本記事は『ジョジョの奇妙な冒険』第6部「ストーンオーシャン」の重大なネタバレを含みますのでご注意ください。
顛末
「『海(オーシャン)』に出ろっ!」
決戦は最終局面を迎えようとしていた。「引力」により「天国」の時へ押し上げられ、宇宙の時を加速させるというあまりにも強大なスタンドを手に入れたエンリコ・プッチの前に、皆歯が立たなかった。
ナルシソ・アナスイは唯一の苦肉の策として、初撃を自身のダイバー・ダウンで肩代わりし、その瞬間に空条承太郎のスタープラチナで時を止めて攻撃することを提案する。そのために皆、見通しのいい「海(オーシャン)」に出て神父を迎え撃った。
しかし叶わなかった。空条徐倫という彼の唯一の弱点を突かれ、空条承太郎は顔を裂かれて死亡した。ナルシソ・アナスイもエルメェス・コステロも斃され海を赤く染め、空条徐倫も深傷を負った。絶望のあまり、少年は泣き叫んだ。
世界が一巡する前に全ての「因縁」を断たんとする神父は、遂にちっぽけな少年を殺そうと接近する…が突如として少年は海の中へ引き摺り込まれるように離れていった。空条徐倫に助けられたからだ。空条徐倫がまだ動けることを知ったエンリコ・プッチは、自らも海に飛び込み追いかける。イルカの背に乗り逃げる中で、空条徐倫は少年に優しく語りかける。
「あたしは行けない………」
「神父は あたしの中の」
「ジョースターの位置を感じとってるわ」
「どこへ逃げてもあたしも感じるし」
「ヤツも感じて追跡してくる」
「あたしがいたらあんたは逃れられない」
エンリコ・プッチは、ジョナサン・ジョースターの肉体を奪ったDIOの骨と融合しており、その体にはジョースターの血が流れている。ジョースター家の血を引く者たちは互いを感知することができるため、どんなに空条徐倫が逃げたとしてもエンリコ・プッチは必ず追いついてしまう。少年が逃げきるためにはここで空条徐倫と別れなくてはならない。
仲間たちが繋ぎ託したこの好機(チャンス)で
「ひとりで行くのよエンポリオ」
「あんたを逃がすのはアナスイであり……」
「エルメェスであり」
「あたしの父さん 空条承太郎……」
「 生きのびるのよ 」
「 あんたは「希望」!! 」
空条徐倫は「希望」を託す。
エンポリオ少年はその強い「覚悟」を受け入れられず必死に彼女を説得するが、空条徐倫はその制止を振り切り1人、エンリコ・プッチに立ち向かう。
「来いッ! プッチ神父」
「 ストーン・フリィィーーーッ 」
星が散る美しい海には、エンポリオ少年の慟哭が虚しく響き渡った。