セレーネ・マクグリフ「ごめんなさいね…あなたに人殺しをさせてしまうわ。『この子』にも」
『機動戦士ガンダムSEEDC.E.73STARGAZER』の主役モビルスーツ。同OVAのビジュアルでは、黒のストライクノワールに対比するように、白の本機が配置されていた。
機体スペック
制式番号 | GSX-401FW |
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全高 | 18.94m |
重量 |
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動力 | パワーセル(バッテリー) |
開発 | D.S.S.D. |
所属 | D.S.S.D. |
パイロット |
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武装 | ビームガン KSM71/J(有事用) |
概要
火星軌道以遠領域の探査及び開発を目的に設立された民間の探査機構D.S.S.D.(深宇宙探査機構)の「GSX-401FWスターゲイザー計画」に基づき開発された深宇宙探査用モビルスーツ。デザインは大河原邦男氏。
地表探査も想定されたことから本体部は歩行可能な人型モビルスーツが採用されたため、D.S.S.D.とジャンク屋組合が開発したシビリアンアストレイDSSDカスタムをベース機としつつ、複数の新機能を搭載するために新規設計となっている。シビリアンアストレイから基礎性能の高さを継承しており、アクタイオン・プロジェクトの機体と遜色ないパワーを見せている。
有人では困難な宙域を探査するため、自己対話型分散処理AIによって完全自律運用される機体として設計されている。さらに、無人運用を前提とした長期間のメンテナンスフリーを実現するため、自己修復型マイクロマシナリーテクノロジーが全面的に採用されている。
さらに、惑星間航行を達成するための機能としてヴォワチュール・リュミエール(仏語で「光り輝ける運び手」)という、特殊な推進装置を有する。これは、形成した量子の膜に太陽風やレーザーを受け止め、それを量子鏡面ディラック干渉によってエネルギー変換を行って推進力とすることができる(理論上は亜光速まで加速可能とされる)。そのため、本機は推進力を得るために推進剤を必要としない。外部のエネルギーではなく自前のエネルギーを推進力に変換することも可能だが非常にエネルギー効率が悪く、フル稼働では本体稼働時間が17分ほどまで短縮される。また、探査用故に戦闘用モビルスーツほどの厚さを持つ装甲ではないとされるが、外部からプロパルジョンビームを受けることによる急加速の負荷(C.E.73年当時の準ハイエンドに相当するストライクノワールさえ大破するレベル)に耐えられるほどには頑丈な作りとなっている。
機体名
機体名である「スターゲイザー」は開発時に付与されたものではなく、当初は型式番号をとって「401(ヨンマルイチ)」と呼ばれていた。初運用試験時にソル・リューネ・ランジュにより「星を観る人」の意を込めた一種の愛称として名付けられた。この時、ソルとセレーネ・マクグリフは本機をコマンドラインを通して遠隔操作しており、セレーネが「I call you STARGAZER.」とメッセージを送ったことにより、本機(のAI)自身も「I have leraned I am STARGAZER.」と返答すると同時にコマンドライン上の呼称(ユーザ名)を「GSX-401FW」から「STARGAZER」に更新している。また、セレーネからは「ゲイザー」とも呼ばれていた。
構成
全身
機体の随所に金色に発光するスリットが設けられている。これはヴォワチュール・リュミエールのサブスラスターとして背部ユニットと連携し、推力バランスを補正する役割を持つ。
戦闘用ではないため、脇腹、脹脛のフレームが露出している。
胸部
コクピット部はアセンブリー化されており、AIユニットを搭載した無人仕様と複座型の有人仕様のコンバートが容易な構造となっている。このAIユニットは自己対話型複列分散処理により高度な学習機能を有しており、モビルスーツの無人運用さえ可能とする。一方、AIを使用するためには操縦データをフィードバックして経験値を積む必要があるため、前述したコンバートが容易な構造が採用された。また、このAIユニットはD.S.S.D.占有の非常に高度な技術であり、これの奪取を目的として地球連合軍(厳密には大西洋連邦のファントムペイン部隊)がD.S.S.D.の拠点に侵攻を行った。
コックピットの計器やスイッチ類は完全なタッチパネル形式となっており、配置も含めて同年代のモビルスーツとはまるで異なっている。
腕部
ストライクフリーダムのような籠手状の追加装甲を持つ。ビームシールド発生装置にも見えるが詳細は判明していない。
背部
