『困ってる人がいたらお節介やいちゃうのは ヒーローの基本だろ』
『ヒーローがマントを羽織るのは!痛くて辛くて苦しんでる女の子を包んであげる為だ!』
『これまでの全て何も無駄にはなってない 俺は依然ルミリオンだ!!』
プロフィール
全ての攻撃を無効化! 無敵のハイリスク"個性"!!
正義感 実力…プロ含めもっともNo.1ヒーローに近い男
―――僕のヒーローアカデミア 公式キャラクターブック2 Ultra Analysisより
概要
雄英高校ヒーロー科3年B組の男子生徒。現雄英生のトップ『ビッグ3』の一人。
サー・ナイトアイの元でインターン活動を行っている。
人物
筋肉質でユーモラスな雄英高校3年生。ビッグ3の中心的存在。同じビッグ3の天喰環とは小学校3年生からの付き合い(天喰が転校生)な他、お互いに下の名前で呼び合う仲。明るく陽気でお調子者。いつもたくさんの友達に囲まれていて、表面的な性格で言えば、内気で生真面目な緑谷とはまさに正反対と言えるかもしれない。
本人にこれといって悪気は無いのだが、自分の個性『透過』によって、事あるごとに衣服を滑り落してしまい、人前で真っ裸を晒しては周りを驚かせている。
また、初対面の相手の前でもとりあえず一発ギャグをかまして笑いを取りにいこうとする悪い癖があり、おまけにギャグのセンスもあまりないので、大抵スベり倒して周囲を唖然とさせる。
しかしそんな普段のどこか抜けた振る舞いの一方で、その心には困っている人を見たらお節介を焼かずにはいられないような純朴なヒーロー性を持ち合わせており、ここぞという場面では見る者を震え上がらせるほどの凄まじい気迫で敵を圧倒する。
ヒーロー育成の最高峰・雄英高校でもトップの実力を持つ、通称ビッグ3と呼ばれる生徒の一人であり、その中でも彼は教師である相澤から「プロを含め、俺の知る限り最もNo.1に近い男」と言わしめるほどの実力者。
インターン先のサー・ナイトアイからも、活動現場では単独行動を許可されている等、プロの資格を持つサイドキック達と同等の扱いをされている。
そんな彼だが、実は入学当初は自分の個性を十分に使いこなせておらず、高校での成績は最底辺という典型的な落ちこぼれの生徒だったのだ。(本人曰く、「成績は落ちたし服も落ちた。」)
ミリオは決して才能に恵まれてはいなかったからこそ、自分の弱さを理解し受け入れる現実的な思考を持っており、なおかつそれをひとつひとつ乗り越えてきた自負から、どれだけ傷つき打ちのめされても決して折れない精神的な強さを獲得している。
そうした心の強さに加えて、地道な訓練によって磨き上げた個性、そしてサー・ナイトアイの元で養った実戦経験によって、彼は名実ともに雄英トップのヒーロー候補生にまで上り詰めた。
コスチューム
コスチュームは自身の髪の毛から作られており、自身の個性発動に合わせて同じように透過して脱げない仕様になっている。
自身が川で溺れた際に救出してくれたヒーローのコスチュームと似たデザインになっており、胸には1000000がデザインされ、ヒーローマントを羽織っている。
緑谷出久との関係
緑谷出久とはサー・ナイトアイ事務所におけるインターン生の先輩・後輩の関係にあたる。
緑谷がオールマイトの「人々を笑顔で救い出す姿」に憧れたように、ミリオは自分のヒーロー名に「ありったけ沢山の人々(ミリオン)を救ってみせる」という意気込みを込めており、「救けるヒーロー」という点において、2人はよく似たヒーロー観を持っていると言える。
ただ、ミリオ本人が知らないだけで、実は2人の間には、オールマイトと"個性"『ワン・フォー・オール』の行く末を巡る複雑な事情が絡み合っている。
「―――君はどういうヒーローになりたい?」
オール・フォー・ワンとの決戦から数年後、ヒーローとしての限界を感じ始めていたオールマイトは、根津校長から後継者となる人間を探すために雄英高校へ赴任することを勧められていた。
その際に校長が「後継者に相応しい人間」としてオールマイトに推薦した生徒こそが、他でもない通形ミリオだったのである。
しかしオールマイトは彼と出会う前に、緑谷を自身の後継者として見出していたため、結果的に『ワン・フォー・オール』がミリオに受け継がれることはなかった。
