国内サッカー
こくないさっかー
特徴
日本国内の場合はJFAが定めた以下で述べる「チーム登録種別」によって、そのチームが参加できる大会が決められる。
男子サッカー
- 第1種
年齢に関する制限のないチームを指すが、大体が満18歳以上で構成されるチームである。プロチーム、社会人チーム、大学や専門学校などの学生チームが該当。
プロチームのみが参加できる大会は、リーグ戦だとJリーグ、カップ戦だとJリーグカップ・アジアチャンピオンズリーグ・クラブワールドカップなど。カップ戦はJリーグ在籍であることが基本条件となっている。
プロチームのみならず社会人チームや学生チームも参加できる大会は、リーグ戦だとJリーグの下位に位置するJFL・地域リーグ・都道府県リーグ、カップ戦だと天皇杯JFA全日本サッカー選手権大会・全国社会人サッカー選手権大会・全国クラブチームサッカー選手権大会など。
社会人チームのみが参加できる大会や学生チームのみが参加できる大会も勿論ある。
その他、J1リーグ優勝チームと天皇杯優勝チームが翌シーズン開始前に対戦するスーパーカップも存在する。
- 第2種
18歳以下で構成されるチームを指す。所謂U-18。高校サッカー部は勿論のこと、Jリーグクラブ、JFLクラブ以下の下位リーグに所属しているクラブ、トップチームを持たないクラブといった各々のユースチームも該当する。ユースチームの中には「クラブ名称+ユース」ではなく「クラブ名称+U-18」と名乗ったりするチームもある。
高校サッカー部のみが参加できる大会は主に夏のインターハイ(全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会)と冬の高校サッカー選手権大会である。
クラブユースチームのみが参加できる大会は主に夏の日本クラブユースサッカー選手権大会(※U-18部門)と冬のJリーグユースカップである。
そして、両者共通の大会が高円宮杯U-18リーグであり、最高峰カテゴリであるプレミアリーグの東部地区または西部地区を制したものが進出できるチャンピオンシップでの優勝が、両者それぞれにおける国内3大タイトルの1つとなっており、当然3大タイトルの中での格は一番上となる。
かつてはスケジュールが厳しくなるまでは天皇杯の出場参加資格が与えられていた。
- 第3種
15歳以下で構成されるチームを指す。所謂U-15。中学校サッカー部とは勿論のこと、Jリーグクラブ、JFLクラブ以下の下位リーグに所属しているクラブ、トップチームを持たないクラブといった各々のジュニアユースチーム(※「Jr.ユースチーム」とも表記される)も該当する。ジュニアユースチームの中には「クラブ名称+ジュニアユース」ではなく「クラブ名称+U-15」と名乗ったりするチームもある。
中学校サッカー部のみが参加できる大会は主に全国中学校サッカー大会(※全国中学校体育大会(高校のインターハイに因んだ通称、「インターミドル」とも)のサッカー競技種目)である(2023年度より当該選手に於いて民間クラブチームも複数のチームとの多重で無ければ参加可)。
クラブジュニアユースチームが参加できる大会は主に日本クラブユースサッカー選手権大会(※U-15部門)である。
そして、両者共通の大会が高円宮杯JFA全日本U-15サッカー選手権大会であり、両者それぞれにおける国内2大タイトルの1つとなっている。この大会には実質1次予選を兼ねている高円宮杯U-15リーグの最上位カテゴリである9つの地域リーグのいずれかで上位入賞するか、実質2次予選である大会そのものの地域予選を勝ち抜くと出場できるようになっている。
なお、第3種では女子選手の出場が認められている。(後述)
- 第4種
12歳以下で構成されるチームを指す。所謂U-12。小学校サッカー部や社会教育団体(スポーツ少年団)、Jリーグクラブ、JFLクラブ以下の下位リーグに所属しているクラブ、トップチームを持たないクラブといった各々のジュニアチーム(※「Jr.チーム」とも表記される)も該当する。ジュニアチームの中には「クラブ名称+ジュニア」ではなく「クラブ名称+U-12」と名乗ったりするチームもある。
第4種ではチーム形態に合わせて指定される大会がほとんど見当たらず、全国大会でも12歳以下で構成されるチームであればほとんどのチームが参加できるようになっている。
第4種が出場できる大会の中には、年間のU-12世界一を決める大会である『ダノンネーションズカップ』の日本予選もあるが、過去に実際に世界一にまでなった日本のチームが1チームだけ出たことがある(※2014年度大会)。(しかも当時世界一になったチームというのが、JリーグクラブのジュニアチームではなくJFLクラブのジュニアチームであった。)
なお、第4種では女子選手の出場が認められている。(後述)
女子サッカー
女子に関しては区分が無い。これは女子の競技人口が少ないことが主因である(※区分が無いことでの影響については『リーグ構成』の項を参照)。なお、区分が無いことに一切関係なく、トップチームとは別にユースチームなどの育成組織を持っているクラブもある。
また、先述したことの影響で女子の大会も少ない為、女子選手の試合出場の機会を増加させようと、男子の第3種と第4種の大会には女子選手の出場が認められている措置が採られている。
2021年度から開催されるWEリーグはプロリーグであるため、プロチーム以外は参加資格が与えられないが、その下位リーグとなるなでしこリーグ以下のリーグに参加条件の変更はない。
