実写ドラマ版:杉本彩
ミュージカル版:仁科有理、宮沢多季、初風緑、京香、玉置成実(乃木坂46版)
概要
『美少女戦士セーラームーン』第一部敵対組織「ダークキングダム」のリーダー格で、クイン・メタリア直属の部下。
ウェーブした赤毛と紫のドレスの美女で、緑石のイヤリングとティアラを身につけ「黒水晶」の玉がついた杖を持っている。
名前の由来は緑柱石の英語名「ベリル」。
原作版・Crystal版
元は地球の預言者であったが、プリンス・エンディミオンへの密かな恋心をクイン・メタリアにつけこまれ、憑依されて悪堕ちし、黒髪が燃えるような赤へと変わる。
メタリアの力と予言者の立場を利用して、エンディミオン配下の四天王を洗脳し、「シルバー・ミレニアムは地球に生きる私たちを見下して支配し、のちのちには奴隷や家畜のように扱うつもりだ」と民衆を扇動、月に攻め込んだ。
その結果、セレニティを庇ったエンディミオンが殺され、セレニティも後を追って自害。自身は激怒したセーラーヴィーナスに倒された。
現代の地球人へと転生し、学術調査員(あるいは学者)として暮らしていたが、ある日北極圏Dポイントの調査に派遣され、何の因果かその場所にはメタリアが封印されており、前世の記憶を取り戻して同じく転生していた四天王を洗脳し、メタリア復活に暗躍する事となる。
ただし、メタリアに仕えてはいるが忠誠心はなく、いずれ地球を喰いつぶしかねないメタリアに代わり、「幻の銀水晶」の力を手に入れて地球の支配者になろうと目論んでいた。
エンディミオンの生まれ変わりである地場衛を連れ去り、洗脳して自身の配下とするが、前世と同様、怒りのヴィーナスによって幻の銀水晶の剣で体を貫かれ、エンディミオンを求めながら滅び去る哀しい最期を遂げた。
Crystal版では最期が改変されており、ヴィーナスではなくセーラームーンによってメタリアから力を与えられていたペンダントを聖剣で壊され死亡した。また、メタリアに仕える前の回想シーンでは元から赤毛の髪をしていた。
テレビアニメ版
※一部ゲームの設定も織り交ぜています。
アニメ版では転生後からダーク・キングダム設立までのエピソードがオミットされている。
エンディミオンに想いを寄せる地球国の魔導士だったらしく、メタリアの力を得てエンディミオンを夫にしようとするが、断られてセレニティとエンディミオンを殺してしまう。
クイーン・セレニティにメタリアと四天王もろとも封印されたが、現代に蘇り、メタリアを復活させようとしている。四天王は不仲であり、恐怖で支配している描写がある。
エンディミオンの生まれ変わりである衛をさらい、洗脳したが、洗脳が不十分でセーラームーンに洗脳を解かれてはさらい、メタリアのエナジーを注ぎ込んで完全な操り人形に。「幻の銀水晶」を使いこなせず、衛を浄化できないセーラームーンに勝ち誇るが、「星のオルゴール」に残されたセレニティとエンディミオンの愛の力によって、衛に正気を取り戻されてしまう。
セーラームーンへの憎しみを込めて黒水晶の塊で殺そうとするが、衛の赤いバラに込められた愛のエナジーで浄化されそうになる。セーラームーンを倒す力を求め、妖魔の生き残りたちを吸収したメタリアと一体化する(フイルムコミックの発言より)。
メタリアの力を持つ「スーパー・ベリル」に生まれ変わり、美しい未来を夢見るセーラームーンを暗黒の力で滅ぼそうとするが、仲間との友情を信じるセーラームーンに敗れ、封印の光に包み込まれていった。
その後、アニメ『美少女戦士セーラームーンR』の魔界樹編とブラック・ムーン編の間の出来事を描いたPCエンジンソフト『美少女戦士セーラームーン』で、パスト・ワイズマンの「ブラッディ・オパール」の力により四天王共々復活。
