ウルトラの国のタワーが何者かによって引き倒され、キーが盗まれた。
「犯人はアストラだ!アストラを殺せ!!」
ウルトラの星と地球激突の時は迫る!
嵐吹き荒ぶ地球でレオ兄弟とウルトラ兄弟の宿命の対決!
さぁ、みんなで見よう「ウルトラマンレオ」!!
放送日
1974年12月27日
登場怪獣
なし?
STORY
パトロール中のマッキー2号。搭乗していた佐藤隊員は、通信機越しに本部のダンがコーヒーを飲んでいる事を当てて見せ、ゲンら基地の隊員達に緩やかな笑顔が広がる。
一方、百子は自宅でペットのインコに上機嫌に話しかけていた。どこからか電話がかかって来たので出ると、それが何かの吉報だったのか嬉しそうな表情を浮かべる。時計の針は1時25分を指していた。
ナレーション「気のせいか、寒さも和らいだ様な平和な冬の日の午後…誰も知らない所で、恐ろしい事が今起きようとしていた。M78星雲、ウルトラの星…それは宇宙の平和を守り続けている、ウルトラ兄弟達の星だ」
美しく輝くウルトラの星。そこへ遠い宇宙に渦巻く暗黒星雲の中から、一方の鎖が迫っていた。
ウルトラの星の荒野に聳え立ち、平和の火を燃やし続けるウルトラタワー。そこへ鎖が打ち込まれ、巻きついた鎖はタワーを揺さぶる。タワーは倒壊寸前。その時、地下のゲートが開き4人の戦士が姿を現した。
ナレーション「ウルトラ兄弟の一番上の兄・ゾフィー。その弟ウルトラマン。その弟新マン。ウルトラマンエース。何れも地球の平和を守る為に戦ってくれた、ウルトラの兄弟達だ」
タワーを目指し突っ走るウルトラ兄弟。しかしタワーは真っ二つにへし折られ、タワーは大爆発を起こす。ウルトラマンを先頭にウルトラ兄弟は悉く倒れ、彼らが顔を上げた時にはウルトラタワーの炎は消えてしまっていた。
マン「ウルトラタワーの炎が消えた!」
ゾフィー「誰だ、誰の仕業だ!」
ジャック「暗黒宇宙の支配者…」
エース「ババルウが来たのだ!」
ゾフィー「捕まえろ!暗黒星人ババルウを!!」
ゾフィーの指令で各個敵の姿を探しに散るウルトラ兄弟。
ナレーション「遂に、恐るべき大宇宙の暗黒星人、ババルウがウルトラの星に現れたのか?ウルトラの国を狙い続けていた、ババルウの不敵なる挑戦なのか?」
その頃、ウルトラの星の管制室に忍び込んだ一つの影が。ババルウ探しで警備のウルトラ兄弟が手薄な隙を狙い、その影は奥に差し込まれた巨大な鍵を抜き取り、走り去る。鍵を抜かれた管制室の機械から火花が散り始めた。
エース「しまった!」
ジャック「ウルトラキーを外された!」
地上のウルトラ兄弟も敵の狙いに気付き、初代マンがいち早く地下基地のゲートのもとへ戻った。しかし、ゲートの中から現れたのは抜き取られたウルトラキーと、それを携えた意外な人物。何とそれは、レオの弟である筈のアストラであった!!
ウルトラマンはアストラに立ち向かいキーを取り返そうとするが、アストラはキーを振り回して抵抗。ウルトラマンは振り下ろされたキーを受け止め、アストラの脇腹にキックを打ち込む。そしてアストラを投げ飛ばし、更に追撃をかけようと駆け寄るもののアストラはキーでウルトラマンの足を払う。そうしてウルトラマンが転んだ隙に、アストラは何処かへ飛び去ってしまった。
直後にゾフィーら残りの3人が到着し、ウルトラマンを助け起こす。
マン「ウルトラキーが盗まれた!」
ゾフィー「何!?暗黒星人ババルウ…!」
マン「違う!キーを盗んだのはアストラだ!レオの弟・アストラだ!」
ナレーション「ウルトラの国のタワーの火が何者かによって消され、その隙に全てのエネルギーをコントロールするウルトラキーが盗まれた。今、ウルトラの星は軌道を外れ、宇宙空間を流れ始めた」
ウルトラの星では地割れが発生し、次々と建物が爆発を起こす。軌道を外れたウルトラの星は移動を始め、その進路方向には巨大な赤い恒星が。ウルトラ兄弟は恒星にぶつからない様に地面に突っ伏して恒星が通過するのを待ち、やがてウルトラの星は恒星を通り過ぎて行った。やがて立ち上がったエースは、手に握りしめた砂を撒きながら宣言する。
エース「ウルトラの兄弟達…!裏切り者アストラを倒して、ウルトラキーを奪い返すのだ!!」
ゾフィー「ウルトラの星は、太陽系へ向かっている!!」
ウルトラ兄弟は地球へ向けて、ウルトラサインを飛ばした。
その頃MAC基地では異変を知らせるレッドランプが警戒音を鳴らし、ADラインやBCラインの計器類に異常が発生。隊員達が原因を調べるが全く分からず、騒ぎを聞きつけ駆けつけたダンがゲンに宇宙監視所へ問いただす様指示。しかしゲンが何度も宇宙監視所を呼び出しても応答はなかった。その時、モニターにうっすらとウルトラサインが表示される。それを見たダンの表情は一変し、食い入る様にモニターを眺め続ける。しかし隊員達にはウルトラサインは読めず、ダンはどうしたのかと首を傾げる。佐藤に呼ばれて我に返ったダンは佐藤と梶田にコンピューター室へ行くよう命じ、ゲンを体育館へ呼んでその場を後にする。
