火鼠の衣とは、古典文学『竹取物語』に登場するアイテムである。
概要
竹取物語において、かぐや姫が五人の貴公子の一人である右大臣阿倍御主人に要求した難題。
火鼠という幻獣の毛皮で作られた衣で、火の中に入れても決して燃えず、元の姿のままでいられるという不思議な衣である。
劇中においては、お金持ちであった阿倍御主人は大枚をはたいて唐の商人からこれを手に入れるが、かぐや姫の提案により本物であることを証明するために、御主人本人も翁も同意のうえで火の中に入れられるとあっという間に燃え消えたため、偽物と判断された。
騙されたことに気づいた御主人は「燃えると分かっていれば火に入れることなどせず、美しい皮を眺めて過ごしたものを・・・」と嘆く和歌を詠んだ。
以降、やり遂げられないことを阿部にちなみあへ(え)なくと呼ぶようになったらしい。
なお、西洋には類似品として"サラマンダーの抜け殻"が存在する。
一説には、その正体はアスベスト(石綿)であるとされる。
創作
『犬夜叉』における「火鼠の衣」
犬夜叉の母・十六夜の形見で、犬夜叉の妖力を吸うことで鉄の鎧に匹敵する防御力を発揮する万能防具。
ただし、犬夜叉が朔の日で人間状態である場合は、犬夜叉自身に妖力が無いため、ただの真っ赤な衣となってしまう。
難題「火鼠の皮衣-焦れぬ心-」
東方Projectシリーズの作品『東方永夜抄』のキャラクター蓬莱山輝夜のスペルカードの元ネタでもある。