未来に存在するワイズマンの主・デス・ファントムを現代に降臨させるゲートを開く為に、莫大な量の暗黒エナジーを集める手駒として使役される。しかも、パスト・ワイズマンとの契約によって死ねない体にされた。
しかし、大阪なると心を通わせたネフライトの活躍で、前世の記憶を取り戻した四天王に離反されて敗北。
パスト・ワイズマンの消滅後も最後の力を振り絞り、セーラームーンを亡き者にしようとするが力尽き、エンディミオンの心を惹きつけたセレニティの優しさに、自分すら全てを許してしまいそうになることが怖かったという本当の気持ちを告白し、静かに息を引き取る。
その後、セーラー戦士と四天王の力を借りたセーラームーンの力で人間へと転生し、幸せな生活を送っているはずだったのだが……
アニメ『美少女戦士セーラームーンS』と『美少女戦士セーラームーンSuperS』の間を描いたSFCソフト、『美少女戦士セーラームーンAnother Story』に置いて、ヘル・デスティニーによってセーラームーンたちに敗れる運命を変えられて復活。
(ただし、PCエンジン版で普通の人間に転生したはずの四天王の石が、Another Storyでは衛の部屋にあるため、パラレル的な作品と思われる)
バラ水晶が安置された富士の樹海の奥深くにある氷結洞を拠点に、自身の思念を土萠教授に憑依させ、セーラームーンを亡き者にしようとした。土萠教授に取り付いた思念=意識体の姿から、ルナはベリルの復活を察知する。しかしダーク・キングダムとの戦いで辛い経験をしたうさぎにとって、ベリルの復活は悪夢でしかなく、頭では分かっていてもなかなか認める事が出来なかった。
ちびうさを探して富士の樹海までやって来たセーラームーン、ウラヌス、ネプチューン、サターンらを迎え撃ち、富士の樹海に満ちる大量の暗黒エナジーを吸収してスーパー・ベリルへとパワーアップ。運命改変の影響で幻の銀水晶への免疫を得てセーラー戦士に勝利する破格の待遇(負けイベントのため絶対に勝てない)を受けているが、最後はセーラームーンとちびうさの2つの幻の銀水晶の力によって敗北。
結局、幻の銀水晶の力に敗れる運命からは逃れられず、エンディミオンを呼びながら消滅していった。
ちなみに第四部に相当するアニメ『SuperS』には、女性初の警視総監を目指す衛の高校からの同級生・沙織が登場し、衛に告白しようとしたがセーラームーンとの絆を知って諦め、後輩の小林と結ばれることになる。
この沙織という女性、衛役の古谷徹氏が主人公を演じた『聖闘士星矢』でベリル役の潘恵子氏が演じた城戸沙織と同じ名前である。劇場版『R』でも古谷氏と潘氏が共演した『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』ネタが使われているし、沙織は原作のベリルと同じ色のピアスとペンダントをしていたりもするので、ひょっとしたらベリルが転生した後の姿かもしれない。
ミュージカル版
舞台となるミュージカルによって、扱われ方は様々。
地球王族の血を引いていて、王子エンディミオンとは許婚の間柄にあった作品もある。
セーラースターズを題材にした舞台でも、復活してセーラーギャラクシアと対決する作品もある。
実写版
実写版の設定では、プリンセス・セレニティの負の心の化身であるメタリアを利用しており、エンディミオンを失ったセレニティが変身し、地球と月の王国を滅ぼしたプリンセスセーラームーンを恐れる。
四天王を人質にして衛を仲間にし、うさぎを想う度にエナジーを吸い取る石を衛に埋め込んだが、「最後に一度だけうさぎと過ごしたい」という衛の願いを受け入れた。
しかし、メタリアを取り込んで暴走した衛がセーラームーンの手で命を絶たれ、絶望したプリンセス・セーラームーンが地球を滅ぼしてしまい、崩壊する城の中で自ら命を絶つことを決意。
その前に最後まで残ったジェダイトの洗脳を解いて逃がそうとするが、ジェダイトの想いを受け入れ、一緒に崩壊する城へと消えていった。
