これがオレ達の走りだ。
駆け引きなんて必要ない。
お互いを信じて、ただひたすら「自分の競馬」に徹する。
それが彼らの築き上げた、勝利へのセオリー。
タップダンスシチーと佐藤哲三。
信頼の絆で結ばれた人馬の、熱く、力強い走りが、私たちの心を惹きつける。
- ヒーロー列伝No.57
誘導
- 日本の競走馬。本項で解説する。
- 『ウマ娘プリティーダービー』にて1をモチーフとして登場するウマ娘。→ タップダンスシチー(ウマ娘)
2に関してはリンク先のタグを使用する事を推奨。
概要
1997年3月16日アメリカ生まれ、父プレザントタップ、母オールダンス。通算42戦12勝。
片方の目だけ白目がある輪眼の馬。
半兄のクリプトンシチー(16戦3勝)も輸入されている。叔母にはケンタッキーダービー牝馬であるウイニングカラーズがいる。母父ノーザンダンサーの良血馬。母系からは、ブリーダーズカップ・ジュヴェナイル等を制したチーフズクラウンや、ニューヨーク三冠牝馬であるクリスエヴァート等数々の名馬が出ている。
因みにタップにとってクリスは大叔母(タップの母母オールレインボーズがクリスの母)にあたり、チーフズクラウンはタップにとってはとことなる。(2頭は曾祖母にミスカーミーがいる)このチーフズクラウンはご存じディープスカイの母父でもある。
また父はセントサイモン直系で後継種牡馬でもあり、タップの他にも様々な活躍馬を世に送り出した、リボー系後継種牡馬では数少ない活躍馬である。
一流の牝系出身の良血馬でもあり、さかのぼれば様々な名馬たちの名前を聞くことが出来る血統表でもあるが、タップは母父がノーザンダンサーという種牡馬としては余りにもやりにくい立ち位置だった事もあり、父の後を継いで種牡馬として活躍する事は残念ながら叶わなかった。無念。
2000年にデビューし、京都新聞杯で3着となるなど素質は示していたが、気性的な問題やデビューがかなり遅くにずれ込んでしまった事による本格化の遅れで、中々本領を発揮出来ず本格化は5歳秋までズレ込んだ晩成型の馬。
佐藤哲三騎手に固定化されたのも功を奏し、
2002年9月に重賞初制覇、その年の有馬記念で6連勝中のファインモーションを競り落とし、シンボリクリスエスの2着に連対する。
2003年宝塚記念で3着に入りフロックではない事が周知される、ジャパンカップは得意ではないはずの悪い馬場状態だったが逃げ切って優勝、レース史上最大着差の9馬身差と歴史的な圧勝劇を演じる。かつてのカツラギエースのようなレースぶりだった。
2004年宝塚記念でGⅠ2勝目、凱旋門賞へ遠征するも飛行機のトラブルがあり1度は遠征中止かという状況だったが、ギリギリで間に合ったような状態になり17着。その年の有馬記念でゼンノロブロイに交わされるも2度目の連対。
2005年金鯱賞で史上2頭目の同一重賞3連覇、宝塚記念は7着に沈み、そして他馬に蹴られた事でとうとうやる気を失くした(ムキになった)のか、以降はジャパンカップで10着と沈み、ラストランを12着で同じくこれがラストランだったゼンノロブロイと共に終えたのだった。
生涯戦績は42戦12勝2着6回。獲得賞金は10億8422万円と、友駿ホースクラブでトップどころか、〇外史上最高の獲得賞金である。
ロブロイと共に披露した有馬記念でのレコードと同じく、この記録は彼の引退から実に20年近く経っても未だに破られていない。最大着差に関しても未だに破られていない。
(因みにその友駿ホースクラブで2番目に賞金を稼いだのは、ダートで大活躍したエスポワールシチーで、あちらは10億2319万円を稼いでいる。そのエスポワールシチーの主戦騎手も哲三である。)
佐藤哲三騎手の代表的騎乗馬。彼曰くタップは「怖がり」だった。
ライバルのシンボリクリスエスとは2勝2敗と互角だった、ツルマルボーイとも4勝4敗と互角だった。
母父がノーザンダンサーなのでしょうがないとしか言えないが、種牡馬としてはクリスエスやロブロイ、ネオユニヴァースらとは違いお世辞にもいい成績だったとは言えない。
ただ地方においては、重賞を4勝し、日本のほぼ真ん中に位置する笠松所属を生かし全国の地方競馬場をいくら地方馬と言えども躊躇する程に過酷で、一歩間違えれば虐待同然の過酷なローテーションで駆け巡ったタッチデュールがいる。重賞を勝利した事よりも、彼女はその「クソローテ」と呼ばれた出走間隔の短いローテーションで知られた。彼女はなんと交流重賞を52回、G1(jpn1)には11回も出走しており、姫路と高知を除く全ての地方競馬場に遠征を行っている。
