霜月牛マル
しもつきうしまる
人物
赤鞘九人男の河松曰く、生前は剣の達人として知られ、相棒の狐・オニ丸とは常に行動を共にしていたとのこと。当時の姿を思い起こす描写もあり、その中では着流し姿に茶筅髷を結んだ横向きの姿で描かれていた(ただし、このとき顔は影で不明瞭だった)。
経歴
九里(くり)の大名にして、先代将軍・光月スキヤキの嫡子であった光月おでんが海外へ冒険に出ていた帰還(30~25年前)にスキヤキが病没し、生前にスキヤキから“将軍代理”に指名されていた黒炭オロチがワノ国の実権を握る。オロチはカイドウ一味と結託し、民らを虐げる悪政で国を衰退させ、25年前に帰還したおでんも、オロチたちと交わしたとある「約束」を信じ、以後5年間、都で毎日裸踊りをして過ごすことになる。
この間である23年前、カイドウ一味とゲッコー・モリア率いるゲッコー海賊団が交戦し、牛マルの領地である鈴後にて「刀神様」として祀られていたリューマの遺体と、その愛刀でもあった国宝『秋水』が奪われる。余談だが、鈴後は常に雪が降り積もる極寒地であり、リューマも死後数百年が経っていながら遺体に大きな損傷はなく、後に「スリラーバーク海賊団」と名を改めたモリア傘下のドクトル・ホグバックとモリアのカゲカゲの実の能力で将軍ゾンビとして配下に加えられている。
20年前、おでんが重臣たちと共に二人を討たんと動くも敗北し、後日、首都である花の都で公開処刑されてしまう。その後オロチは、各郷の大名に「黒炭に仕えるか戦うか」を問うが、牛マル含む四人の大名はオロチとカイドウに屈することなく戦う道を選んだ。しかし、カイドウとその軍勢はあまりに強く、四人の大名の一人・霜月康イエは敗走、残る三人(牛マル、風月おむすび、雨月天ぷら)は捕らえられ、カイドウの本拠地・鬼ヶ島内の「天の岩戸」と呼ばれる岩屋に絶食状態で幽閉される。
そんな中、当時8才のカイドウの娘・ヤマトが新たに収監される。
ヤマトはおでんの公開処刑と彼の記した航海日誌を通し、その生き様に感銘を受け、カイドウの意志に反しておでんのように海外に出る夢を強めていた。ある日、船員たちの前で大暴れしたヤマトが“覇王色の覇気”の片鱗をみせたことで、カイドウはヤマトを試そうと、自身を憎む侍たちのいる岩屋の中に娘を放り込んだのだった。加えてカイドウはヤマトを鎖で拘束し、更に膳に載せられた一人分の食事を用意し、空腹の彼らがヤマトを殺しにかかるように仕向けた。
侍からの復讐に怯えるヤマトであったが、牛マルたちは彼女を一切責めることなく、それどころか「侍は腹など空かぬものだ」と用意された食事を迷わずヤマトに差し出し、拘束していた鎖も断ち切った。ヤマトも、牛マルたちの心配りに涙ながらに感謝し、その食事の味を「一生忘れない」と誓った。
その後、侍たちは心を開いたヤマトとしばし談話。彼女から名を尋ねられたが、志叶わず敵に敗北し、ただ死を待つだけの身の上から「なにがし」とだけ答えた。また、彼女がおでんに憧れるキッカケとなったという隠し持っていた航海日誌の存在を知らされ、以降、難しい字が読めないというヤマトに内容を教えながら、三人もまた日誌やこれまでの出来事からおでんの真意を理解し「20年後にワノ国の未来をかけた戦いが起きる」と悟る。
それから10日以上が過ぎ、絶食で再び餓死寸前に追い詰められたヤマトを前に、牛マルたちは彼女の命を救うことが、自身らがその未来の戦いに参戦する方法であるとし、半睡半醒のヤマトに応援を込めた別れの言葉を贈りながら、最期の力で「天の岩戸」を破って彼女を逃がし、そのまま戦死した。
関連キャラクター
共に戦った大名
「白舞(はくまい)」を治めていた大名。
牛マルと同じ霜月の姓を持つが、関係性は不明。
(※ 詳細はリンク先を参照。)
風月おむすび
「希美(きび)」を治めていた大名。
名前通り、三角おむすびのような輪郭に、歌舞伎の隈取を施した風貌が特徴の恰幅の良い体格の男性。
雨月天ぷら
「兎丼(うどん)」を治めていた大名。
吊り上った目元と髭が特徴の長身痩躯の男性。強面だが、一人分の食事をヤマトに勧めた、心優しい人物。
余談
- 霜月一族
牛マルの血筋である霜月とは、ワノ国に古くから存在している屈強で名高き一族とされ、生前、剣の達人として謳われた牛マルの他、同姓の霜月康イエの治める白舞の武士団も精鋭として広く知られていた。
また、麦わらの一味がスリラーバークで遭遇した将軍ゾンビ・リューマも実は霜月姓で、数百年前の竜殺しの伝説から国内で「伝説の剣豪」「刀神様」として祀られる存在でもあり、牛マルはその子孫にあたる。一味が対峙したリューマも、体を動かす精神こそ別人ながら、その肉体から繰り出される剣撃は未だ凄まじい威力を誇り、影の本来の宿主はおろか、ロロノア・ゾロでも苦戦を強いられる程の実力者だった。
その他にも、ゾロの故郷である“東の海”のシモツキ村を開いたワノ国出身の刀匠兼剣豪の霜月コウ三郎がいる(その息子のコウシロウ、孫娘のくいなも霜月姓を名乗っているかは不明)。
- ゾロとの関係性
鬼ヶ島決戦時のヒョウ五郎と河松の会話によると、牛マルの若き日の顔立ちや剣の所作はゾロと瓜二つだったという。河松曰く、秋水の代わりに(おでんの形見でもある)閻魔をゾロに譲るという光月日和の提案を止めきれなかったのも、この二人が似すぎていることが一因したとも明かしており、リューマの愛刀である秋水をゾロがワノ国に返した事にすら運命を感じるほどだという。
このことから当初、一部読者の間では「牛マルはゾロの父親なのではないか?」とも考察されていたが、101巻SBSにて作者から両者の親子関係は否定されている(死亡時期が20年前であることと、現在21歳のゾロが東の海のシモツキ村で暮らしてること、更にコウ三郎達が55年前にワノ国を出てシモツキ村を作ったことを考えたらまず色々な面で無理が生じる)。
ただし、その血筋には何らかの秘密が隠されてるとのこと。