【機密事項】
※以下、漫画『アンデッドアンラック』の重大なネタバレを含みます。
「光も無く否定の業を背負わされ 闘う事を強いられた」
「何故能無し共の生を憂う 奴らの命も使え 俺達はそうする」
「そうでなければ••• 不公平(アンフェア)だろう?」
概要
戸塚慶文の漫画『アンデッドアンラック』に登場する集団・UNDER(アンダー)のボス。
その素性は仲間にも詳細不明だったが…
その正体が、ユニオンのⅢ席・ビリー=アルフレッドだったことが判明する。第31話(単行本4巻)
100個目の罰(ペナルティ)を賭けた課題発表(クエストオープン)の際、突如としてユニオンに反旗を翻したビリーは、UMAバーンを従え、円卓を奪取する。
彼の目的はユニオンと同じ神殺し。神の加える理(ルール)によって「不公平」を強いられる世界に変革をもたらそうとしているが、その目的を成すためには如何なる非情な手段も辞さない。
罪のない人々の命を守ることを目的とするジュイスに対し、UMAの討伐に核兵器の使用を示唆するなど、多数の犠牲を厭わない姿勢を見せる。
アンディたちの活躍により黙示録(アポカリプス)を奪うことを阻止されたビリーは、「アークは俺たちが先に手にいれる」という意味深な言葉を告げた後、UMAバーンと共に姿を消す。
容姿
組織にいた頃とは違い、髪を降ろしをサングラスを外している。
顔つきはかつての柔和な雰囲気から一転、険しく影のある表情が多い。
組織にいた頃と同様に主武器のリボルバーを両腰に装備している。
ジュイスとUMAスポイルの戦闘で、スポイルの腐化光線を受けてからは、右半身が後述の否定能力と拮抗してゾンビ化している。
人物
「あるのは利害の一致による信頼のみだ」
「その方が公平だと思わないか?」
組織にいた頃の気さくな言動から一転、不公平を疎み、合理的で冷徹な言動をする。神殺しを目的とせずとも、利害の一致があれば協力するという方針のもと、UNDERを従えている。
「能無し共」「役に立たない人類」などの発言から、否定者以外の一般人を蔑んでいる節があり、UMAスプリングの討伐の際には、実際に核兵器を使用。不発ではあったものの、目的達成のためであれば多数の命を危険に晒す残虐性を見せる。
彼にとって、ユニオンのメンバーは「神を倒すために必要な弾」であり、「一度だって心を許したことはない」と発言している。かつてマフィアに囚われていたタチアナを救ったのも、彼女に「恩義」を売り、その能力を自分のために使わせることが目的だったと思われる。
しかし、神殺しを目的とするならばユニオンと協力していた方が建設的であり、彼の裏切りは他にも理由があるのではないかとアンディたちには疑われている。
後にジュイスと対峙した際には、反逆の際にはコピーできていたはずの「不正義」が使えなくなっており、彼女の「不正義」を前にしても「仲間への攻撃や自死」を行わないなど、不可解な点が目立つようになる。(彼が自分の正義のために裏切っていた場合、「不正義」の能力によって、仲間への攻撃や自死を行うはずである。)
能力
「いい能力だ」
「対人には有効だな 使い勝手がいい」
「ありがたく頂こう」
他の否定者の否定能力をコピーし、「否定能力は一人に一つ」という理(ルール)の公平性を否定する。
ビリーが組織(ユニオン)にいた頃は「不可信」の否定者と登録されていたが、彼の真の能力は【他者の否定能力をコピー】する能力である事が明かされ、この事から登録情報が偽装だと判明。組織は彼の離反後に登録を抹消、及び真の能力の調査を進める事となった。
なお、正体を現したのちは「公平(フェア)」「不公平(アンフェア)」という言い回しを不自然なほどに多用していたため、能力名判明前から真の能力がUNFAIR-不公平-ではないかと考察される事も多かった模様。
因みに、本作恒例である能力名フォントのデカ表示がノイズを帯びる特殊演出がされている。
コピーで使用した否定能力
組織を裏切るまで自称していた否定能力。銃限定で必中効果を付与する事ができ、対象に当たるわけがない的外れな方向に撃つと跳弾などの経緯で確実に的中する。
実はコピーした能力ではなく純粋に傭兵時代に培ったビリーの技術。
組織のアンディが持つ否定能力。自己の「死」を否定し、あらゆる負傷が再生される。これにより下記の不停止で起きる欠点(デメリット)がカバーされている。因みにビリーが不死を初めて使った際、アンディが負傷しても平然としているが痛覚は鈍っていない事実を体感し、不死を痛覚のある状態で多種多様な技へ昇華させた事に感心した。