なお、皇后杯JFA全日本女子サッカー選手権大会は全チーム共通で参加可能な大会である。
リーグ構成
男子の第1種・第2種・第3種、そして女子は共に、縦に連なったリーグ構成が特徴であり、上位カテゴリであればあるほど在籍チーム数が少なくなることが特徴であり、故に『リーグピラミッド(※ピラミッド型のリーグ構成)』とも呼称されることがある。この構成は元々、欧州サッカーのリーグ構成を模倣したものである。
特に男子第1種と女子のリーグ構成は、欧州サッカーと同じように「上位カテゴリがプロリーグで下位カテゴリがアマチュアリーグ」となっている。日本のリーグ構成の場合は社会人リーグの上位カテゴリを再編し、『プロリーグ』と『(プロリーグの直下のカテゴリに当たる)新たな社会人リーグの上位カテゴリ』の2つに分離させた経緯がある。よって、ここで言うアマチュアリーグとは社会人リーグのことを指す。(※この辺が日本における野球界とサッカー界を比較する上での「プロとアマチュアの関係」の決定的な違いである。野球界はプロ野球界とアマチュア野球界の両方が総括されぬまま別々に設立していった経緯があり、その2つそれぞれの界隈内においても全体が総括されぬまま各種団体が創設されていき、現在の状況に至っている。また、野球界で昇降格制度を導入しているリーグは南東北大学連盟・東海地区大学連盟・関西学生連盟・(全国にある)六大学連盟の4種を除いた大学野球のリーグ戦のみである)
また、男子第1種の社会人リーグは、実はプロ化前から社会人選手の他にも満18歳以上の学生選手や籍を置きつつも実態は競技だけに専念できるノンプロ選手も参加出来ているという歴史的経緯もある(※社会人リーグに参加する学生チームは全て社会人チームの扱いとなる。その事情を逆手にとって非学生の選手を加入させることが可能であり、現にそれを実行している学生チームは存在する)。それが要因となり、現在では選手としての給与がもらえるプロ選手とセミプロ選手も無条件で在籍できるようになっている(※プロ化前は「スペシャル・ライセンス・プレイヤー」の名前でJSLだけにしかプロ選手は参加できなかった。これはJFAの上位組織となる日本体育協会(現:日本スポーツ協会)が当時、純粋なアマチュアプレーヤーの団体を標榜していたという経緯も影響している)。
ちなみに学生でもない18歳未満の選手、つまり第2種や第3種に当たる選手が学生リーグを除く第1種のリーグに参加するには(※第4種の選手については前例が一切無いので割愛する)、特別指定選手制度を活用することである。特別指定選手制度は第1種の学生選手と第2種の選手が対象であり、尚且つ、参加対象となるリーグカテゴリは現状だとJリーグだけである。当然だが、この制度の活用するためのハードルは高い。その他にクラブユース限定で、2種登録選手となるか、2種か3種の在籍途中でトップチーム昇格または帯同を果たすという2つの手段もある。この2つに限ってはトップチームがJFL以下の下位カテゴリに在籍するクラブでも可能なので、居るクラブによって出場できるリーグカテゴリが異なる。
一方で、女子の社会人リーグの場合は出来た時から女子に区分を設けていないこともあり、男子よりも参加できる対象の範囲が更に広く、無条件で、高校チームやユース(U-18)チーム、中学校チームやジュニアユース(U-15)チームも参加可能である。ただし、『なでしこリーグに小学生以下は参加できない』など、一部のカテゴリに何かしらの制限がある。なお、18歳以下の選手個人の場合は男子と似た形で、WEリーグとなでしこリーグを対象カテゴリとした特別指定選手制度が存在し(※対象選手は高校サッカー部かクラブユースに在籍する18歳以下の選手及び満18歳以上の学生選手である)、更にはクラブユース限定で2種登録選手ならぬ育成組織登録選手となることや、育成組織在籍途中でトップチームに昇格するという手段がある。繰り返し述べることだが区分を設けていないという時点で、そもそもこれらの手段を使わなくても高校生や中学生はプロチームや社会人チームに無条件で加入できる仕様となってはいるが、確実に加入して出場機会を得られるようにしたいのなら、これらの手段を活用出来るように努力したほうが寧ろ早いのである。信用が第一であるためだ。
余談で男子第1種に限った話をするが、レベルが底上げされた今だからこそ言えることだが、『元日本代表や元Jリーガーを始めとしたプロ選手だけで固めればアマチュアリーグは突破できる』というのは幻想であることは、プロリーグ参入を目指す数々のチームが証明している。結局はチームが在籍選手をどのように活かしつつ一致団結で突破出来るか次第なのである。そして、女子もいずれはプロリーグが出来て以降の時代の何処かで、男子第1種と同じ流れを辿り始める可能性は高いと思われる。
以上により、日本のアマチュアリーグは事実上、純粋なアマチュア選手だけしか参加できないリーグではない。早い話がプロ契約者に関する規制がない。なので、「プロも参加出来るけどプロリーグではないリーグ」という意味でノンプロリーグとも表現されているが、元からアマチュアの社会人選手を対象にしたリーグでもある事実を考慮して、ノンプロ・アマチュア社会人リーグ(またはノンプロリーグ兼アマチュア社会人リーグ)と長ったらしく表現されることもある。そもそもがトップカテゴリのプロ化以降、アンダーカテゴリに対してアマチュアリーグと呼ばれてふさわしくなるためのルールが厳格に制定及び統一されていない為、尚更である。(※欧州五大リーグの中だとフランス国内リーグがその辺厳格に制定及び統一されている)