トーラス(円環構造体)型のヴォワチュール・リュミエール用ユニットが接続されている。このユニットは、ヴォワチュール・リュミエールのパワー受信アンテナの他に可動式スラスターとしても機能し、左右の多重関節アームによって支持されているため任意に形状を変化させることにより推力方向の調節を行うことができる。これにより、接続した機体に通常のモビルスーツを凌駕する機動力を付与する。
人材と設備の問題により機体本体と本ユニットを別々の場所にて開発する必要があったことから、着脱可能な構造となっている。しかし、その性能を完全に発揮するには機体本体に備えられた調整機能が必要となるため、他機での運用は困難である。
腰部
サイドスカートに機体固定用のアンカー付きワイヤーを内蔵している。
OS
Guider
Deployment
Autonomic
Manipulation
自己対話型複列分散処理AIのための運用支援システムとして位置付けられている専用OS。訳は「無人・自律運用展開教導機」、規格は旧来の[MOBILE SUIT OPERATION SYSTEM]。
AIに対して操縦データをフィードバックして経験値を積ませる必要があるため有人での運用にも対応している。遠隔にてキャラクタユーザインタフェース(と英語)を用いた対話により制御することができる。その際、機体側は「GSX-401FW」という名前にて制御側の入力(指示)に対して応答を返す(例えば「GSX-401FW:I will.」「GSX-401FW:Next command.please.」)。
OS起動時には「Now Booting M.O.S」と表示され、D.S.S.Dの組織章とOS名が続けて表示される他、完全な専用OSであることから機体の型式番号とコードネームまで表示される。また、起動描写があるOSの中でバージョンが表記されていない数少ないOSの一つでもある。
武装
固定火器を持たないことに加えて、専用の携行火器も無いが、武装の携行は可能であり、マニピュレータにも給電コネクタが存在する。
ビームガン KSM71/J
D.S.S.Dがモルゲンレーテ社が開発したモビルスーツ用ビーム兵器の設計データを購入し、独自に改修を加えたもの。改修の結果、一般的なビームライフルより威力や射程は低下したものの、コンパクトになり取り回しに優れる。
本来はシビリアンアストレイDSSDカスタムの主武装だったが、地球連合軍のD.S.S.D侵攻に際して装備した。
ヴォワチュール・リュミエール
周囲空間にエネルギー干渉を行う推進力変換の副産物として、本機を中心としたリング状の発光現象を起こす。このリングは機体周囲を高速で滞留する荷電粒子かつ制御可能であり、ビームシールドのようにビームや実弾に対して干渉してシールドとして機能する他、ビームサーベルのようにフェイズシフト装甲を切り裂く切断力も有する。
副次効果ながら実質的な本機の固定武装であり、有事の際の保険に位置付けられている。一方、エネルギー消費も激しく、長時間使用することができないため、そういう意味においても「保険」に過ぎない。
劇中での活躍
機動戦士ガンダムSEEDC.E.73STARGAZER
パイロットはソル・リューネ・ランジュ及びセレーネ・マクグリフ。操縦席にはパイロットであるソル、オペレータ席にはセレーネが搭乗して実戦投入された。
戦闘用ではないため全三話の内、前半の二話では目立った活躍はなく、シャトルで打ち上げられる姿や、格納庫の中で佇む姿が確認できるのみ。二話のラストでヴォワチュール・リュミエールを展開する神々しい姿を視聴者に見せつけた。
そしてトリを飾る三話。本機のAI技術を狙った地球連合軍は第81独立機動群ファントムペインをD.S.S.D.に差し向け、本機は圧倒的な敵の戦闘能力に追い詰められるD.S.S.D.の防衛部隊を援護するために、コックピットブロックを有人仕様に交換、ビームガンを持って出撃する。
ニュートロンジャマーの影響により動力にはパワーセルしか使用できず、フルパワーでは17分しか持たないという制約を負いながらも、そのスラスターとヴォワチュール・リュミエールを生かした圧倒的機動性とソルの正確な射撃をもってスローターダガー部隊を次々と撃墜していく。その後、D.S.S.D.の防衛部隊を追い詰めるストライクノワールの気を引きつけ、D.S.S.Dの拠点内部へと誘い込む。入り組んだ構造を活かしてストライクノワールを翻弄しようとするが、ワイヤー等により小回りの利くストライクノワールに逆に翻弄され、仕方なく再度宇宙へ出る。そこをストライクノワールのビームライフルにて攻撃されるが、ヴォワチュール・リュミエールのリングを展開して相殺、リングの手数を活かして左腕を切断、胴部にも一撃を入れて追い込んでいく。しかし、止めを刺す前にエネルギーが切れてしまい形勢が逆転、ストライクノワールのビーム射撃から逃げ回ることになる。
