クンゾイ
くんぞい
「この薔薇ですら、お前の美しさには遠く及ばぬ」
「クンツァイト様…」
「⋯お慕いしておりました⋯クンツァイト様…」
「ゾイサイト、俺をお前の魂のいる世界に、導いてくれー!」
「美少女戦士セーラームーン」の敵組織・ダークキングダム四天王のクンツァイト×ゾイサイトのBLカップリング。
90年代のテレビアニメ版セーラームーン第一期で、まさかの公式カップリングとして登場。
オネエ系美少年・ゾイサイトは残忍な策略家だが、四天王最強の男・クンツァイトを一途に慕い、クンツァイトもクールなようで彼を溺愛している。
土曜日ゴールデンタイム放送の女児向けアニメで、初登場時から男同士など塵レベルも気にせずバカップルぶりを見せつけ、お茶の間を驚かせた。セーラー戦士の前でもいちゃついているが特に反応はされない。悪の組織内の恋愛としては、仲間の恋心を利用しておいて裏切るのが勧善懲悪もののセオリーだが、クンツァイトはゾイサイトを心底愛していた。
ゾイサイトはクンツァイトの為なら何でもしたいと思っており、クンツァイトもゾイサイトをなるべくサポートして守ってやりたいと思っていた。が、ゾイサイトが命令に反して地場衛を暗殺しようとしてクイン・ベリルの怒りを買ってしまう。
瀕死のゾイサイトを花畑の幻影に包んで看取ったクンツァイトは二人の写真を大切にし、最期はセーラー戦士との戦いでゾイサイトの魂の導きを願いながら浄化されていった。
原作漫画でも二人が同じコマにいる際、かなり距離感が近い描写が見られる。ゾイサイトがセーラー戦士に倒された後、棺の中の骸を前に、クンツァイトがその死を悼むシーンも存在する。
子供向けアニメの公式BLカップリングの先駆者には『パタリロ!』のバンマラ(花を利用したロマンチックな演出+シリアス+純愛も同様)がいるが、あちらは片方が女性的な美少年+女性声優のため、男女カップリングだと勘違いする人も多い。
ただしクンゾイの場合は女性的なほうのゾイサイトを男性声優が担当したので誰もが男性同士だと分かる違いがあった。それでいてBLを茶化す描写をしないことも当時は画期的であった。
当時同性愛表現を規制していたアメリカでは、ゾイサイトを女性設定にして放送したんだとか。
「男性キャラ同士が馴れ初めイベントもなく付き合っている」ということで当時物議を醸し、今でも「伝説の公式ホモ」と呼ばれたりするが、二人が真剣に愛し合う様子が描かれるにつれ、BLに興味がない人にも「こんな恋愛の形もあるんだ」と思わせる魅力を持ったカップリングである。
放送当時のアニメ雑誌でも特集されたり、同人BL業界(当時の名前はやおい)でも人気を博した。
任務に生きてはいるが互いの存在が一番だったり、女性的な方が強かな性格に加えて死別、内部太陽系戦士との敵対など、後の百合界のカリスマと共通する部分が多い。
アニメイトのカセットコレクションでも登場シーンのほぼ全てでいちゃついている、本編同様にラブラブである。ラジオDJのゾイ斎藤とクンツァ伊藤として登場した時は、クイン・ベリルのリクエストをガン無視して持ち歌の「男と男のラブゲーム」を流そうとしたり、本編のジェダイトが作戦に利用した夢ランドでいちゃつきながらセーラー戦士にしりとり対決を挑んだことも。
当時のテレビアニメのシリーズ構成だった富田祐弘が脚本を執筆したミュージカル第一作『外伝・ダークキングダム復活編』でも、ゾイサイトには「クンツァイト様を永遠にお慕いしている」という台詞がある。
ちなみにクンツァイトは女好きのようだが、なぜ同性のゾイサイトと恋に落ちたかは不明。
「ダーク・キングダムに愛はなかった」と語ったネフライトの顛末から想像してみると、最初は利用し合うつもりが本気の恋に変わっていったのかもしれない。
PCエンジン版アドベンチャーゲームの最後にて、クンツァイトはゾイサイトと一緒にセーラームーンの幻の銀水晶の力で新しく転生していった。
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