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概要

飛天御剣流の十三代目継承者。緋村剣心の師匠。「剣心」の名付け親であり、育て親でもある。「比古清十郎」という名は、飛天御剣流継承者が襲名していく名である。

剣心と再会した時点では、面目上は隠居し、陶芸家新津覚之進(にいづかくのしん)として生活している。

剣心同様、実年齢よりも異様に見た目が若々しいため、「飛天御剣流には不老の効能がある」と思ったキャラクター達もいた。

人物

自分の事は棚に上げる、自画自賛するなどのナルシストな気質。剣心曰く「陰険・ぶっきらぼう・人間嫌い」。剣心が子供の頃から面倒を見ているため寝小便など恥ずかしい過去も知っているため、剣心からすると斎藤一以上にたちの悪い存在。

いつも弟子をからかったり「バカ弟子」呼ばわりしているが、一応育ての親でもあるため面倒見は良く、破門同然で追い出した剣心が戻ってきた際、紆余曲折はあったにせよ奥義習得の機会を与え、十本刀葵屋の戦いを助けて欲しいと頼まれた際にも「甘ったれるな」といいつつ駆け付けた。

無類の酒好きであるが、酒癖が悪いこともないので「良い」飲み方を心得ていると思われる。

そして、力の使い道を違わず、道理を弁えており、他者の心境を正確に見抜き汲み取る観察眼、何者にも怖じけず冷静な対処ができる胆力、恵まれぬ武人の苦悩を一瞬で理解し解放させる度量など、極めて類い稀な人格も持ち合わせ、柏崎念至をして「何と見事な男じゃ」と言わせ、とある女性キャラクターも一目惚れしていた。

しかし、比古も剣心と出会う以前、飛天御剣流を持ってしても人々を救えないことに悩んでおり、「せめて出来るのは犠牲者を弔うことだけだ」とこぼしている。

持ち物

愛刀は白木拵えの長刀『桔梗仙・冬月』。これと言った柄も施されておらず、まるでシンプルイズベストを体現したかの様な業物である。

常に飛天御剣流継承者に受け継がれてきた白外套を常に着ている。この外套は重さ十貫(約37.5kg)の肩当と筋肉を逆さに反るバネが仕込まれており、これによって本来の力を抑え込んでいる。

戦闘能力

公式で超人と評される作中でも最強クラスの実力者

剣心を遥かに凌ぐ剣技を誇り、加えて恵まれた体格と凄まじい筋力を持ち、上述の能力を抑制する白外套を羽織ったままで剣心を圧倒する規格外の実力者。この抑制された状態ですら、剣心が全力を出して、何度も修行を続けてようやく一度、比古の服装がごくわずかに傷つく程度の一撃を与えただけであり、当然ながら比古は全く全力を出していない。

白外套を脱いだのは、剣心に奥義・天翔龍閃を伝授する際に本気の九頭龍閃を放った時のみである。その際、刀を振り下ろした剣圧だけで地面に亀裂を作っており、まるで剣心が対峙した飛飯綱を思わせているエフェクトになっていた。

不二の攻撃を何の問題も無く受け止めて捌き、剣に剣を突き刺し、一撃で不二を倒すなど、もはや人間技とは思えないレベルの描写がされている。

志々雄一派に関しても「自分が出れば手っ取り早い」と述べており、その自信に違わぬ強さを持つ。

和月伸宏氏は、「剣心より強い。トランプでいえばジョーカーのように使いづらい。」と表現しており、本編での登場が遅れたことを語った。

彼の本気の最終奥義がどれ程の威力を体現するかは不明だが、想像を絶する威力を発揮することからは間違いない。これは、後述の「初代」清十郎が文字通り大地を砕いていた事からもうかがえる。

書籍『剣心皆伝』でも、剣術の腕が登場キャラクターで最強とされ、戦闘力→無限大とされている唯一のキャラクターである。

  • 戦闘力無限大・知識知恵4・精神力5・カリスマ5・自信5とされており、自信の強さも戦闘力を更に引き上げているのだろう。

作中で一度だけ本気を見せたのは奥義伝授の際だけである。これは、奥義を習得させる事と先代の落命とともに「世代交代」させるのが目的なので、全力の彼の実力は未知数である。また、疑似奥義である九頭龍閃が「十八番」である。実際、剣心と九頭龍閃の打ち合いをしたが体格差で圧倒した。破る方法は九頭龍閃よりも先に技を打ち込む事であり、これを破ることが奥義の伝授そのものとなる。

  • この技を初見で回避できたのは、作中で飛天御剣流より速いと称された宗次郎のみ。

最強のキャラクター

上述の通り、作者や関係者が連載中のコメントで比古清十郎をジョーカーと目した。連載終了後には作者は志々雄真実を全編最強のキャラクターと称したが、このインタビューではあくまで剣心、縁、志々雄の三者を比較した前提での会話だったので、師匠を含んでの発言ではない。

後に発売された書籍では志々雄真実は「絶大な」戦闘力を、比古清十郎は「全キャラクター最強の剣の腕」を持つと記された。そして、近年の志々雄真実を主人公とするスピンオフでは志々雄真実を最強の「敵」と称した。

