『ひとりの囚人は壁を見ていた』……
『もうひとりの囚人は鉄格子からのぞく星を見ていた』
あたしはどっちだ?
あそこに『骨』がある ホワイトスネイクに近づくためなら何だってやるぞ…
ドブ水だってすすってやるし 誰よりも強くなる…
父に会うまで…… 星の光を見ていたい
概要
ジョジョの奇妙な冒険:第6部「ストーンオーシャン」に登場する女性主人公・空条徐倫の台詞。これは彼女の『願望』を現した言葉。
この台詞が使われた場面は、空条徐倫の心の声であり、その時の状況はジョジョシリーズ屈指の熱い場面といっても過言ではない戦闘・肉弾戦での事。
引力にひかれるように黒幕の策略へ敢えて引き込まれていき、特別懲罰隔離房棟という孤立した状況で、誰かの助けを頼れないような厳しく熱い状況下でも、自問自答する事で自分を更に強く奮い立たせる徐倫。
本台詞「星の光を見ていたい」の前に、自分へ問いかけた囚人の話はアイルランドの牧師・Frederick_Langbridge(フレデリック・ラングブリッジ、1840年代-1920年代)からの「A Cluster of Quiet Thoughts(不滅の詩)」より引用した詩と思われる。
屈服しそうになる囚人の話に自身の状況を照らし合わせて、己の『覚悟』と『願望』を再び信じて進み、苦闘の末、激闘へ決着をつけることができた。
なぜ厳しい状況になっても、諦めず己の信じる『願望』へ進めれるのか。それは徐倫の幼少期から今までの『思い出』が強く影響している。
空条徐倫の幼い『思い出』には、いつも父・空条承太郎の姿が皆無だった。家族よりも仕事を優先し、1999年に自身が6歳の時に42度の高熱を出し死にかけた時でも帰ってきてくれない事があった。そんな愛情なき幼児体験から物語序盤、無実なのに収監されていた自分に面会へきた父親に、嫌悪感むき出しで向き合った一人娘。だが一人娘は自身にスタンドが発現してからの奇妙な体験、実はこの投獄が名も知らない奴らに追われているからの、ヘビィな策略だったと知る。これにより父・承太郎の厳しくも優しい『意思』を理解し、一人娘・徐倫は彼と和解できたのだが、その場に大切な「父さん」の姿はない。
得体の知れない黒幕により、やっと「父さん」の『意思』を理解できた直後に、彼の身と心と離れ離れになってしまったからだ。そして、その因縁から「父さん」を取り戻せる可能性があるのは自分しかいないと、迷わず敢えて荒く底知れない石の海に自由を求め立ち向かう徐倫。
なぜならそれは持ち前の強かさと黄金に輝く石のような煌びやかな精神よりも、心で「父さん」を理解した『意思』を信じる事の方が大きい、そんな『思い出』から細胞に勇気を与えられた行動なのだろう。
また彼女たちの一族には、首筋に星型のアザがある。台詞にある「星の光」は引用した囚人の他に、自分たち「家族の絆」も込められているもしれない。
離れ離れであるが、確かに繋がりを感じる「星の光」を信じ、いつか「父さん」と再会する事を、そんな希望のある未来に辿り着けることを、徐倫は願って目の前の運命に立ち向かう。
余談
本台詞「星の光を見ていたい」が使われた戦闘は、かなり厳しく熱い肉弾戦(ファイトクラブ)であり、見ているだけで読者も痛く感じるような痛々しい攻防が描かれている。「相手の目とかに紐を…」や「足の爪に紐を…」と、書いてる読んでるだけでも痛くなってしまうようなアレコレ。
それらが苦手な方は、それでも読み進めたい『願望』をもって立ち向かう事を勧める。
父、空条承太郎が主役の第3部スターダストクルセイダースの前期OP「STAND_PROUD」の歌詞には、「白金」と書いて「ひかり」と読む一節がある。
「星のひかり」にこの当て字を使うと…
関連項目
もちろんあたしは星を見るわ…・・・本台詞の前に徐倫が自問自答した『覚悟』の精神