概要
戸塚慶文の漫画『アンデッドアンラック』に登場する謎多き人物。
主人公・アンディの内側に存在する別人格であり、不死の力を応用した圧倒的な戦闘力を持つ。
UNION(ユニオン)のボス・ジュイスとは面識があるようで…。
古くから「戦勝の神」と称されており、これら戦力面については【ヴィクトール(アンデラ)】を参照。
もう一人の不死
UMAスポイル戦に初登場。
腐敗を司るUMA・スポイルに苦戦し、アンディは自身の額に刺さるカードを抜くことで、自身の内部に宿る別人格・ヴィクトルを出現させる。なお、彼が表層に出た事で、アンディは深層に潜る形で入れ替わる。
彼は本作に登場する、もう一人のUNDEAD-不死-の否定者と言える。
シェンによれば、彼は古くから「戦勝の神」の称号を有し、数々の戦場に勝利をもたらしてきた伝説の戦士「ヴィクトール」と呼ばれる逸話を持つ。
実際にスポイル戦や以後の動向として―
- 強力な否定能力を持つシェン・アンディ・風子が苦戦していたUMAスポイルを、一人で圧倒する高い戦闘力。
- 作中世界の事情や組織(ユニオン)について、何かを知ってるかのような物言いをする。
- 組織のボス・ジュイスと知り合いである。
等々、初登場時から様々な謎を秘めている人間である。
ヴィクトルの正体
不死身の男・ヴィクトルは、ジュイスと共にUNION(ユニオン)を一から作り上げた初期メンバーであった。
ジュイスとは、過酷な運命を幾度も共に乗り越えてきた相棒であったが、ある出来事をきっかけに袂を分つことになる。
プロフィール
年齢 | 数えてない |
---|---|
身長 | 189㎝(だったが身体が筋肉でふくれて伸びている) |
体重 | 知らん |
趣味 | 世界旅行 茶葉集め 遺跡探索 |
特技 | 体術 能力のコントロール ジュイスの買い物の付き添い |
好物 | 紅茶 ステーキ |
能力 | UNDEAD -不死- |
CV | 中村悠一(アンディと兼役) |
容姿
筋肉質な碧眼の強面、かなり伸びてまとまりきらない黒色の長髪。別人格・アンディと比べより威圧感のある風体になっている。
肉体はアンディと共有している(正確にはヴィクトルが本体である)ため、左胸には弾痕のような傷、その上には「1865」の数字。左肩には「DEAD END」の入れ墨が刻まれている。
初登場時は、これらに加え腕・肩・首と体の随所に古傷があったが、再登場時には消えていた。
この傷の有無については作者・戸塚慶文により「深層(うちがわ)にいるアンディが表層(そとがわ)に出ようと足搔き、それを主人格・ヴィクトルが抑え込むことで出来た生傷」と明かされた。
UMAクローゼスを屈服させて身につけている服装は、アンディのイメージと異なるためか着こなし方が変化し、上着は腰に巻くスーツ姿が基本である模様。なお初登場時は上裸だった。
そしてアンディと同様にUNDEAD-不死-であるため、再生中に全裸になってしまった場合は股間へ海苔が付く。
人物
性格はアンディの時より冷酷かつ好戦的になり、別人のように変貌する。即ちアンディと全く異なる人物。
初登場時は世界事情について知己のような振る舞いをし、対峙したUNION(ユニオン)の存在も知っていた(元構成員であった伏線)。組織(ユニオン)の戦力が揃うことを望んでいるらしく、不要と判断した出雲風子を殺して席を空けようとしたり、円卓メンバーの戦い方を分析してダメ出しや称賛を送るなど、組織幹部たちを試すような態度をみせた。
主人公のアンディと違い死ぬことは完全に諦めている様子。体の主導権を奪ったあげく決して手に入らない死の為に無駄な時間を費やしたアンディに苛立ち、彼の死への希望である風子を疎んでいる様子を見せた。
