概要
大規模な小売店の一種。早い話が世間でデパートと呼ばれる店舗のことを示す。
中高層ビルの形態をとり、各階ごとに専従の販売員を配置して、種類分けをした多数の品物の販売を行う。通常の店舗での販売よりも、富裕層から構成される外商顧客による安定した売り上げに支えられており、一般的な小売店よりも営業形態をやや特殊としている。
この外商の分の売り上げがあるため、他業種から見ると倒産しづらいようにも思えるのだが、企業体質が非常に古いために、店舗コストの過大や人員の配置に無駄が生じていたり、経営者の判断ミスや放漫経営等によりバブル崩壊後でもそのツケが中々ぬぐえずにいた。
昭和中期までは、都市部の一定の生活水準以上の庶民にとってきれいな格好をして週末に百貨店に出かけるというのは共通した大きな楽しみであり、サザエさんやちびまる子ちゃんでもそのような描写を見ることができる。
しかしバブル崩壊と規制緩和を迎え、1990年代より郊外型の大型ショッピングセンター・ショッピングモールやインターネット通信販売等との競争が激しくなる。技術の向上によって、かつてのように低価格帯と高価格帯の商品の間で天地の差がある時代ではなくなっていた。また個人主義化や情報化が進んだことで店員に接客されるのがむしろ辛いという人も増えてきた。そしてなにより無料駐車場が無いという点が車社会には致命的だった。
転機を迎えたのが2000年のそごう倒産のショックであったが、これ以降も時代の波に流されるままで対策を取らない会社が多数であり、そごうを買収した西武百貨店も当時は例外ではなかった。流石に両社ともその後の事業改善は進んでおり、時に赤字もあるが事業の継続は可能としている。
21世紀になると倒産や経営統合などの動きがしばしばある。また、テナントを誘致する事例も増加している。しかし、不良採算の店舗の整理や事業見直しも常時行っており、売り上げが減じても上述した外商もあるため、そごうの時ほど急に倒産とまではならなくなっている。
逆に良い点を挙げるのであれば、接客とマナーのプロフェッショナルであり、社会人として見習う点が非常に多く、商品を取り扱う上での正しい知識を豊富に蓄えている点である。時代が変化したとはいえ、この点においては他の追従を許さないものがる。
なお、お客様に対してお辞儀をする際に、左右どちらかの手を上に置くかで企業ごとに分かれており、一概にどちらが正しいとも言えないので、就職する際には教育担当の指示に必ず従う事。基本的には右手を下にすること、もしくは利き手を隠す事が多い。しかし、手を重ねる動作を間違いとする場合もあるので注意。
百貨店の旧態依然とした建物も昭和マニアに密かな人気を集めている。エスカレーターやエレベーターをその地域で初めて導入したところが多く、マニアが喜ぶ骨董品が多い。
著名な百貨店の例
三越伊勢丹ホールディングス:三越と伊勢丹が経営統合したグループ。
髙島屋:経営は別であるが「ハイランドグループ」という緩やかなグループを形成。
阪急阪神百貨店:阪急百貨店と阪神百貨店が経営統合したグループ。
J.フロント リテイリング:大丸と松坂屋が経営統合したグループ。
そごう・西武:西武百貨店・そごうなどが経営統合したグループ。セブン&アイ・ホールディングス傘下。
グム百貨店:モスクワの百貨店(明治26年:西暦1893年創業)。
近鉄百貨店:近鉄グループホールディングスの子会社
福田屋百貨店(FKD):栃木県内で展開している。百貨店としては珍しく、郊外型ショッピングモールの形をとる店舗が多い。
平和堂:日本では中部地方・近畿地方に展開しているスーパーマーケットだが、中華人民共和国の湖南省(長沙市等)に百貨店として4店舗出店。また日本でも百貨店の「ヤナゲン」を買収、2019年まで営業していた。
三豊百貨店:かつて韓国にあった超巨大百貨店。しかし、杜撰なコストダウンに伴う劣悪な建物の強度、違法改造や建築方法に問題を抱えた。しかし、経営陣はそれを無視し続けた事により、韓国史上最も醜悪な崩壊事故を引き起こす事になる。