姫の犯した罪と罰。
特徴
ストーリーは日本の古典『竹取物語』が原作ながら、オリジナルの展開や登場人物も多く加わっており、原作の忠実な映像化ではなく、高畑勲なりに解釈した別の作品と言える。
アニメとしては他ではあまり見られない技術的な挑戦も多く、高畑監督の前作『ホーホケキョ となりの山田くん』と同じく画面全体が水彩スケッチ画風であり、最新のデジタル技術を駆使して、紙に描いた絵がそのまま動いているようなアナログ風のアニメーションを作り上げている。
背景画には何も描かれていない「余白」を残し、以前のジブリ作品よりも描き込みなどの情報量自体は少ない。作画部分はベタ塗りではなく塗りムラを作り、鉛筆の線の強弱も表現することで、背景画と同じく水彩スケッチ画風に仕上げられており、背景画と作画部分の統一感が非常に高い映像となっている。
物語
竹林で光り輝く竹から現れた不思議な少女は竹取の翁と媼に育てられ、「タケノコ」と呼んでくれる友人の捨丸とともに山野を駆けのびのびと育っていった。
しかし、次第に翁の家は豊かになり、翁は彼女を連れて都暮らしを始め、「かぐや姫」と呼ばれた彼女の美しさに多くの男達が言い寄ってきた。
日本人なら誰もが知る昔話『竹取物語』だが、かぐや姫は月で「罪」を犯したゆえに地上に落とされたというが、その「罪」と「罰」の内容は原典では語られていない。
その「罪」とは何だったのか?なぜ地上へ落とすことが「罰」だったのか?なぜ「罪」が許されて月から使者が迎えに来たのか?その「罪」と「罰」を新たな視点と解釈で描かれる。
登場人物
捨丸(CV:高良健吾) - かぐや姫の幼馴染。木地師の息子。
翁(CV:地井武男) - かぐや姫の育ての親。正式名は「讃岐の造」。
媼(CV:宮本信子) - かぐや姫の育ての親。
相模(CV:高畑淳子) - 翁が雇った、かぐや姫の教育係。
女童(CV:田畑智子) - かぐや姫に仕える少女。本作オリジナルのキャラクター。
斎部秋田(CV:立川志の輔) - かぐや姫の名付け親。
石作皇子(CV:上川隆也) - 求婚者。「仏の御石の鉢」を探す。
阿部右大臣(CV:伊集院光) - 求婚者。「火鼠の衣」を探す。
大伴大納言(CV:宇崎竜童) - 求婚者。「龍の首の珠」を探す。
石上中納言(CV:古城環) - 求婚者。「燕の産んだ子安貝」を探す。
車持皇子(CV:橋爪功) - 求婚者。「蓬莱の玉の枝」を探す。
北の方(CV:朝丘雪路) - 石作皇子の正妻。
炭焼きの老人(CV:仲代達矢) - 山里の炭焼き。
なお、EDにて三宅裕司が特別出演としてクレジットされ、どの声を担当したのかは出ていなかったが、2013年夏にセリフの変更や息遣いの声を調節する必要が出た際に翁の声を担当したことが明かされた。
翁の声を担当した地井武男が声をプレスコで収録したのが2011年夏で、亡くなってしまったのが2012年6月。公開直前の2013年夏にセリフの変更や息遣いの調整をするためにアフレコ収録が必要になったが、生前の地井さんの声を出演した作品から抽出する技法を行ったがうまく行かず、その際に三宅さんの名が監督から上がり、新たに声を入れてもらう案が浮上した。
当初「自分の名前は公表しないでほしい」としていたが、「作品の記録として残したい」とジブリ側から提案を受け特別出演と載せることになった所、映画を見た観客から多数の問い合わせがあり、情報公開となったとのこと。
三宅さんの声は夕暮れの竹やぶで姫を探す翁の「どこ行ってしまったんだよー。おーい、姫よー」のシーンや泣く時の息遣いなど計6シーン。
評価
興行成績24.7億円とまずまずの好成績を残したものの制作費50億円の半分程しか稼げておらず結果的に赤字になるなど不振に見舞われたが、作品自体の評価は極めて高く、特に美術に関しては「日本アニメ史上最高傑作」との呼び声も高い。この傾向は日本以上に海外で特に顕著で、数々の映画賞を受賞している。
2015年にはアカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされている。
冗談はアゴだけにしろ!!!!!!!!!!!!
2015年3月13日金曜ロードショーより地上波初放送。放送終了後の感想ツイートからえらばれたベストツイートより
上のツイートは御門の顔が見事なまでに菱形で、特にアゴの尖りっぷり(イメージ的にはコレとかコレのコイツくらい)が視聴者に多大なインパクトを与えたことから。twitterでは早速クソコラやネタ絵が大発生しており、前述のツイートに対する返信だけでもアゴの先が割れて足になっていたり、アゴを本編以上に引き伸ばしたり、顔を大根に見立てられたりと、もう本作のテーマである「姫の罪と罰」を完全に塗り潰してしまい、感想ツイートもほぼアゴ一色である。Googleの検索でも本作を検索すると予測でアゴが出る始末。
なおあのアゴは劇場公開中から話題になっていたようで、後述のような考察記事もできていた。また原因は演じた中村七之助に似せたこともあるが、アゴのバランスを崩すよう高畑勲が指示した旨のコメントも存在している。
関連イラスト
外部リンク
ツイッターで「アゴ」が話題に!「かぐや姫の物語」の御門(帝)が理由?そしてクソコラグランプリもスタート!