以上を踏まえると、やはり作中最強の人物は比古清十郎だと思われる。

なお、強さに関する議論が多々あるため、一概にコンセンサスを得られないが、作品世界で比古に次ぐ実力者の候補として挙げられるキャラクターは複数おり、中でも服部武雄を有力とする声が少なくない。

過去

野盗に襲われた心太(身売りされた少年)の危機に駆け付け、野盗たちを容赦なく惨殺。残された心太のことは近隣の村人たちに任せるつもりだったが、村人たちはそんな少年のことは知らないと言い気に掛けるようになる。そして心太が身内だけではなく野盗たちの墓も作ったことで、芯の強さと優しさを見抜き、飛天御剣流の継承者として引き取ることを決める。その際に名前が優し過ぎることから「剣心」という名を与えた。

ちなみに、飛天御剣流奥義の伝授は、弟子が奥義を以て師匠を斬ることで完遂となる。つまり比古は剣心に斬られる覚悟を持った上で引き取り、育ててきたということになる。

「戦国の三日月」

単行本6巻収録の短編「戦国の三日月」(和月のデビュー作)にも同名の人物が登場。おそらくは彼が「初代」の比古清十郎と思われる。

弱小国・北方の国の剣術指南役で、一振りで三人を斬るという飛天三剣流の使い手。北方一の美女と称される奈津姫と相思相愛だったが、北方の国支配を目論む南雲の国の大名に奈津姫を奪われてしまう。

大軍に囲まれ死を覚悟するも、無理矢理徴兵された少年兵・三太に叱咤されて奮起し、敵将を粉砕。奈津姫と共に北方の国に舞い戻る。

読切版「るろうに」以前の作品だが、「るろ剣」の比古のモチーフといわれている(なお、血縁関係は無いらしい)。

ジャンプ公式でボイスコミック化された際にはアニメ版るろ剣と同じ池田秀一がボイスを担当した

再筆版

悠久山安慈と共に、見た目や設定が大きく変更されている。

興味深いことに、全身が赤変し筋肉の膨張で服が破けるという特徴付けがされている。

ゲーム作品への出演

PSPゲーム「再閃」ではプレイアブルキャラクターとして登場。専用のストーリーも用意されている。

超必殺技は九頭龍閃。原作と同じく九字が描かれるが、なんと九つの光線を放つ技となっている。なお、わざわざ「極」と付いている事から察しがつくかもしれないが、通常の必殺技にも九頭龍閃がある。そして、天翔龍閃は使わない

ストーリーでは剣心を追って訪ねて来た弥彦と一戦交える。理由は「バカ弟子の成長をお前の竹刀で聞かせてもらう」と言うもの。

弥彦に勝利した後は「バカ弟子に奥義の伝授を考えてやってもいいくらいには伝わって来た」と評価した。

続けて操と対決。若作りの秘密を知るために飛天御剣流を教えて欲しいということでいきなり勝負を挑まれる。

その際のやり取りで「薫さんを緋村に会わせたい」という操の願いを聞き、弟子にイイ人ができたことを知って呆れた様子を見せた。勝負に勝った後、操に飛天御剣流を教えられないなと告げて残念がらせる。

今度は薫と対決。道場の師範代と知って比古の方から手合わせを挑んでいる。

神谷活心流を「人を活かすための立派な剣術」と称し、薫についても「あんたのような人が側にいれば、弟子も本当の意味での強さを手に入れたかもしれない」と高く評価した。これにより奥義の伝授を決意する。

剣心との対決では圧倒しながらも奥義伝授の心得を説き、原作と同じく九頭龍閃を破られて奥義の伝授を完了させた。

その後、不二と戦い鎧を脱ぐように告げるが、グラフィックには鎧なし版がないため鎧を付けたままの不二と戦うこととなる。

左之助から剣心の師匠と言うことでどのくらいの強さなのか興味を持たれ勝負を挑まれる。打たれ強さを評価しつつも左之助を破り「バカ弟子が頼りにしている男のようだな。これからもあいつを頼んだぞ」と微笑した。

今度は宗次郎と対決。剣心より強い男と戦えば「答え」が見つかるかもしれないとして手合わせを求められる。

宗次郎には「志々雄さんよりも強いかもしれない」と言われたが、比古は即座に「俺の方が確実に強い」と言い切った。宗次郎を破った後は「答えはハナから自分の中にあるものだ。もう一度自分自身と向き合ってみるんだな」と言い渡した。

最後はなんと志々雄と対決。「お前はバカ弟子が倒したんじゃねェのか。化けて出るなら相手が違うぜ」と告げるが「抜刀斎より強い男がいるのなら闘ってみたい」ということで、本当の意味での幕末の亡霊と戦いとなる。

敗北した志々雄は険しい表情をしながらも「愉しませてもらったぜ…」と満足し、比古から「お前には地獄がお似合いだ。国盗りならそっちでするんだな」と言い渡されながら姿を消した。

