エンプーサ
えんぷーさ
概要
エンプーサは女神ヘカテーに従う魔物、または女神自身の娘とされる。女吸血鬼モルモーやラミアと共に群れをなし、様々な姿で男性を誘惑し、その血を啜り最後に殺す存在である。
エンプーサはしばしば文献や喜劇に登場し、
- アリストパネス「蛙」
詩人エウリピデスを連れ戻そうとするディオニュソスと召使のクサンティアスが、カロンの舟に乗って冥界に着いた場面で、クサンティアスが一匹の巨大な獣がいるのに気づく。クサンティアスはディオニュソスに獣の姿を伝えようとするが、相手は牡牛、騾馬、美しい娘、犬と次々に変身してしまいどうにも説明がつかない。それに対してディオニュソスが「それはエンプーサだ」と答える。
エンプーサは炎のように輝く顔に、青銅と牛糞の足を一本ずつ備えた恐ろしい姿をしており、それを見た主従は仰天してしまう。
- フィロストラトス「テュアナのアポロニオス伝」
アポロニオスの弟子メニッポスが富豪のフェニキア女性と出会い、彼女から告白を受ける。すぐにメニッポスは女の家を訪ねて結婚しようとした。だが、弟子の様子を怪しく思ったアポロニオスは婚礼の席で女の正体を看破し、女とメニッポスの抗弁を論破した。すると屋敷や宴席はかき消えてしまい、観念した女は自身がエンプーサであること、メニッポスを肥え太らせてから食べる予定だった事を白状した。
創作作品において
夢魔繋がりから、エロい子扱いされる事もしばしば。(特に二次創作方面)
見せるのは悪夢なんですけどね…
だが、名前だけなら国民的RPGのドラゴンクエストで存在を知った人も多いだろう。
しかし、ドラクエで出てくるエンプーサにはそんなお色気要素は皆無。
ドラゴンクエストシリーズのエンプーサ
初登場は『ドラゴンクエストⅤ』。ブラジャーと腰みのを付けており、ハワイアンな雰囲気を出しているが、上記の伝承の欠片が見出せない。ある意味夢に出てきそうだが。
誘う踊りでこちらの動きを封じ、時折痛恨の一撃をお見舞いしてくる。因みに、倒すと時折皮の腰巻を落とす。
ラーの鏡で正体を見せるニセ大后にも同じグラフィックが使われており、人によってはそっちの方が印象に残るだろう。
尚、リメイク以降では仲間にすることができる。最初に仲間になる時の名前は「キャシー」、意外にも力の伸びが高いのが特徴である。
『ドラゴンクエストⅢ』のまじょやエンプーサを知っていると、余計にⅧ以降のウィッチレディ等に違和感をもつユーザーもいるのではないだろうか?
ちなみにアニメ二期版ダイの大冒険ではデムルリン島の住人として登場。
女神転生シリーズのエンプーサ
青い鱗を持った女性の顔と乳房を持った人面獣で、『魔神転生2』ではコウモリの翼を持ち、『ペルソナ2』では片足が真鍮の翼を持った女性として登場した。
詳細は夜魔エンプーサの記事参照。
逆転オセロニアのエムプーサ
デザインはサイバネティックなスーツ風で、ツノと足には伝承のエンプーサの意匠が見受けられるが、頭の装飾品や逆手持ちにした武器などは間違いなく語源になったカマキリの要素である。
ぷよぷよ!!クエストのエムプーサ
語源に則り、カマキリ娘として登場。まものガールズシリーズの一人。
比較的伝承に近い姿をしている彼女たちの中では異形ではなく、真っ当に可愛いデザインをしている。
真剣勝負が好きな性格で関西弁で話し、服装は何故だか和風になっている。なんでやねん。
武器は二刀流の鎌だが、コテコテのエムプーサになると法被を装着し、ヘラを二本構える。
エムプウサイ
エンプーサ(エムプーサ)のギリシャ語での複数形。
水木しげるによって上記の「テュアナのアポロニオス伝」のエピソードとともにナイフとフォークを持ったカボチャのような妖怪として描かれ紹介された。(姿は映画『不思議の国のアリス』(1933年)のハートの女王の1シーンがモチーフ)