注意として、ノンプロリーグは選手に対して『プロに準じた契約を義務付けられていない』為、「セミプロリーグ」と呼称するのは誤りである。(時々揶揄として言われることがあったりするが)
日本国内におけるアンダーカテゴリーはこんな感じにカオスではあるが、これらを逆手に取って自由にクラブ運営をし、結果、全国的に認知されるほどの個性を持てるようになったクラブが複数存在するようになったのもまた事実である。(※地域リーグ時代にある試合で観客にマグロ丼をタダで振る舞ったり、別のある試合では観客に1人1000円振る舞ったりしていたアトレチコ鈴鹿クラブはその最もたる例である。)
ところで、下位カテゴリの中でも特にJFL以下について、「J4(=JFL)」だの「J5(=地域リーグ)」だのと『Jリーグ◯部(J〇リーグ)相当』という風にJリーグに例える者・表現する者がマスコミも含めて多かったりもするが、これは国内リーグ全体について詳しくない者に対して「JFL以下も"Jリーグ"なんだ」「"Jリーグ"は国内リーグ全体の総称を指すんだな」という誤った知識を与えてしまうことになるので、正しい知識を周囲に身に着けさせたいならば絶対に避けたほうがいい例え方・表現方法のため注意が必要である。(ちなみに海外サッカーのリーグについても近似の例え・表現をされてしまう場合がある。代表的なのがイングランドサッカーリーグ2部のEFLチャンピオンシップを「プレミアリーグ2部」と例えられてしまうことである)
男子第1種
現在(2014年~)
以下のリーグ構成となっている
- J1リーグ(日本1部)
- J2リーグ(日本2部)
- J3リーグ(日本3部/ここまでがプロ契約選手の保有義務があるリーグ)
- JFL(日本4部/ここまでが全国リーグ)
- 地域リーグ(日本5~6部)
- 都府県リーグ/北海道ブロックリーグ(日本6~7部以下)
- 地区リーグ/支部リーグ(一部地域での最下部カテゴリ)
J3リーグはJ2リーグ・JFL・地域リーグの3リーグが母体と言える流れで完全新規で創設されたリーグである。JFL以外の2リーグも母体と言えるのは、前年の成績により、J2リーグ在籍だったガイナーレ鳥取と全国地域サッカーリーグ決勝大会・決勝ラウンド1位(優勝)のグルージャ盛岡の参入も決定したことに因む。
ところで、表向きは「J3リーグとJFLは同一カテゴリ(※即ち同じ日本3部で且つ地域リーグ以下は日本4部以下)」「J3リーグ創設によりプロとアマに分かれた」とされている。しかし、実際はJ3リーグ創設前と何ら変わっておらず、JFL以下はJ3リーグの下位カテゴリとして位置付けられており、当のJリーグや各種メディアもそのように扱っている。また、JFL以下もJFL以下で選手全員プロ契約のチームも当たり前のように在籍したりしている。
なお、2021年8月のJリーグ理事会後の定例会見にて、J3の在籍チーム数が上限(20チーム)に達した時点でJ3・JFL入れ替え制度を導入することが発表されている。そして、2022年シーズンにてJ3の在籍チーム数が上限に達したことを受けて、2023年シーズンからJ3・JFL入れ替え制度を開始することが発表された。
1999年~2013年
以下のリーグ構成となっている
- J1リーグ(日本1部)
- J2リーグ(日本2部/ここまでがプロ契約選手の保有義務があるリーグ)
- JFL(日本3部/ここまでが全国リーグ)
- 地域リーグ(日本4~5部)
- 都府県リーグ/北海道ブロックリーグ(日本5~6部以下/ブロックリーグは2003年創設)
- 地区リーグ/支部リーグ(一部地域での最下部カテゴリ)
旧JFLがJ2リーグと現在のJFLこと日本フットボールリーグの2つに発展解消される。JFL以下の「社会人の為のリーグでもある」という立場の形骸化が目立ち始めたのはこの頃からであり、サテライトチームを参加させる学生クラブやプロ契約選手を抱えるJFL以下のチームが増加していった。そして、群馬県リーグ1部在籍時代のザスパ草津が「Jリーグ入りを目指すチーム」として全国的に紹介され、実際に短期間でJリーグ昇格を成功させた1件は、JFL以下を再びJリーグ入りを目指すチームで溢れかえさせるキッカケとなり、Jリーグが「Jリーグ準加盟クラブ制度(現在のJリーグ百年構想クラブ制度)」を制定するキッカケともなった。また、J2チームの在籍チーム数の上限が達した結果、日本のスポーツリーグ全体としても初めてとなるプロ最下部リーグ(当時J2)とアマチュア最上部リーグ(当時JFL)の入れ替え制度が導入・実施された。
一方、この時期には地域リーグ2部以下からの飛び級昇格制度が事実上設けられていたこともあった。『Jリーグ加盟を標榜するクラブに対する優遇措置』という制度と、在籍カテゴリを問わず全国社会人サッカー選手権大会の本選で3位以内に入賞することの2点である。前者は2003年度から2011年度まで、後者は2006年度から2017年度まで。どちらか1点が適用されれば、全国地域サッカーリーグ決勝大会への参加資格を獲られるというものであった。なお、この2点のどちらかの適用で実際に飛び級昇格を果たしたチームは僅かに2チーム。JFL昇格のハードルの高さを改めて思い知らされる制度でもあったと言える。
1994年~1998年
以下のリーグ構成となっている
