概要
1992年1月から同年12月にかけて、日本テレビ系列局の一部に加えてフジテレビ系列局・テレビ朝日系列局各約1局ずつにて放送された(ただしネット局によって放送時期がややずれ、1993年に入って最終回を迎えたところもある)。全51話。
15年後の未来からやってきた自分の赤ちゃんを小学4年生の少女が育てるという、タイムパラドックスを設定としたホームドラマ。「天真爛漫な赤ん坊に振り回される子供たちと、その子供たちにさらに振り回される大人たち」というコメディタッチを基調にしつつ、親子の愛情や育児と仕事の両立などのテーマが織り込まれている。
株式会社サンライズによる女児向け作品は『アイカツ!』が製作されるまでの約20年間この作品のみだった。『アイカツ!』はゲームが原作のため、現状サンライズが手掛けた唯一の女児向けのオリジナルアニメである。
またSF作品としての要素は薄いものの、1993年の日本SF大会にて「星雲賞」メディア部門に選出された。「アニメディア」92年9月号付録には短編ノベライズを掲載。
本作のオープニングストーリーボード(絵コンテ)は富野由悠季が担当。
あらすじ
1992年、水木なつみは夢が丘小学校に通う小学4年生の女の子。両親の都合でロンドンに引っ越すことになったが、急な都合で両親は先にロンドンに向かわなくてはならなくなり、なつみは1人で夜を過ごすことになる。
雷が鳴る嵐の夜の中、震えながらリビングでテレビを見ていると、突然の激しい落雷とともにテレビの画面から赤ちゃんが現れる。
慌て驚いているところに、一緒に現れたコンパクトから母親らしき人からの声がする。
翌日再び聞こえてきたその声の話によると、何と彼女は15年後の2007年のなつみ自身であり、赤ちゃんは未来の自分が産んだ娘だというのだ。
不思議な出来事だが、なつみは赤ちゃんに「みらい」と名付け、無事に未来に帰れる日まで、日本に残って育てることを決心する。
こうして赤ちゃんと小さなママの成長ストーリーが始まった。
みらいちゃんが起こす騒動に振り回されるなつみだが、喧嘩仲間の大介や親友のタマエとえり子、未来から来た育児アイテム、文句を言いながらも根は優しいいづみおばさんなどの助けもあって、経験のない育児の中でいろいろなことを学んでいく。
だがある日、週刊誌ライターに赤ちゃんの存在を嗅ぎ突かれてしまう。
マスコミに「10歳のママ」として取り上げられ、なつみの周辺に危機が迫る。折しも自称天才科学者江地さんのタイムマシンが完成間近となり、タイムスリップが起こるのはクリスマスの夜であることが判明した。
マスコミや周囲の大人たちの悪意の中、なつみたちはみらいちゃんを無事に未来に返せるか。
登場キャラクター
- 水木なつみ(CV:こおろぎさとみ)
- みらい(CV:吉田理保子)
- 島村いづみ(CV:伊倉一寿)
- ボビー(CV:山崎たくみ)
- 山口大介(CV:高乃麗)
- 山口大平(CV:林玉緒)
- 森タマエ(CV:丸尾知子)
- 立花えり子(CV:白鳥由里)
- 深沢龍一(CV:篠原あけみ)
- マリオ・ヴィットーリ(CV:金丸淳一)
- ジュリエッタ・ヴィットーリ(CV:坂本千夏)
- 花田英夫(CV:山口勝平)
- 高橋ちぐさ(CV:山崎和佳奈)
- 大川博司(CV:茶風林)
- 小野つる(CV:山田礼子)
- 校長先生(CV:達依久子)
- 水木るり子(CV:川島千代子)
- 水木浩三郎(CV:田原アルノ)
- 水木絹代(CV:鈴木れい子)
- 島村小春(CV:竹口安芸子)
- 花田ミドリ(CV:京田尚子)
- 山口佐和子(CV:島本須美)
- ジョバンニ(CV:掛川裕彦)
- ソフィア・ヴィットーリ(CV:吉田理保子)
- 江地さん(CV:永井一郎)
- 横島英二(CV:大塚芳忠)
主題歌
オープニングテーマ
「愛を+ワン」
作詞 - 岩谷時子、作曲・編曲 - 樋口康雄、唄 - 益田宏美
エンディングテーマ
「この愛を未来へ」
原曲 - モーツァルト作曲《ピアノソナタK.545》、作詞 - 岩谷時子、作曲・編曲 - 樋口康雄、唄 - 益田宏美
ぴょんぴょん版
『ぴょんぴょん』において、中森衣都が手掛けたコミカライズで1992年1月号から10月号まで連載された。全10話。
ストーリーは全体的に漫画版のオリジナルとなっており、キャラデザは中森の画風が反映したためにアニメ版よりも微妙に「ふっくら」(あるいは「ぽっちゃり」)している。
単行本は小学館「ちゃおフラワーコミックス」より、全2巻で発刊された。
なお、単行本収録にあたってはページ数の都合から第1巻にはパニックギャグマンガ『ハニワくん大パニック』第2巻にはバトルヒロイン作品『宝石の騎士スタージュエル』がそれぞれ併録されている。