そのため、ミリオ本人は自分が『ワン・フォー・オール』の継承者候補として考えられていた事実を知らないし、緑谷もオールマイトの赴任までにそういった経緯があったことは聞かされていなかった。
そして、オールマイトの元サイドキックであるサー・ナイトアイは、"無個性"の緑谷が継承者となったことを知ると、その選択に反発する形でミリオの育成を始めた。
サーが彼の師匠となった当初の目的は、通形ミリオという一人の生徒を育てることではなく、自分の予知してしまったオールマイトの未来を変えるために、彼の考えを改めさせることだったのである。
サーはミリオの持つ底抜けの元気とユーモアに「未来を明るく照らす力」を見出して、彼こそがオールマイトの後継者に相応しいと考えていた。
しかしその一方で、緑谷と初めて出会った際には、緑谷の中に自分には理解できなかったオールマイトの強い想い(彼曰く「底に宿った狂気」)と似通ったものを感じ取ってもいた。
ミリオもまた、緑谷の目指すヒーロー像を尋ねた際には、その真っ直ぐ眼差しと傷だらけの腕を見て、緑谷のがむしゃらさを悟り、素直に驚く様子を見せている。
理想を必死に追い求める緑谷と比べると、ミリオはどこか現実的で地に足の着いた考え方を持っている様子が窺える。
緑谷はオールマイトの想いと共鳴する「何か」を持っていて、それこそが彼がオールマイトに選ばれた最大の理由だったと言える。
しかし、いくら素質があっても、緑谷はまだ成長途上の高校一年生。グラントリノやサー・ナイトアイの指摘したように、社会を脅かす敵達が緑谷の成長を待ってくれるはずもなく、オールマイト引退後の社会情勢は、彼らの予想を超えて目まぐるしく変化していく。
死穢八斎會との一連の戦いの後には、緑谷が自分とミリオを比べて打ちのめされてしまう場面があり、緑谷は彼との出会いを経て、自分の理想と現実、そしてオールマイトの意思を継ぐ者としての使命の大きさを改めて痛感することとなった。
個性
個性は『透過』。
発動中はあらゆる物をすり抜ける。
あらゆる攻撃をすり抜けて無効化できることから、作中においては敵味方問わず度々"無敵の個性"と評されている。
また、ミリオはこの個性の応用によって、ワープにも似た高速移動術を習得している。
自身の体が物体に重なった状態で個性を解除すると、体が物体の外側へと瞬間的に「弾かれて」しまう。この個性に熟練すれば、その際の姿勢や体の向きを調整することで自分が「弾かれる」方向をコントロールし、地面を伝ってあらゆる場所へと一瞬で移動できるようになるらしい。
しかし、理論上は可能であっても、実戦でそれを使いこなすのは容易なことではない。
個性の発動中は、肉体が無差別にあらゆる物体を透過するため、光や音、空気さえも彼の体をすり抜けてしまう。全身に個性を発動すると、何も見えない。何も聞こえない。呼吸さえもできない一時的に完全な無感覚状態へと陥る。
更に個性の発動中は地面まで透過してしまうため、足の裏にまで個性を発動すると、地球の中心に向かって「落ちて」しまうのである。
そのため、例えば1枚の壁を透過する際も、
- こちら側の足以外全身を透過させる
- 向こう側の足の透過を解除して接地
- 残った方の足を透過させ壁抜け完了
といったように、ごく簡単な動作にもいくつかの工程を踏む必要がある。
この個性を本当の意味で使いこなすためには、必要な時に必要な箇所だけを瞬時に透過させる精密な技術はもとより、周囲よりも常に一歩先の未来を予測する判断力が必要不可欠だった。
ミリオが雄英高校入学後に出遅れた最大の要因はこの点にあり、彼の父親もこの個性の扱いの難しさからヒーローになることを諦めたとミリオに告げたことがある。
ミリオは長年の鍛錬とナイトアイの元で培った予測・判断力により、そのような扱いづらい個性を「あらゆる場所に瞬時に移動し、どんな攻撃も受けつけない」という正真正銘の無敵の個性へと昇華させたのである。
必殺技
- ブラインドタッチ目潰し
相手の眼球に向けて自分の指を透過させることで、敵はさながら目潰しを受けたかのような錯覚に陥る。