梶田達もコンピューター室にて作業を開始し、異変の原因を調べ始めた。
その頃、体育館にてダンはゲンと2人きりで語る。
ダン「ウルトラの星のウルトラキーが盗まれた」
ゲン「何ですって!?」
ダン「コントロールを失ったウルトラの星は太陽系に侵入して来た」
ゲン「するとそれが原因で…」
ダン「そうだ、俺はさっきレーダースクリーンでウルトラサインを見た…アストラが来る」
ゲン「えっ、弟が!そうか…これで百人力だ!よーし、2人で力を合わせ、必ずウルトラキーを奪い返します」
てっきりアストラが助けに来るものだと思ったゲンは喜ぶものの、ダンから非情な一言が告げられる。
ダン「詳しい事情は分からんが…ウルトラキーを奪ったのはアストラだ」
ゲン「…嘘だ…」
ダン「嘘じゃない!」
ゲン「嘘だ!!どうしてアストラがそんな事を…隊長!」
ダン「ウルトラの兄弟達もアストラを追っている…兄であるお前が、弟からウルトラキーを奪い返さねばならん…ウルトラの兄弟達は、お前を見張れと言ってきている」
ゲン「どうして僕を…」
ダン「レオ兄弟に悪魔の心が乗り移ったと…レオ、アストラに会って疑いを晴らすんだ」
ゲン「セブン、あなたは…?」
ダン「言うな!俺はレオを信じている」
ゲン「セブン…」
ダン「しかし気をつけろ、アストラはウルトラキーを武器として使うだろう」
ゲン「ウルトラキーを…」
ダン「うん、子供の時俺はウルトラキーが武器として使われるのを見た…ウルトラの父が、恐るべき悪魔の星・デモスを攻撃したのを見た。ウルトラの父が手に持ったウルトラキーが、眩いばかりに輝いた時…悪魔の星・デモス一等星は、粉々になって吹っ飛んだ」
ダンは過去の記憶を思い返す。ウルトラの父がウルトラキーをライフル銃の如く構え、デモス一等星に狙いを定めて引き金を引いた瞬間、ウルトラキーから光線が放たれデモス一等星に直撃。デモス一等星は粉微塵になって消えたのだった。
ウルトラキーの恐ろしさを知り愕然とするゲン。その時、そこへ佐藤隊員が駆け込んで来ると、ダンに至急コンピューター室に来る様伝える。ダンはゲンに出動命令を出し、佐藤と共にコンピューター室へ急行した。
コンピューター室には他にも白土や松木ら隊員が揃っており、梶田がコンピューターをセット。すると、機械がぽつぽつと情報を読み上げ始めた。
コンピューター「太陽系に侵入した謎の星は、全軌道XK-00OSに乗り、地球に接近中…14時26分頃より、地球は影響を受ける」
佐藤「8分後だ!」
ナレーション「ウルトラキーを外されたウルトラの星は、地球を狙う悪魔の星に変わったのか?」
時計の針は刻一刻と14時26分へ進み続ける。しかし街の人々はこれから地球の危機が訪れる事など露知らず、賑わっていた。写真撮影をする外人の観光客や、フライドポテトをつまむ子供達、MACの戦闘機のミニチュアを買う人々…
そんな中、1人マックロディーに乗りパトロールを行うゲンはアストラの無実を祈り続けていた。
ゲン(アストラ、俺はお前を信じている…!)
(場面転換)
ナレーション「同じ時、宇宙の彼方暗黒星雲の中で、巨大な謎の氷塊があった。この巨大な氷は何だ?」
(Aパート終了)
余談
怪獣や宇宙人の姿をしたキャラが一切現れず、前代未聞のウルトラマン同士のガチバトルが展開され、主人公レオの安否が不明なまま地球の危機で次回に続くというかなりの衝撃展開。
ウルトラの国の一部描写は前作『ウルトラマンタロウ』の流用。
タロウが今回や次回に登場していないのは、東光太郎として地球に留まっていたからである。『タロウ』や『レオ』でメインライターを務めた田口成光氏いわく、『レオ』はタロウが存在しない世界であり、タロウは登場させないでほしいと彼が強く念を押したのだ(一応、次回のウルトラマンキングの台詞上でレオを「ウルトラ兄弟の7番目の弟」と称しており、姿こそ見せずともタロウもこの世界に存在していた事を示唆している。尚「タロウ」と「レオ」の世界は「メビウス」にて完全に同一世界として統合された)。
一部ではタロウも登場する予定だったが、スーツアクターが足りなかったため登場できなかったという説もある。
本話は本編最後にダンがウルトラ念力を使った回となり、映画『大怪獣バトルウルトラ銀河伝説THE MOVIE』までなかった。
ウルトラの星と地球の激突日である1月3日はリアルで次週の放送日であり、現実と作中の時系列がリンクしていることを示している。
天変地異の映像は第1話、『ウルトラセブン』、『帰ってきたウルトラマン』、『ファイヤーマン』、『タロウ』、『猿の軍団』の流用。
この回と次回のロケ地は平成ウルトラマンシリーズで数多く使われたお台場フジテレビ周辺である。