セレーネがソルへアポロンAにて敵戦艦を撃つ役目を託すと同時にソルのシートを強制射出、それを脱出(機体放棄)を判断してストライクノワールが余所見した隙に組み付き、そのままスラスターを調整してアポロンAの軸線へ移動、アポロンAのプロパルションビームをヴォワチュール・リュミエールの量子膜で受けたことにより急加速を行い、その負荷により組み付いていたストライクノワールを大破させることに成功するが、地球と金星の軌道の間(地球との平均距離にして約41,400,000km=地球約1030周分)まで飛ばされてしまう。
最後は、ストライクノワールからスウェン・カル・バヤンを移乗させつつ、なけなしエネルギー(10秒ほどの加速で使い切ってしまう程度)を貰い受け、地球圏に帰還すべくヴォワチュール・リュミエールを起動して量子膜を広域展開、金星圏を後にした。
ガンダムビルドファイターズトライ
レディ・カワグチが過去の大会でこのガンプラを使用。ヴォワチュール・リュミエールで周囲の敵を圧倒する姿がホシノ・フミナの回想で登場した。
立体物
HG SEED 1/144とSDガンダムシリーズで展開されるが、それ以外ではストライクノワールと違ってあまり立体化に恵まれていない。
HGはヴォワチュール・リュミエールの再現は濃いクリアグリーンの3つの輪っかのエフェクトパーツでの再現となり、全身のフォトンはオーロラシールでの再現となる(黒シールとの選択式)。
HGノワール同様フロントスカートの独立稼働や股関節に回転軸を持つ一方、腕軸の接続がABS製のアレイ型ボールジョイントとなっており、劣化するとすぐに保持力がなくなるため注意が必要。
SDガンダムでは、ヴォワチュール・リュミエールは三日月状のエフェクトパーツでの再現されており全身のフォトンもメタリックのホイルシール一択となっている。
カプセルフィギュア「SDガンダムフルカラー」にラインナップ。※現在、入手困難
余談
- セレーネの台詞からして核エンジンを搭載している可能性が高い。地球帰還時にニュートロンジャマーの影響範囲外に出たにもかかわらずストライクノワールのエネルギーに頼っているが、あの時点での本機の残存エネルギーはシステムコントロールの維持だけで精一杯な程度であり、核エンジンを臨界状態まで持っていくことができなかったものと考えられる。
- さらに言えば、ヴォワチュール・リュミエールはエネルギー消費が激しくストライクノワールのエネルギーを貰ったとしても27日間使い続けられる代物ではない(というかバッテリー機は数日間も連続稼働できない)ため、ストライクノワールのエネルギーのエネルギーを使って核エンジンを起動したと考えた方が辻褄が合う。
- 『SEED』に登場する他のガンダムにも共通するが、作中でガンダムという名称は用いられておらず「スターゲイザーガンダム」は商標登録のための名称で、作中での正式名称は「GSX-401FW」か「スターゲイザー」のみ。
- ゲームでは武装が少なすぎる&宇宙空間のリアリティを表現した薄暗い描写の戦闘だったため生じた勘違いなどによりビームシールドを搭載したり、遠隔起爆式の爆弾『フラッシュマイン』を持ってボンバーマンになったり、ヴォワチュール・リュミエールのリングを相手にぶつけたりと(武器名はVLのままのこともあるが、あるゲームでは「ボール・ド・リューヌ」「オラージュ・ド・リューヌ」という個別の名前を付けられている)奇抜な攻撃手段を多数披露する。スパロボではヴォワチュール・リュミエールで加速し、敵機を捕まえたまま亜光速まで加速し敵機を破壊するという技まであった。
関連動画
関連項目
シビリアンアストレイ:DSSDカスタムの推進システムは、スターゲイザーのヴォワチュール・リュミエールの前身である。
デルタアストレイ/ターンデルタ:同様にヴォワチュール・リュミエールを搭載する。
ラゴゥ、ブラックナイトスコードカルラ:C.E.における他の複座式のモビルスーツ。
レディ・カワグチ:ガンプラバトルで過去に使用していた。
ネプテイトガンダム:本機に着想を得たコアガンダムのバリエーション。特殊巡行を目的とする非戦闘用のガンプラで、円環状のヴォワチュール・リュミエール展開ユニットを持ち、武装は自衛用ビームガンのみ、などなどクガ・ヒロトによる原作へのオマージュが徹底している。
ドゥークー伯爵:Ep2に登場した彼のスターシップも、ソーラーセイル搭載機の中では知名度が高い。
イカロス:JAXAの技術実証機。世界初の本物のソーラーセイル機である。
ゴッドガンダム:背中のVLを後光に見立てられ、良くネタにされる。
八坂神奈子:外見からネタにされることがある。
アルティメットガンダム(デビルガンダム)、デビルガンダム四天王、ガンダムシュピーゲル、ターンA、ターンX:ナノマシンによる自己修復機能を持ったガンダム。
G-セルフ:機体の全身にフォトンが巡るGの後輩。
ガンダムハルート:コックピットが複座式になっているガンダム。