余談

  • 悠久山安慈と同じく、サブキャラながら人気投票などでも高い人気を誇る。比古も安慈も、大柄で筋肉質なフィジカルと最強クラスの攻撃力を持ち、優れた人格を備え、主人公勢に戦う術を教えた点も共通している。
  • 臆測ながら、アニメ作品『ゾイドジェネシス』に登場するソウルタイガーを駆る最強のゾイド乗りセイジュウロウ は、『るろうに剣心』の比古と設定が近いが、謙虚である点はほぼ真逆である。
  • 演者の福山氏は当時46歳で、比古よりも3歳年上。また、福山氏は比古を演じるにあたって彼がよくする指の動きをブルース・リー加藤鷹を参考にしたらしい。

名言集

  • 「春は夜桜、夏には星、秋には満月、冬には雪、それで十分酒は美味い。それでも不味いんなら それは自分自身の何かが病んでいる証だ。」
  • 「うざったい人付き合いをせずに暮らすには、芸術家が一番手っ取り早い。まあ、真の天才は何でもこなしてしまうのさ。」
  • 「教えたはずだぜ。剣は凶器、剣術は殺人術。どんなきれいごとを並べてみても、それが事実であり真実。」
  • 「飛天御剣流は時代の苦難から人々を守るのが本来のことわり。だがそれはあくまでも、いかなる権力にも属さぬ自由の剣としてだ。」
  • 「明治になって10年、あの朴念仁が俺の教えた飛天御剣流で何をやっていたのか? 俺の一番知りたいのはそこなんだ。あいつ本人からではなく、俺の知らないあいつを見てきた者の口からな。」
  • 「愛しい者や弱き者を仏の慈愛を以って、己を犠牲にして守った所で、その者達の中には悲しみが残り、本当の意味での幸福は訪れない。」
  • 「お前一人が全てを背負って犠牲になるくらいで守れるほど、この時代は軽くないはずだ。そして同様に、人ひとりの幸せも軽くない。お前が犠牲になれば、ただお前に会いたいという気持ち一つで京都へ来た女が一人確実に不幸になる。」
  • 「覚えておけ。どんなに強くなろうとお前はただの人間、仏や修羅になる必要は無いんだ。」
  • 「生きようとする意志は何よりも強い…。それを決して忘れるな。」
  • 「生きよ、剣心! さすればお前は、天翔龍閃を自在に使いこなし、己の中の人斬りになど決して負けたりせん!」
  • 「俺が飛天御剣流を教えたのは、お前を不幸にするためではないということだけは覚えておけ。」
  • 「いいぜ小僧、よく吠えた! この勝負、最後まで俺のバカ弟子を信じ抜いた、お前の勝ちだ。」
  • 「お前はそのじいさんが思ってるような、ただ図体だけの奴じゃねえ。ましてや化け物なんかじゃ決してねえ。おめえそこ今は数少ない、本当の武人だ!」
  • 「お前は武人なんだ、誇りを取り戻せ。」
  • 「たった一太刀受け止めれば、俺には十分だ。その剣がお前自身を、雄弁に語ってくれたぜ。」
  • 「だがそろそろ、自分自身の意思で戦いを選ぶ時なんじゃないのか? お前が全力を出しても倒せない男が、今初めて目の前に立ってやってるんだぜ。」

関連タグ

るろうに剣心 緋村剣心 飛天御剣流

完璧超人 豪傑

服部武雄尖角三代目雷影エーキラービーエドワード・ニューゲート百獣のカイドウ - 体躯・筋力・重さ・スピード・知能を兼ね備えた、刃物を武器に使うことが知られるジャンプキャラクターの例。

剣聖頑駄無セイジュウロウ - 本作の比古清十郎が影響を与えたと考えられている。

スポーン - 作者のアメコミ好きな部分から、マントのデザインが比古に影響を与えたと考えられている。

海原神:比古と同じく孤児だった主人公を引き取り、伝説になるほどの傑物に育て上げた人物。名付け親で育ての親という立場、主人公の越えられない壁であること、主人公への深い愛情などが共通。

ただし、海原は途中で息子同然だった主人公を裏切ってしまう(後に和解)、陰険そうに見えて正々堂々とした武人の比古に対し、一見、温厚そうだが陰湿という大きな相違点がある。また、剣心は比古の性格の短所を受け継がなかったが、の方はばっちり影響されているといったところも。

マトリフ:同誌の登場人物。人間嫌いで人里離れた場所に住む老練の大魔導士。スケベで女好きだがシリアスな面も持つ。奥義の伝授の際は、弟子に対して「自分が放つ奥義を同じ魔法で破ってみろ」と言い、真っ向勝負を繰り広げた。

ロン・ベルク:同誌の登場人物。「人間嫌いのため人里から離れた場所で暮らしている凄腕の剣士」「主人公と手合わせをしてパワーアップに貢献する(その際は主人公を圧倒した)」「表向きは鍛冶師として過ごしておりかなりの自信を持っている(ある分野において物を作る天才)」「主人公たちが敵地に乗り込む中、拠点防衛に残った誰もが敵わない巨大な敵を一撃必殺で撃破する」など類似点がある。

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