- Jリーグ(日本1部/プロ契約選手の保有義務があるリーグ)
- 旧JFL(日本2部/ここまでが全国リーグ)
- 地域リーグ(日本3~4部)
- 都府県リーグ/北海道地区リーグ(日本4~5部以下)
- 地区リーグ/支部リーグ(一部の県地域での最下部カテゴリ)
旧JFLの1部と2部を統合して1部制にした時のリーグ構成。旧JFLは最終年である1998年に実験として大学チームを1チームだけ招待して参加させている。
1993年まで(トップカテゴリプロ化後)
以下のリーグ構成となっている
- Jリーグ(日本1部/プロ契約選手の保有義務があるリーグ)
- 旧JFL1部(日本2部)
- 旧JFL2部(日本3部/ここまでが全国リーグ)
- 地域リーグ(日本4~5部)
- 都府県リーグ/北海道地区リーグ(日本5~6部以下)
- 地区リーグ/支部リーグ(一部の県地域での最下部カテゴリ)
トップカテゴリであるJSLを編成され、プロカテゴリであるJリーグこと日本プロサッカーリーグとアマチュアカテゴリ最高峰を兼ねる旧JFLことジャパンフットボールリーグの2つに発展解消される。また、秋春制から春秋制へと戻された。旧JFLにはJリーグ入りを目指すチームで溢れかえっていた。なお、旧JFLはJリーグに先駆けて、JSL終了年と同じ1992年に発足・開始された。
1992年以前(トップカテゴリプロ化前)
以下のリーグ構成となっている
- JSL1部(日本1部)
- JSL2部(日本2部)
- 地域リーグ(日本3~4部/当時は北海道リーグのみ2部制)
- 都府県リーグ・北海道地区リーグ(日本4~5部)
- 地区リーグ/支部リーグ(一部の県地域での最下部カテゴリ)
JSLこと日本サッカーリーグは1965年創設。元々は『日本サッカーの父』と呼ばれたドイツ人指導者のデットマール・クラマーの提案によるもの。当時のトップカテゴリは学生から社会人へと移行していたが、リーグ名称に「社会人」を入れなかったのは、大学チームの参加も視野に入れた為である。そして、トップダウン方式で2部リーグ、その直下の9つの地域リーグ、46都府県と北海道各地にリーグ戦を創設し、欧州各国のリーグ構成を模倣した現在のリーグ構成の礎が完成した。また、学生チームの参加については、地域リーグ以下のカテゴリに送り込まれた各学生クラブのサテライトチームが参加するという形で早くから実現していた。なお、JSLにおいて春秋制は1985年のシーズンまでで、翌1986年(※1986年-1987年のシーズン)から秋春制になっている。これはJSL最終シーズンである1991年-1992年のシーズンまでの続き、秋春制は6シーズンに渡って開催されていた。
男子学生リーグ
以下のリーグ構成になっている
- 地域リーグ(1部~2部)
- 各都道府県リーグ及び同相当のリーグ(2~3部以下)
先述したリーグとは別に参加資格は第1種区分に当たる学生チームのみのリーグである。ただ、ほとんどが大学チームであり、それ以外の専門学校チームなどの学生チームが参加しているケースはかなり稀である(※社会人側のリーグに参加している点が影響としてある)。また、大学クラブは学生リーグにトップチームを送り込む。それ故に将来のJリーグを担う選手が多数集中しており、「J3やJFLよりレベルが上」だの「J2並のレベル」だのと評されることもしばしある(特に関東リーグ)。ちなみに、都道府県リーグにおける「同相当のリーグ」というのは、北関東大学サッカーリーグなど、1県単独ではリーグ運営を行えない同じ地域の隣県同士で合同で運営されるリーグのことを指す。
男子第2種
以下のリーグ構成になっている
- U-18プレミアリーグ(1部/東西の2地域リーグ制)
- U-18プリンスリーグ(2部/9地域リーグ制)
- U-18都府県リーグ/U-18北海道ブロックリーグ(3部以下)
- U-18地区リーグ/U-18支部リーグ(一部地域での最下部カテゴリ)
正式名称は『高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ』であり、高校サッカー部とクラブユースチームが一堂に会し、公式として対戦できる大会である。プレミアリーグの対戦カードの一部はスカパー!で生中継及び録画中継されることがある。そして、プレミアリーグの東西の王者がリーグ戦日本一もとい第2種自体の日本一をかけて戦う一発勝負の『ファイナル』のみBS朝日で生中継される。また、第2種において、スポンサーロゴ入りのユニフォームの着用が認められている大会でもある。実はこの中ではプレミアリーグが一番創設が遅かった(※2011年創設)。それまでは、第3種と同じく『高円宮杯全日本ユースサッカー選手権大会』(U-18部門)がリーグ戦における最高峰の大会であったが、同大会のU-18部門を終了し発展解消させた形でプレミアリーグは発足された。かつてプリンスリーグでは北海道と四国を除いて2部制が敷かれていたが、2015年度までに全リーグ共に1部制へと移行していった。
男子第3種
以下のリーグ構成になっている
- U-15地域リーグ(1~2部/9地域リーグ制)
- U-15都府県リーグ/U-15北海道ブロックリーグ(2~3部以下)