81話でのアンディとの戦闘描写から、不死のコピー発動中は視力が回復していることが確認できる。
前述の通りUMAスポイルの能力で体が常に腐り続けている状態のビリーは、この不死で強引に腐敗を相殺している。そのせいか、再生のスピードは元の持ち主のアンディより遅い。
組織のトップが持つ否定能力。自己の「停止」を否定し、目にも止まらない高速移動が出来る。難儀な停止条件「体の形状が著しく変化する」は、上記の不死能力による再生でカバーしている。
組織のジュイスが持つ否定能力。他の「正義」を否定し、強制的に「己の信じる義」とは逆の事を実行させる。
ビリーが不正義を初めて使った際、否定能力の妙からか「ヒトの…心が見える」と、意味深な言葉をもらした。
組織のチカラが持つ否定能力。他の「動き」を否定し、視界にある対象の動作・重力といった物理法則を無視して、その場に停止・固定させる。初使用は、目の前でいざこざを起こそうとするリップとクリードを「動くな」と睨み付け二人を制止した。
不死の効果によって視力が回復している状態では、元の持ち主のチカラと同様に視界内が効果範囲。また、目の見えていない状態でも物を音で見ると解釈しているため発動可能。その際は物陰に隠れた物の動きまで否定できる。
ある建築家が持つ否定能力。他の「均衡」を否定し、建築物限定で物理法則を無視し有り得ない方向へ傾けさせる。これは手で触れるだけで発動し、高さは634.0mで重量4万8千tの東京スカイツリーをいともたやすく傾けることさえ出来てしまう。
組織のジーナ*が持っていた否定能力。ジーナの死後に発生した新規の不変の否定者からコピーしたと予想されており、小説2巻でジーナの次代の不変について言及されたことで裏付けられた。
物の形が定まることを否定する能力。コピー元不明。
ルインの否定能力。コピーできなくなった不死の代わりにコピーした。
不死コピー時と同様、不滅をコピーした際にも視力が回復しているような描写がある。
Twitterのボス
公式Twitterでは本誌連載・関連情報の他、登場人物たちが低頭身(ミニキャラ)になったおまけ漫画(ラフイラスト)などの配信(ツイート)もあり―
- 組織を裏切った時点のスーツ姿で登場。
- 23000フォロワー突破記念【#アンデラ アイコンプレゼント!】で、髪降ろしのサングラスを外したUNDERのボスver.で登場。なんともビリビリした表情のビリー。
pixivのボス
pixivならば、上記の容姿・性格の特徴に当てはまる関連作品へ本記事の『UNDERのボス』をタグ付けしたり、説明文(キャプション)に関連事項を記述するなど、もう一つの人生「ビリー=アルフレッド」と区別化する工夫をすれば絞り込み検索の助けになる。
関連項目
何も見たくねえ…:あんまりにも突然な正体開示と彼が引き起こした事態に読者達が抱いた感想の一端。
※単行本14巻以降のネタバレを含みます。
ネタバレ注意!!
「闘うべきでない子がいる」
「生きることで精一杯の子がいる」
「なら」「僕だけが嫌われ」「一人で闘えばいいと思ったんだ」
ラグナロクが迫り、円卓へと急ぐアンディと風子の前に立ちはだかるルイン。タチアナがその攻撃を防ごうとするも、不可触エリアの空気穴から血の刃の侵入を許してしまい、絶体絶命の危機に陥る。
その時タチアナの命を救ったのは、かつてユニオンにいた頃と同じ姿をした、ビリーだった。
UMAスプリングとの戦いを経て再びユニオンに協力することを決めたビリーは、「不滅」を操るルインと戦い風子とアンディが円卓にたどり着くまでの時間を稼ごうとする。
そしてこの時初めて、ユニオンを裏切った真意を語る。
それは、自らが悪役となって全ての能力をコピーし、神と戦う事だった。
かつて妻と幼い娘を失ったビリーは、風子やタチアナの悲劇的な境遇に胸を痛め、代われるものなら代わってやりたいと思っていた。仲間たちの能力をできる限りコピーし自分自身が戦うことで、彼女たちを戦いの宿命から解放しようとしたのである。
つまりは、組織にいた頃の気さくで温和な人柄こそが彼の本来の性格であり、幼い否定者達に代わり神殺しの使命を果たそうと、無理に悪役を装っていたと明かされる。
能力の発動条件が「相手に自分を敵視させること」という厳しいものであったため、組織を裏切る事でその発動条件を満たし、円卓の否定者達の能力をコピーしようとした。
