概要
F-15Cの日本型。三菱重工業が中心となり、ノックダウン及びライセンス生産した戦闘機である。
計165機生産されている。高額な機体をほぼライセンス生産で賄っているというのは割と凄いことである。
アメリカ議会から批判を受けた国防総省の決定により提供されなかったTEWS(戦術電子戦システム)について独自開発のJ/TEWSで代替している。
米国のMSIPに倣い1985年以降の生産分は性能向上がされており、この機体はJ-MSIP、それ以前の機体はPre-MSIPと区別されている。
J-MSIP機はコンピュータの処理能力の向上、一部計器のディスプレイ化、警戒装置の追加等々直接的な能力向上に加え、後々の改良を見据えた配線の追加がされており、実際にAAM-4やAIM-120への対応改修、HMDの導入によるオフボアサイト機能の獲得など、第4.5世代相当の様々な改修が行われた。
軍用機にはよくあることだが、Pre-MSIP機とJ-MSIPの改修済み機体は外側が似てるだけでまるで別物である。Pre-MSIP機については時代に取り残されてしまっており(なんせ今時レーダーミサイルがAIM-7しか使えない)、追加導入されたF-35で代替される見込みであり、機体の売却も検討されている。
一方J-MSIP機は今後も改修により、F-35に次ぐ一線級の戦闘力を維持する計画であり、2018年末に発表された中期防衛力整備計画では、さしあたり20機に搭載弾数の増加、電子戦能力の向上、新ミサイルへ搭載のための改修が行われる予定。
配備状況
1982年に第202飛行隊(新田原 2000年に解隊)を皮切りに配備が始まり、2018年2月現在
第201飛行隊・第203飛行隊(千歳)
第204飛行隊(百里→那覇)
第303飛行隊・第306飛行隊(小松)
第304飛行隊(築城→那覇)
第305飛行隊(新田原)
飛行開発実験団(岐阜)
に配備されている。
喪失
1981年の導入以来、現在までの喪失は12機(導入数からこの数を引くと、現在の保有数は201機)。
特筆されるのは1995年、日本海上にてF-15Jが模擬空戦中に誤って実弾を発射し、僚機のF-15Jを撃墜した事故である(F-15僚機撃墜事故)。空中戦によるF-15被撃墜事例は世界で唯一といわれる。
残骸は引き上げられ、何故か市川市のゲームセンターの片隅に放置されている。このゲームセンターにはF-104Jの残骸や戦闘機用のキャリーカー等も転がっている。戦闘機の残骸が何故こんなところに…。
F-15JSI
折から旧式化が叫ばれて久しかったF-15J(Pre-MSHIP機)であったが、2019年10月に発表された「中期防衛力整備計画」において、遂に方針が示された。2019年現在保有する201機のF-15J/DJのうち、Pre-MSIPの全てにあたる99機は全機退役・売却である。
残った102機は全てがJ-MSIP仕様で、これらには「F-15J JSI(Japanese Super Interceptor)」という強化改造が予定されている。
これには本家最新版F-15EX同様のAESAレーダー”AN/APG-82(v)1”やミッションコンピュータの更新、対地、対艦ミサイル搭載能力の付与など大幅な装備更新が含まれ、コックピットもF-35のようなモニター一枚の統合表示に変更される。
この改修によってF-15JはF-15EXに迫る先進的なマルチロール機へと変貌する……はずだったのだが、この編集時点ではかなり雲行きが怪しい。
「F-15EX同様の」というのが問題で、多くの部品がF-15EXと共通のものになっている都合、JSIのための生産はF-15EXの生産ラインの空き次第、ということになる。
当然米空軍は最新verであるEXを当分の間全力調達する。調達予定数は144機となっており、調達が一段落するのを待っているとJSIの調達開始は30年代まで遅れる可能性がある。
ただでさえ疲労が溜まっているF-15Jをさらに10年こき使ったうえで改修するとなれば、JSIとしての運用期間は相応に縮むためコストに見合わなくなる。
しかしながら遅れを失くすには余計に金をかける他なく、そうなった場合は生産ラインの増設等で、当初800億円程度の見積もりだった初期費用が2400億円まで膨れ上がる、というのが米国の見解である。
結局改修に着手できたのは19年度に予算が計上された2機のみ。
20年度、21年度予算において改修費用の計上はなく、関連費用が予算化されたのみであり、その関連費用だけでも既に1000億円を超えている。
現在防衛省は計画の見直しと米国との再協議を行っているが、未だ見通しは立っていない。
19年度に予算化された2機は2023年に改修を終えて引き渡される予定になっているが、現在の状況ではこの2機のみでJSIの改修計画が頓挫してしまう可能性もゼロではない。
登場作品
- 平成ゴジラシリーズ
『ゴジラVSビオランテ』で実機が初登場したのを皮切りに多くの作品に登場。『ゴジラVSキングギドラ』ではキングギドラと空中戦を繰り広げている。
一方で航空自衛隊の主力戦闘機として頻繁に登場した関係上、F-1やF-2を差し置いて空対艦ミサイルや魚雷を装備して登場する作品もある。
- 平成ガメラ三部作
『大怪獣空中決戦』で築城基地所属の機体がギャオスに対してスクランブル発進するほか、東京上空でもスクランブルするが市街地上空であることから許可が下りず撤退する。
当初の脚本ではギャオスと空中戦を繰り広げる予定だったが撃墜される描写に航空自衛隊が難色を示しお流れになった。
『ガメラ2 レギオン襲来』では津軽海峡上空で千歳基地所属機がレギオンを撃墜する活躍を見せる。
そして『ガメラ3 邪神覚醒』では小松基地所属の2機が邪神イリスと交戦、超音波メス攻撃を全て回避しガメラの到着まで逃げきった。
主人公が航空自衛隊のイーグルドライバーであり、任務中にウルトラマンと出会う。
怪獣との決戦に於いて、ウルトラマンは主人公のパイロット経験を活かしてドッグファイトを行い、主人公の同僚たちはイーグルを駆ってウルトラマンを援護した。
『劇場版2』で要撃機として主翼などをステルス機能を有する形状にし、カナード翼や推力偏向ノズルを装備したF-15J<改>・イーグル・プラスが登場。
三沢基地第3航空団第8飛行隊のF-16J(製作当時は次期支援戦闘機FSXとして開発中、現在のF-2戦闘機にあたる)「ワイバーン」を撃墜するべく百里基地第7航空団第204飛行隊「ウィザード03」と小松基地第6航空団第303飛行隊「プリースト21」が登場している。
築城基地から発進した2機が未遠川に向かい、キャスターの創り出した巨大海魔を発見する。1機は接近した結果海魔に捕食され、もう1機はバーサーカーの「騎士は徒手にて死せず」によって宝具化されてしまった。
隠し最強ボスとして5機編成で登場する。
- エースコンバットシリーズ
『インフィニティ』からF-15Cの派生機体として登場。兵装が異なる上位互換機といった扱い。
OTF・まそたんがF-15Jに擬態。他にも岐阜基地に所属する通常の機体も登場する。
ザイと呼ばれる未確認物体に対抗するためにドーターへと改造された黄色いカラーリングをしたF-15Jが登場。
ちなみにヒロインの1人でありこの機体のパイロットであるイーグルはこのドーターへと改造されたF-15Jのアニマ(少女の姿をした自動操縦装置、いわば人造人間)である。→イーグル(ガーリー・エアフォース)
第49話と第50話でスクランブル待機する航空自衛隊の戦闘機として登場。