概要
阪神春日野道駅は、兵庫県神戸市中央区吾妻通一丁目にある阪神電気鉄道本線の駅。文中では無印で説明する。
阪急春日野道駅は、同区国香通一丁目にある阪急電鉄神戸本線の駅。文中では「阪急」を上乗せして説明する。
両駅間は春日野道商店街を挟んで450mの距離である。
春日野道駅(阪神)
駅番号はHS-31。
普通電車のみ停車するが、過去には準急が停車していた時期もある。
駅構造
相対式2面2線の地下駅。
特徴
国道2号(第一阪神)の地下にある駅で、2004年に現在のホームへ切り替えられるまでは「日本一狭いホーム」(島式ホーム)とも言われていた。
同駅は神戸三宮駅の手前にある特急通過駅で、特急列車が駆け抜けるたびにこの狭いホームから、券売機のある階段上まで突風が噴き上げていた。このためTV番組で「日本一恐ろしい駅」として紹介されてしまったこともある。
実際危険なホームであったが、阪神による対策、及び駅構造を要因とする利用者自身の注意喚起があった結果、設置から廃止までの70年間、無事故であった。
- 通過電車の速度は45km/hに制限、上下線で列車の通過がかちあわないようダイヤを調整。
- 階段上に待合室が設けられ、停車する列車が到着する前に「まもなく(大阪/神戸)方面行き電車が参ります。ホームへお越しください」というアナウンスが流れていた。乗客はこのアナウンスが流れてからホームへ降りるなどしていた。
この駅がこうした問題を抱えながらも存続してきた理由は、他ならぬ利用者からの要望にあった。春日野道駅周辺には、昭和初期から工場が立ち並び、駅は労働者の重要な足だったからである。
そもそも1933(昭和8)年には路面電車だった岩屋~三宮間の地下化が完成するため、春日野道駅は1931年に廃止される予定だった。しかし岩屋駅まではそれなりの距離があり労働者の不満が爆発、反対運動が起こるに至った。そこで阪神は急遽廃止を撤回、開削トンネルの上下線間に強引にホームをねじ込んだ。この結果、幅3m、長さ120mの細すぎるホームが爆誕してしまったのである。さらにその後、車両の大型化に対応するため両端が20cmずつ削られ、なんと幅2.6mという電車の車体幅よりも狭い極細ホームに生まれ変わってしまった。
このような事情から、阪神電車と乗客双方が協力し合い、安全を心がけてきた。70年無事故はその誇るべき結果だった。
その後、阪神・淡路大震災を経てHAT神戸など駅近隣の再開発が進み、利用客が増加、また高齢者向けの市営住宅が建築されたこともあってバリアフリー化が決定。トンネルの両側を掘削し、それぞれに新たな広いホームを構築。さらにホームの西側にも改札口を設け、エスカレーター、エレベーターが備えられた。また2003年に起きた韓国の地下鉄火災をうけて、トンネルの換気設備改良も行われた。こうして2004年、「日本一危険」とまで呼ばれた阪神春日野道駅は、最新設備を備えた安全な駅へと華麗なる変身を遂げたのである。皆様安心してご利用ください。
なお、旧ホームは現在でも取り壊されずに残っており、安全柵などは撤去され補強用柱が増設されているが、現在のホームからもかつての姿を見ることが出来る。
ホーム有効長は6両だが、2番線は2004年の供用開始直後は5両までしか対応していなかった。
利用状況
- 2019年(令和元年)度の1日平均乗降人員は16,017人である(ハンドブック阪神より)。
- なんば線開業後から利用者が増加傾向にある。
利用状況比較表
年度 | 乗降人員 |
---|---|
2008年(平成20年)度 | 10,597人 |
2009年(平成21年)度 | 12,334人 |
2010年(平成22年)度 | 12,690人 |
2011年(平成23年)度 | 12,816人 |
2012年(平成24年)度 | 13,041人 |
2013年(平成25年)度 | 13,490人 |
2014年(平成26年)度 | 13,266人 |
2015年(平成27年)度 | 14,503人 |
2016年(平成28年)度 | 15,423人 |
2017年(平成29年)度 | 15,344人 |
2018年(平成30年)度 | 15,716人 |
2019年(令和元年)度 | 16,017人 |
阪急春日野道駅
駅番号はHK-15。現在の王子公園駅〜神戸三宮駅間が開業した際に設けられた唯一の中間駅で、第二次世界大戦末期の1945年6月に営業休止したものの翌年5月15日に再開した。
ホームの幅員は一般の駅に比べると狭く、前述の阪神の同駅が改良されたことによりこちらの方が狭くなったものの、2023年3月に可動式ホーム柵が設けられた。同時に増設された西改札口は、エレベーター利用専用。
三宮方面に向かって左側をJR西日本の東海道本線(JR神戸線)が並走している。
急行以下が停車。
駅構造
島式1面2線の高架駅。
戦後に衝突事故が発生、しかし···
阪神の駅はごく手狭な島式ホームから、現在の幅員が広い相対式ホームに移されるまでの70年間無事故だったが、こちら阪急の駅では、1948年9月8日、当駅東方100mの高架線上で停車していた大阪梅田行き普通電車に、大阪梅田発急行電車が追突する事故が発生した。
当駅の大阪梅田寄りにある急カーブで見通しが利かなかったことが事故の遠因で、数十人の負傷者が出た。
ちなみに、ある阪急電鉄関連の書籍によると、負傷者の1人に後の扇千景がおり、肩の骨を折り入院したことが宝塚歌劇団を志すきっかけになったという。
関連タグ
御影駅···同じく阪急と阪神の同一名駅かつ距離が離れている駅。
中津駅(大阪府)(阪急)···これもホームの幅員が狭いが、春日野道駅とは異なりバリアフリー設備がない(設置予定はある)。
昭和島駅(東京モノレール)···狭小ホームである上に、さらに待避線がある駅だが、可動式ホーム柵は阪急春日野道駅より前に既に設けられていた。その全幅は阪神春日野道駅旧ホームよりも狭い2.3m(可動式ホーム柵含まず)で、バリアフリー設備も現状ない。