統一された正式名称は無いが、取り敢えず『高円宮杯』の関連大会ということにはなっている。また、第2種のように、中学校サッカー部とクラブジュニアユースチームが一堂に会し、公式として対戦できる大会でもある。地域リーグにおいては1部制や2部制をやっているところだけでなく、東西ブロックや南北ブロックに分けて行っているリーグもある。なお、最初に誕生した地域リーグは北海道カブスリーグU-15であり、このリーグがある程度成功したことで、他の地域リーグが誕生していったとされる。
女子
現在(2021年~/トップカテゴリプロ化後)
以下のリーグ構成になっている
- WEリーグ(日本1部/プロ契約選手の保有義務があるリーグ)
- なでしこリーグ1部(日本2部)
- なでしこリーグ2部(日本3部/ここまでが全国リーグ)
- 地域リーグ(日本4~5部)
- 都府県リーグ/北海道ブロックリーグ(日本5~6部以下)
新しいカテゴリ且つ日本の女子団体球技初のプロリーグであるWEリーグが発足した為、日本女子サッカーリーグ以下のリーグは2部以下のカテゴリとなった。また、日本女子サッカーリーグは再編となり、チャレンジリーグが廃止され、なでしこリーグの2部制となった。そして、なでしこリーグへの参入条件やプロリーグ発足によるなでしこリーグ準加盟制度の運用状況など、前年からどう変わるのかのリリースは現状成されていない。なお、WEリーグのみ秋春制となっている。
2015年~2020年(トップカテゴリプロ化前)
以下のリーグ構成になっている
- なでしこリーグ1部(日本1部)
- なでしこリーグ2部(日本2部/ここまでが全国リーグ且つプロ契約選手の保有義務があるリーグ)
- チャレンジリーグ(日本3部/東西の2地域リーグ制)
- 地域リーグ(日本4~6部/関西リーグは2013年から2019年まで3部制/東北リーグは2019年創設)
- 都府県リーグ/北海道ブロックリーグ(日本5~7部以下)
なでしこリーグが再度2部制となり、チャレンジリーグは3部リーグとなっていった。ここから強化目的だけの学生チーム、高校チーム、クラブユースチームはチャレンジリーグまでの参加となる。一方、2019年には東北女子サッカーリーグが創設され、これで漸く地域リーグが全て揃うことになる。
2010年~2014年
以下のリーグ構成になっている
- なでしこリーグ(日本1部/プロ契約選手の保有義務があるリーグ)
- チャレンジリーグ(日本2部/東西の2地域リーグ制)
- 地域リーグ(日本3~4部/一部地域のみ)
- 都道府県リーグ及び同相当のリーグ(日本4~5部以下/一部地域のみ)
2部リーグが東西リーグに再編され、且つ「なでしこリーグ」の呼称が1部リーグのみとなる。そして、2011年の女子ワールドカップで日本代表が初優勝を飾ると状況は一変、観客動員も多くなり、遂には1万人の観客が動員された試合も発生し、リーグのオフィシャルスポンサーも増加していった。また、Jリーグ準加盟クラブ制度を模倣したなでしこリーグ準加盟制度を導入し、1部リーグのなでしこリーグはプロリーグではないながらも最低3人までのプロ契約選手を保有する義務が生じるリーグとなった。
2004年~2009年
以下のリーグ構成になっている
- L1リーグ/なでしこリーグディビジョン1(日本1部)
- L2リーグ/なでしこリーグディビジョン2(日本2部)
- 地域リーグ(日本3~4部/一部地域のみ)
- 都道府県リーグ及び同相当のリーグ(日本4~5部以下/一部地域のみ)
再び2部制が採られるようになる。そして2006年からリーグ冠スポンサーが付き始めると同時に日本女子サッカーリーグの呼称が現在のなでしこリーグへと変更された。そして、女子代表チームの成績が再び上向きになると同時に、リーグの人気も少しずつだが盛り返していく。
1996年~2003年
以下のリーグ構成になっている
- L・リーグ(日本1部)
- 地域リーグ(日本2部/一部地域のみ)
- 都道府県リーグ及び同相当のリーグ(日本3部以下/一部地域のみ)
この頃から代表チームの成績が低下し、尚且つ景気の悪化も手伝って、チーム解散あるいはクラブチーム化を余儀なくされた実業団チームが多数出てきた。それはリーグ消滅手前にまで及ぶほどの危機的状況であった。また、2部リーグであるJLSLチャレンジリーグが1995年シーズンを持って廃止され、代わりにJLSLチャレンジマッチという入れ替え大会が行われるようになった。また、シーズンを追う毎にリーグ全体で経費削減策が行われるようになっていく。その一方で、Jリーグの前座試合を行うなどして女子リーグの再興策を少しずつ試み始めるようになる。
1989年~1995年
以下のリーグ構成になっている
- JLSL/L・リーグ(日本1部)
- JLSLチャレンジリーグ(日本2部/1992年に創設)
- 地域リーグ(日本3部/一部地域のみ)
- 都道府県リーグ及び同相当のリーグ(日本4部以下/一部地域のみ)
JLSLまたはL・リーグこと日本女子サッカーリーグは1989年に創設。女子代表チームの強化を視野に入れることを目的として創設された。その後1992年に2部リーグであるJLSLチャレンジリーグ創設される。また、1994年には呼称がJLSLからJリーグを模倣したL・リーグへと変更されていった。そんな1994年頃には、世界中の有力選手が集まり、また、日本人のプロ契約選手も誕生していたこともあって、『世界最高峰の女子リーグ』と呼ばれるようになった。これは女子リーグの興行が日本以外でも中々上手くいっていないことも影響していた。世界一の女子代表チームを擁するアメリカ合衆国も例外ではなかった。
