概要
一般にはテレビ朝日系で1992年から1997年まで放送されたTVアニメを指すが、設定を原作寄りにして絵柄も変え、キャストも大多数が一新された『美少女戦士セーラームーンCrystal』が2014年から配信されており、旧作を指す場合は「90年代版アニメシリーズ」などの呼称を用いて区別する必要がある。
「あたし月野うさぎ、14歳。中2。蟹座のO型、誕生石は真珠。性格は人よりちょーっとおっちょこちょいで泣き虫ってとこかな」
概要
武内直子の同名漫画を原作とした東映動画(現・東映アニメーション)のアニメシリーズ。Crystalと区別して「旧作」と呼ばれることもある。
テレビ朝日系列で1992年から1997年まで、平均視聴率は11.6%。バンダイとタイアップした玩具も記録的な大ヒットを飛ばす。当時国民的アニメとなり、日本以外でも北米、中南米、アジア各国で放送された。
90年代に入ってアニメ番組の主題歌はタイアップにより2クールで変わるようになったが、本作主題歌の『ムーンライト伝説』はアレンジを加えながら4年連続使用された(最終シリーズを除く)。コーラスとジャズオーケストラを組み合わせた有澤孝紀(2005年没)の劇伴音楽は本作のシンボルになり、JASRAC国際賞を受賞。
小学校高学年くらいの女児がターゲットの原作漫画に比べると、こちらは「主なターゲットが幼稚園〜小学校低学年くらいの女児」「一回あたりのセル画枚数に制限があった」などの理由から、バンクシーンと水戸黄門をベースにした少年漫画寄りの友情・日常コメディ。
モットーは「お気楽ご気楽」。シリアス展開となる佳境部分を除いてギャグアニメ色が強いが、「愛と正義」「運命や未来は自分次第で変えられる」をテーマにしている。
登場人物の変身シーンは光に覆われた裸のシルエットが魔法で着替える(令和の現代から見れば)きわどいものだが、新体操やフィギュアスケートを取り入れたスタイリッシュな演出で女児人気を獲得、後追い作品が次々と登場する。登場人物で異なる変身シーンは当時画期的な試みで、これもセル画の節約で作られた。
「悪役(特に幹部)は人間」という設定上、主人公チームが雑魚敵以外の敵を倒す行為は極力避けられ、幹部格の最後は説得による和解もしくは階級闘争による同士討ち等に変更された。
90年代を代表したスタッフが集結し、「原作を改変しながら自分達も視聴者も楽しんで面白いアニメを作ろう」というスタンスで制作された。その熱量が社会現象を引き起こすパワーを生んだとも言われ、原作改変によってヒットしたアニメ作品に数えられている。
シリーズディレクターは佐藤順一→幾原邦彦→五十嵐卓哉。シリーズ構成は富田祐弘→榎戸洋司→山口亮太。制作プロデューサーは東伊里弥→有迫俊彦。
キャラクターデザインは只野和子→伊藤郁子→爲我井克美。特に只野和子のレトロな画風と伊藤郁子のポップな画風は人気が高く、伊藤郁子の画風は後番組「キューティーハニーF」にも引き継がれた。
放送期間中にテレビ朝日の系列局が7局も増え、ANNネットワーク拡大運動に貢献するも、3年目以降、テレ朝の事情により特番休止の多発を余儀なくされた。
BL、百合、男装、トランスジェンダーなど現代でのLGBTに通じる表現があるが、これは後に『少女革命ウテナ』を手掛けた幾原邦彦が関係しているとも。アニメオリジナル要素であるクンゾイ、フィッシュ・アイ、そして百合界のカリスマはカルト的人気を獲得した。