作中では緑谷をひるませた隙に、強烈な腹パンを叩き込んだ。
一見するとただの一発芸のようだが、個性そのものに攻撃力が無いミリオにとって、時には小細工も必要なのかもしれない。
- ファントム・メナス
壁から壁へ。高速移動を繰り返しながら目にも止まらぬ連打を叩き込む大技。
名前の由来は映画『スター・ウォーズ』シリーズの新三部作第一作のサブタイトル「ファントム・メナス(見えざる脅威)」から来ていると思われる。
活躍
短い夏休みが終わり、雄英高校の二学期が始まった頃のこと。
後輩のケンカの噂を面白がったミリオは、爆豪との決闘により謹慎処分を受けていた緑谷の前に、地面から顔だけ浮き出た謎の男として突如現れる。
そのときはろくな自己紹介もせずに別れてしまったのだが、その次の日、1年A組の生徒達の前で雄英高校BIG3の一人として相澤先生に紹介され、天喰、波動と共に改めて登場を果たした。
ミリオはヒーローインターンの有用性を後輩達に教えるために模擬戦闘を提案する。
A組(轟、爆豪を除く18名)をたった一人で迎え撃ったミリオは、開始から僅か5秒で半数を腹パンで戦闘不能に追い込み、残った半数も腹パンであっさり制圧してその実力を見せつけた。
その後はヒーローインターンを希望する緑谷をサー・ナイトアイに紹介し、彼がサー・ナイトアイの元でインターンを開始する切っ掛けを作った。
緑谷のインターン初日、共にパトロールをしていた最中に、何かから逃げ出してきた包帯だらけの少女・壊理、そして彼女を追ってきた死穢八斎會の要注意人物・オーバーホールと遭遇してしまう。
本来ならば指示を仰ぐべきプロヒーローが居ない中で、彼らは少女の保護と捜査の続行、どちらを優先するべきかという難しい判断を迫られる。ミリオは捜査に支障をきたさないため平静を崩さずその場をやり過ごそうとし、緑谷は明らかに怯えている壊理を見捨てられず食い下がる。オーバーホールと彼らの間で一触即発の事態になるが、最終的には壊理が自ら緑谷から離れ彼の元に戻ったことで事態は収拾した。
その後、サー・ナイトアイ主催の会議で、壊理が"個性"を打ち消す薬の材料として扱われ、人体実験を受けている可能性を示唆されて、2人は衝撃を受ける。
プロヒーローは時として、人の命を左右するような重大な決断を迫られる。ミリオの判断を責める者はいなかったが、自責の念に駆られたミリオはそれまでに無いほど落ち込んだ姿を見せて、一刻も早い壊理の保護を誓った。
死穢八斎會の強制捜索の決行日。八斎會組員達が総力を挙げてヒーロー達の足止めを行う中、ミリオは『透過』の"個性"によって、最速で壊理の元へと辿り着き、オーバーホールらに対して単身戦いを挑む。
彼は数的不利をものともしない圧倒的な実力を見せ、壊理を奪取、保護しながら、玄野・音本・酒木をまとめて打ち倒し、オーバーホールをあと一歩のところまで追いつめるが、驚異的な執念により息を吹き返した音本の手により、個性破壊弾の完成品をその身に受けてしまう。
絶体絶命の状況。しかし彼は個性を失ってもなお、たった1人で戦い続け、サー達が到着するまでの間、壊理に傷一つ付けさせることなく彼女を守り抜いた。
個性が無くてもヒーローになれる程、プロの世界は甘くない。
だが、"無個性"の彼は、その場にいる誰よりもヒーローだった。
かつて緑谷出久がオールマイトの前で見せたように、彼もまた本物の英雄として、その底知れない可能性の片鱗を見せた。
その後は残されたヒーロー達の奮戦、壊理の覚醒によって、遂に少女の救出に成功したものの、その際単独で治崎の足止めを行なっていたサーは致命傷を負い、緊急搬送先の病院で息を引き取ることになった。
彼は自分の師匠とプロヒーローとしての未来。その両方を、たった一日の内に失ってしまったのである。
翌日、病室を訪れた緑谷を、ミリオはいつもと変わらないひょうきんな姿で出迎えた。
自分の全てを奪われても前向きなミリオを見て、緑谷はその強さに打ちのめされてしまう。(あるいは緑谷は個性を失ったミリオに対して、オールマイトと出会う前の自分と重ねてしまったのかもしれない。)
ミリオはそんな緑谷を励まして、一日も速い再起を誓った。