ちなみに女子の地域リーグや都道府県リーグは既に一部の地域で誕生済みであるが、地域リーグの成績に関係なく一定の条件を満たすと日本女子サッカーリーグに参入できる状況が未だに続いている。(※現在は皇后杯の本戦出場権を獲得すると在籍カテゴリが都道府県リーグであっても日本女子サッカーリーグの入替戦予選大会に参加できるというルールがある(早い話が事実上の飛び級制度である)。一方で、日本女子サッカーリーグからの降格先は大体が1つ下のカテゴリに当たる地域リーグである)
選手の形態
- プロ選手
言わずもがな、サッカー一本で生活ができる選手のことを指す。四六時中サッカーのことを考える選手も居れば、四六時中サッカーのことを考えてみようにも結局時間が余るので選手としてのキャリアやセカンドキャリアを見据えた勉強、または別途に見つけた趣味に、各々余った時間を割り当てる選手もいる。
- セミプロ選手
定義としては「プロに"準じた"契約をしているアマチュア選手」のことを指すが、サッカー一本だけでは生活できないので、別途に違う仕事を持つ、事実上のダブルワークと化してる選手もいる。
- ノンプロ選手
企業チームによくある形態で、社員の立場でありながら実態はサッカー一本に専念できている選手のこと。選手引退=退社の傾向が強いこともあり、選手の社会的保証はあまり考えられていないことが多い。
- アマチュア選手
サッカーでお金を稼がない或いは稼げない選手。当然、別途に仕事があるが、運が良ければ在籍クラブのスポンサーの下で働かせてもらえる。この形態の選手の場合、在籍クラブに月謝を払う場合もある。あと、ノンプロ選手と同じく、選手の社会的保証はあまり考えられていない。せめてサッカー界隈にも選手やそのOBを対象とする健康保険ぐらいは在っても善さそうなもんなんだけど。
他競技の選手との比較
選手契約を結ぶことにより年俸を球団が支給するオールプロが「NPB」、「独立リーグ」、社会人として大手企業に就職しサラリーをもらいながら野球に専念し、引退後には一般社会人と同じ仕事に従事する「社会人野球」、企業のバックアップがないため、所属する企業と別企業のの正規職に就いているケースとアルバイトに従事しながらプレーするケース、その両方が並立することもある「クラブチーム」に大別される野球界が最も近いのかもしれない。
さらに大相撲でたとえるならば、給料を支給される「十両」以上の関取とちがい、基本的に無給の「幕下」以下に相当するといえばわかるだろう。
ただし、細かいことを言うならば、野球界とも大相撲とも似ても似つかない部分が存在するので、例えるには不足している部分もある。(その上、社会人野球は実業団チームが減る一方でクラブチームが増えてきている。)
国内リーグと在籍するチームや選手たちに対する観方と注意点
Jリーグ在籍選手の海外進出が増え続けている反面、プレミアリーグ、ブンデスリーガ、ラ・リーガ、セリエA、リーグアンといった所謂『欧州五大リーグ』と比較して「レベルが低い」だの「スピードが遅い」だの「フィジカルが弱い」だの、また、Jリーグで実績を残し続けている選手に対して「Jリーグ専用」と揶揄するだのといった声やネット上での書き込みが目立って見られることもしばしある。
しかし、プロ契約選手になってからのJリーグでの出場自体が極めて難しいこと、そして、その欧州五大リーグで通用するJリーグ出身選手が増えていっていること、この2点を忘れてはいけない。
そのようにJリーグを見下す・貶すような声やネット上での書き込みはJリーグやチームを愛し、応援する数多くの人々に敵に回しているのと同じである。ちなみに、「Jリーグ専用」と揶揄してきた選手が欧州五大リーグで活躍すると熱い手のひら返しをするという面倒くさい輩も居るので、結局は相手にするだけ無駄である。
なお、このような「レベルの高いリーグとされるリーグ側に立ってレベルの低いリーグとされるリーグを見下す・貶す」という構図をやらかす者はJリーグファンの中にも居り、主に下位カテゴリであるJFL・地域リーグ・都道府県リーグに対して見下している・貶していると捉えられるネット上の書き込みが見かけられることがある。
一例としてある選手が某Jリーグチームから某地域リーグチームに移籍した件についてその選手が最初に入団したチームのコアサポーターが「(該当の移籍先への入団は)事実上の引退」「Jリーグ以外(=即ちJFL以下の下位カテゴリ)はサッカー選手として認めない」と発言した結果、言われた本人から直接ツッコまれた他、多くのサッカーファンから総ツッコミされ、しまいにはニュース記事になってしまった。ちなみに該当ツイートは消されているが、まとめサイトにしっかり残されている。
全てのサッカーファンはこうならないように気をつけてサッカーライフを愉しもう。
国内リーグの編成の今後と余談
Jリーグ
国内リーグの編成について一番敏感なのはJリーグファンの一部である。彼らは度々「JリーグとJFLは別組織(=直轄組織が別)だから両リーグ間の入れ替え制度の導入はおかしい・・・というか"J3からの降格先がJFL"なのはおかしい」という主張を展開するのだが、昔から入れ替え制度を導入しているJFLも各地域リーグも各都道府県リーグも各々別組織なので、そういった主張はもはや屁理屈である。第一に、入れ替え制度導入前から制定されているJリーグ(J3)への参入条件が『JFLからの"昇格"』なので尚更だ。