しかし組織を裏切った姿を見てもなお尚自身を敵視しなかったタチアナや風子の能力は最後までコピーできなかった。
(ジュイスの「不正義」をコピーできなくなった原因も、彼女がビリーをもう一度信頼しようとしたためであると思われる。)
神殺しに最も必要である「不運」をコピーできなかったことで、自らの手による神殺しを断念。その代わりに、風子を生かすための協力を惜しまないことを決める。
スプリング戦での共闘を経てアンディからの信頼を得てしまい、不死をコピーできなくなったビリーは、ルインとの戦闘で苦戦を強いられる。しかしルインを侮辱することで敵意を向けさせ、「不滅」をコピーすることに成功。戦いを優勢に持ち込むことで、風子とアンディをルインの妨害から逃す。
風子がループするまでの間、ルインの攻撃を防ぐために共闘するビリーとタチアナ。
ビリーは彼女に対しても、これまで打ち明けてこなかった真意を語る。
「今まで すまなかった」
「キミを 幸せにしてあげたかった」
ビリーの優しさが本物であることを実感し、幸福を噛み締めるタチアナ。大事な友達である風子や、大事な家族であるビリーと共に、命を賭けて戦っていることが幸せだと、胸を張って答える。
ビリーは、これまで彼女を悲しませてきた償いとして、地球が破壊され死ぬまでの時間を、最期まで共に戦い抜くと心に決める。
後の回想では、ビリーが多くの人を救うためにユニオンに入ったこと、娘と歳の変わらない否定者たちを戦わせないためにユニオンを裏切り、能力をコピーしようとしたことなどが描かれた。(なお、テラーやクリードもこの事情を知った上でUNDERに加入していた。)
「弱者を守り強者は苦しむ」
「そういう世界でいいんだよ」
「強い奴が耐えればいい」
「それでやっと」「公平(フェア)なんだ」
※単行本17巻以降のネタバレを含みます。
閲覧注意!!
ループ後
「助太刀?なんの事?」
「『協力』したんだ 仲間なんでしょ?」
風子がループ後にたどり着いた101回目の世界にて、軍人の姿で再登場。
かつては「水平の秤隊(ホライゾンバランス)」という傭兵部隊に所属し、隊長として活躍していたことが明かされる。当時から盲目であるが、並外れた聴覚と嗅覚を持ち、仲間の様子や戦況を正確に把握できていた。
依頼主の命令に従い、「ディスク」と呼ばれる超古代兵器を確保するため、部下のテラーと共に敵国と紛争を行なっていた。なお、依頼主の命令に従うつもりなどさらさらなく、ディスクは「水平の秤隊」が確保するつもりで戦闘に参加していたことをテラーに明かす。国家間の共通敵を作ることで「一つでも戦争を減らす」ことを目的としたものであり、飄々としつつも平和のために自己犠牲を厭わない優しさはループ前と変わらないことが分かる。
その後、砲撃の危機に晒された「水平の秤隊」を救い、ディスクを確保した風子たち率いる「第三の犬(サードドッグ)」と対峙し、その真意を確かめようとする。
風子は、ビリーが再び一人で戦おうとすることがないよう、ボイドや友才たちと共に力を見せつけた後に、仲間に勧誘する。これまで犠牲になってきた仲間たちの手前、すぐに誘いに乗ることができないビリーは「早撃ち対決」を提案。風子が勝った場合は誘いに乗ることを約束する。
ビリーの優しさこそ「不公平」だと断じる風子は、彼が一人で戦うことで生まれる悲劇を回避するため、ディスクの墜落という不測の事態が起きたにも関わらず、仲間たちの協力を得て早撃ち対決に勝利。
その姿を見たビリーに否定能力「不公平」が発現するが、ループ前の発動条件が「対象に敵視されること」だったのに対し、今回のループでは「対象の強さを認めること」に変化。風子たちの心の強さを認めることで、仲間になることを承諾した。
その後は良き参謀役となり、傭兵時代の経験を生かして風子たちの相談に乗っている。また、前ループと異なり妻子は亡くなっていないため、たまに娘と戯れる様子などが描かれる。
ちなみに、実は高所が苦手。盲目であり、音の反響で周囲の状況を把握しているため、音が少ない場では恐怖のあまりパニックを起こすことも。
UFO型の古代遺物・ディスクに隠れて搭乗した際はそれが空を飛ぶことを知らず、その場にいないテラーに向かって助けを求めるという天然な一面を見せる。
それを見た風子から「やっぱりドジな方が素なのかなぁ」と評されている。