雄英文化祭では、エリちゃんをエスコートしA組のパフォーマンスを見て、笑顔になったエリちゃんを見て涙して喜んだ。
その後もエリちゃんが雄英高校預かりになったため、彼女の身の回りの世話をしている。
超常解放戦線との全面戦争では死柄木の復活、ギガントマキアら連合メンバーの合流、荼毘のある告発によりヒーローたちが窮地に陥り、緑谷も死柄木との戦いで四肢が動かなくなる状態となっていた。
職場復帰したベストジーニストが炭素繊維のワイヤーで連合メンバーを拘束するもマキアが拘束を引きちぎりにかかり、更に4体のニア・ハイエンド脳無がジーニストに襲いかかるが・・・
その時、地面から姿を見せて現れたのが透過を使って脳無を蹴散らすミリオだった。
前日にバブルガールから掃討作戦の情報を教えてもらい、役に立ちたいと復帰の意志を見せ、2ヶ月に渡る特訓の成果でコントロールを出来るようになったエリちゃんに巻き戻しを自分に使って試してみるように(彼女の気持ちを汲んだ上で)頭を下げて頼み込み、個性を取り戻すことに成功。
ミリオは山荘からの連絡を受け、ナイトアイ事務所が制圧を担当したヴィランのアジトから近いことから緑谷たちのいる蛇腔市へ駆けつけに来た。
しかし彼でも4体の脳無を一人で相手するのは難しいためかすぐにヘルプを叫び、飯田、負傷状態の爆豪とねじれと共に拘束を継続するベストジーニストを守り抜く。
マキアが麻酔で活動停止した後は、死柄木を目覚めさせるために時間稼ぎをする満身創痍のMr.コンプレスをワンパンで撃破し、拘束から脱した死柄木とスピナーを確保しようとするが、オール・フォー・ワンの人格として目覚めた死柄木の電波の衝撃波で吹き飛ばされてしまう。
アニメで補完された展開では再度死柄木に立ち向かうも、鋲突で透過していない脇腹を背後から突き刺され気絶してしまった。
余談
- 誕生日が緑谷と同じ。
- 「ルミリオン」というヒーロー名について、ミリオ本人は「レミオロメンみたいでカッコいい」とコメントしているが、名前そのものは1931年公開のフランスのコメディ映画「ル・ミリオン」に由来していると言われている。この他にも有名なところでは「イレイザーヘッド」、「グラン・トリノ」等の映画のタイトルをヒーロー名に採用しているパターンが多々あり、作者の映画好きを窺い知ることができる。
- ヒロアカアニメ第四期後半(文化祭編)のエンディングでは、1年A組の生徒たちの就寝時のカットと合わせてミリオが悪夢にうなされて夜中に目を覚ますカットが挿入された。人前では決して傷ついた姿を見せなかった彼だが、一連の事件に対しては精神的に大きなショックを受けていたのだろう。
- 『ワン・フォー・オール』の継承者候補として
作中には主人公である緑谷自身が「もしもミリオが『ワン・フォー・オール』を継承していれば」を考える場面がある。ただし後に明らかになったことだが、現在の『ワン・フォー・オール』には大きな力を蓄積してきたが故のデメリットも生じており、仮にミリオがOFAを受け継いでいたとしても、身体的な面で大きな負担を強いられることになっていただろう。
これまで緑谷は何度もオールマイトの後継に恥じない姿を見せており、彼に大きな影響を受けた者や、彼がいたからこそ救うことができた人々も少なくない。
しかしヒーローを目指す多くの者達の中で、果たして緑谷だけがオールマイトの力を受け継ぐのに相応しい精神的素質を持っていたのかどうかは定かではない。
オールマイトは、緑谷やサーが疑問を口にした際にも、その点について明言することは敢えて避けている。彼はミリオや爆豪、轟等を後継者に選んでいた可能性を決して否定しておらず、更に言えば、体育祭時には雄英高校の生徒達について「素晴らしいヒーローの卵たち」とも評しており、純粋にヒーローを志す者なら誰しも平和の象徴を受け継ぐ資格があるとも考えられる。
「『ワン・フォー・オール』の後継者に相応しいのは誰か」という疑問は、答えの無い問いかけとして、敢えて作品内に残されている意図があるのかもしれない。
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