ヴィクトルから見たアンディの風子への感情は「依存」でしかないと視ており、その発言を聞いた風子はヴィクトルを「嫌いな人」と認識、完全にアンディとは別人扱いになった。そのためUNLUCK-不運-の否定者である彼女が接触しても不運は何も起きなかった。
粗暴な男に見えるが、アンディのように現況へ対する思考の柔軟さがあり、一度低評価を下した相手を見直す発言もしばしば見て取れる。
後に古代遺物の記憶を見た風子は、元ユニオンの否定者として神に立ち向かっていたヴィクトルの過去を見ることで、初対面時の粗暴な印象を改めている。
アンディに潜む者
ヴィクトル曰く自分がオリジナルで、アンディは片割れと揶揄していた。
物語当初は、アンディに刺さっている記憶を閉じ込めている額のカードを引き抜く事で姿を現すが、体の主導権は完全に乗っ取られてしまう。言い換えれば「(アンディの)記憶が戻ったというよりも人が変わったと言った方が適切」な状態となる。
肉体については、本来はヴィクトルのものであるらしく、彼の「俺がオリジナルだ」という主張に対して、後にアンディ自身も「おそらく事実だ」と肯定している。
ちなみにアンディの口癖は「馬鹿が」だが、ヴィクトルの口癖は「阿呆が」となっている。
何故「Victor(ヴィクトル)」はアンディの中に封じられているのか?
本作の謎の一つであり、その真実はアンディの出生へ深く関わっている。
能力
自己対象 強制発動型
主人公・アンディよりも長命に生き、多大な能力研鑽も行い、伝説「戦勝の神(ヴィクトール)」にもなった最強者。
この称号も含め、詳細は【ヴィクトール(アンデラ)】を参照。
pixivのヴィクトル
『ヴィクトル』だけならば他作品に登場するキャラも指す。
そのためpixivにイラストを投稿・タグ付けするならば、本記事の『ヴィクトル(アンデラ)』を使用したり、関連タグとして『アンデッドアンラック』や『アンデラ』など合わせて使うことが絞り込み検索を助ける。
余談
「Victor」という人物名は、国々によって発音が異なり―
綴りと発音が一致するのはスペイン語だが、そこに彼のルーツがあるのかは作者のみぞ知るところである。
単語での意味は「勝利者」「達人」「征服者」「先生」と言った活用がされる。
また「ヴィクトル」という架空の人物で、創作に「死から命を生み出す」不徳な科学者がおり、死なない事について有縁もある名称。
アニメ版で「Victor(ヴィクトル)」が初登場する第8話「Victhor(ヴィクトール)」は、奇しくも2023年11月24日で「いい不死の日」と不死者に縁ある記念日であった。
関連タグ
【機密事項】
⚠以下、漫画『アンデッドアンラック』の重大なネタバレを含みます⚠
ジュイスの口から、地球が神の手により幾度も破壊と再生を繰り返してきたという衝撃の事実が明かされる。彼女はその度に古代遺物・アークを使用し、次の地球への移動、すなわちループを行っていた。
(なお本編第一話時点の世界は、99回目のループによって辿り着いた100回目の周廻である。)
そしてUNDEAD-不死-の否定者であるヴィクトルであるもまた、ループを行っていた。
彼はその能力故に地球が破壊されても死ぬことが出来ず、原始地球を生き延びることによって物理的にループを乗り越えていた。
過去にループが行われた回数は99回。つまりヴィクトルは45億年の地球の歴史を99回──すなわち4554億年以上もの年月を生きてきたことが明らかとなる。
最古の円卓否定者
上記でも触れたように、ヴィクトルは嘗てジュイスと共に組織(ユニオン)で戦ってきた最古参の組織メンバー、最古の円卓否定者である。
また(あくまで昔の話と言うが)ジュイスとは単なる仲間以上の関係である事も明らかになる。