彼女の同期にはあのホッコータルマエや一つ下の世代にはコパノリッキーのダート最強とも名高い名馬がおり、彼らと同じG1に出る事がしょっちゅうあった。タルマエとは6回、リッキーとは7回も対戦しており、生涯戦績171戦17勝という戦績を残した。その頑丈さが頑健さから「笠松の鉄の女」という異名がついた。
小柄だがスリムでスタイルのいい綺麗な馬体、そして中顔面が短く丸い大きな目の愛らしい容姿にぱっつんカットの前髪が特徴で、過酷なローテーションに耐えたその頑丈さとのギャップに魅了されたのか、現役時代からファンが多かった。
現在は関東にある乗馬施設にして余生を過ごしている。障害飛越の才能が無いらしく、後ろ足でとんで後ろ足で着地するらしい。(人間風に例えるならば、体を曲げた足を曲げたりしない直立の姿勢で飛ぶ様な感じである。)
怪我で本格化やデビューが遅れたり、機械のトラブルで調子を崩したりと様々な不運に悩まされた前半生。
しかし、現在は溺愛してくれるスタッフや大好きなポニー、そして小さくも静かで穏やかな土地で、彼は穏やかな余生を過ごしているようだ。既に世を去ったかつてのライバル達の分も、長生きする事を願わずにはいられない。
有馬記念での場内のどよめきも、ジャパンCでの喝采も、種牡馬時代の屈辱も、彼には、タップダンスシチーにはもう関係ないのかもしれない。
余談
種付けが上手な馬だった。スタッフ曰く、「初めてとは思えない程上手」との事。
相棒だと言うのに佐藤哲三騎手の事は大嫌いだったそうで、引退後中京競馬場にてお披露目された際、彼の名前を聞いた途端大暴れし始めた程度には嫌っていたそう。
また哲三騎手はタップの事を「物凄い上から目線だった」とも言っているが、他のスタッフ達の話では気に入らない事があれば躊躇なく本気で噛んでくる俺様で[自分の世界を持っている不思議な馬>https://uma-furusato.com/column/56436.html]ではあるものの、基本的には大人びていて男気溢れる性格という評価で特に上から目線という訳では無いようなので、どうやらただ単いに哲三騎手の事が気に入らなかっただけなのだろう。
ポニーが大好きらしく、一頭で放牧されている時にポニーが近くを通るとこっちに来ないかと誘うかのように鳴いたりする程メロメロだという。同じサラブレッド相手にも特に危害を加える事はないそうだが、喧嘩を売ってくる相手には2400を一人旅した豪脚で蹴って黙らせたりするらしい。
どこぞの大王一族よろしく(一部例外あり)流星やソックスの無い普通の鹿毛だったが、実況にも言われる程男前で整った顔立ちの馬だった。
因みに左目が輪眼で右目は普通の目なのだが、左側と右側で大分容姿の印象が変わる。気になる方は是非調べてみるといいだろう。
関連タグ
シンボリクリスエス...宿敵。どちらも大型馬だが、若干クリスエスの方が大きい。
ゼンノロブロイ...宿敵にして戦友。こっちも大型な馬だが、殆どタップと同じくらいの馬体重。タップの娘との間に産駒が1頭いる。
ヒシミラクル...京都大賞典にてタイマンし、タップに負け病院送りにされた挙句、自身が勝った宝塚を翌年6番人気だった自分とは違い1番人気で制されたちょっと可哀想な馬。体格は上記2頭とは違い平均的。
ツルマルボーイ...8戦4勝4敗とかつてのミスターシービーとカツラギエースを彷彿とさせる対戦経験。現在はタップと同じ関東圏内の埼玉県で余生を過ごしている。体格はヒシミラクルと同じく平均程度。爆発的な末脚が特徴的だが、届かずにそのまま高順位に沈む事が多々あった。
因みに彼の晴れ舞台だった安田記念にはタップは出走していなかった。距離がね...。
ネオユニヴァース...03年のJCにて対戦。タップには大差をつけられる4着。彼もまたタップの娘と交配しているが、そのタップの娘はロブロイと交配した馬と同一馬である。体格は若干大きめ程度。
カツラギエース...佐藤哲三騎手の憧れの馬。タップはカツラギエースの娘と交配経験がある。宿敵がシンボリである事も共通しており、最終的に両者共に引き分けに終わっているのも共通している。G1制覇数、そして制覇したG1、そして重賞制覇数も同一。ただ逃げ馬であるカツラギエースとは違いタップは厳密にいえば逃げ馬では無い。