つまり彼らからすると「アマチュア(ノンプロ)リーグからプロリーグに昇格するのが善いが、プロリーグからアマチュア(ノンプロ)リーグへ降格するのは善くない」ということだが、流石に都合の良すぎる主張である。何故なら日本の国内リーグ構成はプロリーグ創設前(=JSL時代)から欧州サッカー界と同じ形式を維持し続けているので、いずれプロリーグの拡張が限界に達すれば、アマチュア(ノンプロ)リーグへの降格制度が設けられるのは必然であるからだ。これは2021年のリーグ公式ニュースリリースに書かれた当時のチェアマンである村井満の「無尽蔵にクラブ数を増やしていくことは現実的にはできない」という発言とも繋がっている。
ところで、こういった主張の展開をJリーグファンの一部が度々する理由は2つある。1つは「JFL以下への降格によってJリーグブランドを喪失したクラブは解散してしまう」という説を信じて疑わないことで、これは裏を返せば「Jリーグブランドに依存しないとサッカークラブ運営は成立しない」と思い込んでいるようなものである。もう1つは単純に贔屓のクラブが"Jリーグ"という既得権益を手放す状況に陥るのを阻止したいからである。それらのこと故に彼らは「J3が埋まったらJ3を分割するかJ4を作れ」だの「J4が埋まったら(以下略)」だのと主張したり、挙句の果てには「JリーグはJFLを吸収してJ4に改組させるべきだ」とまで主張したりもする。
しかし、2023年度末からJリーグからの配分金の比率がJ2とJ3はかなり下げられることになった(=J1はかなり上げられた)影響で、当時のあるJ2在籍クラブがクラウンドファンディングを緊急実施したことが産経新聞の報道によって明るみに出た辺り、以後も『Jリーグブランドに依存したままJリーグに在籍し続ける』ということは難しい状況になっていくと言わざるを得ない。
また、J3でさえ経費はJFLよりも増える傾向である。このことは、2023年からJリーグ初参入となった奈良クラブの当時の社長である濵田満のSNSアカウントで発信された内容からも窺い知れる。それによると「JFL時代は試合すればするほど赤字が増えるという状況だったが、今年はホームゲームは黒転する可能性が高い」と述べるも「経費は相当増えているので、1試合200万以上の売上がないと事業としては脆弱でスポーツマーケティング的にも事業の柱とはとても呼べない」と言及している。改めて、上位のカテゴリに進めば進むほど経費が嵩むのは至極当然であるとの事実を突きつけられる格好だ。結局、先述した配分金の比率の件とも併せて、「賞金が出ないアマチュア(ノンプロ)リーグ在籍時代と違って経営がかなり楽になったぞ!!!」とはいかないことを否が応でも分からされるのは不可避なのである。
以上のこともあり、Jリーグファンの一部から発せられる主張の展開は最早埒があかないのは明白である。そして、アマチュア(ノンプロ)リーグの中でも彼らから特にうるさく言われるJFLのように、その下位カテゴリである地域リーグや都道府県リーグまでもが似た主張を展開されないよう祈るばかりである。
そもそも特徴の項目で言及した通り、既存のJリーグ下位カテゴリであるJ2やJ3自体がそんなJリーグファンの一部からも『沼』と称されており、その上で「J2やJ3に彷徨い続けてはいけない。早くJ1に上がらないとヤバい」と言われている現実がある。その最中で「JFL以下への降格によってJリーグブランドを喪失したクラブは解散してしまうから」という理由だけでJ4を設立したり、J4設立の代わりにJ3を分割しても、更なる沼が出来上がり且つJリーグに在籍しながらも経営状況が苦しいままのクラブが余計に増えるだけなのは確定的であり、結局は何の救済にもならないのである。当然ながら増えまくった沼に降格していけば、J1への復帰もまた余計に険しいものとなる。
↑このような現状紹介動画がサッカーファンの手によって複数作られるほどである。
現に2023年シーズン、J3で最下位となりながらも特定条件を満たしてJFL降格を回避できたギラヴァンツ北九州、その当時の監督でクラブからの退団が決まっていた小林伸二がホーム最終戦後のセレモニーで
「この5年間で違うことと思っていることは、5年前に来た選手が我々のクラブには1人しかいないんです。このJリーグの移籍の速さに我々は中々ついていけてないんです。いい選手が育つ土壌がある。当然皆さんの応援、このピッチ、"ここでやりたい!"というのは本当にたくさんいます。皆さんの声援で本当に選手は伸びてます。ですけど、選手を引き留めることができないんです、まだ」
「もっと色んな部分で魅力をクラブが作れるようにならないといけない、それは選手も我々スタッフもそうだと思うんですね、もっと魅力的なサッカーが出来たり。そういうところが足らないんで、良い北九州で出て行って、出て行った選手は活躍してます、嬉しいことに。ですけど、それだけでは地域に根差したものになるんだろうか?色んなスポンサーがたまに遷移してもらって、やっと選手の名前を覚えて、やっと好きになった選手が出ていく。これをどうかして止めたい」
「じゃあ、それが善いんだったらもう一度今年みたいに自前のチームを作ろう・・・ですけど、選手は頑張ってくれてます、今日も若い選手は伸びてます。ただ、チームにいる選手が若い、年齢が若いんじゃなくて組織を作るのに若いんです、まだ。色んな繋がり、色んな揉め事があってチームは出来ると思うんですけど、そこが中々出来ていないんではないか?今日の苦しいゲーム、今年の苦しい思いを胸にオフを過ごしてもう一度、我がチームでチャレンジする選手が何人居るかと。この思いを持った選手を抱えたい。で、来年戦ってみたい」