全ては世界に悲劇を生み出す創造主・神-を殺し、呪われた宿命から罪なき人達を救済するため、そして互いを否定者の宿命から解放するために行動していた。
「神殺し」を成すため、99回もの世界で組織(ユニオン)を1から作り上げ、数多の課題(クエスト)を成功させ戦力を集めては苦い敗北を喫していた。
二人は、互いに支え合って世界を越えてきた戦士であり、盟友であり、そして恋仲であった。
嘗てのヴィクトル
過去の回想にて、昔のヴィクトルの姿を見ることができる。外見は殆ど変わらないが、まだ若輩者な風貌(上記で触れたようにUNDEAD-不死-であるため、実年齢は相当に老齢な若者)であり、少し細身、顔つきは現在と比べいくらか柔和である。
「長生きで人生経験を豊富にできる」という不死の特性もあってか、非常に器用。ジュイスのために身を守るための防具を制作したり、エプロン姿で仲間達に料理を振る舞うなどの一面もあった。
公式𝕏️(前代・Twitter)のおまけ漫画では、その時の微笑ましい「思い出」にあった裏話も投稿されている。
永劫を生きる者
ジュイスの口から、地球は神の手により幾度も破壊と再構築を繰り返されてきたという衝撃の事実が語られる際、その不条理で「死」を否定されたヴィクトルだけは、地球が破壊されても死ぬことができない不幸も語られる。
古代遺物「アーク」によってループを行なってきたジュイスに対し、ヴィクトルは宇宙空間や原始地球を物理的に生き延びることで、ループを繰り返してきた。つまり彼の生きた年月は、ゆうに数千億年を超えていた。後に、ジュイスがヴィクトルと共に神へ挑んだ戦歴として4554億年の人生を重ねていたと判明する。
この経歴を鑑みれば、主人公の不死者・アンディが第1話で死にたい願望を抱いていた所感よりも、更に深い酷い重い不死の宿命を歩んでいたヴィクトル。そして戦う者として死ねずに生き残り、99回も破壊と創造の世界で生と死、数多の苦しみ続ける宿命を負っていた。
だが温かい。
ヴィクトルは一人じゃない。
彼の永遠とも言える人生は苦痛だけでは無かった。
それは「温もり」を与えてくれた盟友・ジュイスの存在。彼女は99回のループを越えても戦うことを諦めない正義の人間、そして一人の人間としては相棒の不死を気遣う心優しい人格者だった。
2人とも終わりがないような戦う立場にいたが、時には骨休みという風に休息を過ごす「思い出」も共有する親愛もあった。だが死を否定された者、死と同価値である命の在り方を曖昧にされる能力者として、ヴィクトルは精一杯に生きるジュイスから貰う「命の温かみ」について不可解と有り難いを抱き続けていた模様。
だけど長年、極めて長大な戦いの人生。
共に戦い、最愛の女性となったジュイスのために、ヴィクトルはある決断に動く…。
敗北の道を歩まされる葛藤者
課題(クエスト)に挑み続け、戦力を集めていけば創造主-神-の命へ届くと思っていた闘い。
だが気付く。勝てないと。
何百何千何万何億と年を経て立ち向かっても敗北する不条理な闘いであると、今までの自分達では絶対に神へ敵わないと悟るヴィクトル。
一つ一つ最善手を打てばいつか神の死に近づくと確固な信念を抱いていたジュイス。
だからこそヴィクトルは、彼女を殺そうと決めた。
『 惚れた女が苦しむ様を 見たい男がどこにいる 』
不死ではないのだから、死なせて楽にさせてやろうと最悪の決断をした。
そうして物語本編の世界線、100回目のループ世界にてヴィクトルの運命が大きく動く…。
ヴィクトルが何故今回のループにおいて記憶を封じ込められ、アンディという別人格が生まれたのか。
その要因(特異点)は1865年4月15日、最愛の彼女が彼氏を救うために使用した古代遺物が鍵となっており──。