雑誌連載での最終回は赤ん坊を亡くした女性がみらいを誘拐するも改心して、なつみにみらいを返し、なつみとみらいの絆がより深まるというものでみらいが元の時代に帰るまでは描かれなかった。
ただし、みらいの帰還の物語は単行本書き下ろしのオリジナルストーリーにて補完されている。
未来世界のなつみ夫妻がタイムスリップ現象を逆算してクリスマスイブの日に「揺り戻し現象」によって再び水木家に時間移動のワームホールが開く事を突き止め、なつみが開いたホールにみらいを帰す事に葛藤する物語となっている。
最終的になつみは自ら無理矢理に理屈立てて納得しようとして、クリスマスイブにみらいとの最後の時を過ごそうとヤケクソ気味に大散財。その様を大介に目撃されて不審がられる。
みらいと最後の晩餐と言わんばかりの大宴会を繰り広げたなつみは覚悟を決めて家に開いたワームホールに、みらいを託すのだが、みらいは自らがワームホールに引かれていく事で、なつみが離れていく事に不安がってぐずり出し、その混乱の中で咄嗟になつみを「ママ!」と呼び、救いを求めた。
その事実に動揺したなつみは、みらいと離れたくなかった本心が溢れ出てしまい、思わずみらいを追ってワームホールに特攻。ワームホールの向こうで、みらいに再会して涙を流しながら喜ぶ未来の自分の姿を目撃するが、その瞬間、何者かにワームホールから引っ張り出される。
なつみをホールから引っ張り出したのは、彼女の不審な行動を気にして様子を見に来た大介であった。なつみは大介にすがり「みらいが行ってしまった」と大号泣する。泣き続けるなつみだったが大介は「メソメソすんな、なつみサンタ!」と檄を飛ばす。今日なつみはサンタクロースになったのだと、みらいには本当の両親を、みらいの両親にはみらいを、それぞれ会わせるクリスマスプレゼントをしたのだ、帰っていったみらいのために、それを胸を張って誇れと、ぶっきらぼうながら元気付ける。
そして、なつみが宴会で散らかした部屋の片付けに付き合う大介の姿に、なつみはワームホールで一瞬見た光景を思い出す。それは未来の自分の横にいた、みらいの父、自分の未来の夫の姿だった。その姿は逆光で見え辛かったものの、その耳には見覚えのあるモノが輝いていた。それは大介のピアスだったのである。
ピアスなど量産品で、それが自身と大介の未来の姿とは限らない。なつみは「まさかね…」と思いながらも大介のぶっきらぼうながらも優しい姿を意識せずにはいられなかったのであった。
なお小学館から出されたアニメムック「ジス・イズ・アニメーション『ママは小学4年生』」では、中森による後日談が掲載されており、そこでは、弟の子守りを巡って未来のなつみに叱られた10歳のみらいが、弟を巻き添えにして再び小学4年生のなつみの元にタイムスリップしてしまう話が展開された(この話も単行本収録されている)。
母親に叱られた事で、親の愛情を疑ってしまったみらいが小学4年生のなつみ(と大介)に出会い、彼女の思いを知ることで自らが本当に愛されていることを再確認して未来へと帰還する物語となっている。
小学四年生版
ぴょんぴょん版同様に漫画版オリジナル展開によるコミカライズで『小学四年生』において、竹之内淳子が手掛け、1992年4月号から1993年1月号まで連載された。全10話。
最終回はみらいの帰還が本作独自の展開で描かれた。
未来の世界で開発されたタイムマシンを未来なつみが送ってくることになったのだがなつみはみらいを返すことを拒み、さらになつみを迎えに来たるり子にみらいのことを信じてもらえず、なつみはみらいを連れて、家を飛び出してしまう。
車に轢かれそうになった2人は追ってきたるり子が身代わりになったことで命拾いし、病院でるり子の手術が行われる中、なつみは母の愛を改めて知ったことでみらいの本当の母である未来の自分の許にみらいを返すことを決めた。
いづみはるり子の付き添いで病院に残り、なつみとみらいは大介と共にタイムマシンが送られてくる神社に向かい、なつみはみらいにるり子が編んでくれたセーターを着せ、タイムマシンでみらいを未来に送り出すのだった。
余談
最終回は放送時期が放送時期なだけにクリスマスを題材としたものだった。ところが、12月に入って内閣改造があったために1週休止に追い込まれた。だが最終回の内容が内容なだけに日程をずらす事が出来なかったため、休止翌週に再放送枠を融通した上で1時間枠での2話連続放送と言う形式で何とか乗り切っている。
日本テレビ系平日夕方アニメ・特撮枠の金曜夕方5時台前半枠のアニメはサンライズが手掛けてきたが、本作が最終作になった(後番組『ミラクル☆ガールズ』の制作はジャパンタップスである)。
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