幻の銀水晶の力で再生した世界には登場していない為、彼女も転生したかどうかは不明となっている。
特殊形態
スーパー・ベリル
アニメ『美少女戦士セーラームーン』最終回に登場。
クイン・ベリルとクイン・メタリアが合体して誕生したベリルの最強にして最後の究極の姿で、無印のラスボス。
なお、ベリルの強靭な精神力のためなのか、メタリア自身は精神的融合を果たしているらしく、メタリアとしての意思は感じられない。
メタリアと融合合体した影響なのか天を突く程の巨大な姿をしており、両肩に白い小さな棘が現れ、肌の色は青白く、着ていた服も赤く染まり、髪の毛は深緑色へと変色。また、足の部分は巨大な毒々しい巨大な花弁(蓮華?)と一体化しており、周りの触手や強大な暗黒の波動による攻撃を得意としている。
最終決戦において、あくまでも美しい未来を信じるうさぎに対し「この世界は醜く汚れきっている」と語り掛けると、絶大なる暗黒のエナジーによる攻撃でうさぎを圧倒する。しかし、4人のセーラー戦士たちの魂に支えられて極大化した『ムーン・ヒーリング・エスカレーション』の浄化の光に飲み込まれ、断末魔の声と共に消滅、封印された。
SFCソフト『美少女戦士セーラームーンAnother Story』では、ヘル・デスティニーの運命改変により三度復活を遂げたクイン・ベリルが、富士の樹海に満ちるクイン・メタリアの力に匹敵するほどの莫大な暗黒エナジーを吸収する事で自らの意思でパワーアップした姿として再び登場。
以前と同様に強大な暗黒の波動による攻撃に加え、運命が改変された事により幻の銀水晶の力を受け付けない体質へと変化しており、以前仲間達を失いながらも必死の思いで彼女を封印した経験からトラウマとなっているセーラームーンを戦慄させた。
しかし、ちびうさがいた事で勝敗が逆転する。セーラームーンが持つ現代の銀水晶と、ちびうさが持つ未来の銀水晶という、二つの力によって大幅に弱体化。セーラームーンとプルートを除く外部太陽系戦士を交えた壮絶な死闘の末に再び敗れ去り、ベリルの姿へと戻ると再び消滅した。
なお、今回は幻の銀水晶が二つあった事が幸いし、ムーンを始めとする戦士たちは体力を大幅に消耗したものの、今回は誰1人として犠牲者が出ることは無かった。
意識体
SFCソフト『美少女戦士セーラームーンAnother Story』に登場。
ヘル・デスティニーによる運命改変により復活した土萠教授に取り付き、彼を洗脳して操っていた邪悪な意識体。
その正体は、ヘル・デスティニーの運命改変により、復活を遂げたクイン・ベリルの邪悪な意識が実体化したもの。ルナ曰く「どこかで見覚えが無いか?」とうさぎに問いかけるシーンがある事から、ベリルを思わせる雰囲気があるらしい。
とはいっても、実際にはその姿は黒いゴツゴツした芋虫型のグロい生物という、どっからどう見ても原作のダイモーンの姿である。
運命改変の影響で復活した無限学園を訪れたセーラームーンたちに、教授を乗っ取って襲い掛かるも敗走。セーラーサターンの説得と銀水晶の力で正気を取り戻した教授の体から抜け出て、二人に襲いかかるが敗れ去り消滅した。
打撃攻撃しか仕掛けてこないので大して強くは無い。選択次第では戦いを回避する事も可能である。その場合、ルナの指摘をもとに銀水晶の力で教授の洗脳を解き、体から抜け出したところを再び幻の銀水晶の力を浴びせられ消滅する、という展開となる。
逸話
『セーラームーン』LD収録のインタビューにおいて、潘恵子氏はクイン・ベリルとルナが連続して登場する際に咄嗟に切り替えるのが難しく、直前に登場した役の声のままもう片方の役を演じてしまいNGになったことも多いと語っている。
これがきっかけで「失敗しても悔やんでいられない。でも凄く前向きな性格になれた」との事。