「その体では満足に戦えまい。だが手加減はしない。それが宇宙海賊の流儀だ!」(第三十一章)
演:水谷ケイ
概要
宇宙海賊バルバンのNo.2にして、ゼイハブ船長の側近である女海賊。バルバンの「船」である魔獣要塞ダイタニックの操舵士を務める。
銀髪ロングに貝を模したビキニアーマーのグラマー美女という、セクシーな出で立ちが目を引く一方、それとは裏腹に好戦的にして血気に逸りがちな気質の持ち主であり、「全宇宙の男を跪かせた」と豪語して憚らないなど、プライドだけで言えばバルバンの中でも一二を争うと言っても過言ではない。
そうした気質ゆえに、時には自らも前線に赴き戦いに及ぶこともあり、手から放つビームを攻撃手段とする他、得意とする剣術は1対1なら通常のギンガマンとも、互角に渡り合えるだけの腕前を有する。
もっとも、その本分は魔獣ダイタニクスを操る航海士としての役目にこそあり、他の幹部達ほどに戦闘の面で秀でたものがある訳でも、また彼等から特に敬意を払われるといった様子は見られなかったりと、立ち位置としては些か複雑なものがあるとも言える。懸賞金額の面でも、彼等よりその額は低く設定されてもいる(※)。
実際シェリンダの方も、ゼイハブ以外の幹部達に対しては軒並み折り合いが悪く、事あるごとに彼等の作戦方針に対して批判的・懐疑的な物言いをぶつけたり、また度重なる失敗で彼等の立場が危うくなるや即座に処刑の準備に及ぼうとしたりと、とかく剣呑な姿勢で臨むことが多い。
(※ ケイブンシャ刊『星獣戦隊ギンガマン大百科』によると、バルバンの幹部のうちゼイハブの懸賞金額は1万5000ゴールド、サンバッシュ7000ゴールド、イリエス7500ゴールド、ブドーとバットバス8000ゴールドで、シェリンダは6500ゴールドとされている)
ハヤテとの関係
作中において、シェリンダと関わりの深い人物の一人として挙げられるのが、ギンガグリーンことハヤテである。もっとも、その関係性については「好敵手」とも「因縁の相手」とも言い難い、どこか異質なものでもあったりするのだが。
その関係は物語序盤、サンバッシュ魔人団の作戦で引き起こされた騒音により、わずかながらダイタニクスが復活の兆しを見せたことに端を発する。これをハヤテの奏でる笛の音が打ち消したことで、かねてからダイタニクスを動かせないことへの苛立ちを募らせる一方であったシェリンダは、自ら出陣しハヤテの笛を破壊するのみならず、その後も新たな笛を調達しようとする彼を執拗に付け狙う。
しかし、一枚上手であったハヤテの奇策により作戦は敢えなく頓挫を迎え、自らも直接の戦闘であっさり撃退されるなど、この顛末を前にプライドを深く傷つけられる格好となったシェリンダは、以来雪辱を果たさんと執念深くハヤテの前に立ち塞がることとなるのだが、その度に決着の付かぬままに勝負が水入りとなり、却ってシェリンダの中に燻る屈辱の度合いを色濃くするばかりであった。
毎回毎回、思わぬ邪魔が入ることもさることながら、相対するハヤテの方もシェリンダの思惑などお構いなしに、バルバンの作戦の阻止や救援のために仲間の元へ駆け付けようとする有様であり、彼に対する遺恨や執念は相手にはまるで通じていない、いわば一方通行も同然な状態が長らく続いたのである。
「ギンガグリーン、お前はいつもそうだ!この私をまるで価値がないかのように……。
宇宙中の誰もが、私を恐れ、跪くというのに!