「そうしないと、このJリーグの『人の移動』の渦に巻きこまれているっていうのをどうにかして脱却したいんですよね、これは何か方法があれば・・・。この5年間で初めての2年間だけです、あと3年間は人が動いているんですよね。どうか素敵なスタジアム、素敵なサポーターの前で何年も居れる選手を作っていきたい、そういう風に思っています」
と来場しているファンやサポーター、そしてスポンサーを目の前に窮地として訴えていた程である。
なお、将来的なJ4リーグの創設について、リーグ公式YouTubeチャンネルの番組『JリーグTV』にて、Jリーグ(J3)・JFL入れ替え制度の導入が完全に明るみに出た後のファンからの質問で「J4は出来るのか?」という質問に対し、当時の副チェアマンである原博実が「今のところは」と回答直後にフォローしつつも「イヤ、出来ないね」と即答している。また、「今の考え方で言うと」と前置きしつつ「ドンドコドンドコ増やすというよりはJFLとの接合をどうしていくかというところを、JFAやJFLとも話し合っている」とも語っていた。
かつては2代目のチェアマンである鈴木昌が就任当時「100クラブまで作りたい」と夢として語ったことがある(ソース)。他のJリーグ関係者からも「47都道府県全てにJリーグチームを最低1チームずつ置きたい」という理想が語られたりしたこともあり、その実現に向けて冠スポンサーである明治安田生命が「"全都道府県でJリーグ在籍クラブが誕生してほしいという目標達成に向けてJリーグをサポートしていく"と考えている」とも報道されていた(ソース)。
ちなみに、現在のチェアマンが野々村芳和に交代してからは、JFLへの降格制度を嫌って何が何でも撤廃させたがっているJリーグファンの一部が、野々村チェアマンに対して「J4作れ(要約)」だの「60クラブで打ち止めするな(要約)」だのと訴えており、リーグ公式もその訴えについて公にしている。彼らはたぶん、チェアマンが交代すればJFLへの降格制度を無くすことが出来て且つ拡張の打ち止めを撤廃させられるはずだと思っている節がある。
歴史を振り返ると黎明期に掲げた理想からは離れたものの、『サッカー文化を根付かせること』に一定の成功を収めており今後も日本サッカー界の飛躍を見据えつつ根付かせを継続させていくので、『JFLへの降格によるJリーグブランドを失うことでのクラブ解散』については簡単に悲観的にならなくてもいいと考えたいところだ。そもそもそんなことでクラブ解散に至るのであれば、とあるクラブはもう存在していないはずである。
JFL/9地域リーグ/都道府県リーグ
Jリーグと比較してリーグ編成について盛り上がりが目立ちにくいが度々言及されており、一番は何といってもJFLと9地域リーグの間についてである。
日本と同様に『アマチュア最高峰を兼ねるカテゴリが全国リーグ』であるイングランドやフランスと比べても、地域リーグから全国リーグへの復帰がかなり険しくなっている。全国リーグから下は、いきなり9地域となる日本と比べて、イングランドは「2地域→4地域→8地域→16地域→(以下略)」と細かく枝分かれしており、フランスは「4地域→11地域→12地域」となっている。このイングランドとフランスのように全国リーグへ昇格しやすくするための間のクッションとして年間のリーグを入れることを日本では、トップカテゴリがプロ化して以降も一切なされていない。
ファンの間では度々議論されており、改革派は地域CLが過酷な短期決戦と化していることも相まって「イングランドやフランスを見倣いつつ2地域リーグか3地域リーグを間に入れたほうがいい」と意見しており、一方で改革反対派からは「そもそもどの組織がそのリーグの運営を担うのか?作ったとしても運営していけるのか」と言った疑問を示す意見があったり「地域CLで起きるドラマに注目しているのに無くさないでほしい」と言った観客視点の意見もあったりする(※地域CLは毎年YouTubeで無料配信しているため世界中で観れるようになっている)。
あと、JFLの分割を主張するファンもいるが、大体の理由はJリーグに昇格しやすくする為というJリーグを目指すチームに配慮するためであるが、「JFL以下の下位カテゴリはJリーグを目指すチームの為だけに存在するわけではない」と考えるファンからは反発も持たれてる意見でもある。一方、アマチュア社会人リーグという側面を持つことを考慮して「全国リーグでなければ負担が減るはず」という指摘もあるが、Jリーグを目指さないチームにとっては『全国リーグだから』こそ魅力に映り、また、Jリーグを目指すクラブにとっては前述した奈良クラブの当時の社長の濵田満の指摘通り上を目指す以上は分割されようとも全国リーグと変わらずどの道経費が嵩んでいくことに変わりない。そして、実はテレビ東京系列の全国番組『FOOT×BRAIN』の2012年11月17日放送分「激論!JリーグとJFLその関係に迫る」の回にて当時のJFL事務局長である加藤桂三が出演し、視聴者からの質問に対する答えとして「JFLは分割しても費用は全国リーグとそんなに変わらない」と既に述べているので、結局のところ分割案は費用削減としてあまり意味を成さないのである。
これらの議論は今後もファンの間で繰り返されていくと思われるが、最終的にどうしたいかはJFAを始めとするリーグ戦及び大会の運営に携わる者たちの判断次第であることに違いはないことは、ファンとして留意すべきだろう。