせず、DE10やEF510-500番台に牽引される形での運転となった。また甲種輸送中は通過する沿線自治体の屋外広告条例との兼ね合いもあり、アンパンマンの装飾を極力隠す形で実施された。
そして・・・
- キハ32-4号は2011年に「海洋堂ホビートレイン」に改装された。高知県四万十町にオープンの『海洋堂ホビー館四万十』とコラボレーションしたもので、車内にはフィギュア展示スペースがある。
- キハ32-3号は2014年に「鉄道ホビートレイン」に改造された。概要は当該記事を参照。