……許さん。お前のような奴は絶対に許さない!」
こうした、ハヤテからの素気ない扱いに我慢ならないシェリンダは、物語も最終盤にて四度相対した際、彼にとって大切な婚約者のミハルの存在を利用し、偽者のミハルを作り出してハヤテにけしかけることでようやく、これまで自分を一個人として認識すらしていなかったハヤテを自らに「振り向かせる」ことに成功する。
「シェリンダ…お前は俺の大切なものを汚した。お前は、俺が倒す!」
「その言葉を待っていた! 来い! ギンガグリーン・ハヤテ!」
もっとも、この時もまた外的要因による邪魔が入り、両者の決着は最終決戦まで持ち越されることとなる。ここでも、恨み重なるグリーン(ハヤテ)を跪かせんと熾烈な攻撃に及ぶシェリンダであったがしかし、対するグリーンにはその激情を逆手に取られ隙を突かれてしまい、彼の繰り出す疾風一陣により致命傷を負わされるに至った。
なおも執念で立ち上がったシェリンダは、最後の力でグリーンに一太刀浴びせるも最早ダメージらしいダメージを与えることは出来ず、それでも、
「私の…勝ちだ……」
との言葉を残して力尽き、そのまま最期を迎えたのであった。
形見となった彼女の剣は程なくしてゼイハブの元へ届けられ、彼に少なからず動揺と嘆きを与えることとなった。
備考
海や水棲生物に関連する語句に由来したネーミングが多くを占める幹部達の中にあって、シェリンダの名前もまたその例に漏れず、貝の英語読みである「シェル(shell)」に、操舵士にちなんで舵輪を逆読みにした「リンダ」をかけあわせたものとなっている。
放送当時の公式サイトで実施されたネーミングクイズでは、そのセクシーな出で立ちからの連想なのか、リンダはリンダでも「山本リンダ」(と、シェル)という回答が、全体の1/3を占めていたことが語られていた(参考リンク)。
衣装のデザインは野崎明が担当。貝殻がモチーフであることから、各所に巻き貝や真珠貝などの要素を階層的に散りばめ、またカラーリングもパールホワイトやシルバーを地色とし、アクセントとして赤を加えることで立体感を演出している。肩アーマーは本来は「抜き」、即ち隙間を設ける形で処理されていたが、実際の造形物では強度の問題からその隙間を埋める形でアレンジされた。
プロデューサーの髙寺成紀が、この手の女性幹部の在り方に一家言を持つ人物であったことから、デザインも決定に至るまでに相当な時間を要したといい、その過程で当初はもっと布に覆われた部分が多かったのが、最終的にかなり露出度が高まったことも後年のインタビューにて明かしている。
シェリンダの特徴的な要素の一つである銀髪はウィッグで再現されているが、これは後に『仮面ライダークウガ』に登場するメ・ギノガ・デの人間態にも流用されている(参考リンク)。
演じた水谷ケイ曰く、運動は苦手だがそれ以上に動くのに適さない衣装のためにアクションは大変だった模様。
脇を締めて腕を振れば胸の鎧に摺り、走れば腰の鎧が刺さって痣になったとのこと。
実際16章後半では肩付近に痣が確認できる。
本作では例年における正悪ヒロイン対決はないため、今作のヒロインとは直接戦闘することは(イリエス諸共)叶わなかったのだが、
今作のヒロインを担当した宮澤寿梨氏とはSNSで交流している。
関連イラスト
関連タグ
ゾンネット・シボレナ・ケガレシア:こちらはスーパー戦隊シリーズの敵幹部で、演者がセクシー女優経験者。よく混同されるが演者の水谷ケイはAVには出演していない。
ドルシア:映画版『パワーレンジャー』の登場人物の一人。ビキニアーマーという特徴的な出で立ちでシェリンダとの共通項を有する一方、こちらは戦隊側の協力者という位置付けである
マリア 、破壊の使徒ジャンヌ:いずれもスーパー戦隊シリーズの他作品の登場人物達で、シェリンダと同様に敵対する戦隊の男性メンバーと因縁を有している女性幹部であるが、いずれもそのメンバーから因縁の相手であると、早い段階から認識されているという相違点も見られる。
なお、シェリンダとは違い、マリアは本編で、女性戦士とも交戦しており、ジャンヌもVSシリーズにて交戦している。